ビジネスマンであれば、ここ最近「フィンテック」という言葉を耳にする機会が多いと思います。
このフィンテックというのは、「FinTech(金融×IT)」という造語であり、金融にITを融合させるという意味合いがあります。ちなみにその他にも、ヘルステック(医療)やアドテック(広告)など、幅広い分野でこのテック(テクノロジー)が用いられるようになってきました。
そして、このテックがついに不動産業界にも進出してきており、それらを「不動産テック」と言います。つまり不動産とITテクノロジーの融合です。
世界的に見れば、すでに不動産テックの動きは想像を超えるスピードで広まりつつあります。しかし日本国内においては、決して世界的規模と同等だとは言えないのが現状です。
そもそも日本の不動産事情は異質な部分が多々あります。情報流出量の少なさ、仲介手数料の悪しき習慣など、世界的にみて日本の不動産業界は、大幅に遅れをとっているのです。
つまり不動産テックがさらに進化し拡大することで、一番大きな影響を受けるのが日本だという見方をする人も少なくありません。
不動産テックで何がどう変わるのか?
「不動産テック」に関しては、不動産業界でもまだ勉強中という人が多いと思います。不動産業界の人でさえ理解するために時間を要しているので、不動産の知識が少ない一般の方だと更に理解に苦戦するのではないでしょうか。
きっと「不動産テック」で検索して出てきたサイトを読んでも、すぐに理解できる人はほとんど居ないと思います。そこでここから先は、不動産テックについて、一般の方にもわかりやすいように噛み砕いて説明したいと思います。
まず不動産テックで何がどう変わるのか、これは明確に現段階では解っていません。どのサイトをみても、「何がどう変わる」とは明確に書かれていないのが現状です。ただ、こういう風に変わっていくのではないかという想像はできます。
例えば、住宅ローンの審査を「IT化する」ということです。つまり、今メディアなどでもよく耳にする「AI(人工知能)」を住宅ローン審査に用います。
これはどちらかと言えば、不動産テックというよりも、金融テック(フィンテック)に近いのですが、わかりやすく説明するとこのようなことです。
人工知能を使い、住宅ローン審査をすることで、その人の過去の金融データや現在の属性などから借入可能額を割り出せます。
不動産テックの解説をみると、「ビッグデータ」という言葉が何度も使われています。これは過去の様々なデータを、瞬時に管理把握することができるITだからこその技術でもあり、当然物件情報だけでなく、個人情報にも該当します。
また、不動産投資などが不動産テックで大きく変わることも想像できます。物件の細かなデータを入力することで、その物件が投資物件としてどれほどの価値があるのか、または将来的な資産の収支などをより細かく分析できるのです。
もっと身近なところでいえば、中古物件の売買なども、不動産テックを利用することで、より公平な取引ができるようになります。例えば、売り物件の査定を人工知能に委ねることで、査定時間の短縮はもちろん、過去の膨大な取引データから、適切な売却価格を割り出してくれるようになります。
つまり、人間が出すデータよりも正確性があるため、売主は値引き交渉にも必要以上に応じることがなくなり、買主側もその物件が本当に適切な価格なのかを簡単に調べることができます。
日本国内においても、不動産テックを推し進めるベンチャー企業は多数あり、それらの企業に出資したり提携したりする大手企業も目立つようになってきました。
IT化が遅れていた不動産業界ではありますが、この不動産テックが浸透していくことによってどのように変化していくのか、今後の動向に目が離せません。こうした技術の躍進を背景に、不動産売買、不動産投資、賃貸住宅やリノベーションなどのシステムがより効率的に、そして円滑になることを期待したいです。