ずっと父が管理していた賃貸マンションがあります。それは、元々わたしたちが暮らしていた実家マンションなのですが、わたしたちが独立した後に、父と母は立地の良いマンションを買い直しました。それまで住んでいたマンションはローンも残っていないし、賃貸で貸せば年金の足しにもなるからと言って、賃貸マンションとして貸していたのです。
母が先に他界し、父も数年後他界しました。その後、父と母が住んでいたマンションは売却したのですが、この賃貸マンションは入居者がいることもあり、そのままにしておきました。
それから3年が経ちますが、突然家賃の支払いがストップしたのです。不審に思った管理会社が入居者を訪ねたところ、室内で亡くなっていたそうで、自殺などではなく病死だったようです。管理会社は別に事故物件でもないし問題ないと言ってくれたのですが、この機会に売却しようと考えました。
しかし大きな問題があります。それは部屋がボロボロの状態だということです。室内も、テレビでみるゴミ屋敷のような散らかり具合だったのです。仲介業者の話では、入居者は身寄りがないので家族に片付けを依頼することもできず、業者に依頼しても相当な金額になるだろうということでした。
そこで、一切片付けなどをせずに、この散らかったままの状態で売却することは可能でしょうか。もちろん、それなりにリーズナブルな値段で売却することを検討します。片付けに掛かる費用が、数十万なのか、または100万以上してしまうのかわかりませんが、わたしにはその片付け費用を払う余裕すらありません。だから片付けは買主にしてもらい、それに見合った値引きをするという形にしたいのです。
まずはゴミの撤去費用の見積りを出してもらいましょう。
「ゴミ屋敷の状態のまま売れるか、売れないか」は一旦置いておき、まずはそのゴミを完全に撤去するために、どれくらいの費用が掛かるのかを専門の業者に見積りしてもらうことが先決です。
その理由は2つあります。
- ゴミの撤去費用がハッキリしないと買う側も検討できない
- ゴミの下にある床が腐っている可能性がある
不動産業界ではよくある話で、入居者の部屋がゴミ屋敷のようになっていたという事例は多々あります。その場合、本当に撤去費用は様々です。規模にもよりますが、安くても15万~20万、高いときは40万円、それ以上の請求もあります。そして、それらのゴミの下の状態がもう1つの不安要素です。
畳の場合は相当な確率で腐っていますし、フローリングでも腐って使い物にならないケースが多々あります。そうなると、当然畳やフローリングを全面張替えなければなりません。その費用も決して安くはありません。
最悪、バスルームまでゴミが充満しており、浴槽ごと腐っていることもあります。もちろん浴槽を交換となれば、それなりの費用がかかります。
このように、ゴミ屋敷というのは、目に見えない部分にまで被害が広がっている恐れがあることを理解しておく必要があります。ですので、不動産関係者であれば、ゴミが散らかったままの状態での売却は反対します。
もちろん、それでもOKしてくれる仲介業者はあるかもしれませんが、いくら現状渡しだと言っていたとしても、高い可能性でトラブルの種になりますので、ゴミ屋敷は整理してから売却することをおすすめします。
例えば「ゴミを撤去する費用がない」とか、何かしらの理由があるのであれば、通常の中古マンション売却ではなく、業者に買取りしてもらうという方法もあります。
業者による買い取りであれば、瑕疵担保責任も発生しませんし、なにより彼らはプロなので、ゴミを撤去するのにどれくらいの費用が掛かるのか試算して、買い取り額を提示してくれます。
※業者買取のメリット・デメリットについては、「マンション買取ならどの業者がおすすめ?」で詳しく解説しています。
買い取りという制度だと、一般の中古マンションとして売却するよりも、価格はどうしても下がってしまいます。しかし質問者さんの相談内容にもあるように、多少の値引きに応じるつもりがあれば、一度業者買い取りで相談をしてみることをおすすめします。
そこで、どうしても金額面で折り合いがつかなくても、提示される金額の話にはゴミの撤去費用なども盛りこまれているはずです。おおよその撤去費用がわかりますし、あわよくば正確なゴミ撤去の見積書を見せてもらえる可能性もあります。
ただ、業者買い取りの場合、どうしても足元をみられがちなので、一社に相談するのではなく、一括査定サイトなどを利用して複数社に相談することをおすすめします。
例えば「マンションnavi」であれば、売却と買取の両方の査定を無料で出せるので、どのくらいの金額で売れるのか一度調べてみた方がよいでしょう。
近年、高齢化社会問題には文頭で相談のあった方の様に、「孤独死」によるトラブルなども目立ってきています。またそれに対応するように遺品整理士、特殊清掃士など、専門的な分野でのプロフェッショナルな職業もよく聞くようになりました。そういった専門家の意見を聞いてみることも一つの方法です。