高齢者が住みやすいバリアフリーの賃貸を探すコツ

高齢者が住みやすいバリアフリーの賃貸を探すコツ

「子どもがみな独立して、高齢者だけでは自宅が広すぎて管理が行き届かない」、「病気になり、通院に便利な場所に引っ越しをしたい」、「配偶者と死別したので、余生を生まれ故郷で暮らしたい」など、高齢者の引っ越しにも様々な事情があります。ここでは、高齢者向きの賃貸物件を効率よく探すコツなどを紹介します。

高齢者の賃貸住宅難は深刻

戦後の住宅難ではあるまいし、世の中には賃貸の空き物件があふれているのに、なぜ高齢者の賃貸物件探しが難しいのか、疑問に感じる人もいるでしょう。そこには、老々介護や孤独死などの難しい問題が絡んでくるという理由があります。

今は元気ハツラツに見えても、老いや病気、ケガ、認知症などは、いつやってくるか分かりません。突然死や孤独死といったことがあると、たとえ自然死でもワケあり物件として扱わなければならない場合があるため、大家としてはリスクが高い契約になってしまいます。

また、高齢者は年金生活している人が多いため、月々の家賃を滞りなく払ってくれるかの心配もあります。子どもがいないと親族もみな高齢のため、連帯保証人の支払い能力も不安視されます。学生の場合は、進学で親元を離れる新入生などに借りてもらうと、4年程度は家賃収入が見込める安心感があります。

一度契約を取り交わすと、万一何かが起きても、大家の希望で退去してもらうのが難しくなります。できれば少しでも若い人に借りてもらいたいと大家は考えるため、問い合わせがあった時点でやんわり断ったり、入居審査で所得や保証人の支払い能力などを総合的に判断して不可としたりするなど、契約に慎重になる傾向があります。

今後ますます高齢者向き物件の需要が拡大

少子化で学生の人数が減っているため、募集人数を減らし、規模を縮小している大学もあります。すると、学生向けアパートの空き部屋が多く目立つようになります。そこで、大家はバリアフリーの物件に改修するなどして、需要が高まる高齢者の入居を促しています。

シニアに向いている物件はどんなもの?

最初から「シニア入居可」の物件を探すと、入居を断られるなどの悲しい思いをせずにすみます。気を付けたいのは、なかにはハシゴを上ったり下りたりする必要があるロフト付きの物件もあることです。登山やマラソンが趣味で足腰がしっかりしている人でも、長く住むことを考えると、高齢者向けとはいえないでしょう。

やはり、最初から段差のないバリアフリーの物件が住みやすいです。スロープやエレベーターのあるマンション、もしくは1階を選ぶと安心です。浴室も、段差が低くて手すりが付いていたり、浴室暖房が備わっていたりすると、冬のヒートショックを防ぐことができます。

また、独立した子どもたちが年末年始やお盆に集まるなら、リビングが広めの物件や、部屋の間仕切りを開放して広く使えるような物件にすると良いでしょう。高齢の親を心配して、子どもたちが交代で休日ごとに泊まりがけで訪れるなら、専用の客間があると便利です。

間取り以上に、周辺の環境が暮らしやすさにつながる

賃貸物件の間取りも大切ですが、周辺の環境も住みやすさに大きく影響してきます。例えば、今は車の運転を難なくでき、無事故無違反で運転技術に自信があっても、そのうち判断力や視力が低下してくるでしょう。

自分の身の危険よりも、歩行者や他者への安全を配慮して、運転免許を自主的に返納する高齢者は多いです。そうなったときに、公共交通機関や地域のコミュニティバスを利用しやすい立地の物件であれば、外出も億劫になりません。

さらに、役所や公民館、スーパー、衣料品店、金融機関、病院が徒歩圏に揃っていれば、生活に不自由はありません。坂道が少なく、歩道が広い安全な場所なら、なお良いです。そのような環境の場所なら、高齢者が集える集会所があったり、地域で支え合ったりしているなど、活気のある街づくりがされていることが多いです。

賃貸情報サイト利用時の検索のコツ

パソコンやスマホから見られる賃貸情報サイトにも、全国にある高齢者向けの物件が掲載されています。あちこち動き回って物件を探す手間なく、どのような物件があるのか、相場はどうなのか、キッチンの使い勝手などの様々な情報を、写真とともに確認することができます。

ここでは、便利なエイブルの「シニア向け物件特集」のページについて説明していきます。

絞り込み条件はここをチェック

この「シニア向け物件特集」から探すと、すべての「シニア相談可」の物件から選ぶことができるため、「高齢者と分かれば入居を断られてしまうのでは…」と心配するようなことはありません。全国に多くある賃貸物件を特色ごとに分類しているので、とても便利です。

まず、住みたい地域を選びましょう。よく電車を利用するなら沿線から、市区町村から選びたいなら住所から探せます。画面左側の物件条件の絞り込みをスクロールしていくと、自分の希望する条件に当てはまるものだけを抽出することができます。シニア世代が特に気にした方が良い条件は、以下の4点です。

  • 間取り
  • 駅やバス停からの時間
  • バス、トイレ別
  • エレベーター完備

オートロックやモニター付きインターホンがあれば、しつこい訪問セールスに対応せずにすみます。また、火の扱いが不安な人は、IH調理器を選ぶと良いでしょう。ゆっくり浴槽に浸かりたいなら、追い焚き機能が付いていると便利です。

さらに、室内で過ごす時間が長いなら、ポカポカとした日差しを感じられる南向きがおすすめです。ただし南向きの部屋は、夏は室温が高くなるため、熱中症対策のための冷房は必須です。エアコン付きの物件なら、取り付け料金も退去時の撤去費用も不要なためお得です。

敷地内にゴミ置き場がある物件を選ぶこともできるため、寒い冬や暑い夏に遠くまで捨てに行かずにすみます。雨の日も便利です。

チェックをしない方が良いのは、こんなとき

駅や市区町村で絞り込んだときに表示される物件数が少ない場合、上記の絞り込み条件に一度にいくつものチェックを入れると、その分該当する物件が少なくなってしまいます。また、家賃の予算が決まっていても、上限額を先に設定しない方が良いです。

交渉次第で家賃を値下げしてくれることもあるため、先に良い物件を除外してしまうことになります。まずは、一覧で表示される物件を、家賃が安い順に見ていくようにしましょう。1階の物件にチェックを入れてしまうと、エレベーター付きのマンションが省かれてしまう可能性もあるため、おすすめできません。

狭い地域に限定するのではなく、ある程度余裕をもって他の駅や市区町村にも重複してチェックを入れると、物件の候補の選択肢も増えます。

インターネットで周辺環境や自治体の情報などを確認

福祉や安全面で、暮らしやすい街づくりの政策がどうなっているか、リタイア世代が活躍できる環境が整っているかなど、自治体のホームページで確認してみましょう。アピールできるものは、積極的に情報発信しているはずです。

また、最寄りのスーパーや医療機関、駅、交通機関などがバリアフリーになっているかも気になるところです。大きな交差点では、歩いているうちに信号が点滅してしまうようなところもあるので、事前に細かくチェックしておいてください。

歩道橋に、階段だけでなくエレベーターも設置されていることも重要です。踏切など、急いで渡る必要があるような場所も避けた方が良いでしょう。

インターネットで相談しながら探すこともできる

不動産会社のルームアドバイザーは、高齢者向きの部屋がどんなものか、どんな物件が人気なのかを、よく知っています。オンライン接客型の不動産屋「イエッティ」なら、パソコンやスマホを使ってプロのルームアドバイザーに相談しながら、物件を探せる無料サービスがあります。自分で悩みながら探すより、効率よく物件を見つけられるでしょう。

まとめ

賃貸情報サイトで検索をしてせっかく気に入った物件が見つかっても、それが「シニア入居相談可」の物件でないと、高齢者だからという理由で入居審査に落ちる可能性も否定できません。

それなら、最初に指定する条件で「シニア入居相談可」の物件に絞った方が効率的です。高齢者向きの物件が特集されているページから探せば、ムダなくお目当ての賃貸物件を探せるでしょう。