不動産業者のホームページに掲載されている募集案内図面や、内覧時に渡される販促図面などのことを不動産用語で「マイソク」と呼びます。
マイソクって、不思議な名前ですよね。どうしてマイソクと呼ばれるようになったかと言うと、もともとは図面を作成する会社の社名だったそうです。それがいつしか、図面そのものがマイソクと呼ばれるようになりました。
マイソクは、各不動産業者が持っているフォーマットに基づき業者が独自に作成しています。それぞれの個性や特徴が表れるため、マイソクを見ることで、その業者の良し悪しを判断できます。
マンションの売却を成功させるためには営業に力を入れている業者を選ぶことが不可欠となりますので、充実したマイソクをつくっているかどうかが業者選びの基準となります。
そこで今回は、「どのようなマイソクを発行している業者であれば信頼できるのか?」を考えていきたいと思います。
いくつかのポイントを解説していきますので、あなたが仲介を任せようとしている業者のマイソクもチェックしてみてください。
マイソクにはそもそもどんなことが書いてある?
業者ごとに書かれている内容は多少異なりますが、おおよそ次のようなことは網羅されています。
間取り図
「どのような部屋がどちらの方角を向いているのか」が図面で表記されているので、物件の内容を視覚的に把握できます。購入希望者の判断基準となる最も重要な項目と言ってもいいでしょう。
物件の種目
物件の種類です。おおまかに分けると、「アパート」「マンション」「一戸建て」「テナントビル」などが表記例となります。
建物の名称
マンションをはじめとする不動産には、たいてい「〇〇ハイツ」や「△△ビル」のような名称があります。
アクセス情報
最寄り駅や交通の便について説明されています。物件のある場所の利便性が推察できます。
たとえば「最寄り駅から徒歩10分」とあれば、駅からおおよそ800メートルの距離にあることが分かります。
不動産のアクセス情報では、「徒歩1分で80メートル」が基準となっていますので、覚えておくと便利です。
所在地
市区町村までの記載にとどまるなど、あまり細かく書かれていないこともあります。詳しくは担当者へ問い合わせてください。
築年数、建築年
いつ建てられてたのかが分かれば、老朽化の度合いなどが推定できます。
一般的なマイソクには、これらの項目が記載されています。列記した項目以外にも、リノベーションの有無やリフォームの実績、権利関係の詳細など、必要に応じて業者が情報を追加していきます。
マイソクは超重要な営業資料!
不動産業者は、マイソクを見せながらお客様に説明をしていきます。お客様はこのマイソクを見て物件の魅力を感じたときに、実際に内覧しようと考えます。
不動産会社にとってのマイソクは、物件の魅力を伝えるための営業資料そのものなのです。
したがって、マイソクが物件売却の成功を左右すると言っても過言ではありません。たとえ魅力的な物件だったとしても、マイソクがその魅力を伝えきれていなければ、お客様が内覧にまで足を運んでくれないのです。
「マイソクにはコレを書かなければいけない」といったルールは特にありません。だからこそ、どんなマイソクなのかによって、業者の営業努力の度合いを計ることができます。マイソクをないがしろにする業者は、たいてい活気もなく、やる気に乏しいケースがほとんどです。
一方で、良いマイソクをつくっている業者のスタッフには活気があり、情熱を持って働いています。マンションの売却を成功させるためには、「物件の魅力がしっかりと伝わるマイソクをつくっている業者かどうか」を見極める必要があります。
では、どのようなマイソクが良いマイソクなのでしょうか。具体的なチェックポイントを挙げながら考えていきましょう。
カラーかどうか
モノクロでコピーをしている業者の方が多いかもしれませんが、カラーで印刷されているマイソクの方が見やすいのは当然のことです。
お客様に対して物件情報をきちんと理解してもらいたいと真剣に考えている業者であれば、すべてのマイソクとは言わずとも、せめてお客様や他社業者に渡すマイソクはカラーにしたいと考えるはずです。
コスト削減を優先してモノクロにするのか、それとも、顧客の分かりやすさを重視してカラーにするのか。ちょっとしたことではありますが、業者の姿勢が問われる部分ではあります。
あなたが売却仲介を依頼しようとする業者は、あなたに対してどのようなマイソクを渡しているでしょうか。いま一度、確認してみると良いでしょう。
もし、あなたに対してモノクロのマイソクを渡しているのであれば、あなたの物件に関心を持っているお客様に対してもモノクロのマイソクを渡している可能性が極めて高いと言えます。
モノクロのマイソクを使用しているのであれば、お客様に説明するときにはカラーで出力するように、業者の営業マンに相談してみてください。
写真がたくさん掲載されているかどうか
写真が多く掲載されていた方が、物件のイメージが沸きやすくなります。
たとえば、「天気のいい日には遠くに〇〇山が見えるほどの眺めのよさです」と文章で書くよりも、天気がいいときの眺めを写真として掲載すれば、それだけで立地のよさや魅力を伝えることができます。
全てを文章で伝えようとするのではなく、視覚で伝わる写真を多用した方が一目瞭然です。間取りについてもただ図面が書かれているだけでなく、なるべく写真で表現しているマイソクの方が良いでしょう。
他にも、「近隣にスーパーがあります」と文章で書いてあってもどんなスーパーなのかがいまいち伝わりません。
それよりも、「徒歩何分圏内にこんなスーパーがあります」と写真を掲載した方がアピールできます。全国区ではないローカルなスーパーや商業施設であれば、なおさらのことです。
物件の特徴をとらえたオススメポイントが書かれているかどうか
不動産会社は、あなたの物件以外にも多数の案件を抱えています。
常にたくさんの物件を扱い顧客対応をしている中で、新たなマイソクをつくることは大変な労力が必要で、とかく流れ作業になってしまいがちです。そうなってしまうと、物件を個別に把握することがおざなりになってしまいます。
その反面、マイソクに個別のオススメポイントがきちんと書かれていれば、その不動産業者はしっかりとその物件について把握していることになります。物件担当者のやる気や熱意もマイソクから伝わってきます。
物件ごとのオススメポイントが書かれていないマイソクを使っている業者なのであれば、ひとつひとつの物件についてきちんと理解しているのか疑念を持たれても仕方がありません。
たとえ業者が忙しいのだとしても、あなたとしては大切な物件を預けるわけです。業者を選ぶ際には、物件のひとつひとつをないがしろにせずに大切に扱ってくれるかどうかが重要なポイントとなります。
そういった意味でも、物件ごとにオススメポイントがしっかり書かれていることを重視するようにしましょう。
情報量が豊富かどうか
物件に関する情報がマイソクにたくさん掲載されていれば、それだけで物件をより具体的にイメージすることができます。
良いマイソクの条件は、購入希望者の気を引くような情報を出し惜しみすることなく掲載することです。
画一的な物件情報だけでなく、「担当者のひとこと」などが添えてあると、業者の物件に対する思いも伝わってきて好印象を与えられます。
もちろん、情報量が多ければ多いほど良いというわけではありません。物件の購入や賃貸を検討しているお客様に対して、その物件の魅力が伝わるかどうかが大切なのです。
相手にしっかりと伝えるのにふさわしい情報量があれば問題ありません。しかし、あまりにも情報量が少ないのも考えものです。空白だらけのマイソクを見たら、お客様はどう思うでしょうか。不動産業者に対して失望し、少なくとも信頼を感じてもらうことはできないでしょう。
マイソクをお客様目線でチェックしよう
マイソク作りは業者に任せっきりにしておかず、仲介依頼者となるあなたが責任を持ってチェックするようにしてください。
「このマイソクを読んで物件の魅力が伝わってくるか」という基準を持って、物件購入を検討しているお客様の目線でマイソクを読んでみるのです。
もしもマイソクの内容に満足できない場合はどうしたらいいのでしょうか。そんなときには、遠慮することなく業者の営業マンに修正希望を伝えて、マイソクを作り直してもらってください。
ただし、マイソクづくりにも一定の規約があります。「一番」や「バツグン」というような過大表現は使えないことになっていますので注意してください。
完成したマイソクを見せてくれなかったり、修正をお願いしたのに対応してくれない業者では、今後もあてになりません。そのような業者に遭遇してしまった場合には、思い切って別の仲介業者に変更することをおすすめします。
マイソクは非常に重要な営業資料なので、それをないがしろにする業者を信頼して任せることはできません。
「マイソクはとても大事な顧客接点のひとつ」という意識を持っている業者と付き合うようにしましょう。