「一戸建て住宅は、10年経てば建物の価値は0になる」
「分譲マンションは、築20年で資産価値が0になる」
このような話を聞かれたことないでしょうか?
本当にそうなのでしょうか?
答えは「NO!」です。
これはあくまでも税法上の問題を取り上げた話であり、不動産の売買には直接的な関係はありません。
その証拠に築年数が10年を経過している戸建て住宅でも、建物の価値が売却価格に反映されいますし、もっとわかりやすく言うなら、築20年以上のマンションでも売却価格0円って物件を見たことはないと思います。
マンションよりも戸建ての方が建物価値の下落率が高いのは事実
マンションに比べて、戸建て住宅の建物価値が下落していくスピードが早いのは事実です。
マンションの場合、鉄骨造の物件が多く、建物の耐用年数も50年近く考えられています。
しかし戸建て住宅の場合、同じ鉄骨造(軽量鉄骨)の耐用年数は25年~34年と短くなっていますし、木造に関していえば22年とさらに短く設定されています。
査定額の建物価値は査定員による
ちょっと不安に感じるかもしれませんが、戸建て住宅の査定における建物価値というのは、査定をする不動産業者の方針や査定員のさじ加減で決められることも珍しくありません。
不動産業者によっては、戸建て住宅に関して築10年以上を評価0と決めている会社もありますし、築20年以上で評価0と決めている場合もあります。
また、これは業者だけでなく、査定を担当する営業マンにも同じことがいえます。
つまり査定を依頼する不動産業者や営業マンによって、建物の価値を査定に反映させるか決められているのです。
それって無責任なのでは?と思うかもしれませんが、不動産業者の営業マンは設計士でもなければ、建築士でもありませんので、構造躯体などの話になればほぼ素人同然なのです。
そんな営業マンが建物の価値を正しく評価するという話の方が明らかに無責任な話だと私は思います。
ですので、過去にメンテナンスには十分気をつけていたり、リフォームによって構造補強したような物件であれば、不動産業者に査定を依頼する前に、専門家による住宅診断などを利用して、適正な建物評価を受けておくことをお薦めします。
そのような専門家による住宅診断書があれば、不動産業者の査定員も建物を評価しない訳にはいかなるからです。
建物の価格査定マニュアル
「不動産流通近代化センター」という公益財団法人が発表しているデータを紹介しておきます。
このデータでは、新築時をプラス13.5Pとして、1年経過するごとに建物価値はマイナス1.5Pずつ減少していくようになっています。
つまり、築10年目では建物に対する査定評価ポイントは0Pになるようになっています。
そして11年目以降もポイントはどんどん減少していき、築20年目ではマイナス17.5Pにまで評価は下がっています。
不動産の査定には、このように各項目をポイント制にし、その合計ポイントで査定額を算出するやり方があります。
つまり建物の評価は10年で0になっても、それは建物の価値が0円という意味ではなく、あくまでも建物に関してのポイントが0Pに過ぎません。
ただし査定の算出をする営業マンも、建物評価0とは言いづらいものがあるので、相当古い物件で無い限りは、多少なりとプラスポイントにするケースが多いようです。
~まとめポイント~
- 戸建て住宅の建物価値は10年で0円になることはない
- マンションに比べ、戸建ての方が建物の価値が落ちるのは早い
- 建物の査定評価は、不動産業者や査定員のさじ加減によるところが大きい
- 資産価値0と評価ポイント0では意味が違う