傾いた家をリフォームで修復しようとした場合、かかる費用は傾き具合や原因などによって大きく異なります。
もっとも安価な工事方法で100万円から、高額な工事になると800万円程度が目安となります。
家が傾いてしまう原因は複数あるので、何が原因で、どういったプランで修復を進めるのかをしっかり調査しましょう。
この記事では、家の傾きの原因や対策、また傾いた家を手放す際の手段について、詳しくアドバイスしていきます。
傾きを直す工事方法と費用相場
家の傾きを直す修復工事の方法は、主に3種類あります。
- 土台上げ工法
- ダブルロック工法
- アンダーピーニング工法
どの工法にするかは、用意できる予算額や、家が傾いてしまった原因などによって変わります。
まずは工法別にどれくらいの金額が必要なのかを解説します。
費用は総額でどれくらいかかるか?
下記の表が、各工法の費用総額の目安です。
土台上げ | ダブルロック | アンダーピーニング | |
---|---|---|---|
工期 | 10~15日 | 20~30日 | 30~50日 |
費用相場 | 100~200万 | 300~500万 | 500~800万 |
在宅工事 | 可能 | 可能 | 相談が必要 |
日数や金額はあくまでも目安なので、依頼する業者によって大きく変わる場合があります。
例えば、同じダブルロック工法でも、300万円でやってくれる業者もあれば、500万円の見積もりを提示する業者もありますので、必ず複数の施工業者で相見積もりを取って確認しましょう。
また、在宅のまま工事してくれる業者もあれば、修復工事中は仮住まいを用意するように言われる業者もあります。
仮住まいが必要な場合は、その分費用が上乗せされるので、事前に必ず確認しておきましょう。
目安として、工事期間が1ヶ月以内であればホテルやウィークリーマンションなどを利用し、それ以上の期間を要するのであれば、仮住まい用の賃貸アパートなども検討した方がよいと思います。
土台上げ工法
家の傾きを修復する工事の中で、もっと安価で手軽にできるのが土台上げ工法です。
基礎部分と建物の土台部分を切り離し、基礎はそのままの状態で、建物のみを専用のジャッキ等で持ち上げ水平に戻します。
建物を持ち上げることで、基礎部分と建物の間に隙間が発生します。その隙間を無収縮モルタルなどで埋めることで、建物の傾きを直すことができます。
ただし下図をみてもわかるように、応急処置として傾きを直しているだけなので、根本的な解決にはなりません。
さらに地盤が沈下してしまうなら、家は再度傾いていきます。
ダブルロック工法
ダブルロック工法は、家の傾いている部分にセメント系の薬液を注入して、傾きを直す方法です。
先ほどの土台上げ工法との大きな違いは、地盤へ薬液を注入して岩のように強固な地盤にしてしまうことで、地盤の補強や強化にもつながるという点です。
地盤を強固にすることで、地盤沈下を起こりにくくすることができます。
(補足)ダブルロック工法と薬液注入工法の違い
ダブルロック工法と似たやり方で、薬液注入工法というものもあります。
こちらは流し込む薬液に、ウレタン樹脂などを使用するのですが、ウレタン樹脂はシロアリ被害に弱いことが指摘されており、せっかく補強してもシロアリ被害によって再度地盤沈下する恐れが指摘されています。
また従来の薬液注入工法に比べ、ダブルロック工法では特殊な薬液を使用することで、1mm単位での微調整にも対応できるようになっています。
作業内容としては、薬液注入工法もダブルロック工法も大差はないので、工事期間も費用もそこまで大きく違ってくることはありません。
そのため、似たような工法であっても、ダブルロック工法を採用している業者に依頼することをおすすめします。
アンダーピーニング工法
アンダーピーニング工法とは、油圧ジャッキを使って家の沈んだ部分を持ち上げ、コンクリートの柱や鉄の杭を地盤に打ち込むことで、家の傾きを支える方法です。
この工法は、地盤の支持層がどれくらいの深さにあるかによって費用が大きく変わります。
先に紹介した2つの工法よりも大掛かりな工事になるので、かなりの出費を覚悟しなければなりません。
工法の特性上、事前に正確な見積もりを依頼するのが難しい場合があるので、注意が必要です。
悪質な業者の場合、「実際に工事してみないと見積もりは一切わからない」と言って、作業後に多額の費用を請求してくるケースもあります。
確かに見積もりを出すのが難しい工法ですが、建物がない庭などで地盤調査をするなど、ある程度の目安を調べることはできるので、まったく見積もりが出ないということはないはずです。
大がかりな工事になるので、悪質な業者に依頼してしまうと大変な事になります。
あとで後悔しないように、しっかりと業者を選んでから依頼しましょう。
ここまで家の傾きを直す工法について解説しましたが、工法によって工事期間や費用に大きく差が生じます。
費用が高い工法は再沈下などの可能性が低くなり、比較的高い効果が期待できます。
一方で費用が安い工法の場合、再沈下の可能性やシロアリによる二次被害の可能性も考えられます。
予算と希望する強度のバランスを考えて、納得のいく工法を選びましょう。
家の傾きを引き起こす原因
家が傾く原因は大きく2つあります。
- 土地に問題がある場合
- 建物に問題がある場合
同じ家の傾きでも、土地と建物のどちらに原因があるのかで、修復作業の内容や、かかる費用も大きく違ってきます。
土地に問題がある場合
土地に問題があって家が傾いてしまうと、土地を含めた修復工事が必要になるので、工期も費用も大きくなりがちです。
土地が原因となる家の傾きには3つの理由があります。
- 地盤沈下
- 液状化現象
- 地盤のズレや歪み
地盤沈下
軟弱な地盤の上に建物を建てると、重みで地盤が沈むため、建物が水平を保てなくなります。
家を建てる前にしっかりと地盤調査をして、地盤に見合う改良をしていれば防げる可能性が高いため、家を建てた施工会社のミスとも言えます。
最近は20年や30年という長期的な地盤保証をつけているハウスメーカー・工務店も多いので、なるべく早めに家を建ててもらった施工会社に相談しましょう。
液状化現象
テレビ等で見たことがあると思いますが、大きな地震が来た際、軟弱な地盤から水分が地表に浮き出てくる現象を「液状化現象」といいます。
すべての土地で起こる訳でなく、水分をたくさん含んでいる土地で発生することが多い現象です。
海や川の近くだったり、埋め立てによって造成された土地に家を建てた場合は、液状化現象に注意する必要があります。
地盤のズレや歪み
東日本大地震クラスの地震が起こると、例え強固な地盤でも断層にズレや割れが発生し、地盤が沈んでしまうことがあります。
地震などが原因で地盤が沈む際には、土地によって差が出るケースがあります。
地震後に、周りの家は問題ないのに自分の家だけが傾いてしまった場合は、施工時の地盤改良に問題があった可能性があります。
このようなケースでは、施工会社に相談するとともに、必ず複数の業者に相談して現地を調査してもらい、どのように修復するかを決めましょう。
建物に問題がある場合
建物自体に傾きの原因がある場合は、高い確率で傾きを修正することができます。
土地に原因がある場合に比べて、工事費用も比較的安価に収まります。
建物が原因となる家の傾きには、3つの理由があります。
- 建物の劣化
- シロアリ被害
- 施工ミス
建物の劣化
基礎と建物の間には土台や下地材があり、年数が経つと劣化してしまいます。
土台や下地材が劣化すると、建物を支える木材がなくなるので、建物が傾いてしまうことがあります。
特に水を使うことが多い、キッチン周りや浴室まわりで起こりやすい現象です。
劣化して悪くなっている部分の木材を交換・補強すれば、家の傾きを直すことができるので、比較的簡単な修復工事で直すことができます。
といっても、床下をはがしたり、新しい木材へ交換することを考えると、費用はそれなりに掛かってしまいます。
目安としては1平米あたり2万~3万円くらいを想定しておくとよいでしょう。
仮に10畳分の木材修復や交換が必要であれば、「10畳=18.24平米」なので、費用は36~55万円くらいが相場となります。
なおこの費用は、床材・下地材・シロアリ対策、そして施工費なども含まれた目安です。
シロアリ被害
前項で説明した内容とほぼ同じですが、原因が経年による劣化ではなく、シロアリによる被害という違いです。
建物を支える土台や下地材などをシロアリが食い荒らしてしまうことで、その部分の強度が弱くなり、建物自体が傾いてしまいます。
地盤の問題で家が傾いた場合は、1階も2階も同じように傾くのですが、シロアリが原因の場合は被害にあった箇所によるので、2階だけが傾いてしまうこともあります。
構造の柱をシロアリが食べてしまうことで、2階部分の重みを支える柱がなくなってしまうことが原因です。
実際の修復費用の目安は、1平米あたり2万~4万円くらいを想定しておくとよいでしょう。
ただし床下の土台や下地材だけでなく、柱なども被害にあっている可能性が高く、そうなると費用も範囲も大きくなってしまいます。
施工ミス
家主にとってはもっとも嫌な原因ですが、建設時の施工ミスによって家が傾いてしまうこともあります。
多いのは先ほど例に挙げたように、適切な地盤調査や地盤改良などの対策をしなかったことが原因です。
明らかに施工業者のミスですので、保証を含めてしっかりと修復に関する相談をしましょう。
他にも構造的な問題や手抜き工事などが原因で傾くケースもありますが、これらはミスというよりも、欠陥住宅と言う方が正しいでしょう。
このような被害に巻き込まれないためにも、ハウスメーカーや工務店はしっかりと選ぶ必要があります。
もしこれから新しく家を建てることを検討している人は、姉妹サイトの「注文住宅の達人」でハウスメーカーや工務店の選び方について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
家の傾きの調査・修理を行っている業者
家の傾きを修復する場合ですが、一般的なリフォーム業者に依頼するのはNGです。
もちろんリフォーム業者でも対応してくれるケースもありますが、家の傾きを修復するプロではありません。
例えば、家の解体をリフォーム業者に依頼すると、専門の解体業者へ外注依頼されるのと同じで、結局傾きを直す専門の業者に外注工事をお願いすることになります。
そうなると、当然リフォーム業者と専門業者の2社が利益を取ることになるので、相場よりも高い工賃を請求される可能性があります。
ですので、家の傾きを修復する場合は、専門業者に直接見積もりや工事依頼をすることをおすすめします。
地元に専門の業者がない地域もあると思うので、実績のある業者をいくつかピックアップします。
我妻組
業者名 | 我妻組 |
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住所 | 山形県米沢市成島町2丁目1-30 |
電話番号 | 0238-23-4297 |
対応エリア | 北海道、東北、関東が中心 (協力会社含めれば全国対応可) |
ウェブサイト | https://wagatsumagumi.jp/ |
我妻組は曵家(ひきや)・沈下修正工事のプロフェッショナルとして、NHKなどのメディアで数多く紹介されています。
サイトでは実際の事例が画像付きで紹介されており、北海道胆振東部地震や台風19号浸水嵩上げ工事などの災害復旧工事などの実績もあります。
「地下水の過剰揚水・軟弱地盤での増築・地震」などが原因で起こる地盤沈下による家の傾きを直してくれます。
第三者保険会社の審査をパスした沈下修正保険対象事業者で、10年保証(諸条件有)がついており、再度不同沈下が発生した場合に最大5,000万円まで補償してくれるので、安心です。
レフトハウジング
業者名 | 株式会社レフトハウジング |
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住所 | 埼玉県比企郡鳩山町松ヶ丘1-5-5 |
電話番号 | 047-721-5522 |
対応エリア | 日本全国(※北海道、沖縄を除く) |
ウェブサイト | https://left-h.co.jp/ |
レフトハウジングは、家の傾き修正を専門にしている業者で、これまで阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本大地震など多くの災害対応実績があります。
修復工事費の低価格化にも挑戦していて、居住しながら修復工事ができる技術を持っており、少しでも依頼主の負担を減らす努力をしています。
傾き工事を専門にしている業者の多くは、ビルなどの大規模工事用の機械しか持っていませんが、レフトハウジングでは一般家庭用の工事器機を導入することでコストを最小限に抑え、低価格を維持しているとのことです。
家の傾き相談室
業者名 | 株式会社アップハウス |
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住所 | 埼玉県越谷市宮本町4-47 |
電話番号 | 048-287-9655 |
対応エリア | 日本全国 |
ウェブサイト | https://www.up-house.jp/ |
埼玉県に本社をかまえるアップハウスですが、公式サイトを見てもわかるように、日本全国から家の傾き工事の依頼がきています。
北海道から九州の長崎まで、要望があればすぐに駆けつけてくれる安心感があります。
またテレビ番組でも紹介されるなど知名度や実績も高く、これまでの施工数は1500件以上となっています。
特に大掛かりな工事となるアンダーピーニング工法などを得意としており、部分的な工事にも対応してくれるので、必要最小限の出費で修復工事をお願いすることができます。
石川技研
業者名 | 株式会社石川技研 |
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住所 | 滋賀県彦根市地蔵町71-3 |
電話番号 | 0749-24-8100 |
対応エリア | 日本全国 |
ウェブサイト | http://www.sekiya-giken.com/ |
家が傾く地盤沈下の修復工事だけではなく、建物そのものを別の場所に移動する曳家工事、土木工事、水道工事、解体工事などに対応してくれるのが石川技研です。
幅広く建物の修復工事に携わっており、地盤改良だけでなく、あらゆる方面から家の傾きの修復工事の提案をしてもらうことができます。
もちろん相談、見積もり、工事まで、すべて自社での一括対応になっており、第二・第三の業者を入れることがありませんので、ムダな中間マージンなどが発生することもなく、低価格で対応してもらうことができます。
再沈下の不安が少ないダブルロック工法を得意としていますので、軟弱地盤や液状化などが原因の家の傾きでも安心してお願いすることができます。
セーフティ地盤
業者名 | 株式会社セーフティ地盤 |
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住所 | 福岡県北九州市八幡西区本城1丁目19?1 |
電話番号 | 093-482-5711 |
対応エリア | 九州地域 |
ウェブサイト | http://www.safty-jiban.com/index.htm |
九州は比較的大きな地震が少ない地域だったこともあり、地盤沈下の修正を専門にしている業者があまり多くありません。
セーフティ地盤は、九州の福岡に本社を構える施工業者ですが、九州各地の地盤修復工事にも対応してもらうことができます。
特に高額になりやすいアンダーピーニング工事でも、セーフティ地盤の公式サイトを見るとかなり低価格で実施しているので、九州に住んでいる人なら検討しておきたい一社だと思います。
傾いた家の売却や解体を考えている場合
傾いてしまった家を手放すために、売却や解体を考えているのなら、事前にしっかりと「傾いた原因」を調べる必要があります。
売却して他人に渡すにしても、自身で家を建て替えて住むにしても、傾いた原因がわかっていなければリスクがつきまとうからです。
特に売却を考えている人は、売主としての責任もありますので、売却活動の前にしっかりと調査を行いましょう。
そのまま家を売却する
やはり一番売却が難しいのが、傾いたままの状態で売却することです。
この場合、市場相場よりも大幅に値下げをして売り出すことになりますし、さらに買主側から値下げ交渉がくることも想定しておく必要があります。
ただ価格を下げたからといって、そう簡単に売れるとは限りません。
買う側からすると、修復工事にどれくらいの費用がかかるのか、修復しても再度地盤沈下が起こるのではないか、などといった不安があります。
そのため先ほど書いたように、事前に傾きの原因を調べた上で、大まかな修復費用や、再沈下の防止対策などについて、説明できるようになっておいた方がよいでしょう。
リフォームしてから売却する
傾きを直してから売却する場合、どれくらいの費用がかかるかを計算した上で、売却価格をいくらにするか決める必要があります。
もし工事に多額の費用がかかる場合は、リフォームすることでかえって損をしてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
また仮に上手く傾きが直せたとしても、地盤沈下が原因で家が傾いていた場合は、それを買主に隠して売ることはできません。
隠したまま売却してしまうと、瑕疵担保責任(契約不適合責任)により、賠償問題となる可能性があります。
当然、家が傾いていたことを告げれば、買主側は値引き交渉してきますので、このケースでもある程度の値引きは覚悟しておく必要があります。
※売却時の瑕疵担保責任については、こちらの「瑕疵担保責任(契約不適合責任)、危険負担について」のページで詳しく解説しています。
上記ページではマンションを売る場合の例になっていますが、戸建てでも同様です。
買取専門業者に売るのが無難?
そのまま売るにしても、リフォームして売るにしても、個人相手に売るのは正直に言って難しいです。
特に地盤沈下が原因で傾いていた場合には、売った後にもリスクが残るので、慎重に検討する必要があります。
そういった不安をなくしたいなら、個人ではなく「買取専門業者」に任せてしまう方が良いかもしれません。
買取を専門に行っている業者は、古くなった物件や事故物件などを積極的に買取り、自社でリフォームして再販するという仕組みを持っています。
デメリットは、買取価格が普通に売る時に比べて低くなってしまうことですが、瑕疵担保責任(契約不適合責任)などのリスクはなくなります。
買取業者に依頼する場合であれば、早ければ数日で現金化できることもあるので、急いで手放したい人にも適していると思います。
買取業者を利用する際のメリット・デメリットについては、「一戸建ての買取について」のページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
傾いた家を解体する場合
傾いた家を一度解体してから建て替えをする、または更地にしてから売却したいと考える人もいると思います。
このケースでも、やはり事前に傾いた原因を調べる必要があります。
もし傾いた原因が「建物」にあるのなら、解体してしまえば関係無くなるので、特に問題はありません。
一方で原因が「土地(地盤)」にある場合は、建物を取り壊した上で、地盤改良などの対策を行わなければ、再活用することはできないからです。
後者の場合は、解体以外の費用がかかる可能性があるので、事前に業者側とよく相談することが大切です。
家の解体に関しては、「一軒家の解体費用と注意点」のページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
よくある質問
家の傾きについて、よくある質問をまとめたので参考にしてください。
家の傾きを放置すると倒壊する危険はある?
すでに解説したように、家が傾いてしまう理由の多くが「地盤沈下」にあります。
軟弱地盤によって引き起こされる地盤沈下は、基本的に自然とおさまることはなく、少しずつ沈下が続いている状態です。
将来的に建物が倒壊してしまう恐れは十分にありますので、できるだけ早い段階で対策を考えましょう。
その方が工事をする場合の費用も大幅に安く済ませることができます。
家の傾きに対して保証は使えるの?
新築だと10年、業者から中古で購入した住宅だと最長2年ほどしか保証期間はありません。
ですので、新築の場合は建物保証がついている10年以内を目処に、家の傾き検査を実施することを強くおすすめします。
保証期間内の傾きであれば、もちろん無償で修復してもらうことができます。
また、傾きの原因が地盤に関するものと特定できるのであれば、地盤保証も使えます。
最近では、地盤保証に30年などの長期保証をつけているメーカーも多いので、多少築年数が経過している家でも、一度保証内容を確認してみてください。
さらに、家の傾きの修復工事を依頼する場合にも、アフター保証の有無や、期間がどれくらいあるのかをチェックしてください。
基本的に10年保証をつけている業者が大半なのですが、中には保証について一切記載をしてない業者もありますので、注意が必要です。
傾いた家に住み続けると健康被害がでる?
傾いた家に住み続けている、と三半規管に異常を起こし、頭痛や吐き気などを引き起こすと言われています。
実際に、私が過去に傾いた家の内見に案内した際に、ほんの10分程度中にいただけで、気持ち悪くなってしまったという人もいました。
日刊ゲンダイヘルスケアの記事によると、傾斜が0.6度を超えると健康被害を訴える人が多くなると言われているようです。
長期間傾いた家に住み続けるのはリスクが高いので、できる限り早めに対策を考えましょう。
参考:傾斜0.6度でめまいや頭痛…“傾き住宅”に潜む「病気リスク」
アプリで傾きを計測できるって本当?
iPhoneやAndroidなどのスマートフォンアプリを使って傾きを計測することはできますが、率直に言うと信頼制は低いと思われます。
計測用のアプリなども開発されていますが、スマホ本体に歪みが出てしまっていることが多く、正確な数値が測れないためです。
参考程度にはなるかもしれませんが、もし傾きを測りたいのであれば、1,000円台で買える「水平器」を利用することをおすすめします。
あくまで簡易的に家の傾きを測定する目的なので、あまり難しく考えず、下記の画像のように気砲が線と線の中央位置にあれば、傾きはあまり無いと考えてよいでしょう。
ちなみに100円ショップなどでも水平器は売っていますが、信頼度が低いのであまりおすすめはできません。
商品を選ぶ際には、「精度」という項目があるので、なるべく数値が小さいものを選びましょう。
100円ショップで販売されている水平器の精度は±5mmくらいの商品が多いようでが、なるべく±2mmくらいの商品を選びたいところです。
まとめ
家の傾きは、放っておくと住む人の健康にまで被害を及ぼす可能性があるので、少しでも早く修復することが大事です。
修復工事をするためには、傾いた原因を知る必要があり、それによって工事の内容も大きく違ってきます。
工事する業者側にも得意、不得意な工事がありますので、工事内容に見合った業者を適切に選びましょう。
特に土地自体に問題があって家が傾いている場合は、長期間放置すると家が倒壊するリスクも出てきます。
対応が遅くなればなるほど、傾きを直すためにかかる時間や費用が大きくなっていくので、実害がないからといって放置せずに、なるべく早めに専門業者へ相談してください。
もし保証期間が残っていれば、費用をかけずに修復できる可能性があるので、少しでも早く確認することが大切です。