武蔵小杉や二子玉川(ニコタマ)の家賃相場や住みやすさ

武蔵小杉や二子玉川(ニコタマ)の家賃相場や住みやすさ

通称ニコタマと呼ばれる二子玉川とタワーマンションが建ち、すっかり「郊外の高級住宅地」のステータスを手に入れた武蔵小杉。2~30年前まではどこにでもあるような地味な駅だったのですが、すっかりオシャレ住宅街になりました。

住んでみたいと思っている人も多いのでは?
実際に住んでみると、住み心地はどうなのでしょうか。

二子玉川今昔

東急田園都市線と大井町線が乗り入れている二子玉川。楽天の本社が引越してきたりして、すっかりメジャーな町になりました。日本有数の大企業が本社を構えるようになるなんて、ずいぶんと出世したものだ、というのが古い住人の感想ではないでしょうか。

名前の由来は?

戦時中はパラシュートの演習場があったという話ですが、現在50代あたりの東京の人にとって「二子玉川園」という名前は胸を熱くして見た円谷プロダクションのウルトラマンショーと共に、子どもの頃の懐かしい思い出にしっかりと刻み込まれていると思います。

円谷プロや東宝のスタジオからもほど近かったため、この近辺では多くの特撮ものの撮影が行われ、そちらの方面のマニアさんの間では聖地と呼ばれています。当時は今と違って河川敷の周辺は田畑が広がっていたため、ロケ地には苦労しなかったのでしょう。

さて、そんなウルトラマンショーが行われていたのが二子玉川園です。元々この地にはなんと明治時代からプールや大運動場などの娯楽遊戯施設ができたり潰れたりしていたのですが、1954年、東急不動産が「二子玉川園」の名前で遊園地を開業し、まだ当時は珍しかったジェットコースター、「フライングコースター」が大人気になりました。

当時の子どもは「二子玉川園のフライングコースターに乗ってきた」と言ったらクラスでヒーローになれたものです。

最盛期には映画館もありました。今でこそシネコンのおかげでちょっとしたショッピングモールには映画館が入っていることもそれほど珍しくありませんが、当時としては映画館がある町は大都会というイメージが強かったので、この地がいかに古くから娯楽とエンタメの街として親しまれてきたかがわかります。

そんな遊園地が1985年に閉園したあとも駅名だけは「園」つきだったため、かつてそこに遊園地があったことを知らない世代からは「なんで園なの?」とよく尋ねられていましたが、ついに2000年に「園」がとれて「二子玉川駅」になりました。

その後のニコタマ

二子玉川園が閉園した後も「ナムコ・ワンダーエッグ」や「いぬたま・ねこたま」など、コンセプト性の強いテーマパークが作られましたが、大規模再開発に伴って閉鎖され、現在跡地はオフィスやショッピングモール、ホテルなどを備えた近代的な二子玉川ライズになっています。

玉川高島屋をはじめ、東京近郊における郊外型ビジネスモデルを引っ張ってきたのがニコタマであることは間違いありません。

肝心な住み心地は?

ニコタマエリアと言われるあたりは広く、南は玉堤通りをバスでずっと下った野毛のあたり、北は岡本や砧公園近くまで含まれるので、場所によってかなりばらつきがありますが、基本的に再開発されてから間がない新しいマンションが立ち並ぶエリア、昭和期に再開発され、ある程度年数が経ったマンションが並ぶエリア、一戸建ての古い住宅地に分けられると思います。

家賃相場は?

一時期は都心から遠い割には少し高いかな、という印象でしたが、最近は家賃もかなり適正に落ち着いてきたようです。大体ワンルームで70,000円前後から、ファミリー向けの2LDKで150,000円から200,000円くらいでしょうか。通勤距離などを考えるとまずまずです。

通勤通学は?

電車は乗ってしまえば田園都市線で渋谷まですぐですが、この区間は混雑がひどいことでも有名です。朝のラッシュも帰りのラッシュも、大混雑になることは覚悟してください。勤める場所によっては田園都市線を避けて大井町線で大岡山乗り換えや、もっとマニアックに中延乗り換えで都営浅草線など、かなり楽になるルートもあるので、工夫してみましょう。

治安は?

駅の近くであれば監視カメラや人通りも多いので安全ですが、問題は駅からバスに乗るようなエリアです。玉堤通り沿いなどは、バスに乗らないと河川敷を歩いて帰ることになるので女性にはおすすめできません。昔から痴漢出没情報が本当か嘘かわかりませんが多いエリアです。女性の一人暮らしや年頃の女の子がいる家庭なら、駅からの帰り道はよく考えましょう。

北側の岡本エリアは落ち着いた緑豊かな高級住宅街ですが、それも裏を返すと人目からの死角になりやすい植え込みなどがたくさんあるということなので、注意してください。できれば夜まで明るく街灯が途切れることなくついていて、人通りがあるようなある程度大きい通り沿いに住むのが安全上はベストだと思います。

今大注目の武蔵小杉

高層マンションや商業ビルがにょきにょきと建ち、今一番大きく変貌を遂げている町の一つが武蔵小杉です。場所で言えば、東京から多摩川を丸子橋で渡って川崎市の中原区になります。こう言っては失礼ですが、ほんのちょっと前まではこのエリアはどちらかというと地味な住宅街というイメージで、今のような大発展はあまり想像できませんでした。

なぜそれが今こんなに注目されているかと言うと、ひとえに交通の便がいいからではないでしょうか。

今も昔も交通の要衝

江戸時代、この一帯は小杉宿と言われる中原街道の宿場町で、江戸と相模国(神奈川県)を結び、東海道の脇往還として多くの人が行き来しました。

現在も中原街道、綱島街道、府中街道など主要な道路が通るほか、電車も東急東横線、目黒線、JR南武線、横須賀線、湘南ラインが乗り入れていて、東京方面神奈川方面両方にアクセスが良くなっています。そのため、忙しい共働きの夫婦に人気であることも武蔵小杉ブームを底上げしているでしょう。

下丸子との地位逆転

昔はこのあたりで一番栄えていたのは駅一つ分東京に近い下丸子近辺でした。古くからの商店街や工場が多く、にぎわっていたのですが、川崎市が武蔵小杉一帯の再開発の音頭を取り、昭和の終わりごろから工場の跡地や放置されていた空き地のような場所をメジャーデベロッパーが開発して、今では超高層ビルが林立するまでになりました。

肝心な住み心地は?

武蔵小杉はタワーマンションや高層ビルの建設ラッシュと共に、そこに住んでいる人や町の顔までもががらっと一変した町です。したがって住人も最近になって越してきた人が多く、さまざまな点で「若い」町と言えるでしょう。

基本はファミリー層向け

武蔵小杉人気を引っ張っているのが高級タワーマンションということで、町全体はファミリー層向けの造りになっています。その客層を意識した店が多く、日曜生活用品の買い物にも困りません。役所などもコンパクトにまとまっていて、小さな子どもがいるために移動がままならないという人や、共働きで忙しくてあまり時間がとれないという人には便利でしょう。

駅からバスの人も多い

武蔵小杉人気のためか、蟹ヶ谷や子母口など、さらに駅からバスに乗るような場所も「武蔵小杉物件」に含める人もいますが、正直この辺りは自家用車を持っていないと移動が不便なので、一人暮らしの人は気をつけてください。

家賃相場は?

武蔵小杉は今大人気で分譲のマンションの値段が上がっています。それに伴って家賃も上昇気味で、ワンルームで70,000円強~、ファミリー向け2LDKなら150,000円あたりです。これが新築のマンションならさらに高くなるでしょう。

二子玉川が少し前に大注目だったのですが、その注目が今武蔵小杉に移ってきたような感じです。新しい町はきれいだし、地域住民が住みやすくなるような施設も備えているところが多いのですが、その分家賃は多少お高めになることは仕方のないことですね。