平屋住宅を格安で建てた人の体験談をもとに、実際に建てる際の注意点をまとめます。
500万円台の超ローコスト住宅はオプション料金がかかり、最終的に1,000万円近くになります。実際に建てた人の体験談をまとめると、意外と金額がかかったという声が多いです。
できるだけ予算を抑えて家を建てたいと考えている人は、1,000万円程度の金額を想定しておくことをおすすめします。
- 【目次】格安住宅の仕組みと注意点
格安住宅を購入した人の体験談
実際に格安住宅を購入した人の体験談を調査してみたところ以下のような声がありました。
- 営業マンの質の低さ
- 工事内容が違う
- 連絡が来ない
格安住宅を購入する人はこのような点に気を付けておく必要があるので、失敗しないためにもしっかりチェックしておきましょう。
Aさんの体験談
一番に思ったのは営業さんの質の低さです。
打ち合わせでは、こちらの質問に納得の行く回答をしてもらえることはほぼなく、いつも「確認して後日回答します」というばかりで、一向に打ち合わせが進みませんでした。
そして打ち合わせで決まったことやお願いしたことを合意書として作成してもらっていたのですが、その合意した内容が一切本契約書には記載されていなかったのです。
まさか契約書に合意した内容が書かれていないなんて思いもせず、こちらもしっかりと確認しなかったのが悪いのですが、いざ工事が始まると、その業者や職人さんたちは「契約書に書かれていないことはできない」といって、合意した内容にも関わらず一切対応してもらえませんでした。
超ローコスト住宅でも、全国展開している大きな企業だし大丈夫だろうと思っていたのですが、そもそもその考えが大きな間違いでした。
Bさんの体験談
古家の建て替えをお願いしました。
現在まだ建築中なのですが、打ち合わせのとき「この予算であれば外壁までつくるのは無理」という趣旨のことを言われ、古家の外壁や門戸を残すことに決定していました。
しかし古家の解体時に外壁や門戸をすべて解体されてしまいました。業者は「地盤の問題で解体するしかなかった」ということでしたが、当然契約した予算内では新しく外壁や門戸を作ってはくれません。
こんなひどい対応に頭にきてますが、もういまさら他の業者に変更することもできないし、この先の建築工事も不安でしかありません。この場合、どうにかして勝手に壊された外壁や門戸だけでもつくってもらう方法はないのでしょうか。
Cさんの体験談
新築700万円台で家を建てることができるというチラシをみて、住宅展示場に相談にいきました。
対応してくれた営業さんは若い方でしたが、親身に話を聞いてくれて、ご希望の内容で簡単な見積りを出してみます。見積りが出来ましたら追ってご連絡しますね!と言ってくれたのですが、それから1年以上まったく何の連絡もありません。
さすがに数ヶ月が過ぎた頃に電話で問い合わせをしようと思ったのですが、そんな矢先に大きな震災被害にあいました。
1ヶ月ほどして落ち着いたころホームページをみたのですが、それまで700万円台だったはずの家が、突然900万円台に変更になっていました。
震災によって人件費の確保が難しくなった。材料の調達が難しくなった!など、価格が上がる理由もいくつか思いつきましたが、それでも震災での需要を見越した値上げのように感じてしまったのが正直な感想です。
もちろん、それっきり連絡は取り合っていません。
超ローコストの格安住宅の体験談を3つ紹介しましたが、「安くて満足している」という声は聞かれませんでした。
このため安くて満足する家を建てたい人は、1,000万円台から検討することをおすすめします。
実際どこの業者が1,000万円台で対応してくれるのか自分で調べるのは大変ですが、「LIFULL HOME'S」などのポータルサイトを使えば簡単に探せます。
ローコスト住宅を特集したページがあるので、そこで対応しているハウスメーカーを探すと便利です。
格安住宅を建てるハウスメーカー
積水ハウスやダイワハウスなど、大手ハウスメーカーだと建築単価は坪65~80万円で、タマホームやアイフルホームなど、ローコスト住宅と言われる家の建築単価は坪40~50万円です。
ローコスト住宅でも大手ハウスメーカーと比べるとかなり安いですが、超ローコスト住宅はさらに安くなっています。
超ローコスト住宅の建築単価は坪20~30万円と、大手ハウスメーカーの3分の1程度です。ローコスト住宅と比較しても半分程度の出費でマイホームが建てられる計算です。
メーカーの種類 | 坪単価 | メーカー名 |
---|---|---|
大手ハウスメーカー | 65~80万円 | 積水ハウス、住友林業、ダイワハウスなど |
ローコスト住宅 | 40~50万円 | タマホーム、アイフルホーム、ユニバーサルホームなど |
超ローコスト住宅 | 20~30万円 | アイダ設計、ヒラキハウジングなど |
アイダ設計
坪単価 | 約32万円(実質35万~40万円) |
---|---|
構造・間取り | 木造軸組工法 |
高気密・高断熱性能 | ★★☆☆☆ |
断熱材 | グラスウール |
耐震性能 | 耐震等級2?※公式HPでは確認できない |
年間着工数 | 約2,700棟 |
ホームページ | http://www.aidagroup.co.jp/ |
超ローコスト住宅として全国的に知られているのは、アイダ設計ではないでしょうか。有名芸能人を起用したテレビCMもインパクトがありましたし、日本全国に80もの事業所展開をしている住宅会社です。
以前テレビCMで大々的に放送されていた555万円の家。本当に一戸建てマイホームがこの値段で建つのか?と耳を疑った人も多いのではないでしょうか。
残念ながら現在555万円の家はありませんが、代わりとなるのが888万円の家です。実は555万円と888万円家ですが、家の狭さが価格に反映されています。
555万円は家の広さが15.25坪しかありませんでした。これは賃貸アパートの1LDKくらいの広さだと思ってください。一方の888万円も28坪の広さしかありません。
つまり坪数を計算してみると、555万円は1坪あたり34万円、888万円は1坪あたり31.7万円になります。結果、アイダ設計の坪単価は32万円~だと考えておくとよいでしょう。
一般的な注文住宅の平均的な広さは36坪程度なので、36坪×32万円で計算すると1,152万円。それに付帯工事費などを考慮すると、総額1,500万円は超えてしまう計算になります。
細かいアイダ設計の見積もりが知りたい人は、以下のサイトを利用してみてください。アイダ設計を含む大手ハウスメーカーの見積もりを取り寄せることができます。無料なので安心して比較できます。
安くて満足できる家づくりプランが見つかるかもしれないので、検討してみてください。
ヒラキハウジング
坪単価 | 約32万円(実質35万~40万円) |
---|---|
構造・間取り | 木造軸組工法 |
高気密・高断熱性能 | ★★☆☆☆ |
断熱材 | グラスウール |
耐震性能 | 耐震等級2?※公式HPでは確認できない |
年間着工数 | 約2,700棟 |
ホームページ | http://www.hiraki-h.com/ |
超ローコスト住宅激戦区とも言われる熊本県において、創業80年以上という実績があるヒラキハウジングです。熊本は台風の直撃を受けることも多く、大きな被害を機に超ローコスト住宅が誕生しました。
ヒラキハウジングでは「建つんです500」を販売しています。住宅価格が500万円で、間取りも自由に変更できるというのが特徴です。ただし、平屋建てのみの対応で、二階建てを建てることができません。二階建て住宅向けには「ガンバレ700」という家があります。
ただし、両方とも坪数が決まっているので注意が必要です。建つんです500の場合は18坪程度で、ガンバレ700の場合は28坪程度になります。
だったら、坪数をオーバーしても、その分の金額が払えばいいんじゃないの?と考える人もいると思いますが、じつはそう簡単な問題ではありません。
仮にガンバレ700(約28坪)で、あと5坪大きな家を建てたいとお願いしたとします。この家は工場で規格化された材料を使っているので、坪数を広くすると規格から外れてしまい、プラスの費用がかかってしまいます。
ですので、決められた広さ、決められた外観をベースとして、間取りの変更が多少できる家であると考えておくとよいでしょう。
ここまで格安住宅を建てるハウスメーカーを紹介してきましたが、それぞれ安いというメリットがある分、当然デメリットもあります。
もしデメリットが気になる場合は、ワンランク上の予算でどんな家が建てれるかを確認して、どちらにするか判断するのが良いと思います。
※予算別のカタログ特集ページ一覧
当初の予算内で納めることはもちろん大事ですが、完成後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔してはいけないので、予算に関してはある程度前後の価格帯も見ておくことが肝心です。
超低価格で家が建つ理由
超ローコスト住宅に限ったことではありませんが、一戸建てを建てるとなれば本体工事費とは別に、付帯工事費がかかります。付帯工事費とは、本体工事契約に含まれていない「庭の整地、塀の設置、駐車場、水道引きこみ工事」などのことです。
通常付帯工事費は、本体工事費の2割程度の予算になりますので、本体工事費が2,000万円の家であれば付帯工事費は400万円前後かかります。
500万円の超ローコスト住宅を例にすると、本体工事費は500万円で2割で計算すると100万円になります。しかし、本体工事費が安いからといって付帯工事費まで激安で出来るとはかぎりません。付帯工事費は最低でも200万円程度はかかってくると思います。
そうなると本体工事費500万円、付帯工事費200万円、合計で700万円になります。超ローコスト住宅の坪数を18坪として計算すると、700万円÷18坪=約39万円となります。
つまり超ローコスト住宅といっても、本体工事費、さらには付帯工事費まで合計すると、坪単価は35万~40万円ほどになってしまいますが、大手のハウスメーカーの坪単価と比較すれば、かなり安いです。
ではどうしてこのような超ローコストで家が建つのでしょうか?その理由は以下の6つが考えられます。
- 土地とセット販売しているため
- 注文住宅ではなく規格型住宅が多い
- 設備品の大量仕入れ
- 自社工場をもっている
- 設備のグレードが低い
- 人件費を削減している
土地とセット販売しているため
一般的に地域密着型の地元工務店などが、格安住宅の販売をする場合、土地とセット販売するケースが目立ちます。
「住宅価格780万円」という広告チラシなどで目を向けさせ興味を引かせるのですが、よく見ると土地と本体価格の合計は1,780万円になっています。
つまり土地で利益を確保して、住宅価格を安くする仕組みです。よく売り出されている土地に「建築条件付き」となっているのも、このためです。
注文住宅ではなく規格型住宅が多い
注文住宅には「間取り変更可能」という文字があるので、自由設計だと思っている人が多いのではないでしょうか。
超ローコスト住宅の場合、その多くがある程度間取りや家の形が決まっている規格型住宅が多いです。その決まった制限のなかで、多少間取りの変更ができる仕組みになっています。
規格型住宅であれば、同じ木材などを同時に多数生産し発注することができるので、建築コストを大幅に減らせる効果があります。
低予算だがどうしても自分の希望する間取りの家を建てたいというのであれば、最初に「自由設計で間取りが決められるのか?」を確認するようにしましょう。
設備品の大量仕入れ
規格住宅の木材と同じように、システムキッチン、浴槽、トイレなどの商品も大量仕入れして価格を抑えるのが、超ローコスト住宅を提供するためには必要不可欠です。
業者によっては、古い商品を低価格で仕入れている場合もあるので、使用される設備は型番などをネットでチェックしておくようにしましょう。
小規模業者などは、自社だけでは大量仕入れすることも難しいので、同じくローコスト住宅業者と共同で仕入れたりすることもあります。
自社工場を持っている
個人経営のハウスメーカーでも規模が大きくなれば自社の加工工場を持っていることもあります。
当然、外部の商品を仕入れるより単価的に安上がりになるので、自社工場をもっている会社なのか事前に調べておくこともポイントだと思います。
自社工場をもっているのであれば多少家の仕様にも融通が利くので、自社工場をもってない業者よりもっている住宅業者に依頼するのがおすすめです。
設備のグレードが低い
システムキッチン、トイレなどは、どんどん新商品が発売されますし、グレードも多数用意されています。同じタカラホーローのシステムキッチンだったとしても、価格が300万円するのもあれば、50万円ほどの商品もあります。
どのメーカーで、どの型番の商品なのかしっかりと調べておきましょう。
超ローコスト住宅によくありがちなのが、一番低いグレードの設備品ばかりを標準仕様にしているケースです。
また意外と盲点になりやすいのが、サッシガラスや断熱材です。サッシガラスも年々進化しており、時代遅れの商品などは低コストで仕入れることができます。
断熱材も低性能の物も多いので、自分たちの家に使用される断熱材がどの程度のものであるか、ネットなどで調べておく必要があります。
人件費を削減している
戸建て住宅を建てるには、通常着工から引き渡しまで4ヶ月~6ヵ月ほどかかります。いくら規格型住宅といえども2ヶ月は必要でしょう。
その間、職人さんたちに払う日当だけでも相当な金額になります。1人15,000円として計算しても、職人さん3人で45,000円(1日)の日当がかかります。
これを土日休みと仮定しても、22日×45,000円=99万円が必要です。2ヶ月で約200万円の人件費が掛かることになります。
もちろんその住宅会社の営業さんの給料も住宅の売上げでまかなっているはずです。そうなると2ヶ月の人件費だけでも、最低250万円は見ておく必要があります。
500万円の家なのに、人件費が250万円。そう考えると不安になりませんか?
500万円の家に合わせるためには、このような人件費をどこまで削ることができるかが勝負になってくるので、職人さんの技術力にも注意が必要です。
職人さんの質や技術を確認するには?
どのような職人さんを使っているのか確認する方法ですが、現在建築中の家を教えてもらい、コソッと見学に行くのがおすすめです。
最近は職人さんの確保も難しく、低予算となれば若い人を中心に雇っている住宅会社も多いです。
腕が良くて、しっかりと礼儀作法も身につけていてくれれば若くても問題ないのですが、なかには現場でプカプカ煙草を吸う人や音が大きい車やバイクで毎日現場までやってくる職人さんもいます。
超ローコストで家を建てるときの注意点
超ローコスト住宅を検討したいという人のために、確認しておきたいことを3つあげておきます。金額だけに目を奪われて後悔しないよう、本当に自分たちが希望するマイホームを建てることができるかをしっかりと確認しておきましょう。
オプションに対応しているか?
希望するシステムキッチンがあるので、それを設置したいと言っても、「対応できない」とか「規格外なので取り付けできない」と言われる可能性があります。
キッチンに限らず、トイレ、浴槽、窓ガラスなどにも同じことがいえます。とくに床暖房や吹き抜け天井などを希望する場合は、どこまで対応できるか確認しておきましょう。
アフターメンテナンスと保証はどうなのか?
タマホームなどのローコスト住宅と比較して、アフターメンテナンスや保証の期間がどれほど違うのか確認してみてください。
大手ハウスメーカーよりもローコスト住宅の方がメンテナンスや保証が充実していることがありますが、超ローコスト住宅が大手ハウスメーカーよりもメンテナンスや保証が充実しているという話はあまり聞いたことがありません。
超ローコスト住宅とローコスト住宅の違いを理解しておく
ローコスト住宅と超ローコスト住宅の違いって何ですか?という趣旨の質問を受けることが多々あります。
この記事の冒頭でも書いていますが、この両者はまったく別物の家だと考えるのが良いと思います。
タマホームのようなローコスト住宅は、大手ハウスメーカーとも比較検討できますが、超ローコスト住宅を大手ハウスメーカーと比較検討するのは、あまりにも無謀だといえます。
それではローコスト住宅と超ローコスト住宅を比較検討することはできるのか?これもやはりNOだと思います。
以前はタマホームにも「500万円の家」が商品として存在していました。しかし今はその商品は販売していません。理由は500万円の家であっても、一般的な広さの家を建てる場合、どうしても1,000万円や1,300万円という金額になってしまうからです。
「老後を平屋でゆっくりと暮らしたい」というのであれば、500万円や700万円という超ローコスト住宅でも検討できる余地はあると思いますが、子育てをしていく若い世代が建てるマイホームとしては、坪数が小さすぎますし将来的な建て替えの不安が出てしまいます。
超ローコスト住宅という触れ込みに釣られて、最終的に1,200万や1,500万円という家を建てるのであれば、最初からローコスト住宅を検討する方が地震、断熱性、健康住宅、将来的なリフォームの不安が大幅に減らすことができます。
そして何よりマイホームは建ててからが大変です。アフターメンテナンスや保証問題も住宅会社選びの大事な要素です。
まとめ
「500万円や700万円で家が建ちます!」という宣伝文句の超ローコスト住宅ですが、実際には、付帯工事費などで別途数百万円の費用が追加になります。
できるだけ安く家を建てるには価格だけでなく間取りを含め、なるべく多くのハウスメーカーを比較することが重要です。
一社一社問い合わせるのはかなり手間なので、「LIFULL HOME'S」などのポータルサイトを上手く活用しましょう。
※予算別のカタログ特集ページ一覧
予算を抑える場合は、大手ハウスメーカー以外に地元の工務店なども細かく調べる必要があるので、多少時間がかかるのは仕方がありません。
どんなプランなら予算内で家を建てられるのか? オプションを削るとしたらどこにするのか?
などを家族と話し合いながら、予算内でできる限り理想に近い家づくりを目指しましょう。