マイホームの買い替えで、中古マンションを安く購入するための値引き交渉術を解説します。買い替えする場合は現在の住まいを売りに出すので、値引き交渉される側にもなります。
この記事では、購入する際の値引き交渉を中心に交渉される側のポイントもまとめています。これから買い替えで新居を購入予定の人は、ぜひチェックしてみてください。
- 【目次】中古マンションの値引き交渉術
買主として値引き交渉に臨むまえに抑えておくこと
候補となる買い替え物件が見つかった場合、まず内覧に行くと思います。しかし内覧に出かける前に、やっておくべきことがあります。それは該当物件の下調べです。
マンションの評判以外にも適正価格をしっかりと調査しておきましょう。理由は、中古マンションが必ずしも適正な市場価格で売り出しされているとは限らないからです。
売主が業者のような法人であれば、ある程度相場に近い価格で売りに出されていますが、売主が個人の場合はそうとは限りません。基本的に個人が売主の場合の売出価格というのは、市場の相場よりも売主の事情が優先されるからです。
つまり市場相場が3,000万円だったとしても、売主の住宅ローン債務が3,500万円残っている場合、当然売主としては住宅ローンが完済できる金額で売却したいと考えるはずです。
このように相場より高く売りに出されるケースもあるので、まずはしっかりと下調べをしてから内覧に出かけるようにしましょう。
値引き額の目安を把握しておく
そもそも中古マンションは値引きできるのか?という疑問をもっている人もいると思いますが、ほとんどの中古マンションで値引きが可能です。
これは売主も不動産業者も値引き交渉があって当然だと考えています。そこで問題になるのがいくら値引きできるのかです。
まず一般的に、マンション価格の端数はほぼ値引きに応じてもらえると考えて良いでしょう。3,680万円で売りに出されている物件であれば、端数の80万円は簡単に値引きに応じてもらえると思います。
理由はこの80万円という端数は、値引きされることを想定して最初から高めに設定されている数字だからです。
本来売主は3,600万円で売れればOKと思っているケースでも、不動産業者のアドバイスで値引き交渉された場合の金額を上乗せして売りに出しています。
3,680万円の物件であれば3,600万円に値引きしてもらうのは当然で、さらにそこからどこまで値引きできるかがポイントとなります。
ここから先の値引き交渉は、物件の築年数、地域、人気、売出価格であったり、売主の事情などが関係してくるので、一概に○○万円は値引きできます!とは言えません。
これ以降の交渉のポイントは次の項目で詳しく説明していきます。
交渉のタイミング、やり方を理解しておく
中古マンションの値下げは端数を切り下げてもらってからが勝負です。そこから先の値下げは、その物件の内容や売主の事情によって変わってきます。まずは値下げ交渉のタイミング、やり方について解説していきたいと思います。
値引き交渉のタイミング
値引き交渉ってどのタイミング切り出せばよいのか迷いますよね。しかし値引き交渉を買主が直接行うことは基本的にはありません。
値引き交渉をきり出すタイミングですが、一般的には「内覧が終わったあと」になります。内覧して購入の意思があるのでしたら、買主は売主に対して「買付申込書」という書類を提出します。
その書類のなかで自分たちが希望する買付価格を記載しておけば問題ありません。
3,680万円という価格のマンションだったとして、自分たちが3,500万円で買いたいと思うのであれば、3,500万円と書いた買付証明書を提出するだけで値下げ交渉がスタートします。
値引き交渉のやり方
買付証明書に自分の希望購入価格を書いて提出すれば、あとはその価格で契約するかを売主側が判断することになります。ですので、売主と買主が面と向かって値引きの交渉を直接することは基本的にはありません。
こちらが提示した金額では売れないというのであれば、売主側からお断りの申し出があるでしょうし、逆に売主側から価格の提示があることもあります。このやり取りは仲介業者を介して数回繰り返し契約に至るのが一般的なやり方です。
値引き交渉する際のポイント
値引き交渉を売主と直接行うことはありませんが、仲介してくれている担当者とは値引き交渉しなければなりません。
基本的に仲介業者の担当者は、売主と買主の意向を相手に伝えるだけの存在なのですが、この担当者を味方に付けることが値引き交渉では大事になってきます。
わたしの経験からすると、担当者は売主よりも買主の味方になりやすい傾向を感じます。理由は不動産業者は売買が成立しなければ1円も利益が入ってこないので、買ってくれる人を優先するからです。
つまり難しく考えることはなく、ただ本気で購入の意思があることを伝えるだけで良いと思っています。
値引き交渉できそうな条件を探す
よく言われる言葉として「物件内覧はアラ探しである」というものがあります。これは、値引き交渉の材料になりそうな箇所をみつける時間という意味です。
物件の見定めも大事ですが、それと同じくらい内覧者は値引きできそうなポイントをチェックしています。ただし値引き材料になりそうな部分を発見したとしても、その場でそれをネタに値引き交渉を始めるのはNGです。
内覧が終わり、担当してくれている営業マンに対して、「壁紙が思っていたよりも汚かった。全部張り替えないといけないので、その分を考慮して値下げできないか交渉してくれませんか」と打診してください。
ただし、あまりにも悪い部分ばかりを言って、売主の気分を害してしまっては意味がありません。仮に値引き材料になりそうなポイントをたくさん発見したとしても、1つか2つの材料に絞って値引き交渉してもらうようにしましょう。
ではここからは、値引き交渉の材料になりそうなポイントを解説していきたいと思います。
リフォーム時期
中古マンションの値引き交渉で多く用いられるのがリフォーム費用です。中古マンションという特性上、どうしても多少のリフォーム工事が必要になります。
壁紙を交換するだけの簡単な場合もありますし、システムキッチンまるごと交換なんてケースもあります。これらのリフォーム費用分を売主にも多少負担してもらうという名目で、値引きしてもらうように交渉するのです。
例えばですがお風呂の給湯器が壊れており、お湯が出ない状態だったとします。当然このままでは普通に住むことはできません。ですので、壊れた給湯器を修理(交換)した状態で売りに出すのが一般的です。
もし給湯器が壊れたままの状態であれば、その修理(交換)費用分を売主に負担してもらうように交渉してください。
ただし壊れていれば、このように修理や交換をお願いできると思いますが、実際に壊れていなければどうでしょう?なかなか値引き交渉の材料にはしづらい部分があるのではないでしょうか。
しかし設備類には、平均寿命というのがあります。ガス給湯器であれば、平均的な寿命(交換目安)は10年~15年だと言われています。もし購入しようとしているマンションが築15年の物件であれば、いつガス給湯器が壊れても不思議ではないのです。
購入後、わずか1ヶ月で壊れる可能性も少なくありませんよね。そういったことを理由に値引き交渉の材料とすることだってできるのです。
あくまでも目安ですが、マンションの築年数別でリフォーム費用の相場を書いておくのでチェックしてください。
築年数 | 費用相場 | リフォーム箇所 |
---|---|---|
5年 | 10万円 | ハウスクリーニング、畳替え |
10年 | 40~50万円 | ハウスクリーニング、畳替え、壁紙の貼り替え |
15年 | 70~100万円 | クリーニング、畳交換、壁紙交換、給湯器、温水トイレ、フローリング貼り替え |
20年 | 130~180万円 | クリーニング、畳交換、壁紙交換、給湯器、温水トイレ、システムキッチン、フローリング |
25年~ | 200~250万円 | クリーニング、畳交換、壁紙交換、給湯器、温水トイレ、キッチン、フローリング、ユニットバス交換 |
周辺環境の問題点
マンションの査定価格では周辺環境も大きく影響をします。ただし基本的には、プラス査定となる大型ショッピングモール、駅や学校までの距離が考慮され、マイナス評価となる査定はあまり影響しません。
近くにゴミ処理施設や墓地などがあればマイナス査定がつきやすいのですが、暴力団の事務所や宗教団体の施設があってもマイナス評価になることはほとんどありません。
このように査定に考慮されない近隣の迷惑施設を理由に、値引きの材料とするのも1つの手段だと思います。
ただし最寄駅までの距離が遠い、向かいに高層マンションがあり日が当たらないなど、だれが見てもマイナス要素と考えられる項目については、すでに査定の段階で考慮されている可能性があるので注意が必要です。
マンションの外観の問題点
マンションの場合見落としがちなのが、建物の外観です。戸建て住宅であれば、外壁の塗装が剥がれていたり、屋根の瓦が一部欠けていたりするのですぐにわかりますが、マンションとなれば話が違ってきます。
マンションの外装が汚れは気づくかもしれませんが、クラックと呼ばれるヒビ割れまではなかなかチェックできないと思います。もし気づいたら値引き交渉の1つとして考えておきましょう。
マンションの土地問題
マンションは部屋を買うと思っている人が多いようですが、それは間違いです。一般的な分譲マンションというのは、部屋は当然ですが、戸建て住宅と同じように土地の権利も同時に購入することになります。
ただし、20世帯のマンションであれば、その世帯数で土地を分割所有するのが一般的です。
わかりやすく解説するなら、100坪の土地があったとして、それを20世帯で分割所有するのですから土地の持分は一世帯あたり100分の20となり、一世帯あたり5坪程度の割り当てということです。
さて土地の値引き材料ですが、これはマンションによって違ってくるのですが、まずは分譲マンションの土地には2つのタイプがあることを理解しておきましょう。
1つ目はさきほど説明した世帯主が分割所有するタイプで、これを「敷地権」といいます。そしてもう1つが、地主から土地を借りている「借地権」というタイプです。
借地権であれば、契約期間が定められており、契約満期となれば更新契約が必要になったり、一定期間で地主に返還することが決められています。
当然自分の持分となる「敷地権」タイプのマンションが人気なのですが、「借地権」タイプのマンションも少なくありません。この場合、査定の段階である程度価格面に考慮はされているのですが、これを材料としてさらなる値引き交渉ができると思います。
それくらい「敷地権」と「借地権」タイプのマンションでは差があるということです。
管理状況
マンションの価値を大きく左右する項目の1つに「管理状況」があります。
- マンション全体の管理が規約通り実施されているのか?
- 管理組合はうまく機能しているのか?
など、管理組合や管理会社の状況がマンション価値に大きく影響を及ぼします。実際に自分が住んでみるまで、管理に関しては掴みにくい部分が多いのですが、マンションの清掃状況などをチェックすることも1つの判断材料となります。
- エレベーター内に古いお知らせ広告が貼られたままになっている
- 駐輪場に明らかな放置自転車が駐車されたままになっている
- ゴミ置き場が散らかっている、カギの施錠がなされていない
このような状況であれば、あまり管理がうまく機能していないことが想像できます。
相場や底値を把握する
値引き交渉のキーワードとなるのが、物件の価格相場です。ここまでは物件の経年劣化など、物理的な項目を材料に値引き交渉する術を解説してきました。
ここからは物理的な問題ではなく、価格そのものについて値引き交渉する術を解説していきたいと思います。ここで調べることは以下の2つです。
- 価格が市場相場と比較して適正であるか
- 市場の底辺価格を把握しておく
価格が市場相場と比較して適正であるか
市場の相場と比較して、やや高めの価格設定になっている物件も珍しくありません。これは値引き交渉されることを前提として価格設定しているケースがあったり、あとは売主の個人的な事情を考慮した価格になっている可能性があります。
値引きを想定した価格になっている場合は、市場価格の相場より100万円ほど高く設定されているケースが多く、売主個人の事情(住宅ローン債務など)の場合は、数百万円単位で市場相場より高く設定されていることも珍しくありません。
市場の底辺価格を把握しておく
物件価格が市場相場と比較して同等であっても、値引き交渉できるチャンスはあります。それは該当物件と同等のマンションが、過去にどれくらいで取引されているかを調べ、一番底値で取引された情報を把握し、それを材料に値引き交渉をします。
相場や底辺価格の調べ方
問題はどうやって市場相場や底辺価格を調べるのか?だと思います。少し前までは、このような情報は不動産業者しか知り得ることができない秘密の情報でした。
しかし今はインターネットの普及により、一般個人でも調べることができます。方法はいろいろありますが、信頼性が高く、インターネット環境さえあれば誰でも簡単に調べる方法をいくつか紹介しておきます。
レインズマーケットインフォメーション
多くの不動産会社が使用しているレインズという情報サイトがあります。しかしこのレインズは不動産業者しか利用することができません。
そこで今回紹介するのが、レインズマーケットインフォメーションというサイトです。こちらは本家レインズの一部機能だけを一般の人でも利用することができるサイトです。
利用可能の機能は制限されますのが、それでも市場相場や底辺価格を調べるには十分だと思います。
その他、レインズマーケットインフォメーションと同じようなサイトで土地総合情報システムなどもあります。
これも基本的にはレインズマーケットインフォメーションと同じような利用方法なので、使い方は難しくないと思います。
ただ取引価格で表示されるぶん、こちらの方がみやすい傾向にあるかもしれません。運営しているのも国土交通省なので、より安心して利用することができるサイトだと思います。
ローンの事前審査を済ませておく
ローンの事前審査と値引き交渉がどう関係あるの?と思われるかもしれませんが、実はこれが値引き交渉の材料となるのです。
自分が売主だと思って想像してみてください。マンションを買いたいという人が2組いたとします。
1組は住宅ローンの事前審査を通過している人、もう1組はこれから住宅ローンの審査に申込みをする人です。
もし売却交渉するなら、どちらの人と話しを進めたいと思いますか?きっと多くの人が、すでに住宅ローン審査をパスしている人を選択するのではないでしょうか。
つまり住宅ローン審査を通過しているというだけで、売主にしてみればあなたは優良な買主のひとりなのです。後々のトラブル(ローン特約)などを考慮すれば、スムーズに進むほうと交渉したいと思うのは当然のことです。
優良な買主候補であれば、多少の値引きにも応じてくれやすくなるのも納得できますよね。
売買契約用に予定を空けておく
これは直接的値引き交渉に大きく関係してくることはないのですが、1つアドバイスしておきたいことがあります。物件の内覧を済ませ、購入を前向きに考えるのであれば、早い段階で買付証明書を提出する必要があります。
トントン拍子に話が進めば、今週末の土日、もしくは翌週の土日で売買契約を締結させる流れになるはずです。そんなとき、予定が空いておらず、契約は2週間以上先の土日を希望してしまったらどうなるでしょう。
売主の心情としては、買主の気が変わらないうちに早く契約を済ませたい!と思うはずです。もし他に人が今週の土日でも契約できます!と申し出たら、早くに契約できるほうを優先したいと思うのではないでしょうか?
せっかく良い物件に巡りあっても、契約日の日程を調整することができず、その物件を逃してしまうケースも珍しくありません。かならず内覧に出かける直後の土日、その翌週の土日くらいまでは契約できるように予定を空けておくようにしましょう。
値引き交渉しやすい売主について
マンション売却の理由やタイミングが値引き交渉のチャンスとなることもあります。マンションを売りに出してから時間が経過している物件は、早く売却したいので値引き交渉しやすいはずです。
また売却事由を知ることで、それを値引き交渉の材料とすることもできます。
売り出し後の時間が経過している
目当てのマンションが売りに出されて、どれくらいの時間が経過しているかを調べておくのは必須です。本当に人気が高いマンションというのは、売りに出されてすぐに買い手がみつかります。
売り出し開始から、1ヶ月、2ヶ月と時間が経過している物件は、購入を見送られてしまう理由があります。3ヶ月を過ぎてくると、それだけで値下げ材料となってしまいます。
- 売り出し開始から3ヶ月
- 売り出し開始から6ヵ月
- 売り出し開始から9ヶ月
- 売り出し開始から1年以上
この4つの期間を意識しながら、値下げ額の交渉に挑戦してみてください。これはあくまでも筆者の個人的な感想ですが、以下のような割合で値下げに成功すると思っています。
- 売り出し開始から3ヶ月:30%
- 売り出し開始から6ヵ月:60%
- 売り出し開始から9ヶ月:70%
- 売り出し開始から1年以上:90%
住宅ローン金利を材料に値下げ交渉するチャンス
売り出し開始から時間が経過している物件の中で、住宅ローンが残っている物件も値下げ成功率が高いといえます。住宅ローンが残っているということは、毎月借入額に対して金利が発生していることを意味します。
住宅ローンの金利なんて1.0%くらいだからたいした額じゃないと思っているかもしれませんが、借入額が大きいぶん、わずか1.0%の金利でもかなりの額になります。
これはあくまでも単純計算ですが、住宅ローンの債務が3,600万円残っていたとしましょう。金利は1.0%です。単純に3,600万円の1%ですから、年間に36万円の金利が発生している計算になります。それを12ヶ月で割ると、1ヶ月の金利は3万円になります。
この無駄な金利支払いを材料に交渉してみるもいいと思います。
買い替えで売却する
マンションを売却する理由の1つに「買い替え」目的の人も少なくありません。売却理由の中でも、この買い替えによる売却であれば値引き交渉のチャンスです。
買い替えというのは、今住んでいるマンションを売却し、次に新しいマンションや戸建てを購入することを意味しています。
つまり住宅ローンが残っている状態であれば、今のマンションを売却して住宅ローンを全額返済しなければ、新居を購入する際の住宅ローンが組めない可能性が大きいからです。
特に売主側が次に購入したいと思っている物件が決まっているのであれば、高い確率で値引き交渉が成功すると思います。
次の物件を購入するためには、どうしても今の物件の買い手を早急にみつけて、早く新居購入の目処を立てたいと思っているからです。
転勤で売却する
仕事の転勤が理由で売却を検討している人もいます。この場合も買い替えと同じように値引き交渉のチャンスだと思って良いでしょう。
転勤による売却の場合、売主にしてみれば懸念材料が2つあります。
- 転勤の日までに売却してしまいたい
- 転勤先で賃貸に住むのであれば、家賃と住宅ローンの二重ローン状態になってしまう
つまり転勤が理由の人は、どうしても転勤の日までに売却を済ませたいと考えているケースが多く、多少の値引き交渉にも応じてくれやすいということです。
この場合のポイントは、転勤まで日が少ないケースが多いので、買主側としては住宅ローンの事前審査を済ませておき、早い段階で売買契約が成立することをアピールするのが効果的だと思います。
離婚で売却する
今の時代3組に1組が離婚をするというデータがあります。離婚をすることになったとき、頭を悩ませるのがマイホーム問題です。
マンションを購入したのは良いが、いざ離婚すると決まったとき、そのマイホームをどうしようか?と考えるはずです。その際に多くの夫婦が売却を検討します。
離婚しても夫婦どちらかが住み続けるというケースもありますが、住宅ローンが残っている状態であれば、あまり現実的ではありませんし、住宅ローン滞納というリスクを離婚後何十年も抱えながら生活しなければなりません。
そういうリスクがあるため売却という方法を選択する人が多いです。マンションの売却目処が立たなければ離婚が進展しないというケースも多く、なかには安値でもいいので、早急に現金化できる業者買取を選択する夫婦も少なくありません。
業者買取となれば、市場相場の6割から7割ほどの価格でしか売れないので、そういったことを考えると、大幅な値引きが期待できる物件だといえるのではないのでしょうか。
相続で売却する
相続したマンションを売却するケースについて説明します。基本的にマンションを相続しても、そのマンションに相続人が移り住むケースはそう多くありません。
そうなると選択肢は「売却」と「賃貸」の2つということになります。相続人が1人の場合は、賃貸として貸すことで家賃収入が毎月入ってくることになりますが、相続人が3人となればどうでしょう。
毎月10万円の家賃収入があっても、1人に入ってくる月々の所得はわずか3万円前後にしかなりません。それよりも売却して、まとまった現金を手にする方を選択するケースが多いのは容易に想像できることです。
この場合、相続人たちはマンションが売れないと現金を手にすることはできません。もともと自分たちがお金を出して購入した物件ではないので、多少安くても早く売却して現金を手にしたいと考えるのが一般的ではないでしょうか。
そうなると値引き交渉にも応じてくれやすく、かなり大幅な値引きが期待できる売却事由だと言えます。
まとめ
まず値引き交渉を成功させるためには、自分が購入しようと思っている物件の適正価格と底値価格をしっかりと把握しておくことです。
事情がありかなり安値で売りに出している物件があったとして、それをさらに値引き交渉するのは売主側の心象を悪くするだけでおすすめできません。
それを見抜くためには、日頃から候補地のマンション価格や同じ条件(築年数や間取り)のマンション価格をチェックしておく必要があります。情報をチェックしておくことで、相場観が養われますし、何より掘り出し物件を発見できる可能性も高くなります。
そして欲しいと思う物件がみつかったら、つぎは内覧などで具体的な値引き交渉の材料を探してください。内覧は「アラ探し」と言われるように、物件を目定める目的と、値下げ交渉の材料を探すという2つの目的があります。
ただし物件の悪い部分ばかりをクローズアップしても売主は良い思いはしません。例え値引き交渉できそうなポイントがたくさん有ったとしても、最終的には1箇所ないし2箇所くらいをネタに値引き交渉をお願いするようにしましょう。
それと売主の売却理由も値引き交渉の大きなチャンスとなります。
売却理由を把握することで、どれくらいまでの値下げに応じてくれるのか、おおよその見当が付くようになります。とくに相続や転勤、買い替えという理由は値引きが成功する可能性が高い売却理由だと思います。
そして最後に、自分自身が買い替えを検討しているケースについて触れておきます。
きっと自分の売却する物件を買いたいと思った人が現れたときに、自分が買主としてやる値引き交渉と同じことをやってくるはずです。自分が売主になったときの立場も考え、値引き交渉されたときの対処法もしっかりと考えておくようにしましょう。
値引き交渉というのは、その名の通り駆け引きでもあります。より知識がある人が有利に交渉を進めることができるのは言うまでもありません。
自分が値引き交渉される立場になったときのことも想定し、以下の記事もあわせて読んで頂ければと思います。