分譲マンションに比べて戸建て住宅は、築年数が経過している家も多くあり、この「瑕疵担保責任」のリスクが高くなることを理解しておきましょう。
もちろん売買契約後であっても、マンション同様に「危険負担」のリスクを物件引渡しまで負っていることを忘れてはいけません。
「瑕疵担保責任」や「危険負担」の内容については、マンション売却の達人の「瑕疵担保責任、危険負担について」で詳しく説明していますので、そちらを参照してください。
戸建て住宅の瑕疵について
分譲マンションだと物件引渡し後に、構造や耐震性能に問題が発覚しても、共用部分に関してはマンションの建設業者や管理組合に対し責任を追及することができますが、戸建て住宅の場合だとそうはいきません。
シロアリ被害、地盤沈下、雨漏り、配水管の腐食など、色々な瑕疵担保責任を負う義務があります。
とくに戸建て住宅の場合は、築後30年や40年経過している物件も多く、瑕疵を含んでいる可能性は増すばかりです。
雨漏り程度の瑕疵であれば数十万円で補修することもできますが、構造的な部分や地盤などに瑕疵が見つかると、補修費用も数百万円という単になることがあります。
築年数が古い家でも瑕疵担保責任を負う必要があるのか?
築年数が20年を超えているような一戸建て中古物件は、ほとんど土地の価値しかなく、建物の価値は0だといっても過言ではありません。
そのため、物件査定でも築年数が経過している建物は気持ち程度しか、売買代金に反映されていないのが現実です。
建物の価値は100万円や200万円しか無いのに、それでも瑕疵担保責任を負う必要があるのでしょうか?
答えは「Yes」です。
たとえ建物価値が100万円しかなくても、売買契約書に「瑕疵担保責任を負う」ことが書かれていれば、売主は契約書に従った保証をしなければなりません。
瑕疵担保責任を免責してもらう
契約書に「瑕疵担保責任を負わない」ことが記載されていれば、売主には保証の義務は発生しません。
つまり築年数が古い家の場合、建物の価値はほぼ0に等しいのですから、最初から「瑕疵担保責任を負わない」ことを条件にして売り出せばよいのです。
築年数が30年や40年と古い家の売却では、このように売主の瑕疵担保責任を免責する契約は珍しいことではありません。
個人間の売買であれば、双方の合意があれば瑕疵担保責任を免責することが認められているからです。
例えば不動産業者の査定見積もり額が2300万円だったとします。
そうすると売り出し価格から50万円を引いて、2250万円にしてしまうのです。
もちろん、購入希望者には査定見積書を見せてもかまいません。
「この50万円は瑕疵担保責任を負わないために、建物分から値引きした金額です」と説明すれば良いのです。
このように最初から値引きしていることを買主側に解ってもらうことで、瑕疵担保責任を免責することに合意が取りやすくなります。
それか50万円も値引きしたくないというのであれば、売りに出す時点であらかじめ土地・家屋調査士に住宅診断をしてもらうことです。
これであれば、費用も3万円~5万円くらいで済みますし、現時点で大きな瑕疵が無い物件であることを証明することもできます。
どうしてもこれらの条件で買主が納得してくれず、瑕疵担保責任を要求される場合は、「既存住宅売買瑕疵保険」を検討することをオススメします。
この「既存住宅売買瑕疵保険」については、別記事の「既存住宅売買瑕疵保険で瑕疵担保責任の不安を解消できる」で詳しく解説しておりますので、そちらを参照ください。
~まとめポイント~
- マンションよりも戸建て住宅の瑕疵はリスクが高い
- 築何年であろうと契約書に瑕疵責任の記述があれば、売主義務がある
- 個人間の売買であれば、売主と買主の合意があれば瑕疵担保を免責できる
- 瑕疵担保責任を負わない代わりに相当額の値引きを考える
- 瑕疵担保責任を負わない手段として、土地・家屋の住宅診断を受けておく