※この記事ではマンションを例に解説していますが、戸建ての場合でも同様です。
ほとんどの人にとって、マンションの売却は初めての経験。やるべきことがたくさんあって、不安に感じると思います。
このページでは、買主へマンションを引き渡すまでにやるべきことを、1つずつ丁寧に解説するので、ぜひ参考にして下さい。
上記の図にあるように、マンションを売却するためには3ヶ月から9ヶ月程度の期間が必要です。
駅から遠い、築年数が古いなど、物件に何か問題がある場合には、1年以上かかってしまうこともあります。
もし、「この日までにマンションを売らなければならない」という期限が決まっているならば、それに合わせて早めに売却までのスケジュールを考えましょう。
売却スケジュールは不動産業者(仲介業者)と相談して決めることになりますが、期限が間近に迫るほど損をする可能性が高くなります。
ですから、マンションを売ることが決まったのであれば、できる限り早く不動産業者に相談して、売却までのスケジュールを組みましょう。(不動産業者の選び方についてはこちらのページを参考に)
ちなみに売却までの期間ですが、大まかに下記の表を目安とおぼえてください。
理想 | 3ヶ月以内 | 順調に2ヶ月で買主が決まれば、住宅ローンの手続きなど含めてプラス1ヶ月で売却が完了します |
---|---|---|
平均 | 4ヶ月~6ヶ月 | 一般的な目安として6ヶ月以内に買主が見つかれば問題ないでしょう |
再検討時期 | 6ヶ月以上 | 6ヶ月が経過しても買主が見つからない場合は、売り出し方法に何らかの問題があると考えましょう |
問題あり | 1年以上 | 売り出し方法に大きな問題がある可能性が高いです。契約している不動産業者を変更し、もう一度売却活動をやり直しましょう |
上記はあくまでも目安ですが、ひとつのポイントとなるのが「半年(6ヶ月)」という期間です。
もしマンションを売りに出して半年以上経つのに、まだ売れる見込みがないという人は、一度状況を見直した方が良いということですね。
では先ほどのスケジュール画像に沿って、一つひとつの手順について解説していきます。
売却活動をはじめる前の準備期間
①売却相場と住宅ローン残債務の確認
マンションを売却するにあたって最初にやることは、どのくらいで売れるか相場価格を調べることです。
正確な数字はこの段階ではわかりませんので、おおよその相場価格さえつかめれば問題ありません。
最初に売却相場を調べるのには理由があります。
- 自分が予想していた売却金額と比べて大きな差はないか?
- 住宅ローン返済中の場合、残っている住宅ローンを精算できるか?
この2つを確認しておかないと、今後の売却スケジュールに影響が出てしまうからです。
例えば、「5年前に3,500万円で購入した新築分譲マンションだから、今でも3,000万円くらいで売れるだろう」と予想していたのに、実際には2,500万円が現在の相場価格だった…なんてことはよくあります。
予想していた金額と相場価格の誤差が100万円~300万円程度であれば、根気よく探せば購入してくれる人もいるかもしれません。
しかし、相場より500万円以上高い場合はかなり厳しいでしょう。
予想よりも低い金額でしか売れなかった場合、住宅ローンの残債を返せるのかという問題が発生するため、これが原因でマンションの売却を中止せざるを得ないケースもあります。
このような事情から、まずは残っている住宅ローン残債の確認と、現在の売却相場を調べる必要があります。
売却相場の調べ方
相場価格の調べ方ですが、これはインターネットを使えば簡単に調べることができます。主に2つ方法があるので、パソコンかスマートフォンを使って調べましょう。
- マンションの一括査定サイトを利用する
- 不動産のポータルサイトで類似物件を探して価格を調べる
大まかな目安がわかればよいので、正式な査定を取る必要ななく、まだ簡易査定だけで十分です。
こちらのようなインターネットの一括査定サイトを使えばすぐにわかるので、なるべく早めにやっておきましょう。
もしいきなり査定をするのが不安であれば、不動産のポータルサイトを使って、自分で大まかな相場を調べる方法もあります。
なるべく自宅と近い地域で、似たようなマンションが売りに出されていないかを調べて、その金額を目安としましょう。
②家族と売却の意思を確認する
2番目にやることは、マンション売却の「意思確認」です。ここで言う意思確認とは、同居する家族全員の同意が得られているかを確認する、ということです。
例えば、家主である夫がマンションを売却するつもりで計画を進めていても、最終的に他の家族の反対で売却を断念する…という話はよくあります。
計画が進んでから家族と揉めると大変なので、この段階でしっかり話し合っておきましょう。
特に揉めやすいのが、「共有名義」になっているマンションを売却する場合です。
夫婦の共有名義や、遺産相続による共有名義などがありますが、必ず共有名義人すべての同意がなければ売却することはできません。
例えば、遺産相続により実家のマンションを相続したケースで、相続人は母親と子供3人だったとします。
このケースで家族のうち誰か一人だけ疎遠になっていたりすると、意思確認でかなり苦労することが多いです。
他にもよくある例としては、
「妻とは離婚するので売却の相談はしなかった」
「子供はまだ高校生だから相談しなかった」
などという理由で家族間で揉めてしまい、売却ができないというケースです。
このようなトラブルが起きないように、まずは家族間でしっかりと売却の意志を確認しておきましょう。
③必要書類を用意する
家族の意思確認ができたら、売却に必要な書類を用意しましょう。
以下にあげる書類は、本人確認や登記関係を調べるために必要であったり、売却査定をする際の参考資料になります。
査定を受けるだけなら、本人確認書類だけでもかまいませんが、より正確な査定をしてもらうには、登記簿や図面、固定資産税評価証などがあった方がよいです。
いずれ売却する際にはすべて必要になるので、早めに準備しておくとスムーズでしょう。(※マークは必須書類)
※身分証明書(免許証や保険証)
本人確認のために必要です。
※実印と印鑑証明
共有名義の場合は共有者全員分が必要です。
※固定資産税評価証明書、または納税通知書
固定資産税の確認と税の滞納などを調べるために必要です。
※マンション管理規約または使用細則など
管理状況や使用規則の確認ために必要です。
※マンションの管理費、積立金等がわかる書類
管理費、修繕積立金、組合費、町内会費などがわかる書類です。滞納状況もチェックされます。
住民票
登記上の住所と現住所が違う場合に必要です。
住宅ローン残高証明書
住宅ローンの返済が終わっていれば必要ありません。
アスベスト使用調査報告書や耐震診断報告書など
必須書類ではありませんが、購入希望者にとって有益な情報はなるべく提出した方が売却に有利です。住宅性能評価書などもあれば提出します。
購入時の売買契約書や重要事項説明書
必須書類ではありませんが、購入希望者にとって有益な書類はなるべく提出しましょう。
購入時のマンションパンフレットやチラシ等
必須書類ではありませんが、購入希望者にとって有益な書類はなるべく提出しましょう。
売却物件の長所をアピールするための資料(※自主作成)
生活する中で便利な情報をまとめておくと、物件や売主(自分)に対しての評価が上がります。周辺地域の便利スポット(病院やスーパーなど)をまとめておきましょう。
以上がマンションを売却する際に必要となる書類です。必須でないものもありますが、なるべく多く準備しておいた方が有利です。
購入希望者から見た場合、ポジティブな情報が多い方が判断しやすいですし、売主である自分への信頼度も高くなるからです。
④マンションの査定を依頼する
必要な書類がそろったら、不動産業者に連絡して売却査定を依頼します。
この段階ではまだ「簡易査定」で問題ありませんので、冒頭の①の手順で終わっている人は飛ばしてください。
より正確な金額がわかる「訪問査定」は、後ほど依頼することになります。
簡易査定とは
物件の情報だけを頼りに、おおよその査定価格を算出する方法
訪問査定とは
査定担当者が実際に物件を訪れ、物件の細部まで詳しくチェックし、最終的な査定額を算出する方法
査定時に注意したいことは、必ず複数の業者に査定を依頼して比較する、ということです。
1社だけの査定では、その査定価格が相場に適しているかどうかが判断できません。
不動産の査定額は、業者によってかなり幅が出ることがあるので、最低でも3社程度は比較する必要があります。
面倒に思うかもしれませんが、これもインターネットの一括査定サイトを使えば一回で終わるので、空いた時間を使って手早くやってしまいましょう。
個人で業者を比較するよりも、一括査定サイト経由で査定を依頼した方が、万が一のトラブルが起きた時でも安心です。(一括査定サイト側が間にはいってくれるためです)
一括査定サイトは色々ありますが、マンションの売却なら老舗で評判の良い「マンション.navi」か、大手各社が参加している「すまいValue」を使うのが無難だと思います。
⑤不動産業者(仲介業者)の比較
簡易査定の結果が出そろったら、次はいよいよ訪問査定をお願いする業者を決めます。
簡易査定と違い、訪問査定は売主の立会いが必要なので、あまり多くの業者に依頼すると疲れてしまいます。
簡易査定を取り寄せた中から、気になっている業者を2、3社にしぼり、それぞれの業者に訪問査定を依頼しましょう。
この時、査定にきた業者に対して、「他の業者さんにも訪問査定を依頼しています」と伝えます。
その方が競争を意識して丁寧に対応してくれるので、さりげなく伝えてみましょう。
訪問査定というのは、不動産業者が物件や売主を評価する場ですが、それと同時に売主が業者を査定する機会でもあります。
査定にきたスタッフの言動や対応をみて、信頼できる業者かどうか判断しましょう。
買主を見つけるまでにやること
⑥不動産業者と媒介契約を結ぶ
どの業者に依頼するか決めたら、次は媒介(ばいかい)契約を結びます。
媒介契約には「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があり、どの媒介契約を結ぶかは売主に決める権利があります。
一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
---|---|---|---|
複数の業者へ同時依頼 | ○ | × | × |
レインズへの登録義務 | 義務なし | 7日以内 | 5日以内 |
自分で買主を見つける | ○ | ○ | × |
売主への状況報告義務 | 義務なし | 2週に1回以上 | 1週に1回以上 |
契約の有効期間 | 自由 | 3ヶ月 | 3ヶ月 |
一般媒介契約
3つの中で唯一、複数の不動産業者へ同時に依頼することが認められている契約方法です。不動産業者にしてみれば、「他社で売却が成立してしまう」というリスクがあるので、本気で売却活動をしてくれない可能性があります。
これは非常に大きなデメリットなので、最近ではこの一般媒介契約を結ぶ人は少なくなっています。
専任媒介契約
一番多くの人が選ぶ契約方法です。レインズへの登録義務や、売主への状況報告が義務化されている一方で、自分で買主を探すことも認められています。
もっともバランスが取れた契約方法なので、特にこだわりがなければ専任媒介契約でよいと思います。
専属専任媒介契約
3つの中で一番制限が多い契約方法です。その分、不動産業者から見た場合に「本気度が高い顧客だ」ということになるので、優先度も上がります。
気合いを入れて売却活動をしてくれるはずなので、信頼できる業者が見つかった場合はこの契約を選んでみてもいいかもしれません。
ここでは簡単に特徴だけ解説しましたが、どの契約にするかはとても重要です。
詳しくは下記のページで解説しているので、ぜひ一度目を通しておいてください。
⑦販売価格を決める
不動産業者と媒介契約を結んだら、いよいよマンションを売りに出します。
このタイミングでマンションの販売価格を決めますが、価格設定は非常に大事です。すでに相場価格はわかっていると思うので、業者と相談しながら最初の販売価格を決めましょう。
販売価格を決める際のコツですが、
- この金額で売れたらいいなという「希望価格」
- この金額なら売れるだろうという「相場価格」
- これ以上価格は下げれないという「最低価格」
この3段階の価格に分けて考えるのがおすすめです。
まずは「希望価格」で売り出して様子を見て、なかなか売れなければ「相場価格」へ値下げ、それでも売れなければ「最低価格」へと、徐々に値下げをしていきます。
「希望価格」しか決めていない人の場合、なかなか売れないと焦ってしまい、いきなり大幅な値下げをしてしまい損をするケースがよくあります。
下手な値下げで損をしないように、しっかり計画を練ってから値下げしましょう。
売り出し価格の決め方や、値下げ時期の決め方については、下記の記事で詳しく解説しています。
⑧内覧準備と内覧開始
適切な売値で物件情報を公開すれば、すぐに内覧希望の問い合わせが入る可能性があります。購入希望者を迎える準備は早めにすませておきましょう。
もし空家状態のマンションを売るのであれば、物件情報が公開される前に、一度ハウスクリーニング業者を入れておくことをおすすめします。
2LDK~3LDKのマンションの場合、5万円~10万円ほどの費用がかかってしまいますが、交渉次第でもう少し安くすることができます。
具体的な交渉方法としては、「マンションが売れたら、引き渡し前にもう一度クリーニングをお願いしたいと思っています」といった感じで、2回依頼することを条件に、値引き交渉をしてみてください。
多少費用はかかりますが、これで買主の印象が良くなり、マンションの売却がスムーズに進むなら、とても安いコストだと思います。
住みながら売る場合は「広く、明るく見せる」がコツ
一方で、マンションに住みながら売りに出す場合は、わざわざハウスクリーニング業者を呼ぶ必要はありません。自分でキレイにできる範囲で、しっかり掃除や片付けをしましょう。
この時に大事なことは、できる限り部屋を「広く、明るく見せる」ことです。
特に、第一印象が決まると言われている「玄関」や、買主が一番こだわる「リビング」の2ヶ所が重要です。
玄関とリビングだけは徹底的に掃除をして、不要な荷物はすべて整理し、少しでも広く明るく見せるように意識してください。
その他のポイントについては、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
⑨値引き交渉と申込金について
内覧に来た人が無事マンションを気に入ってくれた場合、買付証明書(購入申込書)が提出されます。
この買付証明書には「購入希望価格」 「引き渡し希望日」 「支払い方法」 「その他の希望条件」などが記入されています。
これらはあくまでも買主側の希望なので、売出し価格よりも低い額が記入されているかもしれません。その場合は価格交渉へと移ります。
もし値引きに応じないのであれば、不動産業者の担当者にその旨を伝えましょう。値引きに応じるのであれば、値引き可能な金額を伝えて、買主側に再検討してもらいます。
値引き交渉などは苦手という人も多いですが、ここはしっかり対応しないと損する可能性があります。
買主との値引き交渉については、下記の記事で重要なポイントを解説しているのでぜひ参考にして下さい。
申込金について
買付証明書と同時に、「申込金」を徴収する不動産業者もいます。これを「手付金」だと勘違いしてしまうことも多いですが、申込金と手付金は違うものです。
手付金とは、契約成立時に支払う頭金のことです。そのため、手付金の支払い後に双方の都合でキャンセルが生じた場合は、手付け解除と呼ばれる違約金が発生することになります。
一方で、申込金には手付け解除の効力はなく、違約金の対象とはならないのが通例です。
そのため、最近では申込金を徴収する業者も少なくなっていますが、もし徴収された場合でも、手付金と同じように物件代金へ充当されますので、特に損はありません。(金額も1万円から5万円程度と小額です)
⑩買主の決定
条件面の折り合いがついたら買主を決定しますが、ここで1つアドバイスがあります。あなたの物件を買いたいという人が、同時に複数名いた場合の対応についてです。
例えば、3,200万円で売り出しているマンションに対して、2人から買付証明書が提出されたとします。
- 1人目の購入希望価格は3,000万円
- 2人目の購入希望価格は3,200万円
売主とすれば、当然ですが2人目の3,200万円で買ってくれる人に売却したいと思うはずです。しかし、先に買付証明書を提出してくれたのは3,000万円の人の方でした。
この場合、最初に買いたいと意思表示してくれた人を飛ばして、2人目の希望者に売却することはできるのでしょうか?
答えは「YES」です。たとえ先客がいたとしても、この段階であれば自由に売却する相手を選ぶことができます。
ただし、マナーとしてまずは1人目の希望者に、「満額の3,200万で購入したいという方がいるのですが、3,200万円での購入は難しいでしょうか?」、と声をかけてあげましょう。
もしかしたら1人目の方も満額で購入したいと考えを変えるかもしれませんし、仮に断られたとしても、その時はすっきりした気持ちで2人目の方へ売却する事ができます。
引き渡しと売却後にやるべきこと
⑪売買契約の締結
無事に買主が決定したら、いよいよ売買契約へと進みます。
ここではじめて買主の方と対面というケースもあるので、悪い印象を与えないように気をつけてください。
私が過去に仲介した時の例では、いざ売買契約で対面した際に、売主の態度があまりにもひどいという理由で売買契約がキャンセルになってしまったケースもあります。
売買契約時に気をつけておきたいポイントは、契約書の確認と必要書類の準備です。
不動産業者によっては、売買契約の当日になってはじめて契約書を提示してくるところもありますが、そのような対応を認めてはいけません。
マンションの売主として、最低でも前日までには契約書を受け取り、内容に不明点がないか確認するべきです。
万一不明な点があれば、契約書にサインする前に必ず確認しましょう。
その他、先ほど解説した必須書類に関しては、契約当日までにすべてそろえる必要があります。
もし再発行が必要な書類があったら、早めに手続きしておかないと間に合わない可能性があります。
売買契約時の手付金について
一般的には、売買契約と同時に手付金を受け取ることになります。
手付金の額は法律では定められていませんが、マンション売却価格の5%~10%程度、高くても20%というのが慣習です。
少しでも多くの手付金を受けとったほうが安心と思うかもしれませんが、もし売主(自分)の都合で契約がキャンセルになってしまうと、受け取った手付金の2倍の額を違約金として支払うことになるので注意して下さい。これを「手付金の倍返し」と言います。
逆に手付金を受け取った後に、買主側の都合でキャンセルになった場合は、手付金を違約金として受け取ることができ、返還する必要はありません(※)。
売り手側としては、手付金倍返しのリスクがあるため、あまり高額な手付金は設定せず、50万円~100万円くらいに設定しておくのが無難だと思います。
※ただし、住宅ローンの融資不可によってキャンセルになった場合など、契約書内にて「手付け解除の条件」が記載されている場合は、契約後でも受け取った手付金は返還しなければなりません。
⑫引っ越しの準備
売買契約が完了したあと、実際にマンションを引き渡すまでには、目安として1ヶ月程度の時間がかかります。その間に引っ越しの準備を進めましょう。
引っ越しは時期によってかかる料金がかなり変わるので、引っ越しシーズンである3月に引っ越す場合は、予想以上の出費がかかることもあります。
引っ越し料金は移動する距離と荷物の量に比例するので、できる限り荷物を少なくするために、不要品などは早めに処分しておきましょう。
⑬引き渡しの準備(ハウスクリーニングなど)
引っ越しの準備と平行したやっておきたいのが、マンションを引き渡すための準備です。
ある程度の期間暮らしたマンションの場合、傷んだ箇所の修復や、壁紙の張り替えなどが必要になります。
この辺は買主側との交渉にもよりますが、一般的に売主が負担するものとしては、
- 壁紙の張り替え
- 畳の表替え
- ふすま・障子の張り替え
- ハウスクリーニング
などがあります。
壁紙やフローリングの張り替えが必要なときは、仲介してもらった不動産業者に相談すれば内装業者を紹介してくれますが、相場より高くなることが多いので注意しましょう。
できる限り費用を抑えたいのであれば、リフォーム業者の一括査定サイトなどを利用し、自分で安い業者を見つけた方がお得です。
⑭残金の決済と登記関連の手続き
買主側の住宅ローン審査が終わったら、いよいよ残金の決済となります。
基本的には、買主側が利用する住宅ローンの金融機関(銀行)で、金消契約(金銭消費貸借契約)を行うことになります。
自分側に住宅ローンの返済がある場合は、買主側が利用する銀行から、自分が住宅ローンを受けている銀行へと直接残金を振り込んでもらうか、一旦自分の口座に入金してもらってから、改めて住宅ローンを返済する形となります。
これらの手続きは銀行の営業時間内でなければならないため、普通は平日の昼間に行われます。そのため、当日は有給休暇などを取って仕事を休む人も多いです。
残金の決済と同時に登記関連の手続きも行いますが、基本的にすべて司法書士がやってくれますので、必要書類さえ持参していれば問題はありません。
決済と同時に行う手続きには、以下のようなものがあります。
- 売却代金の決済
- 登記関連の確認
- 住宅ローンの一括繰上返済
- 諸費用の支払い(仲介手数料、繰上返済手数料、登記関連の費用)
- 固定資産税やマンション管理費、修繕積立金の精算
- マンション規約等にあたる書類の譲渡
- カギの引き渡し
この時に売主側が準備しておくものは以下の通りです。
- 身分証明書(免許証や保険証など)
- 実印と印鑑証明
- マンションの権利証
- 新居の住民票
- マンション規約等の書類全般
- マンションのカギ
なお、マンションを売却した代金で住宅ローンが完済できない場合は、不足分の現金も用意しておく必要がありますので注意してください。
⑮物件の引き渡し
ここまでの手続きが無事完了すれば、その日のうちにマンションの引き渡しまで終わらせるのが一般的です。
つまり、この時点で部屋を引き渡せるように準備を終えていなければならないので、先ほど説明した引っ越しの準備や引き渡しの準備は、なるべく早めにすませましょう。
⑯売却後の手続き
売却代金の決済とマンションの引き渡しが終わって一息つきたいところですが、まだ最後の仕上げが残っています。転出届けや住所変更などの手続きと、翌年の確定申告です。
マンションを売却したことで利益が出ている場合は、確定申告で課税される可能性がありますし、逆に損益が発生していれば控除分が還付される可能性があります。
どちらにしても、翌年の確定申告は必要だとおぼえておきましょう。
ちなみに、確定申告と聞くと不安に思う人も多いようですが、ほとんどの場合課税されることはありません。
むしろ確定申告をした方が得する可能性が高いので、忘れずにやりましょう。
詳しくは下記のページで解説しているので、売却が終わった方は参考にして下さい。
長くなってしまいましたが、以上がマンションを売却する際の一般的な流れです。
後半の手続き関連が難しそうだと感じるかもしれませんが、必要書類さえそろえておけば、あとは不動産業者や銀行がやってくれるので心配はいりません。
大事なのは買主を見つけるまでの流れなので、しっかりチェックしておいて下さい。
初めての売却でよくある質問
続いては、初めてマンションを売却する人が、よく疑問に思う点について解説します。
売却の流れと合わせて確認してください。
高く売るためには何ヶ月前から査定を取る必要がある?
マンションをなるべく高く売りたければ、売却に使える時間がたくさんあった方が有利です。
ですから、マンションを売却することが決まった段階ですぐに査定を取りましょう。
特に「何ヶ月前から」という決まりはないので、マンションを売るのが1年以上先であっても大丈夫です。
不動産業者側としても、時間に余裕がある方がじっくりと販売戦略を考えられるので歓迎してくれるはずです。
税金や費用はどれくらいかかるの?
マンションを売却する際には、不動産業者に支払う「仲介手数料」をはじめとして、色々な費用がかかります。
また、「譲渡税(所得税)」などの税金がかかるケースもありますが、実は税金についてはそんなに心配する必要はありません。
税金がかかるのは、「マンション売却によって利益が出た場合のみ」なので、ほとんどの人は対象外になるからです。
税金や費用に関しては、こちらのページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にして下さい。
なかなか売れない時はどうすればいい?
マンション売却で一番困るのが、「売りに出したけどなかなか売れない」というケースです。
原因は人によって違いますが、とにかく早く対策を打たないと、どんどんマンションの売値が下がって損をしてしまいます。
マンションが売れない理由と対策にについては、こちらのページで詳しく解説しているので、困っている人はぜひ参考にしてください。
まとめ
今回解説したように、マンションを売却して手放すまでには、かなりたくさんのやるべきことがあります。
初めてこのページを読んだ人は、やることが多くて不安に感じたかもしれませんが、安心して下さい。
基本的には、仲介契約をした不動産業者がリードしてくれるはずなので、全部の行程をおぼえなくても大丈夫です。
冒頭でも書いたとおり、マンション売却は早くても3ヶ月以上の時間がかかる長期戦です。
スムーズに売却するためには、パートナーとなる不動産業者選びが本当に大事なので、「成功のコツは業者選びにあり!」という点だけ忘れずにおぼえてください。
もし業者選びで迷ったり、あるいはすでに契約している業者に対して不満を感じている場合は、こちらのページの選び方解説を参考にしてください。
マンション売却は良い業者と巡り会えるかどうかで、数百万円単位の違いが出てしまうので、しっかり時間をかけて選ぶことをおすすめします。