お手頃にマイホームを購入する手段に「モデルハウス(展示場)を購入する」という方法があります。
今回はモデルハウスを購入する前に知っておくべきポイントについて、わかりやすくまとめてみました。
- モデルハウス購入で失敗しないポイント
- モデルハウス購入のメリット・デメリット
- モデルハウスを購入した人の口コミ、体験談
できるだけ安くマイホームを手に入れたい人は、ぜひ参考にしてもらえばと思います。
モデルハウス購入で失敗しないためには
モデルハウスや展示場は、基本的に住宅会社が販促用として建てているのですが、見学して気に入ったら購入を打診することもできます。
会社によってすぐに購入できるケースもあれば、一定の販促期間が終了するまでは購入できないこともあります。
もし見学したモデルハウスを気に入ったのであれば、ダメ元で住宅会社に相談してみましょう。
購入できる場合でも、すぐに契約するのではなく、不備や欠陥について確認することを忘れないでください。
ちなみにできるだけ予算を抑えてマイホームを手に入れたい人は、新築のローコスト住宅という選択肢もあります。
ローコスト住宅を解説したページでは、候補となるハウスメーカーや建てる際のポイントなどをまとめているので、あわせてチェックしてみてください。
ホームインスペクションを利用する
モデルハウスは新築ではありません。
どちらかというと、中古住宅を購入するくらいの意識をもって入念に各ポイントをチェックすることをおすすめします。
モデルハウスや展示場でも、必ず設計図がありますので、その設計図通りに建築されているのか?欠陥や施工不良の箇所がないかをチェックすることは忘れないでください。
しかし、設計図通りに建築されているのか?なんて素人には到底わかりません。
そこで利用したいのが「ホームインスペクション」というサービスで、別名「住宅診断」です。
もちろん費用は掛かってしまいますが、住宅調査のプロがしっかりとチェックしてくれます。
このホームインスペクションは中古住宅の売買時に良く利用されるのですが、新築時や建売住宅の購入時にも利用することができます。
費用は会社によって多少の違いはあるものの、戸建て住宅だと5~10万円ほどになります。
■全国対応のホームインスペクション会社
- 【さくら事務所】https://www.sakurajimusyo.com/
- 【住宅コンサルティングのアネスト】https://www.anest.net/
モデルハウスの種類を理解しておく
モデルハウスを購入している人の多くが、実際にそのモデルハウスを見学に行った人たちです。
予算面で厳しい人だったり、マイホーム購入のタイミングが少し先だったりした場合、住宅会社の営業さんからモデルハウス購入の話を持ち掛けられることがあります。
しかし、探せばインターネットなどで、モデルハウスの販売情報を公開している住宅会社もあります。
ネットでモデルハウスの販売情報を入手したいのであれば、2つの方法があります。
- 住宅会社のホームページをこまめにチェックする
- アットホームなどの住宅情報サイトを活用する
住宅会社のホームページをチェックする際は、売りに出るのを待っていたら他の人に先を越されてしまう恐れがあるので、気になるモデルハウス物件があれば見学会などに参加し、担当者に購入できるか尋ねてみるようにしましょう。
またアットホームやSUUMOなどの不動産ポータルサイトにも、多くのモデルハウス情報やオープンハウス情報が掲載されていますので有効活用しましょう。
とは言っても、モデルハウスには2つのタイプがあります。
- 分譲地に建つモデルハウス
- 住宅展示場にあるモデルハウス
分譲地に建つモデルハウス
売りに出されているモデルハウス物件の多くは、分譲地に建つモデルハウスです。
建売住宅と同じように思うかもしれませんが、建売住宅は最初から販売目的で建てられているのに対し、モデルハウスは販促用の住宅として建てられています。
つまり、分譲地の購入を検討しているお客さん向けに建てられている住宅なので、分譲地が売れてしまった最後のほうに特別価格で販売されるのが分譲地のモデルハウスです。
この場合、土地もセットで販売されるので、購入後すぐにその場所で住み始めることができます。
住宅展示場にあるモデルハウス
住宅展示場に建てられているモデルハウスも新商品の発売などに合わせて建て替えられたりするので、そのタイミングで一般の人に販売されることがあります。
しかし、住宅展示場のモデルハウスの場合、その場所でそのまま住むことはできませんので、建物を一度解体し、土地がある場所で再度組み上げることになります。
セキスイハイムが驚くような価格で募集している「リユースハイム」などが、このタイプのモデルハウスになります。
購入前のチェックポイント
具体的にモデルハウスのどこをチェックすれば良いのでしょうか?
ここでは、簡単にチェックしておくべきポイントをいくつか紹介しておきますので、モデルハウス購入時の参考にしてください。
- 間取りや設備
- 建物の性能
- 収納スペース
- 採光と通風
- 築年数
- 傷や汚れ
- 周辺環境
間取りや設備
基本的にモデルハウスを購入しても間取りは変更できません。ですので、自分たち家族が暮らしやすい動線なのか、必要な部屋数は確保できているのか?など、間取りのチェックは入念にしましょう。
それと同時に設備の問題もあります。
例えば浄化槽が必要な地域であれば、家族の人数に見合った浄化槽が埋設されているか?も大事ですし、自分たちの生活水準より上の設備品が設置してあれば、故障や交換のとき大きな出費になることも想定しておく必要があります。
建物の性能
長期優良住宅仕様の構造で建てられているのか、耐震性、断熱性などは住宅会社の標準仕様をクリアしているのか?など、しっかりとチェックしておきましょう。
耐震等級3だろうと思っていたが、実は立地や間取りの問題で耐震等級2だったなんてことも良くあります。
なかなか素人ではチェックしづらい項目でもあるので、先に紹介した住宅診断(ホームインスペクション)などを利用することをおすすめします。
収納スペース
部屋を広くみせるため、モデルハウスなどでは収納スペースを縮小することもあります。
各部屋ごとに収納スペースをしっかりとチェックし、必要最低限の収納スペースが確保されているのか確認しましょう。
採光と通風
モデルハウスの中には見た目重視で、外観や間取りをつくっている物件が多く、日当たりや通風は二の次になってしまいます。
いざ住んでみてから、日当たりが悪い、風通しが悪いと気づいてもどうしようもできません。
方角を意識した間取りになっているのか、風通りを考えた窓の配置になっているのかも忘れずにチェックしておきましょう。
築年数
住宅展示場もモデルハウスも、すごく綺麗にみえても「新築」ではありません。
分譲地のモデルハウスなら建築から1年程度、住宅展示場のモデルハウスなら3年から5年を目途に販売されるケースが多いようです。
とくに分譲地のモデルハウスについては築年数をしっかり確認しておきましょう。
建築から1年が経過していると、瑕疵保険などの保証面で新築とは違ってくることもあります。
傷や汚れ
展示場もモデルハウスも、これまでに何百、何千という人が建物内を見学しています。それだけの人の出入りがあって、傷1つない訳がありません。
それ相応の傷や汚れがあることは理解しておきましょう。もちろん傷や汚れがあれば、そこを攻めて値引き交渉の材料にすることもできます。
周辺環境
分譲地のモデルハウスの場合は、その場所で今後も生活していくことになります。
建物だけで判断するのではなく、とうぜん物件周辺の生活環境などにも注目しておくようにしましょう。
学校までの通学路に危険な箇所はないか、病院やスーパーは近くにあるのかなど、ネットの地図上だけでなく、実際に自分たちの足で見て回ることも大切です。
不動産会社の仲介物件はなるべく避ける
不動産会社がハウスメーカーや工務店のモデルハウスを仲介しているケースが、この場合、仲介手数料を支払うことになるので注意しましょう。
ハウスメーカーや工務店から直接購入すれば、当然仲介手数料は不要です。
3,000万円で購入した場合、仲介手数料だけでも100万円を超えてしまうので無駄な出費はなるべく抑えるようにしましょう。
なぜ不動産会社を通すのかというと、いろんな理由がありますが、例えば今後良い土地情報を優先的にまわしてもらえるように恩を売っておくとか、逆にその分譲地の地主を紹介してもらったお礼としてというケースもあります。
モデルハウス購入のメリット
ここからはモデルハウスや展示場を購入するメリットについて、簡単に説明していきたいと思います。
安く購入できる
分譲地を購入して注文住宅を建てるより、モデルハウスのほうが低価格で販売されています。
当然、その分譲地で建売住宅を販売していたとしても、それよりもリーズナブルな価格設定になっているのは言うまでもありません。
では実際にどれくらい安く購入できるでしょうか?
分譲地のモデルハウスの場合だと、通常新築で販売されているより1割から2割ほど安く購入することができます。
新築で建物+土地の価格が3,500万円ほどの物件であれば、モデルハウスの価格は3,000万円前後となるのが一般的です。
これが展示場のモデルハウスとなれば、全然話が違ってきます。
展示場のモデルハウスは築年数もかなり経過していますし、本来は販売目的で建てられていませんので、客寄せ的な要素で販売されることも多く、それこそ注文住宅で新築を建てたときの2割~3割くらいで販売されている物件もあります。
3,000万円の建物だとするなら、600万~900万円という破格のお値段です。
値引き交渉しやすい
モデルハウスは値引き交渉するには絶好の物件でもあります。
モデルハウスが長い期間売れずにいるのは、ハウスメーカーや住宅会社にしてみればマイナスイメージになる恐れが高く、なるべく早く売却してしまいたいというのが本音です。
すでにその分譲地で建てられている人もいるので、大幅な値引きは勘弁してくださいという会社もあります。
そのような場合は値引きではなく、ほかにサービス品をつけてもらうなどの作戦に切り替えるのも悪くありません。
ウッドデッキをサービスで設置してもらうなど、それとなくお願いしてみましょう。
追加で購入するものが少ない
モデルハウスは、一般的な生活備品はすべて設置してあり、そのまま売却してもらえるケースがほとんどです。
例えば各部屋に設置してあるエアコン、照明器具、カーテンや、購入すれば高額なダイニングテーブルやソファーセットなどです。
これらをすべて新調すると、軽く100万円は超えてしまいます。
それをほぼタダ同然のような形で譲ってもらえるのですから、かなりお得なのは間違いありません。
すぐに新生活がスタートできる
売買契約と不動産登記さえ終わらせてしまえば、すぐにその家での生活をスタートできるのもモデルハウスの大きなメリットです。
通常、注文住宅であれば、購入すると決めてから家の引き渡しまで最短でも5か月ほどかかります。
しかし、モデルハウスであれば最短半月もあれば引っ越しすることもできます。
モデルハウス購入のデメリット
ここからはモデルハウスや展示場を購入するデメリットについて、簡単に説明していきたいと思います。
間取りの変更ができない
モデルハウスは見学用に建てられているので、万人受けする間取りになっているのが一般的です。
ですので、あまり間取りにこだわりのない人の方がモデルハウス購入には向いています。
もし間取りにこだわりつつ、低予算で家を購入したい人には、ローコスト住宅がおすすめです。
1,000万円台から自由な間取りを設計できるハウスメーカーもあるので、こだわりたい人はぜひ検討してみてください。
人気の物件は抽選になる
セキスイハイムの格安リユース物件や、立地の良い分譲地のモデルハウスなどは人気なので、場合によっては抽選になることもあります。
抽選に漏れてしまった場合、個人情報を提供しただけになってしまい、後々わずらわしい営業活動がずっと続いてしまうというデメリットも考えておかなければなりません。
ちなみに管理人がセキスイハイムの営業さんから聞いた話では、毎回リユースの応募には1,000件ほどの申し込みがあるそうです。
普通に建てると3,000万円をらくに超えるような物件が、モデルハウス価格として500~1,000万円ほどで買えるのですから、これほどの倍率になるのは当然かもしれません。
地元の工務店が手掛けた分譲地のモデルハウスであれば、セキスイハイムのような膨大な数字にはならないにしても、人気の物件だと5倍ほどの倍率になることは珍しくありません。
まわりに住む人たちとの比較
分譲地のモデルハウスの場合、分譲地がほぼ売れてしまってからの販売なので、自分たちが最後に地域のコミュニティに参加することになります。
当然、まわりに住む人たちは、その家がどれくらいの金額で販売されているのかチェック済でしょうから、少し気恥しいと感じる人もいるでしょう。
とくにその物件の買い手が決まらず、売れ残っていた物件だとなおさらです。このような精神的なデメリットもあることを理解しておきましょう。
モデルハウスを購入した人の口コミ、失敗談(5件)
神奈川県/30代/女性
私は主人とパンの移動販売をして、将来的には一軒家の一階に自分たちのお店を開くのが夢でした。
そんなとき住宅会社で働く友人から「うちの会社の住宅展示場を買わないか?」と打診されました。
聞けば、モデルハウス1階に従業員さんたちの事務所があり、そこをまるまる改装してお店にできると言うではありませんか!
これは買うしかないと思い、その話を頂いてから契約するまでアッという間でした。
土地は父が持っていた月極駐車場があったので、そこで建てさせてもらうことができ、土地もマイホームも、そしてお店までも格安で購入することができて大満足です。
東京都/30代/男性
セキスイハイム展示場のリユースに申し込みをした経験があります。
もちろん結果はハズレでした。
そのあとから、セキスイハイムの営業電話とハガキがこれでもかってくらい来るようになり、安易に申し込みしたことを後悔しました。
京都府/30代/女性
モデルハウスや展示場を見学に行くのが趣味で、休みの日には良く見学にいっていました。
地元の工務店さんが建てたモデルハウスを見学しにいったとき、運命だと思えるほどの家に出会うことができました。
間取りはもちろん、使われている照明やカーテン、壁紙など、すべてがとても素敵で気に入り、このモデルハウスが売りに出されるまで待ちました。
でも、最初に営業さんから聞いていた販売価格よりも高い条件だったのが残念でした。
当初聞いていた金額より200万円ほど高かったんです。
愛知県/50代/男性
子育ても終わり、老後は生まれ育った愛知で暮らしたいと思いがあり、平屋住宅の中古住宅を探しておりました。そんな折にみつけたのが、某工務店のモデルハウス販売広告でした。
モデルハウスだからなのでしょうか、価格も中古住宅として考えていた予算ほどだったので、ほぼ迷うヒマもなく即決で購入させて頂きました。
立地もよく、近所の方も良い人たちばかりで、この家を購入して良かったと思っています。
千葉県/40代/男性
ショールームなどに足を運んでいましたが、私たちが気にいったハウスメーカーは坪単価も高く、なかなか契約するまでの勇気がでずに悩んでいました。
そんな時に担当の営業さんから展示場買取の話を聞き、グレードの高いキッチンや浴槽などもそのまま購入できるとのことでしたので、思い切って購入することに決めました。
マイホームだけでなく、高性能な設備を通常の価格より安価で手に入れることができ大変満足しています。
まとめ
ハウスメーカーの展示場や分譲地にあるモデルハウスの多くが、豪華なつくりになっていて目を奪われてしまいがちです。
しかし、注文住宅とは違う点がいくつもあり、どちらかというと建売住宅に近いかと思います。
限定1棟限りという物件も多いでしょうが、買い急いでしまうと後々後悔してしまう可能性もあります。
しっかりと検討してから決断するようにしましょう。