賃貸マンションで雨漏りや水漏れが発生した時の対処方法

賃貸マンションで雨漏りや水漏れが発生した時の対処方法

集合住宅での隣人トラブルと言われると、騒音問題が真っ先に思いつくでしょう。しかし、水漏れに関するトラブルも少なからずあります。被害の程度によっては、こじれてしまうこともあるため注意が必要です。そこで、水漏れが起こったらどうすれば良いのか、対処方法について紹介します。

天井から水漏れが!最初にやるべきことは

静かなときにポタッポタッという水の滴る音を部屋の中で聞くことほど、嫌なものはありません。天井を見ると水のシミが広がっていて、「一体いつから漏れていたのだろう」とゾッとすることがあります。

最上階に住んでいれば雨漏りを疑いますが、上の階に人が住んでいれば、その部屋からの水漏れでしょう。そんなとき、その住人の不注意と思い込んで、いきなり怒鳴り込んではいけません。ここでは、雨漏りや水漏れを発見した場合、最初にやるべきことを説明します。

家財の保護とタオルやバケツの準備

天井を見上げ、「いつ止まるのだろう」と監視している場合ではありません。まず、部屋の布団や精密機器など、濡れて困るものを保護してください。水漏れが何箇所かあるなら、安全な場所に移動させるか、ビニール袋やシートなどで覆います。

バケツや洗面器、鍋、ボウル、なければレジ袋の中にぞうきんを入れるなどして水を受け、下の階の部屋にも被害が及ばないようにしましょう。

大至急、管理会社か大家に連絡

被害の拡大を防いでから、至急、管理会社に連絡を入れます。天井からの水漏れであることを告げて、指示を待ちましょう。管理会社の営業時間外で連絡が取れないときは、大家に連絡をしましょう。大家が管理会社の担当者の個人の電話番号を知っていれば、連絡が取れることもあります。

被害状況の証拠写真を撮って保存

天井の水漏れ部分のほか、壁やふすまなどの水の流れた跡のシミがあれば、写真に撮っておきましょう。部屋の様子がわかる写真とアップにしたものを、それぞれ何枚か保存しておきます。ポタポタと滴り落ちる様子を、動画で撮っておいても良いでしょう。保険会社へ提出する証拠となります。

夜間の被害が甚大!緊急の対処が必要な場合は

壁を伝ってどんどん下の階へも水が流れているようなケースでは、いくら夜間でも見て見ぬふりをするわけにいきません。たとえ管理会社にも大家にも連絡が取れなくても、朝まで様子見はできないでしょう。ともすれば、水漏れに気がつきながら被害拡大の防止策を怠ったとして、責任問題に発展してしまうこともあります。

賃貸契約をしたときの入居規約はどうなっていますか?「もし、水漏れに気がついたら」と指定業者の連絡先が記載されていれば、そこに連絡しましょう。指定がなければ、24時間対応してくれる水漏れ修理の専門業者に依頼するしかありません。

その際、修理内容と部品代などの明細は、きちんと詳細を記載してもらいましょう。管理会社や大家にきちんと説明できるように、疑問点などをしっかりと聞いておくことが重要です。

慌てて上の階の住人に苦情を言いに行かない

「天井から水が漏れていたので、お風呂のお湯を出しっぱなしで寝ていないか心配で来てみたの」などと、気軽に言える仲なら問題ありません。しかし、そうでないなら、一人で苦情を言いに行くのは避けましょう。

天井からの水漏れは、必ずしも上の階の住人が原因ではない場合もあります。「いきなり身に覚えのない言いがかりをつけられた」と不快に思う人もいます。今後も住み続けるのですから、お互いに気まずい思いをするような行動は控えましょう。

集合住宅で考えられる水漏れの原因とは

集合住宅の場合、天井から水が漏れたからと言って、上の階に住む人が水をあふれさせたのが原因とはならないことがあります。また、住人の過失だけでなく、建物そのものに原因がある場合も考えられます。早まらずに、どこから水漏れが起きているのかを特定することが先決です。

上の階の住人の過失

ありがちなケースは、洗濯機の排水ホースが外れてしまったことです。排水口にきちんと固定できていないと、水の勢いでホースが外れることがあります。洗濯機置場がなく、浴室に排水を流す場合などは、特に気をつけなければなりません。

また、浴室の排水口の掃除が行き届かず、詰まっていて流れが悪い場合も要注意です。お風呂のお湯をあふれさせると、お湯がたまって、出入り口の段差を超えて流れてしまうこともあります。

防水処理をしていないキッチンの床に、大量に水をこぼしてしまったときなども、下の階に流れてしまいます。猫が水飲み用のお皿をひっくり返して、下の階の壁紙を水が伝ってきたケースもあります。住人が気づかないような、こうした少量の被害も考えられます。

規模の大きい分譲マンションなら、業者による全戸一斉の排水管清掃があり、高圧洗浄によって詰まりが一掃されます。しかし、賃貸メインのアパートやマンションでは、そこまでやらないところも多いでしょう。

そのため、トイレに流してはいけないものを流すと、詰まりやすくなります。トイレの汚水が逆流すると大惨事になりますが、この場合、すぐ上の階ではなく、さらにその上の階の住人に責任があることも考えられます。

建物の劣化や不具合によるもの

雨漏りは、建物の老朽化などにより起こることがあります。防水処理が施してあっても、劣化や亀裂などがあれば、屋根だけでなく壁からも雨漏りしてしまいます。また、建物内の給水管や排水管の不具合により、水や汚水が漏れていることも考えられます。

原因を特定するために協力すること

水漏れがあり、上の階の住人たちの過失でない場合は、その原因を特定しなければなりません。天井の板を剥がすなどして、大がかりな検査が必要になります。

管理会社や大家、工事業者、上の階の住人の過失の場合は、過失があった人や保険会社が部屋に出入りし、問題となる部分を撮影するなど大ごとになってしまいますが、協力せざるを得ません。

まずは水漏れの原因を突き止めなければ、さらに被害が拡大してしまうため、理不尽ですがやむを得ないと諦め、早急に対応すべきでしょう。

保険会社の補償はどうなるのか

賃貸物件の賃貸借契約では、不慮の事態に備え、損害保険に加入することが義務づけられています。火災保険の借家人賠償責任保険が主なものですが、そこに水漏れに対しての補償があるはずです。

自分が加害者でも被害者でも適応されるものがほとんどですが、補償内容や上限金額、適応範囲がどうなっているか、念のため確認しておくと安心でしょう。

最上階に住んでいて雨漏りした場合は?

建物の老朽化や防水コーティングの劣化など、建物そのものに欠陥があって雨漏りの被害を受けた場合は、大家が建物の修繕をする義務があります。

しかし、雨漏りが起きた原因が大家の過失とは限りませんし、保険で対応してもらえる可能性が低いのが実情です。被害を受けた家財についても、入居時に自分が契約した火災保険の家財保険で対応することになるでしょう。

原因がどこにあるかにより、事情が異なる

建物の老朽化によるものか、上の階の住人の過失によるものかで異なり、それぞれの保険で賠償することになります。今後の賠償に関しては、保険会社とのやり取りになるでしょう。

被害のあった家財の購入年月や購入価格などをリストにするなど、相手の保険会社の指示通りに進めることになります。また、相手側の賠償だけでなく、自分が加入する保険で請求できる場合もあります。

補償の範囲がどこまでになっているか

借家人賠償責任保険の上限額や保険の支払い方式、どの程度の被害によりどこまでの補償がなされるかは、一概には言えません。自分が加入している保険会社にも相談してみることをおすすめします。

当事者同士でやり取りせず、保険会社を通すこと

上の階の住人が直接の加害者でも、賠償問題に関しては直接やり取りするのは止めましょう。お互い近くに住んでいるため気まずいとは思いますが、必ず保険会社を通して交渉するべきです。

まとめ

水漏れを発見したら、「ほんの少しだけだから、しばらく様子を見てみよう」なんて放っておいてはいけません。被害が拡大する前に、すぐに対処することが肝心です。また、何が原因かわからないのに、すぐに上の階の住人を責めてはいけません。特に大きな地震が頻発する地域の古い建物は、どこかしらの設備に不具合が生じている可能性も考えられます。