特優賃(特定優良賃貸住宅)を借りる条件について

特優賃(特定優良賃貸住宅)を借りる条件について

国や自治体からもらえる助成金や補助金と言えば、出産手当や児童手当などが思い浮かびますね。細かく見ていくと、子どもに限らず様々な面で手厚く助成されているものもあります。衣食住は人間が生活していく上で絶対に必要ですが、その「住の部分」に補助金が出る特定優良賃貸住宅という賃貸物件があります。今回は、その特優賃(特定優良賃貸住宅)の特徴や借りるための条件をご説明します。

知っている人が少ない?特優賃(特定優良賃貸住宅)とは

特優賃とは、特定優良賃貸住宅の略であり「特定優良賃貸住宅の供給・促進に関する法律」により、様々な基準をクリアして造られた賃貸用の住宅のことを言います。国の定めた建築基準に基づき、国から認められた民間事業者や自治体が造った中所得層向けのファミリータイプの住宅です。

広さもあり設備面が充実している割には、国や自治体から家賃の補助があり、一般の賃貸物件を借りるよりはハイグレードな物件に安く住めるため、人気も高く、なかなか希望通りに入居できないことが多いです。

特優賃(特定優良賃貸住宅)が人気のある理由

建物の敷地面積は500平方メートル以上や1,000平方メートル以上とすることが自治体ごとに決められており、耐火構造であり、各住戸の床面積は55平方メートルから125平方メートルまでとする規模の大きめなマンションです。駐車場も外部に契約する必要はなく、敷地内に100%確保してあります。

このように分譲並みの設備や構造や設備がしっかりとした賃貸住宅が、最長で20年も家賃補助受けられるのは、かなり大きいのではないでしょうか。世帯の収入額に応じ、家賃の補助額は変動がありますが、それにしても、一般の同じようなグレードの住宅を借りることを思えば、恵まれていると言えるでしょう。

家賃補助があるだけでなく、入居時には敷金以外の礼金や仲介手数料や更新手数料などは一切かかりません。敷金は預けることになりますが、家賃の3か月分以内であることが決められています。

周辺環境も、駅から近かったり、スーパーや金融機関、学校や医療機関などが揃っていたりと、立地面でも便利なところが多く、入居倍率はかなりの高倍率となっています。

誰もが特優賃(特定優良賃貸住宅)に入居できるわけではない

ここまで良い部分だけを紹介してきましたが、実はこの特優賃に入居するためには、一定の入居資格の要件を満たさなければ入居の申し込みができません。

その申し込み方法も自治体により異なり、先着順で受け付けている物件もあれば、申込者の中から公開抽選により決定する方法や、年に2回の募集をするところや、随時募集しているところなど様々です。

借りられる条件は自治体により異なる

神奈川県の例で説明しますと、特優賃制度が、神奈川県、横須賀市、厚木市、横浜市が管理する住宅が4つの制度に分かれています。それぞれの制度別に家賃負担のしくみが異なります。

他の都道府県や自治体ごとの制度により、募集時期や揃える書類の内容などが異なるので、住みたい地域の特優賃のお知らせをよく確認の上で申し込んでください。各都道府県の公式サイトでは、検索ボックスに「特優賃」と入れて検索すると制度の概要のページが表示されます。

一般的な入居資格はどうなっているの?

このような優良物件に安く長く住めるのなら、持ち家を持たない家族世帯の入居希望が殺到するのは当然ですよね。一度入居したらなかなか出たくなくなるのも分かります。

そのため、入居申し込みを出してから実際に住めるようになるまで、かなりの年月を費やすこともあるようです。こんなに人気のある物件の入居資格がどうなっているのか見てみましょう。

持ち家がなく家族が住むための住居が必要である

これはどこの自治体でも同じで、入居資格のトップに紹介されています。自分の持ち家がある人は、入居できません。住むところがなく、住居を探していることが申し込むための資格になります。

同居の親族がいる、または結婚予定がある

単身者が一人で住む予定で借りることはできません。事実上の婚姻関係と認められる内縁関係であるか、現在婚約中でいずれは結婚して一緒に住む予定であること、結婚をしたら婚姻届を提出したことが証明できること、となっています。

日本人である、または外国人登録を受けている

日本国籍を持つ日本人であるか、日本に永住許可を受けているか、特別永住者の外国人であること、と決まっています。

現在特優賃(特定優良賃貸住宅)に住んでいない

今現在、他の特定優良賃貸住宅や、中堅所得層向けの公共の賃貸住宅に居住していると他の特優賃に住み替えをすることはできません。

世帯の合計年収が基準を満たしているか

各自治体で決められた額の世帯年収があるか。これは各自治体により、標準年収額などを鑑みて設定されています。

住民税の滞納がないか

住民税の滞納があると申し込み自体ができません。その自治体に住んでいるか、勤務していることも条件になります。

指定期日までに関係書類を提出できるか

決められた期限内に、敷金や家賃の納入、連帯保証人の承諾書などの必要書類がきちんと揃わないと申し込めません。自治体により、社員のための借り上げ社宅とするような法人契約はできないとされたり、制限がある場合があります。

家賃は本当に安くなるの?どんなしくみ?

家賃の支払い方法は、大きく分けると2つの方式があります。一年ごとに家賃補助の額が減少していくパターンの「傾斜型家賃減額方式」と、毎年一定額の家賃補助を何年か継続した後に、補助が減額となる「フラット型家賃減額方式」があります。

入居する物件により補助の方式が異なったり、入居者の年収により補助額が変動したりします。また、法人契約の場合は家賃補助がないところなど、様々な決まりがあります。

特優賃はハイグレードの物件が多く、国や自治体が認めた事業者の管理体制もしっかりしているためどこも人気です。オートロック、バリアフリー、システムキッチンなど、設備面も分譲並みのグレードを誇る物件も多いようです。

気になる入居倍率は10倍から20倍とも言われ、それを聞いただけで尻込みする人もいますが、入居資格を満たすならダメ元で申し込んでみても良いのではないでしょうか。