マイホームを建てる際には間取りや予算で悩むと思いますが、キッチン選びで迷っている人も多いのではないでしょうか。
キッチンは毎日使う場所なので選び方を失敗すると日々ストレスが溜まっていくので注意が必要です。
この記事では、システムキッチンの正しい選び方をまとめます。
初めて選ぶ人でも分かるようにポイントを解説するので、後悔しないためにもぜひ参考にしてください。
システムキッチンの選び方
ハウスメーカーや工務店の中には、自分が好きなシステムキッチンを設置できないケースがあります。
注文住宅といっても完全自由設計のハウスメーカーや工務店はあまり少ないです。ほとんどがある程度仕様が決まっている「セミオーダー住宅」になります。
ある程度自由に間取りや設備品を決めることができるが、どうしても対応できない部分があったり設置できる設備品などが決まっている住宅のことをいいます。
キッチンの場合、設備関係の打ち合わせで「こちらのカタログの中から好きなキッチンを選んでください」と言われたりします。
そのカタログには、5種類くらいのシステムキッチンが載っているのですが、同じメーカーばかりだったり、選べても2社とか3社くらいに限定されていたりします。
ただし、追加費用を払えばオプションで好きなキッチンを選ぶことはできます。
IHかガスどちらにするか決める
まず最初に決めなくていけないのは、電気とガスのどちらにするかです。これを決めなければキッチンの話は先に進みません。
近年はオール電化の影響もあり、ガスよりもオール電化を選ぶ家庭が多いです。割合にすると電気とガスで7:3くらいになります。
管理人の個人的見解ですが、5つの項目で両者を比較してみました。
ガス | 電気(IH) | |
---|---|---|
調理のしやすさ | ○ |
× |
掃除のしやすさ | × |
◎ |
安全性 | × |
◎ |
初期費用 | ◎ |
× |
ランニングコスト | △ |
○ |
調理のしやすさ
使う人の慣れもありますが、一般的な意見としては火力があるガスのほうが、調理はしやすいという意見が多いように思います。
とくに年配の人は長年使いなれたガスを選択するケースが多いように思います。ただIHもずいぶん進化をしており、5年や10年前と比べるとすごく調理しやすくなっています。
掃除のしやすさ
これは断然IHコンロでしょう。フルフラットなので、サッとひと拭きするだけで飛び跳ねた油汚れも簡単に掃除できます。
また魚焼きなどに使うグリルもやはり、IHの方が掃除の手間はかかりません。
安全面
これもやはりIHに分があります。IHは火を使わないので火事の心配がありません。とくに火事の原因の多くが、コンロの火の消し忘れで起こっています。
歳を取るとついウッカリが増えますので、火の消し忘れは本当に怖いです。
初期費用
これはガスのほうが安上がりです。
IHにするということは、基本的にオール電化にすることになるので、お風呂の給湯器もガスではなく、エコキュートなどの温水器を設置することになります。
「ガスコンロ+ガス給湯器」に比べ、「IHコンロ+電気温水器」であれば、初期費用は2倍くらい違ってきます。
ランニングコスト
都市ガスが使える地域であれば、そこまで大きな差はでませんが、プロパンガスの地域であれば、圧倒的にIHのほうがランニングコストは低く抑えることができます。
家を建てる地域が都市ガスなのか、それともプロパンなのかを調べておくことも大事ですね。
管理人としては、やはりこれからの時代だとガスよりもIHをおすすめします。
もし将来的に家を売却することになっても、ガスよりもオール電化住宅の方が高い査定がつきやすいです。
どうしてもガスが使い慣れているという人は、ショールームなどでIH体験会などが頻繁に開催されていますので、一度そのような体験会に参加して、実際にIHを体験してみてください。
それでもやはりガスが良いというのであれば、もちろんガスでも問題ありません。最終的には使いやすい方を選ぶのが一番です。
キッチンの形を決める
ガスとIHを決めたら、つぎはキッチンの形を決めましょう。キッチンの形は大きく以下の3つがあります。
- 壁付キッチン
- 対面キッチン
- 独立キッチン
壁付キッチン
出典:https://rehome-navi.com/articles/533
壁面に向かってキッチンが設置されているタイプです。昔の家のほとんどがこのタイプでしたね。作業に集中しやすく、スペースを取らないのが特徴です。
その反面、料理中は部屋の中の様子がわからないので、赤ちゃんがいる家庭などは、常に赤ちゃんの心配をしながら料理をしなければなりません。
特徴
- 少スペースにおさまる
- 収納が多くつくれる
- 来客時に手元を隠せる
- 料理に集中できる
- コストが安い
対面キッチン
出典:https://www.nisho.jp/
リビングに向かってキッチンが設置されているタイプです。
調理をしながらでも、リビングにいる家族に目を向けることができるので、小さいお子さんがいる家庭に人気です。上の棚がないオープン式の対面キッチンなどもあります。
特徴
- 家族とコミュニケーション取りながら料理ができる
- 料理の配膳が楽になる
- 子供がお手伝いに参加しやすい
- 食器棚や冷蔵庫の配置が決めやすい
独立キッチン
出典:http://yuuwa-planning.jp/blog/2017/09/04/open-kitchen/
どこの壁にも接してない形のキッチンです。アイランドキッチンとも呼びます。
調理スペースが広く取れるので、夫婦で料理をしたり、子供たちと一緒に料理をしても狭く感じることはありません。
特徴
- 開放感がある
- 清潔感がある
- 調理スペースの奥行きが広くできる
- 家族とコミュニケーション取りながら料理ができる
- 料理の配膳が楽になる
- 複数人で料理ができる
I型キッチンとL型キッチン
出典:https://cleanup.jp/index.html
I型キッチンというのは、文字通りアルファベットのIのように直線形をしたキッチンのことをいいます。L型キッチンも文字通りL型の形をしたキッチンのことです。
作業スペースを多く欲しいのであればL型キッチンがおすすめですが、それだけキッチンスペースを広く取らなければならなくなります。
価格的にもI型よりL型のキッチンの方が割高ですし、さらに坪数が増えることで建築コストも高くなってしまいます。
ローコスト | スタンダード | ハイグレード | |
---|---|---|---|
I型キッチン | 50~75万円 |
60~90万円 |
70~100万円 |
L型キッチン | 60~85万円 |
70~110万円 |
80~130万円 |
フラット対面 | 70~90万円 |
80~120万円 |
100~150万円 |
しかし料理は毎日のことですし、ストレスを感じない広めのキッチンで楽しく料理できるのが一番だと思います。
もし奥様から広めのキッチンが欲しいという希望があれば、他の部分を削ってでも広めのキッチンを作ってあげるようにしましょう。
ちなみにもっと広く調理スペースが欲しいというのであれば、以下のようなU型キッチンというものもあります。
出典:http://refine-kawasakidaishi.jp/staffblog/1803/
キッチンの高さに注意
キッチンで一番失敗しやすいポイントは、カウンターまでの高さです。
一般的には「身長÷2+5cm」というのが、一番作業しやすい高さだと言われています。
身長160cmの女性であれば、160cm÷2=80cmなので、それに5cmをプラスした85cmという高さが理想です。
しかし難しいのが、炊事を夫婦で分担している場合です。ご主人の身長が奥様と同じくらいであれば、全然問題ないのですが、ご主人の身長が176cmだったらどうでしょう。
理想は176cm÷2+5cm=93cmとなり13cmの差が出てしまいます。
さすがに理想よりも13cm低かったり、高かったりすると使いづらいと感じてしまいますよね。
それでもどちらかに合わせなければなりません。多くの家庭ではこのような場合、低いほうに合わせることが多いようです。
どうしても妥協できないのであれば、アイランド型やU字型キッチンを選び、奥様用とご主人用それぞれの調理スペースを確保するという手もあります。
システムキッチンのサイズ
キッチンの奥行きというのは、一般的には60cm~65cmでほとんどのメーカーが統一されています。
ですので、きっとこれまで使っていたキッチンの奥行きも60~65cmだったと思います。
よく要望としてキッチンの奥行きをもう少し広げたいと相談されることがあります。
希望すれば奥行きが70cmや76cmのように広いタイプのキッチンもあるのですが、実はここで注意が必要になります。
たしかにキッチンの奥行きが広くなれば、調理スペースが広くなるので料理はしやすくなります。
しかし、奥行きが広くなれば、吊り棚に手が届きづらくなることも考えておかなければなりません。
15cm奥行きを広げれば、それだけ吊り棚の位置も下にさげなければならないのです。
横幅が広すぎると使いづらくなる
キッチンの横幅も同じことで、たしかに広いほうが使いやすそうなイメージを受けます。
しかし横のサイズが広くなれば、それだけ調理中に移動するスペースも広くなってしまい、結果としてあまり効率の良いキッチンでは無くなる可能性があります。
何か特別な理由が無いかぎり、キッチンのサイズは標準的なものを採用するのが、一番ベストだと思います。
キッチン選びでよくある質問
ここからは、キッチン選びでよくある質問について解説します。同じ内容で疑問を感じている人が多いので、ぜひチェックしてみてください。
キッチン選びは誰に相談すればいいのか?
ハウスメーカーが指定するシステムキッチン以外を設置したいと思ったとき、どうやってキッチンを選べば良いのか迷いますよね。
自分たちでキッチンメーカーのショールームに足を運び、そこで好きなものを選ぶこともできますが、ハウスメーカーの中には、インテリアコーディネーターが在籍している業者もあります。
たとえメーカーが指定するキッチンを設置しなくても、インテリアコーディネーターさんにお願いすれば、一緒にショールームについてきてくれるので、いろいろと意見を聞きながら選んでいくことができます。
インテリアコーディネーターさんの多くは女性の方なので、奥様とインテリアコーディネーターさんだけでショールームに行ってもらえば、平日の時間帯を利用することができるので、打ち合わせの時間を短縮することもできますよね。
天板はステンレスと大理石どちらが人気なのか?
キッチンのトップ面は一般的に「ステンレス」と「人工大理石」から選ぶことができます。この項目でも悩まれる家庭が多いです。
IHとガスのどちらを選んでも、天板やシンクの素材は好きに選ぶことができます。
ステンレスの特徴
出典:http://fevecasa.com/life/15711/
ステンレス製の特徴は、熱に強く、耐久性や耐水性にも優れている点です。コスト的にも大理石より安価に設定されています。
プロのコックさんたちが料理する調理場を想像してみてください。ほとんどがステンレス製のキッチンだと思いませんか?
それだけステンレス製の天板は、調理をするのに適しているということです。
それでいて安価なのですから、本来はステンレス一択でもいいはずなのに、実際人気があるのは大理石製のキッチンなんですよね。
人工大理石の特徴
出典:http://blog.livedoor.jp/katsurakomuten/archives/52094787.html
デザイン性などで人気なのが人工大理石です。
人工大理石という名の通り、主な素材はポリエステル製かアクリル製になっています。
ポリエステル製の方が安価なのですが、長く使っていると変色して黄ばんでくることも多く、あまりおすすめではありません。
多少費用は高くなっても、耐久性や清掃面に優れているアクリル製をおすすめします。
ディスポーザー付きのキッチンはないのか?
これまで分譲マンションや賃貸でも高級マンションの部類に住んでいた人から質問されることがあります。
「なぜ戸建て住宅では、ディスポーザー付きのキッチンがないのですか?」
ディスポーザーってすごく便利なので、一度使ったら手放せないんですよね。トイレのウォシュレットと同じです。
ですが、驚かれるかもしれませんが国内のキッチンメーカーでは、ほぼディスポーザー付きのキッチンは販売も製造もしていません。
キッチンディスポーザーってなに?
そもそもディスポーザーのことを知らないという人も多いと思いますので、簡単に説明しておきます。ディスポーザーとは、生ごみ処理機だと思ってください。
出典:http://www.insinkerator.jp/disposer/dsp.html
このようにキッチンシンクの下に機器を取り付け、その機器が生ごみを粉砕し、あとは生活排水として下水へと流してしまいます。
ディスポーザーを設置することで、生ゴミの量が減るのは言うまでもありませんが、衛生面でも非常に優れている製品です。
生ゴミの臭いなども気になりませんので、日本国内でも多くの分譲マンションでは、このキッチンディスポーザーが最初から標準装備されています。
なぜ戸建て住宅に設置されないのか?
たしかにマンションに比べ、戸建て住宅のディスポーザー設置率は格段に低いです。
というよりも国内の大手キッチンメーカーは、ディスポーザー付きのキッチンすら販売していません。これには理由があります。
キッチンメーカーも以前はディスポーザー付きの商品を製造、販売していたのです。
しかしディスポーザーから排出した水に機器で粉砕しきれなかったゴミが残っており、それが下水道に蓄積し、多大な被害が発生した事例がいくつもありました。
そういった経緯もあり、今は国内の多くの自治体でディスポーザーの設置を禁止する条例を作っているのです。
このように自治体の条例で禁止されているものを、キッチンメーカーも堂々と製造、販売することはさすがにできないのです。
ではなぜマンションはディスポーザー付きでOKなのか?という疑問が生まれますよね。
理由は2つです。
ディスポーザーが条例で禁止されるようになったのは、ごく最近のことなので、それ以前に設置していた可能性。
そしてもう1つがマンション独自で下水施設に負担をかけない対策を取っている可能性があります。
「ディスポーザー排水処理システム」といわれ、浄化槽を一度中継することで、下水への負担を減らすようになっているのです。
どうしてもディスポーザーを設置したい場合はどうしたらいいの?
まずは自治体の条例でディスポーザーの設置が禁止されていないかを調べてください。
それで設置が禁止されていなければ、国内の専用メーカーや外国製のディスポーザーを国内メーカーのシステムキッチンに取り付けることができます。
ほぼすべての国内キッチンメーカーの商品がディスポーザーの取りつけが可能だったと思います。
かなり古いタイプのシステムキッチンでも、ディスポーザーを設置できると思いますので、リフォームなどでもディスポーザーを付ける家は少なくありません。
価格にすると設置工事費まで込みで、国内、海外ともに10万円を切るくらいで設置できると思います。
まとめ
キッチンは毎日使用する場所なので、絶対に妥協はしないでください。
多少費用が掛かってもいいので、奥様が希望する広さ、設備、システムキッチンの種類を選んであげるようにしましょう。
デザイン性を凝る人も多いのですが、やはりキッチンは使いやすさを重視して欲しいと思っています。
とりあえず最初の段階では、設置するキッチンの種類(壁付や対面など)と形状(I型やL型など)を決めておけば、間取り作りはできるので問題ありません。
あとは色々なカタログを見比べながら、業者の意見も聞きつつ、家族で納得できる家づくりを進めましょう。