手軽に始めることができ、リスクが少ない土地活用として人気がある駐車場経営。
初期投資費用もあまりかからないことから、相続した土地の方向性が決まるまで、とりあえず駐車場にでもしておこうというケースも多く、もっとも手軽に始めることができる土地活用法のひとつです。
駐車場経営といっても、様々な種類の駐車場があり、地域性や土地の広さなどによって、向き不向きがあるのも事実です。
今回は駐車場経営について詳しく解説します。
駐車場経営の種類と特徴
駐車場経営が人気になっている最大の理由は、やはりリスクが少ないという面です。
初期投資費用の心配をする必要がほとんどありませんし、売却でしたり他の活用を検討する際にも、比較的簡単に切り替えることができることも人気がある理由です。
駐車場経営の種類は、大きく以下の3つに分類することができます。
- 月極駐車場
- コインパーキング
- 立体駐車場
向いてる立地や初期投資費用も違いますので、それぞれのタイプについて詳しく解説します。
月極駐車場
月極駐車場とは、賃貸アパートのように1ヶ月単位で賃料が入ってくるタイプの駐車場経営です。
更地であればいつでもすぐに始めることができ、賃借契約や駐車場の管理は、街の不動産会社に全てまかせることができるので、初期投資費用も少なくてすみますし、面倒な手続きやクレーム対応などを心配する必要もありません。
とくに下の写真のように、砂利地の状態のまま貸すのであれば、初期投資費用はほぼ0円で始めることもできます。アスファルト舗装するにしても、費用はそこまでかからないので、どちらの方法でも手軽にはじめることができます。
砂利地のままの駐車場
(出典:http://www.saitama-parking.com/blog/page/4)
アスファルト舗装の駐車場
(出典:http://www.saitama-parking.com/blog/)
ただし、月極駐車場として経営するには、利用者を確保できる立地でなければなりません。
相続した土地を有効活用するのか、それとも売却してしまうのか、どちらか方向性が決まるまで、一時的に月極駐車場として貸しておくという選択肢ならば、とりあえず固定資産税分くらいの収入を確保できれば良いかもしれません。
ですが、継続して月極駐車場を経営していくのであれば、それなりの利用者が見込める立地でなければ、採算が取れない可能性があります。
月極駐車場に向いている土地
- まわりが住宅街だったりアパート・マンションなどの賃貸物件が多い地域
- その土地の方向性が決まってない
- 土地の形が変形しており、活用法が限られる土地
- 初期費用をかけずに土地の有効活用を考えている
- 将来的に子供たちが自宅を建てるなど、先の予定が決まっている土地
コインパーキング
最近、投資ビジネスとしてコインパーキングが高い注目を集めています。
月極駐車場と違い、こちらのタイプは設備投資も必要になりますし、より高い地域性(立地)が求められます。しかし、わずかなスペースで高い収益性を確保できることから、立地条件が整っていればかなり事業性が高い活用方法になります。
ここで言うコインパーキングとは、街中でよくみかける時間貸しタイプの駐車場のことをいいます。出入り口に精算機と遮断機が設置されているタイプもあれば、車輪の部分が自動で上下するフラップタイプの駐車場もあります。
遮断機タイプのコインパーキング
(出典:http://www.kawagoe-kankou.net/parking/)
車輪止めフラップタイプのコインパーキング
(出典:https://www.heiwajuutaku.com/owner/coinpark/)
上記で紹介した月極駐車場に比べて、初期投資の費用がかかりそうだと思うかもしれませんが、これらの設備費用はコインパーキング運営会社が負担してくれますので、実質初期費用はほとんど必要ありません。
駐車場の運営に関しても、コインパーキング運営会社がやってくれます。運営会社によっては、駐車スペースを1台月額○○円と計算して借り上げてくれるので、売り上げに関係なく、毎月安定した収入が入ってくるのも人気の理由になっているようです。
コインパーキングに向いている土地
- 市街地など、立地の良い場所にある土地
- オフィス街などにある土地
- 立地は良いが狭くて買い手がみつからない土地
- まわりに駐車場が少ない土地
- まわりの月極駐車場の賃料が高い地域
立体駐車場
駅周辺や繁華街など、市街地に多くあるのが立体式の駐車場です。立体駐車場も大きく2つのタイプがあります。
1つは自走式タイプといって、2階や3階の空いているスペースに自分で車を停めるタイプ。もう1つが、エレベーターのように機械で車を上層部へ運ぶ機械式タイプです。
(出典:http://www.tokairoad.co.jp/product/4-5.html)
(出典:https://www.youtube.com/watch?v=KwQWLjJnMmI)
写真をご覧になってもわかるように、広い敷地や投資費用がかかるタイプの駐車場です。特に立地に関しては相当条件が厳しく、近くに人が多く集まる商業施設や公共施設がある場所でなければ、黒字経営は難しいと思います。
どちらのタイプにしても多額の初期投資費用がかかるので、片手間で始めることができる土地活用ではありません。どちらのタイプにしても「建造物」という扱いになるため、建物に対する法律的な規制も関係してきます。
立体駐車場に向いている土地
- 駅や繁華街など、市街地の中心的場所にある土地
- 高さ制限など建築法令上問題がない土地
- ある程度まとまった広さがある土地
駐車場経営のメリット
比較的簡単に始めることができる駐車場経営ですが、事業として始めるからには収益を確保することは当然であり、どれくらいの対費用効果があるのか検討する必要があります。
賃貸アパートやマンションでも同じですが、不動産による事業性を検討する材料となるのが「利回り」です。
利回りとは、投資した金額に対する年間の収益率のことをいいます。
利回りの計算式
利回り=(年間収益÷初期投資費用)×100
100万円の投資に対して、年間10万円の収益があった場合の利回りは「10.0%」となります。不動産投資の場合だと、一般的な利回りのボーダーラインは7%~8%ほどで、10.0%を超えれば御の字だと言われています。
賃貸アパートやマンションの場合だと、平均15年ほどで初期投資費用を回収することを目指しており、これを「ペイ(投資費用の回収)する」と言います。
賃貸経営に比べ、駐車場経営は初期投資の費用がほとんどかかりません。よって、高い利回りを確保できることが、駐車場経営の最大のメリットだと言えます。
ただし不動産投資の場合、利回りといっても「表面利回り」、「実質利回り」、「想定利回り」の3つがあることも知っておきましょう。
表面利回りとは
一般的に使われる利回りであり、投資費用に対する年間収入で計算する
実質利回りとは
年間の収入から固定資産税や設備のメンテンナンス費用などのコストを差し引いた収益を投資費用で割る
想定利回りとは
常に満車状態であることを想定した収入を初期投資費用で割る
例えば、10台駐車スペースがある月極駐車場を所有しており、初期投資費用は200万円。1台の賃料は月5,000円で10台で5万円。年間だと60万円の収入が見込めるとします。
この場合の想定利回りは、60万円÷200万円となります。
60万円÷200万円×100=30%
想定利回りは「30%」です。
実際に運営してみると、常に2台の空車スペースがあり、毎月の実質収入は5,000円×8台=40,000円になったとします。そうなると、40,000円×12ヶ月=48万円となります。
48万円÷200万円×100=24%
この「24%」が表面利回りになります。
さらに、毎年固定資産税で10万円、不動産会社への管理費用が年間5万円かかるとしたら、48万円-10万円-5万円=33万円となります。
33万円÷200万円×100=16.5%
「16.5%」が実質利回りとなります。
このように考えても、賃貸アパートやマンションに比べて、駐車場経営は高い利回りが確保できることは間違いありませんし、地域や規模によっては1年間の利回りが100%を超えることもあるというのが、駐車場経営の魅力でもあります。
とても魅力的に思うかもしれませんが、だからといって土地を購入してまで駐車場経営をするのは考えものです。すでに土地を持っている人が、少ない初期投資で始められることが、安定して高い収益率を確保できる条件だからです。
駐車場経営のリスクや失敗例
駐車場経営は、わずかな敷地でも手軽に始めることができ、高い収益率を確保できる事業として注目されていますが、まったくノーリスクという訳ではありません。無断駐車や賃貸トラブルなど、少なからずリスクがあることも理解しておきましょう。
駐車場経営のリスクや失敗例をいくつか紹介します。
一括貸しはリスクが高い
この失敗例は月極駐車場に多いのですが、ある企業から「社用車や従業員の駐車場として一括借り上げしたい」という話が来ることがあります。個人に貸すより、企業に貸して方が賃料もしっかり払ってくれるイメージなので、喜んで貸す人が多いです。
しかし、その会社が解約した場合は収入が一気に0円になってしまう大きなリスクもあります。もし経営悪化などで賃料の滞納が発生すれば、解約もできず他の人に貸すこともできなくなる場合もあります。
企業への一括貸しでは、相手をしっかり見極めてから契約するようにしましょう。
固定資産税が高くなった
相続した実家を解体して、月極駐車場として貸す人がいます。この場合に気をつけなければならないのが、固定資産税が大幅に上がってしまう可能性があることです。
家屋がある状態だと、固定資産税が最大6分の1まで減額される特例があります。しかし建物を解体してしうと、この特例が受けられなくなり、いっきに固定資産税が6倍になることがあります。
これまで年間10万円程度だった固定資産税が、いっきに60万円になる可能性があるのは大きなリスクです。こうなると、駐車場経営で十分な利益を確保するのは難しくなるので、しっかりと固定資産税も視野も考慮して利回りを計算しましょう。
コインパーキングで違約金が発生
初期投資費用は運営会社が出してくれるし、1台の駐車スペースにつき月額5万円で借り上げてくれるという話で、コインパーキングにしたまでは良かったが、その後毎年のように借り上げ賃料の金額が減っていき、当初5万円だったのが数年後には1万円になってしまった、という話も耳にします。
それなら自分で駐車場経営した方が儲かると思い、コインパーキングの運営会社に契約解除を申し出るのですが、途中解約の場合は違約金が発生するといわれ、数百万円の費用を請求されたという話もあります。
契約の際は、借上げ賃料の変更や途中解釈時の違約金についても、運営会社にしっかりと確認しておきましょう。
不正利用の実態と防止策
駐車場経営で一番の悩みの種となるのが、違法駐車や不正利用です。コインパーキングであれば、精算をせずに強引にロック板を乗り上げて帰ってしまうケースだったり、遮断気を破損してまで無銭駐車をする人もいます。
さらにひどいのが月極駐車場です。契約せず勝手に駐車をする人が多く、注意すると逆ギレされることもあるようです。
月極駐車場というのは、その近くに住んでいる人なら、いつも車が止まっていないスペースがあることを把握していて、一日や数時間くらいだったら「勝手に止めていてもバレないだろう」という、まさに自分勝手な思い込みをする人がいます。
こうした不正利用や違法駐車に対しては、自分で解決しようと思わない方が賢明です。管理委託契約をしている不動産会社に対応してもらい、コインパーキングであれば、その運営会社に見まわりや防犯対策をお願いしてください。
効果的な対策としては、防犯カメラの設置です。月極駐車場だと個人負担になる可能性が高いですが、コインパーキングであれば運営会社の費用負担で設置してもらえると思います。
放置トラブルが多発
最近急増しているのが、長期放置された車両のトラブルです。盗難車であったり、長期間精算せずに止めっぱなしにしている車両が増えているそうです。
盗難車はどう対処していいかわからないでしょうし、長期間止めっぱなしの車は無銭駐車する可能性が高いと言われています。
このようなケースに対しても、あらかじめ対応を考えておくようにしましょう。
運営管理会社の対応が悪い
管理委託している不動産会社や、コインパーキングの運営会社の対応が悪くて困っている経営者も少なくありません。
そのような場合、他の管理会社に変更するという手もありますが、設備機器の撤去費用の負担を誰がするのかなど、色々な問題が発生する恐れがあります。
一つ上で解説した「放置トラブル」と、この「運営管理会社とのトラブル」は、簡単に解決できないトラブルの代表例でもあります。
駐車場経営を始める際の流れと初期費用
ここでは、実際に駐車場経営を始めるまでの流れや、手続きなどについて解説します。
なるべく月極駐車場とコインパーキングの両面から解説していきますので、自分の土地が実際どちらの形態に向いているのかなどを比較しながら、検討してみてください。
向いている土地かチェックする
月極駐車場やコインパーキングの検討をする前に、大前提として駐車場経営に向いている土地なのかを、冷静に判断しなければなりません。
いくら初期投資の費用が安く抑えることができるといっても、先にも話したように固定資産税等の問題もあるので、しっかりと費用対効果が望める土地・立地であるかを見極めましょう。
見極め方としては、月極駐車場であれば近くの不動産会社に相談して、駐車場としての需要がある地域なのかを調べてもらうことができるはずです。もちろん費用はかかりません。
コインパーキングを検討しているのであれば、インターネットで「○○県、コインパーキング経営」で検索してみてください。きっと数多くのコインパーキング運営会社がでてくるはずなので、その中からホームページで条件などを確認し、気になった業者に相談してみると良いでしょう。
相談すれば、その業者が周辺環境や事業性など、多角面から市場マーケティング調査してくれます。
その土地がコインパーキングとして事業性があると判断すれば、詳しい内容や契約条件などを提示してくれるはずです。
このように、月極駐車場とコインパーキングのどちらも、調査依頼する先が違うというだけで、ほとんど業者側が調査してくれます。地域性などを踏まえた調査結果が提示されるはずです。
もっと初歩の段階で自分で判断したいというのであれば、自分で周辺の駐車料金の相場を調べることもできるので、それらを元に需要や収益性を検討することもできるでしょう。
敷地入口にガードレールや街路樹がある場合は?
道路には面しているが、進入口にガードレールや街路樹があったり、道路と敷地の間に歩道が通っていることもあります。
このような公共物であれば、役所に相談して撤去してもらうこともできるので、進入路を確保できる可能性が高いので、あまり心配する必要はありません。
これらの障害物の撤去や移動に関しても、調査を依頼した不動産会社やコンパーキングの運営会社がしっかりと調べてくれますし、いざ撤去や移動が必要になった場合の手続き全般も代行してくれるはずです。
管理形態を決める
駐車場経営が可能な土地だとわかったら、次は経営形態を決めます。選択肢としては「月極駐車場」か、「コインパーキング」だと思います。上記でも解説しましたが、もう一度それぞれの経営に向いている条件を見てみましょう。
月極駐車場に向いている土地
- 住宅街やアパート・マンションなどの賃貸物件が多い地域
- その土地の方向性が決まってない
- 土地の形が変形しており、活用法が限られる土地
- 初期費用をかけずに土地の有効活用を考えている
- 将来的に子供たちが自宅を建てるなど、先の予定が決まっている土地
コインパーキングに向いている土地
- 市街地など、立地の良い場所にある土地
- オフィス街などにある土地
- 立地は良いが狭くて買い手がみつからない土地
- まわりに駐車場が少ない土地
- まわりの月極駐車場の賃料が高い地域
あくまでも一般論ですが、安定した収益が見込めるのは、一括借り上げをしてくれるコインパーキング運営だと思います。しかし、将来的に自由度が高いのは月極駐車場です。
空車などの心配が少ない好立地な土地であれば、月極駐車場でも運営していけると思いますが、長期間駐車場運営を続けたいというのであれば、管理など全てを任せることができるコインパーキングの方が安心できると思います。
どちらにしても、数ある不動産会社やコインパーキング運営会社から、長年付き合うことになるパートナー会社選びが何より大事です。
ですので、1社だけに相談して決めてしまうのではなく、なるべく同じ業種の複数の業者に相談し、相見積もりをもらって比較検討して、慎重に決めることを強くおすすめします。
駐車場経営に資格や申請は必要?
駐車場経営を始めるにあたり、資格が必要であったり、行政に申請を出す必要はありません。どんな人でも手軽にすぐ始めることができるのも、駐車場経営が人気の理由だと思います。
ただし、立体駐車場や屋根付きの駐車場にする場合は、それが建造物とみなされる場合があるので、建築許可申請が必要になることもあります。運営管理会社によく確認しておきましょう。
駐車場経営にまつわる初期費用や税金など
最後に、駐車場経営を始めるにあたり、お金に関連することを解説します。
特に気になるのは以下の2点だと思います。
- どれくらいの投資で駐車場を始めることができるのか
- 税金や管理費等のランニングコストがどれくらいかかるのか
初期費用
土地がただの更地状態だと、駐車場にするための整地費用や舗装費用がかかります。駐車スペースを区切る線引きや、タイヤ止めのブロック代なども必要です。
実際にどれくらいの費用がかかるのか、概算になりますが解説していきます。
未舗装タイプの月極駐車場
未舗装タイプの駐車場なので、必然的に月極駐車場になると思います。
この場合だと、砂地や砂利地のままでも運営可能ですが、車体重量に耐えるための地盤固めは必要です。
それらの費用として、1㎡あたり2,000円程度の予算をみておきましょう。50坪の土地であれば、30万円前後の整地費用がかかる計算になります。
(出典:http://www.saitama-parking.com/blog/page/4)
アスファルト舗装タイプの月極駐車場
未舗装タイプと同じように一旦整地化して、その後にアスファルトの舗装工事が必要になります。
アスファルト舗装工事費の平均相場は、1平米2,500円程度なので、整地代まで含めると1平米4,000円~5,000円程度の予算を考えておくのが良いでしょう。
50坪の土地であれば80万円前後の整地舗装費用がかかる計算となります。
(出典:http://www.saitama-parking.com/blog/)
コンクリート舗装タイプの月極駐車場
コンクリート舗装タイプは、アスファルト舗装よりも耐久性に優れているため、補修などのメンテナンス費用が少なくてすむのがメリットです。
ですが、整地するためのコストが高いため、今はアスファルト舗装の駐車場が増えています。
アスファルトよりも1平米あたり1,000円~2,000円ほど高くなるため、50坪で100万円前後の計算になります。
(出典:http://hotarts.jp/mix/parking.html#abc)
整地・舗装費用とは別に、車止めブロック代が1台分5,000円(2個)、区画ごとの線引きが10台で50,000円ほど必要になります。
暗い場所だと外灯の設置も必要になることがあり、電気工事込みで30万円ほどかかります。(※外灯設置の義務などはありません)
例:100坪の土地をアスファルト舗装した月極駐車場にする場合
整地費用 | 約66万円 |
---|---|
アスファルト舗装 | 約132万円 |
駐車スペースの線引き | 10台分で約50,000円 |
タイヤ止めブロック | 10台分で約50,000円 |
合計 | 約208万円 |
※1坪=約3.3平米
コインパーキングを自己管理で運営する場合
コインパーキングの運営会社と契約すれば、精算機やタイヤ止めフラップなどは運営会社の負担で設置してくれます。しかし、個人で運営するとなれば、これらの費用を自己負担しなければなりません。
あまりいないとは思いますが、参考のためにこれらの費用も紹介しておきます。
例:100坪のコインパーキングを舗装して自己運営する場合
整地費用 | 約66万円 |
---|---|
アスファルト舗装 | 約132万円 |
駐車スペースの線引き | 10台分で約50,000円 |
タイヤ止めフラップ板 | 10台分で約200万円 |
自動精算機 | 1台50万円 |
看板設置 | 20万円 |
合計 | 約473万円 |
ちなみに、車一台の駐車スペースに必要な広さは、旋回や通路まで含めると、約6坪~7坪が理想だと言われています。100坪の土地だと、15台~18台くらいの駐車スペースしか確保できないことになります。
税金などのランニングコスト
事業として駐車場経営をする条件として、最終的には費用対効果があるのかをしっかりと試算した上で、経営を始めなければなりません。
最終的にどれくらいの利回りが試算できるのか知るためには、税金や委託管理費用なども明確に算出しておく必要があります。
コインパーキング運営会社と契約する場合は、これらのランニングコストもすべて調べた上で、事業計画書を提示してもらえると思いますが、月極駐車場の場合は不動産会社がそこまでやってくれる可能性はあまり高くありませんので、自分で勉強して、それなりの知識は身につけておくようにしましょう。
委託管理費
まず出費として大きいのが委託管理費だと思います。これはコインパーキングと月極駐車場のどちらであっても、管理運営を委託するのであれば発生するコストだと考えてください。
コインパーキングの場合は委託管理費用というよりも、駐車場そのものを委託会社が運営管理し、その賃料を毎月地主に支払うという方式になります。なので1台あたり月額○○円の賃料を支払ってもらう契約になります。
月極駐車場として管理を不動産会社に委託する場合は、管理費用を毎月不動産会社に支払うことになります。一般的には1台○○円という契約をします。
相場としては1台あたりの賃料の5%くらいなので、月額の賃料が8,000円であれば、1台400円×台数分の管理費を支払うことになります。その代わり、空車がある場合の募集や契約事項もすべて代行してくれますので、決して高い金額ではないと思います。
固定資産税
土地を所有している限り、固定資産税や都市計画税も毎年支払わなければなりません。固定資産税は、家屋があるのと無いのでは、金額が全然違ってくる可能性があるので注意が必要です。
家屋がある場合は、最大6分の1に減額となる優遇制度があるため、建物を壊して更地にしてしまうと、いっきに税金が6倍に増えてしまう可能性があります。
これまで年額10万円だった固定資産税が、6倍の60万円に増えてしまってでも、駐車場運営をするメリットが本当にあるのか慎重に検討しておきましょう。
正確なことは各自治体の資産税課などに問い合わせをしなければわからないと思いますので、駐車場経営の前に必ず確認しておくようにしましょう。
メンテナンス費用
長期に渡り駐車場運営を続けていくのであれば、アスファルトの補修費だったり、駐車スペースの線引きなど、メンテナンスの費用も考えておかなければなりません。
当初の舗装費用ほどの金額にはなりませんが、何年おきに補修しなければならないのかなど、しっかりと把握しておくことをおすすめします。
その他費用
その他コインパーキングでは、精算機や外灯の電気代がかかると思われていますが、これらの費用も運営会社が負担するのが一般的なので心配いりません。
ただし、電気設備の引き込み工事に関しては、地主負担というコインパーキング運営会社もあるので、そういった面でも業者を選別する1つの目安になると思います。
まとめ
駐車場経営は初期投資も少なく、高い利回りが期待できることで人気の土地活用法に違いありませんが、「高い収益が望める事業」という訳ではありません。
また、駐車場経営は地域性も大きく関係してきます。市街地であれば、コインパーキングとして運営管理をすべて委託することができますが、住宅地などではコインパーキングの運営は難しく、月極駐車場として活用するしかありません。
土地を整地するための費用も少なからずかかるので、「ダメだったらいつでも止めてしまえばいい」という考えで簡単に始めてはいけません。土地売却やその他の事業と比較検討しながら、慎重に進めるようにしましょう。
比較検討するにも、まず自分の土地がどのような事業に向いているのか、どのような選択肢があるのかを知っておくことは欠かせません。
駐車経営だけに固執するのではなく、様々な土地活用のプランを比較してくれるサービスを利用することも検討しましょう。
遊休地の活用や売却で相談したいのであれば、タウンライフの「土地利用の一括提案」などが便利です。