これから新築を建てようと検討している人向けに、窓を設置する際のポイントを分かりやすく解説します。
窓の種類は数が多くどれがいいのか悩む人が多いので、今回は人気のあるものをピックアップして紹介していきます。
選び方のポイントや配置する際の注意点などもまとめているので、家族で相談しながらどれにするのか決めてみてください。
窓の種類
細かく分類すると20種類以上あるのですが、ここでは一般的に使用されることが多い窓をピックアップして解説します。
掃き出し窓
出典:https://www.ykkap.co.jp/apw/apw330/example/index.html
リビングなどに採用されることの多い床まである窓のことをいいます。
ベランダやバルコニーに出られる二階の寝室や子供部屋でも、採用されるケースが多いです。
引き違い窓
出典:https://www.ykkap.co.jp/apw/apw330/example/index.html
掃き出し窓もこちらの一種になりますが、画像のように床から離れた位置にある窓を引き違い窓というケースが多いです。
日本の住宅ではこの引き違い窓が一番人気ですが、気密性は高くありません。
無理して設置することはせず、気密性の高いすべり出し窓で対応できる場所は、なるべく縦すべりや横すべり窓にすることをおすすめします。
どうしても設置したい場合は、引き違い窓ではなく下図のような片開き窓というものもあります。
なるべく断熱性能を下げたくないのであれば引き違い窓ではなく、気密性の高い片開き窓で対応してみてください。
基本的に片開き窓は、大きい方が開閉できず小さい方で開閉するようになっています。
出典:https://www.ykkap.co.jp/apw/apw330/example/index.html
出窓
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/apsword/variation/lineup.html
リビングや子ども部屋などに多く採用されている突き出した窓のことをいいます。出窓といっても様々で、引き違い戸タイプや開閉できないFixタイプもあります。
窓が突起しているため、室内に物置スペースがつくれ、ちょっとした小物を飾ったり植木をおいたりすることができます。
天窓(トップライト)
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/tenmado/
明かりとりのために設置される天井付近にある窓のことをいいます。
開閉できないはめ殺しタイプが多かったのですが、最近は通気を考え突きだしタイプの窓を設置する家も増えています。
壁に設置した窓に比べ天窓の採光量は、約3倍にもなるといいます。狭小地や狭小住宅のように日光を取り込むのが難しい場合は、設置を検討したい窓ではないでしょうか。
すべり出し窓
出典:https://www.ykkap.co.jp/apw/apw330/example/index.html
出典:https://www.ykkap.co.jp/apw/apw330fp/example/
ビジネスホテルなどによく設置してあるのが「すべり出し窓」です。
縦長で左右に開く窓を「縦すべり出し窓」、横長で上下に開く窓を「横すべり出し窓」といいます。
引き違い戸に比べ気密性が高いので、最近の戸建て住宅でも多く採用されています。
ルーバー窓
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/freming_j/variation/lineup.html
ちょっと前までお風呂場などに多く採用されていたのが「ルーバー窓」で、ハンドル操作で窓の開閉具合を自由に調整できます。
まだ製造はされていますが、気密性や防犯面に難があるため、ルーバー窓を薦めないハウスメーカーが増えています。
はめ殺し窓(Fix窓)
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/sash/winstar/
先ほど紹介した天窓でも使用されることが多い窓で、開閉できない窓のことを「はめ殺し窓」や「Fix窓」といいます。
基本的に眺望や採光を目的としている窓になります。
玄関、階段、天窓などに採用されることが多く、採光に関しては申し分ないのですが、清掃が困難なところが難点です。
壁に比べて気密性は当然下がりますし、通気することもできないため、ただの飾りとして設置するのは控えたほうが良いでしょう。
スリット窓
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/sash/winstar/
狭いスペースにはめ込まれた縦長の窓のことを「スリット窓」といいます。
階段や玄関などに設置されることが多い窓ですが、最近は開閉式のスリット窓も多く開発されており、採光だけでなく通気用の窓として採用する家も増えています。
フルオープン窓
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/sash/widesliding/
リビングへの設置要望が多いのが開口部分の広い「フルオープン窓」です。スライド式や折れ戸式があります。
リビングの履きだし窓に設置することが多く、リビングと庭を連続した空間にできるとして人気があります。
開口部が大きくなるので気密性が下がり、防犯やプライバシーの確保に気を配らなければなりません。
ここまで窓の種類について解説してきました。それぞれに特徴があるので、家族で相談しながら検討してみてください。
もしまだハウスメーカー選びで悩んでいる人は、カタログを取り寄せて比較してみてください。
窓ガラスの素材と構造
窓ガラスの種類を解説してきましたが、家の断熱性能に大きく影響するのは窓の素材と構造です。
ここからは、窓の素材と構造について解りやすく解説していきたいと思います。
窓サッシの素材
窓の素材というより、正確には窓枠(枠=サッシ)の素材が重要になります。素材は大きく以下の4つを覚えておけば問題ありません。
- アルミサッシ
- アルミと樹脂の複合サッシ
- 樹脂サッシ
- 木製サッシ
アルミサッシ
出典:https://rehome-navi.com/articles/598
昔から一般住宅に多く使用されてきた窓サッシです。安価で耐久性がよく腐食に強いのが特徴ですが、断熱性が低く結露を起こしやすいことで、最近は使う戸建て住宅が減ってきました。
アルミサッシは樹脂や木製に比べ、熱伝導率は1,000倍違うと言われています。そのため諸外国で窓ガラスにアルミサッシを使用することはほぼありません。
築20年以上前の中古住宅を購入するとアルミサッシが設置されていますので、樹脂サッシや木製サッシに変更するだけでも、家の断熱性能は良くなります。
アルミと樹脂複合サッシ
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/apsword/merit/
アルミサッシと樹脂サッシの良いところ取りをした製品が「アルミ樹脂複合サッシ」です。
アルミサッシの耐久性と樹脂サッシの断熱性をうまく組み合わせることで、安価で断熱性が高い窓サッシになっています。最近はアルミ樹脂複合サッシを標準仕様にしているハウスメーカーも多くなっています。
樹脂サッシに比べると安価ではありますが、断熱性能ではやや劣る面があるので、性能レベルでいうと「アルミ→複合サッシ→樹脂サッシ」となります。
樹脂サッシ
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/plamado_h/
アルミサッシに比べ熱伝導率が1,000分の1の断熱性能を持っている窓サッシです。材料は塩化ビニール樹脂が使用されています。
断熱性も良く、気密性も高いことから結露の発生を大幅に抑えることができます。
15年ほど前はかなり高額だったのですが、今はずいぶんと価格も下がってきており、標準仕様にしているハウスメーカーが多くあります。
寒さが厳しい寒冷地、海の近くの塩害地で家を建てるのであれば、ぜひ検討しておきたい窓サッシです。
木製サッシ
出典:https://www.swedenhouse.co.jp/technology/detail_window/
窓の枠が木製になっており熱伝導率が良いだけでなく、見た目の温かさでも人気の商品です。
結露対策や断熱性は申し分ないのですが、木製なだけに腐食に弱く反りがでる可能性が高いという欠点があります。
木製サッシを採用する場合は、定期的なメンテナンスと維持費用のコストは覚悟しておかなければなりません。
断熱性能はアルミの約1,700倍と樹脂サッシよりも高いのですが、メンテナンスの手間や維持コストのことを考えれば樹脂サッシでも充分なのかなと思います。
スウェーデンハウスでは標準仕様として採用しています。
窓ガラスの構造
窓ガラスの構造によって断熱性能が大きく左右されるので、窓枠と同じで窓ガラス選びも慎重にしましょう。
基本として覚えておけばよい窓ガラスの種類は以下の4種類になります。
- 単板ガラス
- 一般複層ガラス(ペアガラス)
- Low-E複層ガラス
- トリプル複層ガラス
単板ガラス(フロートガラス)
むかしの家に取り付けられている1枚ガラスのことを単板ガラスといいます。
20年以上前に建築された戸建て住宅だと、この単板ガラスを取り付けている住宅が多くありますが、最近では新築住宅で単板ガラスを設置することはほぼありません。
ガラス1枚なので、どうしても断熱や遮音など、あらゆる面で性能の低さが際立ってしまいます。
一般複層ガラス(ペアガラス)
出典:http://www.jfe-rockfiber.co.jp/eco/danetsu/vol7/02.html
俗にいうペアガラスのことですが、2枚のガラスの間に空気を密閉することで、単板ガラスよりも高い断熱性能が期待できます。
標準仕様としているハウスメーカーも多いのですが、同じ複層ガラスでも色んな種類があるので、違いをしっかりと理解しておくことが大事になります。
Low-E複層ガラス
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/window/glass/low-e-thermal/
一般複層ガラスに斜熱性と断熱性を高めるため、特殊な加工をしたガラスをLow-E複層ガラスといいます。
Low-E膜と呼ばれる特殊なコーティングを施すことで、「高断熱複層ガラス」や「遮熱複層ガラス」となります。
この特殊コーティングを室内側、室外側のどちらに施すかにより複層ガラスの性能も違ってきます。
通常はガラスの間に乾燥した空気を密閉した構造になっているのですが、アルゴンガス入りの製品を選ぶことで、断熱性能をアップさせることもできます。
ガラスの厚みでも性能が違ってきますので、同じLow-E複層ガラスでも内容までしっかりチェックしておくようにしましょう。
トリプル複層ガラス
出典:https://www.ykkap.co.jp/apw/apw430/detail/
その名の通りガラス板が3枚あるタイプの窓ガラスになります。構造的には複層ガラスと同じなのですが、ガラスが3枚あることで2つの空気層をつくることができ、2枚よりも高い断熱性や遮音性が期待できます。
一部の大手ハウスメーカーではトリプル複層ガラスを標準仕様にしている会社もありますが、高額な商品なのでほとんどのハウスメーカーでは追加オプションになっています。
選ぶ際のポイント
窓も種類が多く、どうやって選べば良いのか迷う人も多いと思いますが、あまり難しく考える必要はありません。
理由は窓選びのポイントは、何を重要視するかで決まるからです。窓には以下のような性能があります。
- 断熱性能を高める
- 防音の役割
- 日光を取り込む
- 日光をさえぎる
- 眺望を楽しむ
- 防犯の役割
出典:https://www.lixil.co.jp/lineup/window/hint/select_function/
6つの中で、自分たちが何を重視したいかハッキリさせておけば、窓選びは決して難しくありません。
重要視したい項目をはっきりとハウスメーカーに伝えておきましょう。あとは営業や設計の担当者が希望にあう窓ガラスの候補をピックアップしてくれます。
窓の配置や注意点
注文住宅を建てるときに誰もが「明るい家にしたい」を考えると思います。
窓の数を増やせば家全体は明るくなりますが、標準仕様内で設置できる数には限度があります。また窓を増やしすぎると、耐震性など家の強度を下げることにもなりかねません。
ここからは間取りに合わせた窓の配置や注意点について、説明していきたいと思います。
窓の配置で注意しておくべきポイント
家の間取りが決まると次は内装について決めていくことになり、窓を設置する位置もここで決めます。
窓の位置を決めるにあたり注意しておくべきポイントについて、わかりやすく一覧にまとめておきましたので参考にしてください。
- 充分な採光を確保できているか
- 建物の耐震性に影響しないか
- 風通りは悪くならないか
- 防犯面を考慮しているか
- 家具の配置に悪影響しないか
- 隣家や外を通る人からの目線が気にならないか
- 掃除しやすい窓であるか
採光
マンションは窓が充分に確保できないため、昼間でも照明をつけておく家が多いのですが、戸建て住宅は照明がなくても日中は充分な明るさを確保できます。
理由は採光面を考えた窓の配置がなされているからです。
小さい窓しか設置できず採光があまり取れてない場所には、天窓(トップライト)などを設置して明るさを確保することができるのも戸建て住宅の特徴です。
耐震性
耐震性能が高い家を建てているのに、窓の設置場所が悪いがために家全体の強度をさげてしまっては意味がありません。
特に木造住宅は鉄骨のように大きな開口を設けることが難しいので、柱の位置が一本変わるだけで家の強度に影響をあたえます。
風通り
風の通りが悪いと家の中がジメジメした空間になってしまい、カビやダニの発生にも繋がります。
1部屋に2つの窓を設置し風通りを良くするのはもちろんですが、通りやすい位置を考え窓の場所を決めるようにしましょう。
防犯面
防犯的な役割も窓の配置によって左右されます。風通りが良さそうな方角であっても人の目に触れない場所だと、空き巣被害に合う可能性が高くなります。
人の目があまり届かない場所に窓を設置する場合は、空き巣対策としてシャッターや格子を取り付けるなどの対策も考えておきましょう。
家具の配置
窓の配置にばかり気を取られてしまうと、家具を置くスペースが限られてしまうことが良くあります。
玄関が暗くなりがちなためスリット窓を設置したら、靴を収納するスペースが少なくなってしまった。明るいキッチンにしたかったので窓を多く設置したら、食器棚のスペースが限られてしまったなどです。
人の目線
すぐ近くに歩道がある道路があったり隣に家が建っている場合は、窓の位置を考えないと毎日人の目線を気にすることになります。
先に隣に家が建っているのであれば、窓の位置が同じにならないように少し位置や高さをズラしておくよう配慮しましょう。
掃除
デザインや気密性を考え、引き違いタイプよりすべりタイプの窓を設置することが多くなっています。
すべりタイプの窓は気密性も高く、デザインもカワイイく人気なのですが、掃除がしにくくなります。手軽に掃除ができるか?というポイントも忘れないでおきましょう。
部屋別にあうおすすめ窓
同じ家でも場所によって適した窓の種類や設置する位置が違ってきます。ここからは各部屋や場所によって、どのような点に注意すれば良いのかについてまとめています。
リビングの窓
出典:https://sumai.okinawatimes.co.jp/commons/look/detail/3519https:/sumai.okinawatimes.co.jp/commons/look/detail/497
リビングに設置する窓の種類や大きさ、そして位置や数によってその家の快適性が決まります。そのためリビングの窓選びは慎重に行う必要があります。
リビングは明るく開放感がある空間にしたいと思い大きな窓を設置したくなるのですが、10~14帖ほどのLDKだと大きな窓を設置することで壁の面積が少なくなってしまいます。
そうすると家具の配置に困るので、なるべく大きな窓は履き出し窓1つにして、あとは採光を確保するためにスリット式の高窓や天窓などで補うようにしてください。
ダイニングキッチンの窓
LDKというように、リビングとダイニングキッチンを同じ空間で考える人が多いようです。そのためリビングの採光をしっかり採っていれば自然とダイニングキッチンも明るい空間になるだろうと思っている人も多いようですが、これは間違いです。
ダイニングキッチン部分においても、しっかりと採光を考えた窓を配置しておく必要があります。そうしないと暗い空間で炊事や食事をすることになってしまいます。
キッチンまわりには「勝手口、食器棚、冷蔵庫、パントリー」など、必要なものが多くあります。
キッチンの広さはせいぜい3帖くらいだと思うので、限られた空間の中にいかに効率よく必要なものを配置するかが間取りのポイントになります。
しかし窓の配置1つで、使い勝手の悪い空間になってしまうこともあるので注意しましょう。
例えば下図のように奥の壁に窓を設置するのであれば、もっと縦長のスリット窓にすることでさらに明るいキッチンにできると思います。
出典:https://taisei-painting.co.jp/products/
主寝室の窓
寝室でNGとなる窓の位置は枕元の上です。枕元の上に窓を設置すると、冷え込む日など窓から冷たい冷気が入ってきてしまい、かなり寒く感じることでしょう。
最近は寝室に大きな窓を設置せず、スリット式やすべり式の窓を設置する家が増えていますが、どうしても枕元の上部に窓を設置したいのであれば、はめ殺しタイプやスリット式の小さな窓にしておきましょう。
出典:http://tagle.jp/house/tyt00000460012
寝室は東から朝日が入りますので、それを考えた窓の配置を考えるようにしましょう。
最近はベランダやテラスがない家も多いので、必ずしも履き出し窓を設置する必要性もなく、寝室であれば通風を考え引き違い戸と高窓(ハイサイドライト)でも充分な気もします。
子ども部屋の窓
子ども部屋だからこそ明るい部屋にしてあげたい!という気持ちから、大きな窓を何個も設置する家があります。
しかしそれは親の意見であり、子どもはその逆が良い場合もあります。子どもの頃は壁に好きなアイドルやアニメのポスターを貼ったりしますよね。
特に子ども部屋は4.5畳や5.0畳くらいの広さになることが多く、大きな窓だとなおさら壁の面積が少なくなってしまいます。
出典:https://www.lixil.co.jp/lineup/window/samos/case/bedroom/
子ども部屋は大きな窓で、数をなるべく少なくしてあげるのもポイントの1つだと思います。
小さい子どもは体調も崩しやすいので、Low-E樹脂サッシなど、多少価格が張っても良い窓をつけてあげるようにしましょう。
和室の窓
和室の窓は洋室よりも低めに設置することはハウスメーカーから説明があると思います。窓の数も多くて2つで問題ありませんし、1つでも良いくらいです。
ただ和室の使い方によっても、窓の大きさなどは違ってくるので、どのような用途で和室を使うのか、それを営業さんや設計さんにしっかりと伝えておくことが重要です。
親と同居するにあたり和室を親の寝室に使う考えがあれば、窓は履き出し窓を検討しても良いかもしれません。
デイサービスなどを利用するようになり、介護施設の職員さんが迎えにきてくれるようになったら、和室から直接出入りできるような大きな窓を設置しておくと便利です。
リビング続きの和室であれば、窓は1つもあれば充分ではないでしょうか。無理して引き違い戸の窓を設置しなくても、すべり出し窓やスリット窓でも充分に明るさや通風は確保できると思います。
出典:http://www.kotobuki-kogyo.co.jp/bikken1-5
玄関の窓
意外と頭を悩ませるのが玄関部分の窓です。そもそも玄関に窓が必要なのか?という疑問からはじまります。
玄関窓の有無については、実家を参考に考える人が多いようです。マンション住まいの人は基本玄関に窓はありません。
また「私の実家は玄関に窓はないけど、それなりに明るかったよ」と言われる人も多くいます。しかし、これは今と昔の玄関事情が関係しているように思います。
昔の家の玄関というのは、今のようにドアタイプではなく、引き戸タイプの玄関の家が多かったからではないでしょうか。
引き戸タイプの玄関ドアだと、窓はなくても玄関ドアそのものがガラスになっているのです。
出典:http://www.yoshiwakanamono.com/works/cat27/post_44.html
今の玄関はほとんどドアタイプなので、上図のようなガラス戸の玄関はあまり使われません。そのため玄関部分に窓を設置する家が多くなっています。
と言っても玄関に窓を設置する意味は大きく「採光」と「通気」のためです。そして懸念されるのが防犯とプライバシー問題です。
この4つを考えながら、どのような窓を設置するのが良いのか決めていくのがベストだと思います。
出典:https://www.ykkap.co.jp/products/door/venato/variation/lineup.html
このようにドアのすぐ横に窓を設置してしまうと、ガラスを割られてカギを明けられるのでは?と、防犯的な面で心配になります。
もちろん強化ガラスを使用するなどの対策もありますが高額になります。
通気のことを感がないのであれば、天窓(トップライト)を設置して明るさを確保するのが良いのですが、換気のことを考えると開閉できる窓をつけたくなります。
そんな場合は高窓(ハイサイドライト)などを設置してはどうでしょうか。高窓であれば採光もとれて換気もできます。
これだと壁に窓を設置して、収納スペースを潰すこともありません。
出典:http://www.housing-sumica.jp/knowledge/not_fail/parenting_renovation/01/
階段の窓
窓の設置で一番失敗が多い箇所は階段です。
窓は一般的に指定されない限り、床から2mの高さに設置されるのですが、階段の窓は高さを指定しないと、手が届かない場所に設置されることもあります。
もちろんベテランの営業さんなら、その点をしっかり理解しているので、窓の高さの指定をしてくれるのですが、若手の営業さんとかだとうっかり階段の窓の位置を指定し忘れるなんてことも・・。
結果、下図のように施工後に苦肉の策として、対策をしなければいけなくなります。
出典:http://nigata-chuo.madoshop.jp/shop/jirei/detail/?id=3199
階段の窓の位置は実際にモデルハウスなどをみて決めることをおすすめします。通気を考えないのであればはめ殺しの窓でも問題はありません。
開閉式にしても階段の窓の掃除はほぼ無理なので、最初からはめ殺しタイプの天窓などで採光をとるのがおすすめです。
廊下の窓
1階の廊下は両隣に部屋が来ることが多いので窓を設置できない家も多いのですが、盲点となるのが2階の廊下やホール部分の窓です。
階段の窓を天窓にしておけば、2階の廊下やフロアまで明かりが取れるのですが、階段途中の窓を採用していると2階の廊下やフロアが暗くなってしまいます。
窓は基本、風の入口と出口を作る必要があります。しかし2階フロアに2つも窓を設置するスペースはありません。
その場合は引き違い戸より、縦長のすべり出し窓やスリット窓を2つか3つ並べてつけてあげることで、空気がうまく循環できるようになります。
出典:http://www.instazu.com/media/1127140485994248347
トイレの窓
トイレに窓をつける理由は「換気」と「採光」とす。換気に関しては換気扇がついているので、窓がないと困るということはまずありません。
一方の採光ですが、必要となるのが災害時などに停電した場合くらいです。もちろん窓がないと日中でもトイレの電気はつける必要がでてきます。
そしてもう1つ大きな問題がトイレの収納スペースです。
窓を設置することで、壁を1面つぶしてしまい、トイレに充分な収納スペースを確保できない可能性が出てきてしまいます。
とくに階段下のスペースに1階にトイレをつくる場合など、どうしても収納スペースに困ってしまうので、窓をとるか収納スペースをとるかで悩む人も多いのではないでしょうか。
トイレの窓については、その人の好みの部分も大きいので、窓の有無は本人次第だと思います。
トイレに窓を設置したいのであれば、縦長のトイレではなく横長のトイレにすると思います。縦長であればどうしても窓を設置するのは入って奥正面にある壁になりがちですが、横長のトイレであれば壁面積も広く、窓も収納スペースも確保できるからです。
出典:https://isomaru8989.blog.fc2.com/blog-entry-217.html
バスルームの窓
バスルームに窓を設置する覗きや空き巣など、防犯面を心配する人も多いのではないでしょうか。普段あまり気にしないバスルームの窓ですが、注文住宅を建てるとなれば嫌でも考えなければなりません。
バスルームの窓は必要か不要か?もし設置するなら、どんな点に気をつけておくべきかを解説したいと思います。
バスルームの窓は必要か不要かでいえば、わたしは必要派です。
トイレと同じように換気扇はついていますが、バスルームの換気は窓があったほうが格段によくなるからです。
それにバスルームは家の中で一番人が亡くなる場所でもあります。心筋梗塞や脳卒中。
これはバスルームと他の部屋の温度差に原因があります。だったらなお更バスルームには断熱性の高い窓をつけるべきだと考えます。
防犯面を考え、はめ殺しタイプのFIX窓を設置する家も多いようですが、それだと換気ができず勿体ないと思います。せっかく窓を設置するのであれば、やはり開閉できるタイプの窓を設置することをおすすめします。
出典:https://jp.toto.com/products/bath/b00032/tsuinosumika.htm
ポイント:覗きや空き巣を警戒して、高窓をつけるケースも多いようですが、これだと開閉する際に足を滑らせるリスクがありますし、覗き対策としても逆効果だと思います。
わたしのおすすめ窓は「片開き窓」です。それだと充分な採光も確保できますし、空き巣などの防犯にもなります。なるべく目線の高さに設置することで、逆に覗きにくくする効果もあります。
出典:http://www.housetec.co.jp/products/bathroom/
まとめ
今回は注文住宅の窓について細かく解説してきましたが、家の断熱性能を決めるのは断熱材と窓の2つです。断熱材ばかりに気をとられすぎて、窓選びがおろそかになっては決して断熱性能の高い家は建てることができません。
断熱材と同じくらい、窓枠や窓ガラスについても知識をもち、各部屋にあった窓ガラスを設置するようにしましょう。
ちなみに断熱材のグレードをあげるより、家全体の窓のグレードをアップさせるほうが追加費用は高くなると思ってください。ですので、断熱材も大事ですが、標準仕様で性能が高い窓ガラスを採用しているハウスメーカーを選ぶこともすごく大事なことです。
わたしのおすすめとしては、最低でも「複層Low-Eガラス+樹脂サッシ」を標準仕様にしているハウスメーカーが良いと思います。