こちらの「家を売る場合は「瑕疵担保責任」のリスクが高くなる」のページにも書いていますが、築年数が古い戸建て中古住宅を売却する場合には、瑕疵担保責任を免責してもらうように交渉していくのが一番ベストな方法だと思っています。
しかし、どうしても買主側が瑕疵担保責任の免責に同意してくれないという場合に限り、今回紹介する「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」を検討することをオススメしています。
ただ、築年数が比較的新しい場合でも、この保険制度を利用することは可能ですので、瑕疵担保責任に不安を感じている売主にはオススメの保険商品です。
既存住宅売買瑕疵保険とは?
この「既存住宅売買瑕疵保険」とは、住宅の検査と保証が一体となっている保険のことをいいます。
この保険に加入するには、専門員の調査を受け、現時点で問題がない住宅であるという証明が必要になります。
つまりこの保険に加入しているだけで、瑕疵の問題がない住宅だという証明になります。
それでも万が一、物件引渡し後に瑕疵が発見されたとしても、保険会社によって補修費用が支払われるので売主の負担も減らせますし、買主の不安も解消することができます。
保険の期間は5年間となっていますが、近年は色々な保険商品が登場しており、保険費用が割安で済む1年保証の商品などもあります。
売主・買主・仲介業者で誰が申し込みするのか?
実はこの「既存住宅売買瑕疵保険」という商品は、「売主・買主・仲介業者」であれば、誰でも加入申し込みができるようになっています。
最近では販売促進の一環として、仲介する不動産業者が自主的に加入しているケースも目立つようになりました。
費用的な負担も大きくありませんので、仲介手数料を考えると十分に元は取れるという計算なのでしょう。
そういっても平成24年度から新たにスタートした保険制度なので、まだまだ認知度も高くありませんし、不動産業者のなかにはこの制度の存在すら知らない会社も珍しくありません。
費用はどれくらい掛かるの?
気になるのが保険料金だと思いますが、保険上限額が1000万円コースの商品であれば、保険料は平均5万円~10万円程度となっています。
この金額で建物診断も同時に受けれるのですから、決して高い金額ではないと思います。
瑕疵担保責任を免責してもらうために、売買費用から50万円値引きするくらいであれば、この保険を活用したほうが出費も少なくて済みます。
また先ほども言いましたが、仲介手数料を考えれば仲介業者に交渉して保険費用を出してもらうことも難しくないでしょう。
媒介契約を結ぶ時点で「A不動産会社から専任媒介契約で売却依頼してもらえれば、保険費用を当社が負担しますと言われた」みたいに、交渉してみても良いでしょう。
既存住宅売買瑕疵保険を使うメリット
この「既存住宅売買瑕疵保険」のオススメポイントは、「売主・買主・仲介業者」すべてにメリットがあるところです。
売主のメリット
- 売却後の瑕疵担保責任の不安から開放される
- 近所に同条件の売り物件があっても、住宅診断を受けているアピールができる
- 築年数が古い一戸建て住宅でも安心して売却できる
買主のメリット
- 万一の場合でも、売主の経済状況に左右されずに万全の保証を受けることができる
- 通常の瑕疵担保責任は3ヶ月程度だが、5年間も保証が続く
- 事前調査を受けている物件なので、欠陥(瑕疵)の不安がない
仲介業者のメリット
- 瑕疵が発生した場合のトラブルを回避できる
- 当保険に加入していることで成約率が高くなる
- 他の不動産業者との差別化ができる
この「既存住宅売買瑕疵保険」は、いまでこそ築年数が古くなっている一戸建てがメインになっていますが、今後はマンションの築年数も古くなり、戸建て住宅・マンションどちらの需要も拡大していくことが予測されています。
~まとめポイント~
- 瑕疵担保責任を保険会社が負ってくれる
- 必ずしも売主が加入する必要はなく、買主や仲介業者に費用負担をお願いできる
- 個人間売買でも、5年間は保険で保証される
- 平成24年に誕生したばかりの新保険制度である