「不動産の知識がない自分たちでもマンションを買うことはできるのだろうか?」
このような不安を抱えてる人も多いかと思います。
そんな時に、購入する物件の価格の目安となるのが「自分の年収」です。
年収によって購入する物件の価格を決める
マンション価格と自分の年収を比較してみることで、おおよそのマンション価格を決めることができます。
それが「マンションの年収倍率」という指標です。年収倍率とは「自分の年収の何倍に相当するのか」という意味です。
一般的なマンション年収倍率は7.0倍と言われており、年収600万円の人は、おおよそ4,200万円のマンションが適正ということにいなります。
ですが、今このマンション年収倍率にちょっとした異変が起こっているようです。
今回はその異変を交えて、マンションの年収倍率について解説していきたいと思います。
東京都のマンション年収倍率は全国平均よりも高め
先程、一般的なマンション年収倍率は7.0倍だと書きましたが、首都圏では物価が高いこともあり、一般的な倍率より高い8倍~9倍程度と言われていました。
東京都の平均年収は2015年度で623万5,400円と発表されているので、この8倍となれば約4,990万円、9倍だと約5,611万円という計算になります。しかし、2015年の東京都新築マンション価格は、70㎡で換算した場合7,086万円となっています。
この価格は、都内の平均年収623万5,400円で計算すると、マンション年収倍率で表すと「11.3倍」にもなってしまいます。
物件の相場が高い大阪府のマンション年収倍率は8.24倍、愛知県は7.40倍なので、東京都の新築マンション年収倍率は異常なほど高くなってることがわかります。
「東京の不動産は高いからそんなものだろう」と思うかもしれませんが、5年前の2011年では、東京都のマンション年収倍率が9.43倍(当時平均年収611万、マンション価格5,763万円)と、現在ほど高い倍率ではありませんでした。
単純に、5年前に5,763万で買えた新築分譲マンションが、今では7,086万円ということになります。
これでは「マイホームを買いたいけど買えない」という人が増えていく一方です。
年度 | 年収 | 価格 | 年収倍率 | |
---|---|---|---|---|
新築マンション | 2016年 | 627万 | 7086万 | 11.30倍 |
新築マンション | 2011年 | 611万 | 5763万 | 9.43倍 |
新築マンションから中古マンションへ矛先を変更
新築マンションの購入を諦めた人たちが、次に照準を合わせるのは「中古マンション」です。特に、築10年以内の築浅の中古マンションにその矛先が向けられるようです。
そこで、東京都内の築10年以内の中古マンションも同じように年収倍率で見てみましょう。
年度 | 年収 | 価格 | 年収倍率 | |
---|---|---|---|---|
中古マンション | 2016年 | 627万 | 5372万 | 8.57倍 |
中古マンション | 2011年 | 611万 | 4491万 | 7.35倍 |
この表からわかるように、首都圏での年収倍率の適性値とされる8倍~9倍にピタリと収まってることがわかります。
5年前の2011年と比較すると、都民の平均年収はわずか16万円しか増加していないのに、5年前の新築マンションと同程度の価格を出してやっと中古マンションが買えるほどということがわかります。
マンション購入は早めの決断を
これほど高値となっている都内のマンション市場ですが、どうしてもマイホームとしてマンションを購入したい人にとっては、今後さらにマンションの価格が上昇するのではないかと恐れ「今買わないと」という心境に陥ってしまいます。
確かに、2020年の東京オリンピックまで首都圏の不動産は上昇すると、テレビや雑誌など多くの媒体で目にしますから、そう思ってしまうのも仕方ありません。
現在、東京都内はオリンピック開催などによって、都内の不動産業界がプチバブル期と言われていますが、実際のところ、新築マンションの販売戸数や成約率が下落している地域もあるのが現状です。
そのような不動産の価格下落のサインがあると、投資目的で不動産を購入した人たちが売り急ぐ可能性もありますが、もしそのような状況になったとしても都内のマンション市場は売れあまることはないはずです。とはいえ、都内マンション年収倍率は今後も高くなっていくことが予想されます。
もし、中古マンションの購入を検討しているのであれば、なるべく早い段階で決断した方が良いかもしれません。