住み替えの場合、同じ不動産業者「売却」と「購入」を依頼するのがおすすめです。
理由は同じ業者にすることで取引をスムーズに行うことができ、住み替えの事情(時期や資金)にも考慮してくれるからです。
しかし、「売却する物件」と「購入する物件」の地域が異なる場合は、それぞれ別の不動産業者に依頼をした方が良いケースもあります。
この記事では、同じ不動産業者に依頼した場合のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
1つの不動産業者で売却と購入を行うメリット
売却と購入を同じ不動産業者で行うと窓口を一本化できるなどのメリットがあります。ただし、おすすめできない場合もあるので、住み替えの状況によってどうするか判断する必要があります。
では、実際に「売却」と「購入」を同じ不動産業者で行った場合のメリットを解説していきます。
効率よく手続きが進む
「売却」と「購入」を同じ不動産業者に依頼した場合、連絡をスムーズに取り合うことができ、効率よく手続きを進めることができます。
それぞれ別の業者に依頼した場合、連絡も2社と取り合う必要があります。何か用件があっても別の不動産業者同士で連絡を取り合ってくれることはほぼありません。
しかし、同じ業者で手続きを進めれば、一度の連絡で売却の話も新居の話も同時にすることができます。
住み替えの際には売買の手続きや準備などでやることが一気に増えるため、「連絡くらい・・・」と思っていても、いざ売買活動を始めてみるととても便利だと感じられるポイントになります。
また、住み替えは「自宅の売却」と「新居の購入」の2つを進めなければいけません。もし先に「自宅を売却」する場合、自宅の引渡し日までに「新居の購入」をしなくては住む家が一時的になくなってしまい、「仮住まい」をしなくてはなりません。
逆に、先に「新居の購入」をした場合、新居の住宅ローンの開始前までに「自宅の売却」を終えたいものです。
この場合、違う不動産業者に依頼していると、売却と購入のタイミングを上手く自分で調整する必要があり、2社と連絡を取り合いながら進めていく必要があります。
しかし、同じ業者に両方を依頼することで、売却と購入のタイミングが合うようにできるだけ調整してくれるので、スムーズに住み替えを進めることができます。
手数料の値引き交渉がしやすい
また、金銭面でも大きなメリットがあります。住み替えの場合、「売却」と「購入」の両方に対して仲介手数料が発生します。
そのため、売却と購入を別の業者に依頼した場合、「売却をお願いした業者」と「購入をお願いした業者」の2つの業者に仲介手数料を支払わなければいけません。(※ただし支払う仲介手数料の額は1社でも2社でも同額)
しかし、これを同じ業者に依頼することで、仲介手数料の値引きが成功しやすくなるのです。
受け取れる仲介手数料には上限が設定されており、その上限額で請求してくる不動産業者がほとんどです。下記が、仲介手数料の計算方法です。(※売買金額が400万円を超える場合)
物件価格×3%+6万円=仲介手数料(税別)
では実際に、物件の売買にはどれくらいの仲介手数料が発生するのでしょうか。売却も購入もそれぞれ2,000万円だった場合を例に考えてみます。
- 売却の仲介手数料(A不動産)・・・66万円(税別)
- 購入の仲介手数料(B不動産)・・・66万円(税別)
別々の不動産業者で購入と売却を依頼した場合、上記のような手数料をそれぞれ支払うことになります。決して安い金額ではありません。
しかし購入も一緒にお願いした場合、132万円(税別)分の手数料を値引きしてくれる可能性が高くなります。理由は、本来業者は売却で得られる手数料のみを想定しているからです。
売却と購入を同じ業者に依頼する場合は、是非値引き交渉にチャレンジしてみてください。
掘り出し物件を紹介してもらえる可能性がある
メリットの最後は掘り出し物件を紹介してもらえる可能性がある点です。
不動産物件は、ホームページなどに物件情報を載せる前に、有力な顧客に対して掘り出し物件の購入を勧めているケースもあります。
先ほども説明したように、ホームページ等で物件情報を公開すれば、他の不動産会社がお客さんを見つける可能性が増え、手数料の取り分が減ってしまいます。ですので、まずは自社内で有力な顧客に購入の打診をするケースが多いのです。
つまりホームページなどに公開される前に、掘り出し物件の情報をゲットできる可能性が高くなります。
とくに売却と購入を同時依頼しているお客さんに対しては、優先的に物件を紹介してくれるはずですから、購入だけを依頼しておくよりもおすすめです。
1つの不動産業者で売却と購入を行うデメリット
同じ不動産業者に依頼することで、得られるメリットの方が多いのですが、「売却する物件」と「購入する物件」が、違う地域の場合は同じ不動産業者に依頼することはあまりおすすめできません。
多くの不動産業者が「地域密着型」と宣伝し、営業しています。そのため、不動産業者によって得意な地域が存在し、その土地について知っている情報量が全く違います。
それぞれの物件が離れた地域にある場合、売却する物件を依頼した業者に全く違う地域の物件の購入をお願いすることになります。ということは、不動産業者にとって購入する物件の地域は得意なエリアから外れているということになります。
「地域密着型」で地元の情報に強い不動産業者であればわかる情報でも、他の地域にある不動産業者ではわからないということもあるのです。
違う地域の物件のことも、依頼をすればもちろん引き受けてくれることの方が多いですが、その業者にとっては得意なエリアではなく情報量に限りがあるため、損する可能性もでてきます。
このように、売却する物件と、購入する物件の地域が違う場合は、売却の依頼は売却物件のある地域の業者に、購入の依頼は購入する地域の業者にそれぞれ任せた方がおすすめです。
まとめ
以上、「売却」と「購入」を同じ不動産業者に依頼した場合のメリットとデメリットを紹介しました。
売却する物件と購入する物件の地域が同じ場合は、一社にまとめて依頼をするのがおすすめです。その場合のデメリットは特にないことがこの記事を読んでわかっていただけたと思います。
しかし、不動産業者によって得意なエリアとそうではないエリアが存在するため、売却する物件と購入する物件の地域が異なる場合は、よく検討して決めましょう。
上手に不動産業者を選ぶことが住み替えを成功させるポイントとなります。