アベノミクスの影響や、2020年の東京オリンピック開催決定など、経済が多少上向いたことで、不動産の値上がりが期待できるようになりました。そのため、都心部のマンションでは、新築時よりも高い金額で売買される中古マンションも出てきています。
このような値上がりを機に売却するというのも、立派な資産整理のひとつです。ただ、この状況がずっと続くわけではないため、売却するタイミングがとても重要になります。
そして、これとまったく逆の資産整理もあります。例えば、借金苦によるマンションの売却というのも、資産整理のための売却のひとつです。
このように、仕方なくマンションを手放す場合の売却方法は、大きく分けて3つあります。
- 競売による売却
- 任意整理による売却
- 通常の不動産売買
ここでは、値上がりによる資産整理目的の売却についてや、上記3つの売却方法について詳しく解説します。
- 【目次】資産整理のための売却
価格上昇によるマンション売却
新築で購入したときより高い金額で売れるのであれば、一度売却して新しいマンションへ買い替えたいと考えている人もいると思います。
他にも、数年前に相続したマンションを賃貸として貸していたが、売却するなら価格が上昇している今が売り時だと考える人もいるはずです。
このような不動産価値が上昇したことを理由に売却を検討する場合は、売却をお願いする業者選びがとても重要です。一般のマンション売却よりも慎重に考えなければなりません。
どんな仲介業者に依頼すれば良いのか?
都心部のマンションに注目しているのは、中古マンションを探している購買層だけではありません。不動産投資をしている人たちの注目度も高くなっています。
不動産投資家の中には、日本国内だけでなく諸外国の人もいて、東京や都心部の不動産物件に目を向けています。
しかし一般の不動産会社では、このような投資家とのパイプを持っている業者は少なく、売買の経験も未熟な業者もいます。
その結果、投資物件としてなら3,500万円で十分に売却できる物件でも、3,000万円で売却してしまい、大きな損をする恐れがあります。そうならないためにも、売却依頼する不動産業者は慎重に選ぶ必要があるということです。
管理人としては、今の都心部マンションであれば、最初から特定の不動産業者と「専任」や「専属」の媒介契約を結ぶ必要はないと考えています。
それそこ一般の不動産会社だけでなく、投資専門の不動産会社にも同時に売却依頼ができる「一般媒介契約」の方が良いと思います。
本当に条件が良い都心部の中古マンションであれば、今は一般媒介契約でも十分に買い手をみつけることができるはずです。
ただし、買い手が名乗り出たからといって売り急がず、物件情報が市場に浸透するまでの1ヶ月くらいは、様子見の期間を設けることをおすすめします。
税金対策もしっかりやっておく
価格上昇に伴うマンションの売却であれば、譲渡所得により多額の税金を徴収される可能性もでてきます。
通常のマンション売却で譲渡所得が発生するのは稀なので、一般の不動産会社ではこれら税金の話しに対して疎い業者もいます。
極端な話ですが、6,000万円で新築購入したマンションが、仮に1億円で売れた場合、どれくらいの税金を納めることになるのか。この問いに対して即座に返答できない不動産業者や営業マンでは、少しばかり頼りないと思ってしまいます。
日頃から投資物件などを扱ってる不動産業者であれば、これくらいの質問にはスラスラと解答できるはずです。このような質問をあらかじめ準備しておき、業者選びの参考にすると良いと思います。
相続したマンションを売却する場合も同じですが、購入時よりも高値で売却する場合は、真っ先に税金のことを考えておきましょう。
投資や相続に強い業者を見つけるコツ
投資物件や相続物件の売買に強い不動産業者をみつけるためには、業者選びの門戸を広げるのが一番の近道です。
一番効率のいい方法は、ネットの一括査定サイトを利用することです。一括査定サイトの中でも、マンション売却を専門としている「マンション.navi」がおすすめです。
マンション.naviには、あらゆるマンション売却に精通している業者が多数登録しているので、相続や投資物件を得意としている業者も簡単に探すことができます。
あとはその業者が、「どんな販売戦略を持っているのか?」、 「どれくらい投資顧客を持っているのか?」などを聞き出して、その中からベストの業者を選んでいきましょう。
投資や相続というのは難しい言葉も多く、初心者にはなかなか理解が難しい部分も多いので、素人相手でもわかりやすく噛み砕いて説明してくれるかどうかをよく確認してください。きちんと説明できる営業マンがいたら、媒介契約を結び売却を依頼しても良いと思います。
借金整理によるマンション売却
これからお話するのは、これまでの内容とは真逆となる、借金整理によるマンション売却についてです。
住宅ローンの返済苦によるマンション売却も同じなのですが、そちらに関しては別の記事「住宅ローンが払えないために売る場合」で詳しく解説しているので、そちらをご参照下さい。
今回は借金の保証人になったり、家族が借金をつくってしまい、その返済のためにマンションを売却するようなケースについて詳しく解説していきます。
借金のための売却につきものなのが、競売や任意売却。さらには自己破産などの債務整理です。
債務整理のためにマンションを手放す人は少なくありません。借金の取りたてや督促に目を向けず、現実逃避してしまう人も多いため、対策が遅れてマンションを手放すことになったという方もたくさんいます。
ですが、早い段階で対策を打てば、債務整理をしてもマンションを手放さずにすむ方法もあります。どの方法が自分にあっているのか、しっかりと見極めながら判断していきましょう。
債務整理や自己破産の違いがよくわからない
債務整理や自己破産、競売や任意売却の違いが、そもそも良くわからないという人も少なくないと思います。せっかくですので、それぞれの違いについて簡単に説明します。
まず、「自己破産」は、「債務整理」の方法の1つです。つまり「自己破産」、「任意整理」、「特定調停」、「個人民事再生」などのことを、一括りに「債務整理」という呼び方をしているだけで、根本的なことは同じ「借金を整理する方法」となります。
自己破産
ほぼすべての借金を帳消しにできる代わりに、所有している財産をすべて手放すというのが自己破産です。ただし税金などの滞納は帳消しにできません。
任意整理
弁護士などに依頼し、借金している業者と返済方法などについて話し合うことを任意整理といいます。その結果、返済額が大幅に減少したり、無利息で元金のみを返済すれば完済扱いになったりします。
特定調停
任意整理は個人と業者の話し合いなのですが、特定調停になれば裁判所が関与します。簡単にいってしまえば、任意整理に裁判所が関わるパターンだと思ってください。
個人民事再生
マイホームを手放すことなく、債務整理できる方法です。裁判所の判断で借金を大幅に減額してもらい、それを一定期間内に全額返済することになります。
このように、債務整理といっても色々なタイプがあります。
どの方法が一番いいのかわからないという方は、弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。費用はかかってしまいますが、その人の経済状況や親族からの支援などを総合的に判断して、どの方法で債務整理をするのがベストなのかを提案してくれます。
借金苦だけど、どうしてもマンションを手放したくないという方は、弁護士などの専門家に相談し、任意整理や個人民事再生でマイホームを守っていくしかありません。
競売と任意整理の違い
まず「競売」とは、裁判所から強制的に差し押さえされ、そのまま裁判所主導でマンションが売られてしまうことをいいます。裁判所で入札がおこなわれ、高値の金額を入札した人が落札者となります。
「任意売却」とは、住宅ローン融資を受けている金融機関の合意を得て、自分の意思で売却する方法のことで、通常の不動産売買と同じように売却することができます。売主がマンションの売値も決めることができますし、買い手を選ぶこともできます。
競売は市場相場の6割~7割くらいでしか売れないのに対し、任意売却であれば市場相場と同等で売れる可能性があります。
どちらにしても、売れた金額を借金返済に充てることに代わりはないのですが、競売で2,000万円、任意売却で2,500万円だった場合、残債額が500万円も違ってきます。
つまり簡潔にいってしまえば、競売よりも任意売却の方が、断然得をする可能性が高いということです。
裁判所が介入し、競売になる前に自分から行動し、任意売却できるうちに売ってしまうのが、何倍もおすすめな売却方法だといえます。
任意売却の相談先
任意売却であれば、普通の不動産会社でも対応できますし、任意売却専門の不動産業者もあります。
任意売却の場合、融資先の銀行などと協議しなければならず、とても個人で出来るものではありません。素直に専門業者の力を借りることを強くおすすめします。
任意売却専門の不動産業者が近隣にないというときは、ネットの一括査定にある備考欄などで、「任意売却の相談ができる業者をお願いします」と一言添えておけば、それに見合う業者を紹介してくれます。
一般の不動産業者に相談するのであれば、必ず任意売却の経験がどれくらいあるかを確認してから、売却の依頼をするようにしてください。
任意売却は経験が大事です。年間に1回や2回くらい任意売却の物件を扱っている不動産業者では、少しばかり経験不足のように思いますので、しっかりと業者を見極めてから依頼するようにしましょう。
まとめ
今回紹介したように、資産整理のマンション売却といっても、価格高騰による売却もあれば、借金苦による売却もあり、それぞれ販売戦略や売却の相談先がまったく異なります。
価格高騰による売却であれば、一般の不動産業者だけでなく、投資物件を専門にあつかっている仲介業者にも相談しましょう。借金苦による売却であれば、弁護士や任意売却に強い業者にも合わせて相談してください。
不動産会社にも得意不得意があるので、依頼する業者によって売却価格が数百万円変わるケースもあります。複数の業者に一括で問い合わせることができる一括査定サイトを活用して、上手に売却活動を進めていきましょう。