あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、不動産業界で密かに注目を集めている「ホームステージング」というものをご存知でしょうか?
これは中古マンションの早期売却や高値売却にも大きく影響を及ぼすといわれており、ぜひ知っておきたいポイントなので詳しく解説します。
ホームステージングとは?
日本と諸外国では、中古マンションや中古住宅の販売方法に大きな違いがあり、その違いのひとつとして「ホームステージング」があります。
まずは二枚の写真をご覧ください。
【以前の写真】
【ホームステージングした写真】
(※出典:http://homestaging.co.jp/)
明らかに見栄えが違うこの2枚の写真。
実は同じ部屋を撮影したものなのです。下の写真の方が明らかに綺麗で、住みたいと思わせるような写真ですよね。
このようなモデルルームのような家具・家財を配置し生活感を出して、購入希望者の購買意欲を高めることを「ホームステージング」と言います。
日本のモデルルームではお馴染みの手法になっていますが、中古マンションなどでこのような販売方法をしているケースは滅多にありません。
しかし先でも少し触れたように、諸外国で中古マンションや中古住宅を販売する時は、このホームステージングをした状態で売りに出すのが一般的なのです。
日本の大手不動産業者も注目
このホームステージングというサービスですが、マンション販売でも知名度が高い「野村不動産」が早くも取り入れています。その特集記事が朝日新聞にも大々的に掲載されたことで、更に注目を集めるようになりました。
ただし、野村不動産が家具の手配や配置を実際にやっているわけではく、ホームステージング専門会社に外注・提携などの方法で依頼しているというのが実情のようです。
つまり、野村不動産で売却の依頼をしていなくても、このホームステージング専門会社に直接依頼することで、自分たちの中古マンションもホームステージングのサービスを受けることができるのです。
ホームステージングの費用
ホームステージングの費用は、自分たちが使っていた家具を使い、コンサルティング業務だけの依頼であれば50,000円程度、実際に配置する家具をレンタルするのであれば200,000円から相談できるそうです。
今のところ、関東圏と関西圏にホームステージング専門の会社があり、都心部向けのサービスとなっていますが、これから徐々に日本全国に普及していくサービスとなる可能性は十分にあります。
ホームステージングでどれくらい効果があるのか?
実際に、家具も何もない部屋を購入希望者に見せるより、このように家具や家財道具を実際に配置した部屋を見せる方が、購買意欲を高めることは理解いただけたと思います。
しかし、不動産会社が無料でやってくれるサービスではありませんので、それなりの費用が発生してしまいます。そこで気になるのが、このホームステージングを実施することでどれほどの費用対効果が得られるのかということです。
株式会社ホームステージング・ジャパンのHPによれば、ホームステージングを実施することで、平均42日での売却に成功と書かれています。また、アメリカでは30年以上前から、このホームステージングによる不動産売買が行われており、スウェーデンでは、実に中古物件の80%以上がホームステージングをした状態で売りに出されているようです。
ホームステージングを依頼することで、200,000円程度の費用が掛かることになりますが、売り出し価格を設定するのは売り主なので、ホームステージング費用にあたる200,000円をそのまま売り出し価格に上乗せすることもできます。
つまり、2,550万円で売り出しを考えている中古マンションの場合は、このホームステージングの依頼費用200,000円を上乗せして2,570万円、それで早い段階で買い手が見つかるならば、ホームステージングを依頼した効果は十分にあったと言えます。
買い手が見つからない場合にも有効な手段
さらにおすすめしたいのが、すでに売り出している中古マンションがあり、なかなか買い手が決まらないというケースです。家具を配置してモデルルームのような空間を作ることで、中古マンションを購入しているという意識を和らげる効果もありますし、内見時のイメージを他の物件よりも好印象で残すことができるはずです。
中古マンションのホームステージングは売却の為の先行投資と考え、買い手への違ったアプローチを試みることができます。なかなか売れない中古マンション問題で悩んでいる方は、大幅な値下げに踏み切る前に一度このホームステージングを検討してみてはどうでしょうか。