家やマンションの売却を成功させるために重要なことは、信頼できる仲介業者や営業マンに出会うことです。
大げさな話ではなく、営業マン次第でマイホームの売却計画は大きく変わってきます。
仲介業者(不動産会社)の選び方に関しては、「マンション売却のおすすめはどこ?」のページで解説しましたが、今回はあなたを担当する「営業マンの見極め方」について解説します。
どんなに評判の良い仲介業者でも、そこで働いている営業マンの全員がベテランとは限りません。運悪く「ダメな営業マン」に当たってしまう可能性もあります。
- 明らかに不動産売買に関する知識が薄い
- 明確な販売戦力を持っているように感じない
- 毎回言っていることがコロコロと変わる
- 時間にルーズ、連絡が遅い
- 買主寄りの営業をしてくる
- 物件の囲い込みをされているようだ
もし上記の項目に思い当たることがあったら、すぐに担当の変更を要求するか、仲介業者自体の変更を考えましょう。
ダメな営業マンに売却活動を任せてしまうと、結果的に数百万円単位の損につながるかもしれないので注意が必要です。
※このページで解説する内容は、すでに仲介業者選びが終わった段階の人向けです。
仲介業者がまだ決まっていない人は、先ほどの「マンション売却のおすすめはどこ?」のページからご覧下さい。
良い営業マンの条件とは?
不動産の売却における「良い営業マン」の条件とは、下記の4つを満たしている営業マンのことです。
売り主の事情をしっかり理解してくれること
「どうして売却しようと思っているのか?」
「どれくらいの価格で売却することを予想しているのか?」
「いつまでに売却したいのか?」
売主にはそれぞれ事情があり、売却に対して望むことの優先度も異なります。
ただ単に買い手を探すだけではなく、売主がどのような事情で売却しようと思ったのかをしっかりとヒアリングし、それに見合った対応をしてくれる営業マンを探しましょう。
明確な販売戦略を持っていること
不動産は1つとして同じものが無い、オンリーワンの存在です。
たとえ同じ敷地内にあるマンションであっても、間取りや広さが違えばターゲットとなる買主層は違ってきます。
そのことを理解し、物件ごとに見合った販売戦略を考えてくれる営業マンを選びましょう。
連絡や返信のスピードが速いこと
顧客が営業マンに対して、不信感を抱く理由のダントツ1位が「レスポンスの遅さ」です。
「一度社に持ち帰って返答させていただきます」と言われ、それから何日待っても連絡がない…そんな営業マンはたくさんいます。
レスポンスが遅い営業マンは、買主側からも信用を失くします。
せっかく物件自体は気に入ってくれたのに、営業マンのレスポンスが悪いせいで不信感を抱かれ、売買交渉が流れてしまっては大問題です。
営業マンはフットワークの軽さが命です。レスポンスの理想は当日内、遅くても翌営業日までに回答してくれる営業マンを選びましょう。
素人にもわかりやすく説明ができること
知識や経験がない営業マンほど、難しい専門用語を使いたがります。
本当に知識がある営業マンは、素人でも理解できるように専門用語を別の言葉に置き換え、具体例を交えながら説明することができます。
営業マンの中にはやたらと専門用語を連発する人がいますが、かなりの確率でダメな営業マンです。
もし当たってしまったら、なるべく早めに担当を変えるよう会社側に申し入れましょう。
営業活動報告をチェックすべし!
仲介業者側は、売り主に対して定期的に営業活動の内容を報告する義務があります。
契約内容によって異なりますが、もっとも選ぶ人が多い専任媒介契約の場合、2週間に1回以上の報告が義務づけられています。
- 専任媒介契約…2週間に1回以上
- 専属専任媒介契約…1週間に1回以上
- 一般媒介契約…報告の義務はなし
※媒介契約の種類や選び方については「一般媒介と専任媒介の違いは?」のページで詳しく解説しています。
ここで注意して欲しいことは、営業活動の報告自体は義務づけられていても、報告書の内容に関しては特に決まりがないということです。
極端な話をすると、「今週はとくに進展ありませんでした」と一言メールを送るだけでも、報告義務は満たせてしまうということです。
売主側は、毎回の報告内容をしっかりと確認し、自分の担当が良い営業マンなのか、ダメ営業マンなのかを見極める必要があります。
理想的な営業活動報告の内容とは
営業活動報告書の内容として、最低限欲しい項目を覚えておきましょう。
- 新規お客様からの問い合わせ件数
- 現時点での販促活動や広告媒体
- 今後予定している販促活動や広告媒体
- 有力な見込み客リスト(1名~3名程度)
- 見込み客との折衝状況(内覧したお客様の進捗状況など)
上記の項目は、売却活動の進捗を把握するためにあって当然だと思いますが、中には「社内規定があるので対応できません」などと断ってくる営業マンもいると思います。
その場合は、営業マンを変えるための良い判断材料になったと割りきって、すぐに担当または仲介業者自体を変えましょう。
ダメな業者や営業マンに対して、早い段階で見切りをつけることができるのは、売主にとっては好都合なことであり、決してマイナスというわけではありません。
良い営業マンかどうかを見分ける方法
良い営業マンかどうかを見極めるのは、実際には簡単なことではありません。
契約してしばらくすれば、徐々にわかってくると思いますが、契約前や契約した直後の段階で見極めるのは、なかなか難しいのが現実。
そこで、少しでも良し悪しを判断するために、次のポイントを覚えておいて下さい。
査定額の根拠を聞く
売却査定の金額は、基本的に営業マンの裁量で割り出されます。
営業マンA氏は2,500万円の査定額を出したのに対し、営業マンB氏は2,650万円をつけるということも珍しくありません。
ここで注目すべきポイントは、査定額の大小ではなく、「その査定額になった根拠(理由)」です。
なぜその査定額になったのか、根拠を営業マンに必ず聞いてください。
例えば以下の様な回答があった場合、
・営業マンA氏
「物件的には2,300万~2,350万円の査定額だったのですが、2ヶ月前に最寄りの物件を売却担当したことがあり、その物件が2,500万円で売却できています。そのため今回も2,500万円での売却が可能だと判断しました」
・営業マンB氏
「社内で決められている査定方法で算出した結果、2,650万円が妥当だろうという判断です」
両者を比較した場合、信頼感があるのは営業マンA氏の方だと思います。
金額的にはB氏の方が高く提示していますが、査定額に対して明確な根拠がないので、「単に最初の印象が良くなるように高値をつけただけ」という可能性があります。
このようなケースは非常に多いので、金額だけに惑わされず、しっかりと根拠を確認して営業マンの良し悪しを判断しましょう。
営業マンを見分けるための質問
査定額の根拠以外にも、次の2つの質問を営業マンに投げかけることで、その営業マンの経験や知識をある程度判断することができます。
買主のターゲットは?
この質問に対して答えられない営業マンは、物件の立地や個性を考慮することなく、常に同じ方法で販売活動に取り組んでいる可能性が高いです。
できれば以下のような回答をしてくれる営業マンが理想です。
「この物件は駅からも近くて、周辺環境も良いのですが、2DKではファミリー世帯には少し間取りが狭いと感じます。そのため、独身層や子供世帯が独立したシニア層を中心に、販売活動を展開したいと思います」
上記のように、立地や物件を考慮して、的確な販売戦略をもっている営業マンが望ましいです。
値下げのタイミングは?
販売価格の見直しについて、以下のような回答をする営業マンはNGです。
「売り出して2ヶ月ほど経過しても売れない場合は、みなさん値下げを検討してもらっています」
これでは売主の都合などはまったく考えておらず、一般論を答えているにすぎません。
「通常は2ヶ月ほどで売れない場合は値下げを検討していただくのですが、○○様は転勤という事情で売却を希望されていますので、残り3ヶ月がリミットです。売り出して1ヶ月しても有力な買い手が見つからなければ、早めに値下げを検討すべきだと思います」
このように、売主の事情やスケジュールに合わせた提案をしてくれる営業マンを見つけましょう。
ダメな営業マンを避けるためのコツは?
ここまでは営業マンを見極めるコツを解説してきましたが、そもそもダメな営業マンを避ける方法はあるのでしょうか?
残念ながら担当営業マンが誰になるかは、ほとんど運で決まってしまいます。
基本的には不動産会社を訪ねた際、最初に対応してくれた営業マンが、その後の担当になるというのが一般的です。
ですから前もって「あの営業マンが良い」と指名できるだけの情報がない限りは、ほぼ運ということになってしまいます。
仲介業者を選ぶ段階で熱意をアピールする
ただし、まだ仲介業者を決める前の段階であれば、多少ですがダメな営業マンに当たる確率を下げる工夫があります。
こちらのページでも解説したように、仲介業者を選ぶ際にはインターネットの一括査定を利用しますが、その際に売主側の熱意を積極的にアピールします。
具体的には、一括査定を申し込む際に、備考欄に「できるだけ高く売りたいです!こちらも積極的に協力するので、○○地区の売却に詳しいベテランの方をお願いします!」といったアピールを書き込みます。
または、「もともと地元の不動産業者にお願いしていましたが、新人の方が担当になり不安を感じたので業者変更を決意しました。なるべくベテランの人をお願いします」といった感じで、先に不安な点をアピールしておく手もあります。
一括査定サイトに登録している業者のもとには、毎日多数の査定依頼が入ります。
その中から「本気で売却する意欲がある顧客」がわかれば、仲介業者側も優先的にベテラン営業マンを付けてくれるかもしれません。
絶対というわけではないですが、ダメな営業マンに当たる確率が多少は減ると思うので、ぜひ覚えておいて下さい。
どうしても不安なら一般媒介でテストする方法も
営業マンの見極めに関して、どうしても実際に話してから決めたいという人もいると思います。
その場合は、専任媒介ではなく一般媒介で気になる業者と複数同時並行で契約しておき、しばらくの間対応や相性を見てみるという方法もあります。
最終的に一番良い営業マンが分かった段階で、その会社と改めて専任媒介契約を結べばOKです。
ただしこの方法には注意点もあります。
そもそも一般媒介契約の場合、仲介業者側もあまり乗り気ではありませんから、腕のよいベテラン営業マンをつけてくれない可能性があります。
その点を理解した上で、どうしても実際の対応を見てから決めたいという場合にだけ検討しましょう
やたらと買取を勧めてくる営業マンには注意しよう
最後にもう一つ、やたらと「買取(業者による自社買取)」を勧めてくる営業マンには注意が必要です。
業者の中には、自社で物件を買取をして、全面リフォームした後に高値で転売するという会社もあります。
この行為自体は悪いことではありませんが、業者が直接物件を買い取りする場合、一般に売却するよりもかなり金額が安くなってしまいます。
目安としては、市場相場の65~80%程度の金額まで下がってしまいます。
どうしても急ぎで売却したい場合や、ずっと売りに出しているのにまったく買い手が見つからない場合など、やむを得ない事情があるなら買取を検討するのもありです。
しかし、まだ十分売れる見込みがあるのに、すぐに買取を勧めてくるような悪質な営業マンもいます。
うっかり話に乗ってしまうと、相場価格よりも明らかに損な値段で買い叩かれてしまうので、くれぐれも注意してください。
※専門業者による直接の買取については、「マンション買取」のページで、メリット・デメリットも含めて詳しく解説しています。
かなり重要なポイントなので、ぜひ一度確認してみて下さい。
まとめ
今回解説したように、不動産の売却がスムーズに進むかどうかは、営業マンの知識や経験によるところが大きいです。
運悪くダメな営業マンに当たってしまった場合は、すぐに担当者を変更してもらうか、思い切って仲介業者自体を変えるかを検討しましょう。
担当者の変更を申し出るのは、かなり気まずいと思うかもしれませんが、ここで遠慮してしまったら大きな損につながる可能性があります。
売却を初めてからなかなか買い手が見つからなかった物件も、担当者を変更したらあっという間に売れた、というケースは珍しくありません。
大事なマイホームを売却するのですから、少しでも高値で売れるように、営業マン選びにはこだわるのが正解です。