マンスリーマンションやウィークリーマンションは、一定期間の滞在でホテル代わりに使うイメージをもっていませんか?
ウィークリーとなっていても、1週間ちょうどで退出しなければならない、ということはありません。利用目的や期間によっては、一般の賃貸物件を契約するよりトータルでお得になることもあります。これらの物件をよく知らない人のために、特徴や注意点などを紹介します。
マンスリーやウィークリーマンションの特徴
マンスリーは1か月、ウィークリーは1週間と、契約時の期間の単位によって呼び分けられています。しかし、どちらも契約期間の延長ができるので、呼び方や分類に対する特別な決まりはありません。一般の賃貸マンションとは異なるため、便宜上分かりやすくマンスリーやウィークリーと付けています。
短期契約のため、煩わしい手続きが必要ない
一般の賃貸物件の契約期間は、2年とするところが多いです。宅地建物取引業法や借地借家法などで決められた手順に従い、様々な手続きを経て契約し入居します。しかし、マンスリーやウィークリーの場合は、一時利用目的の短期契約となるため、煩わしい手続きがありません。
保証人も不要とするところがほとんどです。契約時に期間を設定しても、途中で申し出れば、延長して引き続き住むことができます。ただし、その部屋の予約がなく、入居中に問題がない場合に限ります。
敷金や礼金がかからず、退去時の敷金トラブルもない
マンスリーやウィークリーマンションは、あくまでも生活の拠点としてではなく、短期の出張や一時的な住まいとして利用されることが目的です。賃貸物件というよりもホテルや旅館代わりという側面があることから、契約時には敷金や礼金という概念がありません。
当然、仲介手数料や契約延長における更新料もありません。そのため、賃貸物件で起こりがちな敷金の返還トラブルや、壁紙や畳の交換・修繕などとは無縁です。
期間に応じてハウスクリーニング代が決まる
敷金を預ける必要はありませんが、清掃代がまったく不要なわけではありません。最初の契約時に、契約期間と物件のグレードに応じた清掃費を、予め納めることになっています。
短期間なら室内が汚れることもそうないため少額で、長期間なら汚れが蓄積していることを考慮して、少しずつ高くなるように設定されています。余程のことがない限り、退去時に追加で請求されることはありません。
ホテルで暮らすより安く、自由度が高い
1DKなら、1日あたり2,000円台から借りられる物件もあります。ビジネスホテルなどをシングルの素泊まりで利用すると、安くても3,000円以上はかかるため、長期に住むほどホテルよりも割安感は大きいでしょう。
このようにホテルで暮らすよりも宿泊費が安く、生活するための家具や家電が一通り揃っているため、気楽に借りられて自由な生活ができます。自炊をしたり知人を招いたり、必要な衣類や家具などの荷物を運び入れたりすることもできます。
急な長期出張や単身赴任、家族の引越しなどで、ゆっくりと賃貸物件を選びたいというときにも、一時的な仮住まいとして利用しやすいです。
家賃は高い!延長して長く住めば割安になる
初期費用がかからず、生活に必要な家具や家電が揃っているため、賃貸物件よりも家賃がかなり高額になります。周辺にある家具家電付きの賃貸物件よりも、割高に感じるかもしれません。
しかし、1週間単位ではなく1か月や3か月借りれば、一括前払いすることにより割引が適用され、日額の家賃が安くなるように設定されているところがほとんどです。
2年契約の賃貸物件を早期に解約しても、期間に応じた違約金がかかります。そのため、長く住む場合は、引越し料金もほとんどかからず、家財を買い揃える必要もないマンスリーやウィークリーマンションの方が、結果的に割安になることもあります。
借りるときや入居中の注意点は?
特に近所付き合いをすることもないからと言って、隣の部屋や上の階、下の階の人に対して傍若無人に振る舞っていると、トラブルの元になってしまいます。あまりに非常識な態度や行動だと、早期に退去を促されても文句は言えません。
一般的な賃貸物件に住むときと同様、ルールやマナーをわきまえた生活をしましょう。また、ゴミに関しても、その地域で決められた分別方法や出す時間を守ってください。
厳しい入居審査がないため、住人に不安がある
賃貸物件を借りるときは、不動産会社の担当者が応対し、内見するなどします。その際に、借り主の態度や身なりである程度の判断をしたり、契約に必要な申込書や所得証明書、保証人などから、信頼のおける人かどうかを審査したりします。
しかし、マンスリーやウィークリーマンションでは、厳しい制限を設けていません。契約時に必要な料金を一括して支払えば入居できるところが多いので、まれにモラルに欠けた振る舞いをする人もいます。夜間に騒音を立てたりゴミ出しのルールを守らなかったりするなど、トラブルの原因をつくる人もいるため注意が必要です。
会社の業態により、入居時の決まりが異なる
家賃は1か月分ずつの支払いとするところもありますが、なかには、契約時に一括して支払わなければならないところがあります。これは、定期借家契約として不動産会社が運営管理する場合と、ホテルなどの旅館業として運営する場合があるためです。それに応じて、契約方法や手続きに必要な書類なども異なってきます。
また、運営会社によっては、保証金やハウスクリーニング代、水道光熱費を別途支払う必要があったり、保証金不要で水道光熱費も家賃に含まれていたりするなど、支払いの形も様々です。
例えば、自宅の建て替えのために仮住まいし、当初に見込んだ期間よりも早く新居が完成したようなときは、契約期間よりも早く退去すると残りの期間分の家賃が返金されなかったり、違約金がかかったりする場合もあります。
このような入居のルールを事前によく把握しておかないと、思わぬトラブルに発展することがあるため、注意が必要です。1日あたりの家賃は高くなってしまいますが、まずは短期間で契約をしておいて、ムダの出ないように延長するなどしましょう。
備え付けの家具や家電に文句をつけてはいけない
運営する会社により、グレードの低い物件から高いものまで様々です。インテリアや家電などを新製品の良いもので揃えているところもあれば、安いところは残念ながらそうでもありません。その部屋のグレードに応じて、家賃が設定されています。
質や使い勝手が悪い家具や家電があっても、交換を要求することはできません。また、カーテンやベッドカバーなどがたとえ自分の趣味に合わなくても、あるもので我慢しなければなりません。
どんな人に向いているの?
様々な事情があっても、契約時に特に詮索されることはありません。また、審査も通りやすいので、誰でも気軽に利用することができます。ホテルよりも安いからと短期で何日間か宿泊する人もいますし、トータルでみると賃貸物件より割安になるからと中長期で利用する人もいます。
短期間だけ借りたい人は、ホテルより便利
地方から大学入試などで上京し、日にちをおかずに何校も受験するときなどは、往復の移動の時間も惜しんで勉強にあてたいと思うでしょう。また、そのときの交通状況によって入試に遅刻しないとも限らないため、安全策として、大学近くのウィークリーマンションを利用する人も多いです。
母親とともに利用したり、身内が交代で世話をしたり、同じ方面の友人たちと何人かで共同生活をしたり、ということも考えられます。
長期出張の際も、ホテルや賃貸より割安
長期の出張でしばらく自宅に戻れない場合、ホテルよりもリーズナブルです。ユニットバスでなくバス・トイレ別のお風呂なのでゆっくりできますし、自炊をしたい人にも向いています。また、ペット可のマンスリーやウィークリーマンションなら、ペットを一緒に連れてきて住むこともできます。
転勤族の一時しのぎ的な利用もできる
転勤シーズンは、引越し料金が軒並み高騰します。そんな繁忙期を避けたり、繁忙期後に出てくる優良物件を狙ったりするために、その間の仮住まいとして利用する人もいます。
また、長距離の転勤だと、現地で十分に物件を選ぶ時間的余裕がなく、適当な物件をよく知らないまま契約してしまうことがあります。それを避けるために、ウィークリーマンションなどでしばらく仮住まいしながら、物件を吟味する人もみられます。
入居審査に通らなかった人
無職などで賃貸物件の入居審査に落ちた人でも、マンスリーやウィークリーマンションなら、前払いをすることによって一定期間住むことができます。その間に就職をすれば、一般の賃貸物件の入居が認められるでしょう。
長期休暇中に別荘感覚でレジャーを楽しめる
避暑地として有名な場所のホテルに数日間滞在するよりは、ウィークリーマンションの方が割安感があります。そのため、友人何人かと別荘代わりに利用するケースもみられます。また、有名レジャースポットの周辺ホテルは、早くから申し込みが殺到するため、直前では予約が取れず、高額です。そうしたレジャー費を浮かすためにも利用されます。
まとめ
短期間だけ住むなら、敷金や礼金、仲介手数料、短期解約による違約金が不要なため、一般の賃貸物件を借りるよりも、トータルすると安くなる物件もあります。
家具や電化製品が揃っているため、引越しの際も業者に頼む必要なく、身一つで気軽に移動できるのもメリットです。一人暮らしに慣れていて、身の回りのことが一通り自分でできる人であれば、ホテル暮らしよりも安くて気軽で自由な生活が送れるでしょう。