認知症になった親が所有しているマンションの売却について、おうかがいします。
私の実家の母は、父が亡くなってからずっとマンションで独り暮らしをしていたのですが、認知症になってしまい、独りで暮らすことが難しくなったため、現在私の自宅近くの介護施設に入所しております(実家のマンションは、車で2時間ほどの所にあります)。
認知症の進行が速く、最近では私の顔がわからないぐらいになってしまいました。恐らく、このまま施設で暮らすことになり、もう実家のマンションに戻って、独りで暮らすことはないと思います。
正直なところ、月々の施設の料金もかなりかかっているので、うちの家計を圧迫し始めました。なので、できれば実家のマンションを売却して、そのお金を母の介護施設の支払いに充てたいのですが…。
このような場合、どうすればいいのでしょうか?マンションを売ることはてきますか?ちなみにマンションの名義ですが、多分父が亡くなったときに母に変更していると思うのですが、まだ確かめていないのではっきりとはわかりません。
お母さんが認知症になられたとのこと、大変ですよね。介護施設に入られていると、生活面では安心ですが、お金がかかるのも事実です。今後、誰も使う予定のないマンションでしたら、売却して介護費用に充てたいというのは、もっともだと思います。
ただし、マンションの名義がお母さんかもしれないという点が問題です。いくらお母さんが認知症であなたが子供であっても、名義人でない人が勝手にマンションを売却するとこはできません。しかし、そのまま放置していると、質問のような場合にお金を作ることができませんし、また、認知症など精神障害のある人の財産をねらう悪い人につけこまれる恐れもありますよね。
このような場合のために、民法で認知症などにより判断能力がない人の財産を守り、社会とのつながりをスムーズにする「後見人制度」があります。認知症のように判断力がない人の法定代理人として財産を管理する「後見人」を家庭裁判所に申請した上で決定してもらうという制度です。
あなた以外の子供がいなければ、あなたがお母さんの後見人となる可能性は高くなります(身内での金銭トラブル等がなければ)。もし、あなたが家庭裁判所から後見人として選定されると、お母さんに代わって財産を管理することができますので、実家のマンションを売却して、その代金を施設の支払いに充てることができます。
ただし、あくまでもお母さんの代理としてお母さん自身の財産を管理するわけですから、今までに支払った施設の代金を受け取ることはできるかもしれませんが、マンション売却の売却代金をそのままあなたの口座に入れることはできません。後見人の申請方法などについては、一度家庭裁判所で相談してみてください。
万が一、マンションの名義がお母様に変更されておらず、お父様からあなたが相続する、ということになっているのでしたら、相続による名義変更をすれば、マンションの名義はあなたになりますので、自由に売却できます。マンションの名義が、今、誰にあるのかをまず確認してみてください。