築古の家を建て替えるのか全面リフォームするか悩んでいる人向けに、両方の費用の目安とメリットデメリットなど分かりやすくまとめています。
建て替えの場合は全面リフォームと比べると費用が倍近くかかりますが、間取りが自由に決められるたり、最低でも保証が10年つくなどのメリットがあります。
どちらにするか悩んでいる人向けに判断基準も解説しているので、参考にしてもらえればと思います。
建て替えや全面リフォームはいくらかかるのか?
古くなった実家の全面リフォームと建て替えで悩まれる人も多いかと思います。
ここでは建て替えをするのと、全面リフォームをする際の費用の目安を不動産業者に勤めていた時の経験をもとに紹介します。
建て替えの場合は、既存の建物を一度解体しなければならず解体費用として100万円を含め、ローコスト住宅で建築した場合の費用相場で算出しています。
坪数 | 建て替え | まるごとリフォーム |
---|---|---|
20坪 | 1,100万円 | 620万円 |
30坪 | 1,600万円 | 840万円 |
40坪 | 1,980万円 | 1,000万円 |
50坪 | 2,350万円 | 1,100万円 |
60坪 | 2,680万円 | 1,200万円 |
上記の比較表で比べるとまるごとリフォームのほうが、建て替えの半額ほどで収まっていることがわかります。ただし、まるごとリフォームといっても、リフォーム業社によって内容はさまざまです。
水まわりと内装補修で「まるごとリフォーム」と言う業者もあれば、さらに外壁や屋根補修まで含んで「まるごとリフォーム」という言い方をする業者もあるので、同じまるごとリフォームでも単純に比較できるものではありません。
判断に悩む場合は、「ローコスト住宅での建て替え」と「まるごとリフォーム」の両方の具体的なプランや見積りを出してもらってみてください。
両方を比較すると建て替えなら坪○○万円、リフォームならおおよそ○○万円という机上の計算だけでは見えてこない部分を比較することができます。
建て替えと全面リフォームの判断基準
建て替えと全面リフォームを比較検討するのであれば、両方のメリット・デメリットをしっかりと把握してなければなりません。
建て替えとリフォームそれぞれに長所・短所があるので、金銭的な面だけでなく、工期の違い、その家の将来的なことまで考えながら判断するようにしてください。
建て替え | 全面リフォーム | |
---|---|---|
工事内容 | 解体してから新築を建てる | 使える部分を残しつつ予算に合わせてリフォーム |
40坪費用 | 2,000~2,500万円 (ローコスト住宅) |
1,000~1,300万円 |
工期 | 4~6ヶ月 | 1~3ヶ月 |
工事中 | 仮住まいが必要 | 住みながら工事 |
注意点 | できない地域がある ※調整区域や道路の問題 |
どこでもOK |
建て替えの場合、どうしても既存の建物を壊してからの工事になるので、一度別の住まいに引越しをすることになり、これが嫌で住みながら工事ができるリフォームを選ぶ人も少なくありません。
以下は建て替えとリフォームを○×で簡単に比較した表になります。
建て替え | リフォーム | |
---|---|---|
費用 | × | ○ |
間取り | ○ | △ |
資産価値 | ○ | × |
保証 | ○ | × |
工期 | × | ○ |
補助金 | ○ | × |
建て替えのメリットデメリット
建て替えのメリットは、間取りの自由度と最新の断熱材や設備が標準仕様になっている点です。
また、建物に関しては最低でも10年間の保証が自動的に付帯しているのも大きいメリットではないでしょうか。
デメリットして考えられるのは、建築費が割高になってしまうことと、建て替えに伴う仮住まいへの引越しが必要なことです。
また日本人は新築志向が強く、全面リフォームするくらいなら建て替えて資産価値の高い家に住みたいと考える人が多くなっています。
実際に建て替えを検討している人は、自分の予算でどんな家が建てられるのかイメージしてみましょう。LIFULLHOME'Sでは予算別に注文住宅のカタログを無料で取り寄せることができます。
カタログは1,000万円台から請求できるので、予算が厳しい人でも安心して利用できます。
※予算別のカタログ特集ページ一覧
全面リフォームのメリットデメリット
全面リフォームのデメリットは間取りの変更などに制限がでる可能性がある点です。いくら大規模なリフォームでも、もともとの家の構造柱などを取り除くのは難しいので、決められた範囲の中でしか間取りの変更ができません。
リフォームで注意すべき点がもう1つあります。
新築を建てるハウスメーカーや地元の工務店に比べ、悪質なリフォーム業者が多数存在していることです。テレビのワイドショーなどで、詐欺まがいのリフォーム業者の特集を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
シロアリ被害もないのに、ウソの報告をして高額なリフォーム工事を施したり、お年寄りの家を狙って高額な商品を売りつけたりするのも悪質リフォーム業者の手口です。
こうした悪質リフォーム業者を避けるのに便利なのが、「リフォーム一括見積もり」です。厳しい審査を通過したリフォーム会社のみが登録できるシステムになっているので安心して利用できます。
迷っている場合の判断基準
建て替えとリフォームで悩んでいるとき、それぞれのメリットやデメリットを知ることも大事ですが、ここからはより詳しく具体的な判断方法をいくつか紹介していきます。
- 両方の見積もりを比較する
- 家族全員で相談する
- 不満箇所の再確認
- 住宅診断でプロの意見をきく
両方の見積もりを比較する
悩む一番のポイントはコストの問題だと思います。まずは「ローコスト住宅での建て替え」と「大規模リフォーム」の両方の見積りを比較してみてください。
漠然と建て替えなら坪○○万円、リフォームならおおよそ○○万円という机上の計算だけでは見えてこない部分がたくさんあると思います。
見積もりを取ってもいいが、その後のしつこい営業が嫌だという人も多いのではないでしょうか。
一括見積もりサイトを利用することで、余計な営業活動を受けることなく簡単に建て替えとリフォームの見積もりを取り寄せることができます。
家族全員で相談する
建て替えにしてもリフォームにしても夫婦だけの問題ではなく、家族全員の問題でもあります。
もしかすると両親は自分達が思っている以上に、その家に対する思い入れが強くあるかもしれません。家族みんなの問題ですから、家族全員で相談してリフォームと建て替えのどちらが良いのかもう一度よく考えてみましょう。
不満箇所の再確認
もう一度不満がある箇所を再確認してください。リフォームをしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?「お風呂を広くしたい」「使いやすいキッチンに変更したい」「子供部屋を作ってあげたい」など、なにかリフォームを考えるようになったきっかけがあるはずです。
一度リフォームのことを真剣に考え出すと、次はあそこもリフォームしたい、ここもリフォームしたいと次々に候補が増えていき、だったら思い切って建て替えの方が良いのではとなりリフォームと建て替えで悩んでいるのではないでしょうか。
もう一度その原点に戻り、本当にいまリフォームが必要なのか?そして他の場所もリフォームが必要なのかについて考えてみてください。
住宅診断でプロの意見をきく
リフォームと建て替えの相談をするにしても本当に平等な立場でアドバイスをしてくれる業者は少ないのが現実です。リフォーム会社はリフォーム寄りの話をしますし、ハウスメーカーは建て替え寄りのアドバイスになるのが当然といえば当然だからです。
そこで提案したいのがリフォーム会社でも、ハウスメーカーでもない第三者的な立場にある機関に相談することです。
今は住宅診断をしてくれる会社も増えています。これらの会社はリフォームしたり建て替えたりすることで利益を得ているわけでなく、あくまでも平等な目線で住宅そのものの現状を診断することがお仕事です。
そういう第三者的な立場の人に家をみてもらい、中立な立場でリフォームか建て替えどちらが賢い選択なのか判断してもらうのが一番理想的な方法ではないでしょうか。
住宅診断(ホームインスペクション)を依頼すれば当然費用が発生しますが、それでも3万円~5万円ほどで済みます。数百万円~数千万円の買い物をするわけですから、これくらいの出費であれば十分に検討してみる価値はあると思います。
家の建て替えや全面リフォームでよくある疑問
ここからは記事内で紹介できなかった疑問や質問について、Q&A方式で簡潔に解説していきたいと思います。
築何年で建て替えや全面リフォームを検討すべき?
一般的に言われているのは、水まわりや外壁、屋根に関しては10年~20年周期でリフォームをし、大規模なリフォームは20年~30年くらいを目安にするのが良いとされています。
建て替えとなれば、築30年を超えたあたりが1つの目安にするケースが多いです。
ですが最近の戸建て住宅は、以前に比べ造りもしっかりしていますし建てた後のアフター保証やメンテナンスが20年前の戸建てと比較すると充実しています。
以前よりも大規模リフォームや建て替えのタイミングは伸びているように感じます。
仮住まいの探し方とかかる費用は?
工期は大規模リフォームだと2ヶ月、建て替えとなれば最低でも4ヶ月ほどかかります。近くに実家があれば、その期間だけ身を寄せておくことも可能なのでしょうが、そうでなければ一時的な仮住まいが必要となります。
ただ、短期の賃貸は大家さんも嫌がるので、思っている仮住まい探しは楽ではありません。
リフォーム業者や工務店も仮住まい候補を探してはくれるでしょうが、彼らは賃貸のプロではないので、最終的には付き合いがある不動産会社に丸投げしてしまうのが多いです。
短期の仮住まいを探すコツは、市場に出ている一般の賃貸だけでなく、短期でも貸してくれそうな物件に目を向けることであったり、関連企業に不動産をもつリフォーム会社や工務店にお願いするという手も有効だと思います。
気になる費用の面ですが、家賃10万円の物件だと、引越し費用まで合わせると3ヶ月でも100万円を超えてしまうケースも珍しくありません。
仮住まいの探し方と詳しい費用については、別記事の「建て替え中の仮住まい費用と探し方」で詳しく解説していますので参照ください。
荷物はどうすればいいのか?
一番おすすめなのは、荷物を全部持ち込める広さがある仮住まいを見つけることです。
荷物が多いのであれば、賃貸アパートやマンスリーマンションなどではなく、一戸建て賃貸を探すようにしましょう。
どうしても目ぼしい戸建てがなく、アパートやマンションを借りることになったのであれば、入らない荷物はレンタル倉庫などを借りて一時保管しておくようにしましょう。
費用は1ヶ月5,000~8,000円くらいが相場です。いろんなタイプがあるので、なるべくなら車を倉庫の前に横付けできるレンタル倉庫がおすすめです。
ローンの組み方は?
ここではリフォームと建て替えのローンについて考えてみたいと思います。
厳密にいうと、建て替えは住宅ローンを利用できますが、リフォームの場合は住宅ローンではなくリフォームローンで融資を受けることになりますので、個別に説明していきたいと思います。
建て替えの住宅ローン
建て替えであれば一般的な住宅ローンで融資を受けることができます。もし既存建物の住宅ローンが残っていたりしても、その残債務を建て替え費用に組み込める住宅ローンもあります。
リフォームローン
リフォームローンを住宅ローンで借りることは原則できません。
リフォーム費用を住宅ローンで借りれると紹介しているサイトもありますが、その多くが中古住宅を購入するとき、同時にリフォームを実施する場合、それらリフォーム費用を住宅ローンに組み込むことができるという内容になっています。
ですが、最近はリフォームのニーズが増加しており、各金融機関が好条件でローン商品を扱うようになっています。借り入れ限度額、返済期間、貸付金利など、ほとんど住宅ローンと似た好条件です。
建て替えの住宅ローンであれば、どの金融機関も金利に大きな差はありませんが、まだリフォームローンに関しては金融機関による条件面に大きな差がみられるので、なるべく条件の良いリフォームローンを探して審査申し込みするようにしましょう。
とくにリフォーム会社は「ウチが提携しているリフォームローンであれば審査も簡単ですよ」などと薦めてきますが、その多くがノンバンクで高い金利商品だったりしますので、しっかりと他のローンと比較してから申し込むようにしてください。
固定資産税は上がるのか?下がるのか?
リフォームや建て替えをすることで、これまで払っていた固定資産税に変化が出てしまうのではないか?という不安を抱えている人も少なくないと思います。
実際に近年、建て替えなどにより固定資産税が急激に跳ね上がりトラブルになっている事例が増えているのも事実です。
まず全面リフォームについてですが、ほとんどのリフォームでは固定資産税が上がることはありません。理由は単純で、固定資産税を算出する部署がリフォーム工事を実施したことを知る術がないからです。
ただし、例外的に固定資産税が上がってしまう可能性があるのが、今回取り上げている全面リフォームです。
大規模なリフォームになれば間取りの変更や増築なども加わることで、行政に建築確認申請をしなければなりません。この申請をすることで大規模なリフォーム工事を実施したことが明らかになってしまい、これまでの建物に対する評価額の見直しが実施されることになるからです。
建て替え時の固定資産税
固定資産税で注意しなければならないのが建て替えをするケースです。例えば10月に既存の古家を取り壊し、翌年の3月に新居が完成したとしましょう。
固定資産税は1月1日時点の状態で税計算されるので、新居が建ってない土地には税の優遇が適用されない可能性があります。
一般的に居住用の土地は、税の優遇を受けており、本来の税額に比べ6分の1に減税されている状態です。その税の優遇が受けられない場合、これまで支払っていた6倍の固定資産税の請求が来てしまう可能性があります。
しかし、しっかり計画して建て替え工事を実施していれば、その工事に見合う税の特例措置がありますので本来は問題ありません。
ただ、建て替えに不慣れな業者、担当営業が新人さんなどの場合は、そういった特例措置の存在を認識しておらず、建て替えによる税の優遇を受けることができなくなってしまうケースが目立ちます。
建て替え時の特例措置を受ける要件は以下の5つになります。
- 前年度は住宅用地であったこと
- 住宅の建設が着手されており、翌年度までに完成するものであること
- 住宅の建て替えが、同一の敷地で行われること
- 土地の所有者が変わってないこと
- 建物の所有者も原則として変わらないこと
まとめ
マイホームの建て替えと全面リフォームの費用などを比較してきましたが、それぞれにメリットデメリットがあります。
家庭の事情によって建て替えがいいケース、全面リフォームがいいケースで分かれるので、一概にどちらがいいと判断することはできません。
まずは家族全員で今後のマイホームについてどうするのか、しっかり相談するようにしてください。それでもどちらがいいのか悩む人は、両方のプランを比較してどちらがいいのか判断するとよいでしょう。
いきなりハウスメーカーやリフォーム会社に行くと営業マンは良い事しか言わないので、間違った判断をしてしまうかもしれません。
相談に行く前に自分達の予算で建て替えまたは全面リフォームした場合、どんな家になるのかイメージしてからハウスメーカーやリフォーム会社に相談しにいくと、営業マンが提案するプランが正しいのか間違っているのか判断できます。
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