マンションなどの不動産を売買する時、一般的には売主と買主、そして仲介業者が立ち会った場で契約書を交わします。
しかし、売主と買主の住んでいる場所が非常に離れていたり、お互いにとても忙しかったりして、なかなか同じ日に都合をつけることができないこともあります。
そのような場合に、仲介業者が売主と買主の双方に出向いて記名、押印してもらい、契約を完了させることを「持ち回り契約」と呼びます。
持ち回り契約の流れ
持ち回り契約の基本的な流れは、仲介業者が売主と買主の双方に契約書等を渡します。(売買契約書、現状確認報告書、付帯設備表など)
それを売主と買主がそれぞれチェックし、問題なければ記名・押印を行います。
仲介業者が直接契約書を持って回ることもありますが、郵送で行われる場合もあります。
買主が先に記名・押印する場合
買主のところに仲介業者が出向き、各書類に記名・押印します。その書類を持って次は売主のところに行きます。
売主は、買主からの手付金が、決められた日に振り込まれているかを確認してから、契約書に記名・押印をします。
売主が先に記名・押印する場合
売主が先に記名・押印する場合は、少し流れが変わります。
まずは売主が契約書に記名・押印し、次に買主が記名・押印を行います。その後、仲介業者が預り証を買主に渡して、手付金を預かります。
仲介業者は預かった手付金を売主の元へ持っていき、手付金領収証を受け取ります。
その手付領収証を買主に渡し、先に渡していた預り証を返してもらうと完了です。
これで持ち回り契約が完了したことになりますが、売主と買主の事情によって、手続の流れが変わる場合もあります。
持ち回り契約の注意点
持ち回り契約は、基本的に売主と買主のスケジュールが合わない場合や、遠方である場合に行われますが、別の理由でやむを得ず行われる場合もあります。
それは、何らかの理由で双方が顔を合わせたくない場合です。
例えば、値段の交渉で揉めた場合や、売買契約以外での関係が悪い場合(離婚した夫婦など)などがあります。
このようなケースでは双方が同席を拒むことがあるので、近くに住んでいる場合でも持ち回り契約にすることがあります。
一見すると便利な契約方法に思えますが、注意点もあります。
それは、仲介業者経由で持ち回りをしている途中で、片方の気持ちが変わってしまうことがあるという点です。
持ち回り契約では双方が記名・押印した時点で効力が発生するので、片方が終わった段階ではまだ契約は完了しておらず、もう片方の気持ちが変わってしまうというケースがあります。
ただでさえ仲が悪い場合は気が変わりやすいので、なるべく時間をおかずに契約を完了させることが大事です。
また、持ち回り契約では間に入る仲介業者が重要な役割を持つので、しっかりと信頼できる仲介業者を選ぶことが大切です。