2016年8月4日より、不動産業者の多くが売却査定をする際に利用している「価格査定マニュアル」が改定されました。
実は今回改定されたのは、マンションと住宅地(土地)に関する査定マニュアルで、住宅の建物に関する査定マニュアルは2015年の7月にすでに改定が実行されています。
もちろん査定時のマニュアルの改定なので、法律が変わったわけではありません。つまり以前の査定マニュアルを使い続けることも可能であり、実際に改定版のマニュアルが世論に浸透するにはもう少し時間が掛かりそうです。
具体的に何がどう変わったのか?
不動産業界で働いていた経験のある方でも、今回の改定を理解するのには少しばかり時間が掛かります。
不動産業界に関係がない素人の方が、マニュアルを発行している不動産流通推進センターのホームページを見に行っても、ほとんどが理解できないと思います。それくらい専門的な言葉が多数使われています。
そこで、今回ここでは不動産知識があまりないという方にも、解りやすく解説していきます。
まずは、主な改定点を建物とマンションに分けて説明します。
建物の改定点
戸建て住宅の建物は築20年~25年で価値がゼロになると聞いたことがありませんか?
これは建物価値の算出方(原価法)が原因です。原価法で算出している限り、築25年を超えている建物なら、わずか3年前にリフォームしていたとしても価値はほぼゼロと判断されます。ですが、それではあまりにも不公平ということで、今回の改定では建物の価値をより明確に算出できるようになりました。
つまり、リフォームや補修工事をしている建物に関しては、それを査定価格に反映させようという狙いがあります。
※参照:国土交通省土地・建設産業局不動産業課の資料
上記の図で解説すると、左のグラフが改定前の建物価値の動向です。そして、右側の図が今回の改定により目指すべき建物価値の動向となります。
右図では青線(B)では、数年ごとに価格が少し上昇しているのがわかります。このわずかな上昇時に、リフォームなり建物の補修・修繕を実施したことになります。このように建物の状態を保つために費用をかけている建物に対しては、それに見合った査定を算出してあげることが狙いです。
不動産サイトとして有名なスーモでも、この改定マニュアルについて記事を更新しており、その記事内では改定前の基準で査定した建物評価は1,800万円ほどだった物件が、新マニュアルで査定した結果、建物価値は2,180万円にまで上がったと書かれています。
マンションの改定点
マンションの査定マニュアルも改定されています。戸建ての建物ほど大きな改定とはなっていませんが、今回の改定ではマンションの建物だけでなく、管理などのソフト面が査定に影響を及ぼすようになりました。例えば、マンションの修繕や補修に使われる修繕積立金というものがあります。
これまでは、この修繕積立金が将来的な修繕計画と照らし合わせて妥当かどうか、というのが判断基準になっていましたが、今回の改定でより細かくなり、修繕積立金の額そのものが査定へ影響するようになりました。
例えば、修繕積立金の負担額が大きければ評価はマイナスになり、負担額が小さければプラス評価となる仕組みです。つまり、修繕積立金の負担額が小さいということは、これまで適性に管理組合が機能しており、適正な修繕計画が実施されているマンションと判断されることになります。逆に負担額が大きいと、管理組合があまり機能しておらず、建物の管理がしっかりとなされていなかったと判断されます。
再度査定を依頼してみては?
もし、すでにマンションや戸建て住宅を売却中の方は、自分たちの物件が改定前のマニュアルで算出されたものなのか、それとも改定後のマニュアルで査定されたものなかを訪ねてみましょう。もし改定前の方法で算出されているということであれば、改めて改定後のマニュアルに沿って査定をしなおしてもらう方がいいでしょう。
今回は築年数が古い戸建て住宅などを対象に話をしてきましたが、もちろん築年数が浅い物件やマンションでも査定価格が上がる可能性は十分にあります。
もし、新マニュアルで査定をしてくれる業者が近くにいないという場合は、ネットで一括査定サイトを利用するのがおすすめです。
一括査定サイトであれば、街の不動産から全国展開している大規模不動産まで加盟されていますので、「新マニュアルで査定希望」と伝えておけば、それに見合った業者から査定結果が届くはずです。
自分たちの物件の査定額に納得がいかないという方は、査定を再依頼する価値は大いにあります。ここでご説明した項目を参考に、改めて査定を出してみてはいかがでしょうか。
一括査定の詳細は『マンション売却のおすすめはどこ?高く売るなら仲介業者選びが超重要!』をぜひ参考にして下さい。