これから家づくりをする人の中には、土地の購入から始める人も多いかと思います。
そこでこの記事では、土地を購入した際にかかる税金について、分かりやすく解説していきます。
土地購入時に支払う税金は、大きく以下の3つがあり、場合によっては「固定資産税」や「消費税」がかかることもあります。
- 不動産取得税
- 印紙税
- 登録免許税
土地購入時にかかる税金
ここでは土地購入時の各種税金について、詳しく解説していきたいと思います。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産の購入をしたときに発生する税金のことで、購入後3ヵ月~6ヶ月後くらいを目処に、納税通知書が郵送で届きます。
ちょっと忘れかけていたときに届く事が多く、なかなか手痛い出費となりがちです。ちなみに不動産取得税のおおよその額は、以下のような計算式で求めることができます。
固定資産税評価額×4/100 =税額
ここで注意すべきポイントは、土地の売買価格ではなく、あくまでも固定資産税評価額で計算することです。
仮に売買価格が2,000万円の土地であれば、固定資産税評価額はおよそ1,500万円前後になると思います。先ほどの式に当てはめて計算すると、以下のようになります。
1,500万円×4/100=80万円
しかし、こちらに適用できる軽減措置があり大幅に減額できるようになっています。
マイホーム用地の軽減措置
マイホーム建築用の土地に関しては、2021年3月31日まで税率を4%→3%に減額できます。
さらにマイホーム用の宅地購入であれば評価額を1/2に軽減できます。これらが適用された場合の計算式は以下のようになります。
固定資産税評価額×1/2×3/100 =税額
では先ほどの固定資産税評価額が1,500万円の土地の場合の金額を算出してみましょう。
1,500万円×1/2×3/100 =225,000円
さらにここから最低でも45,000円控除することができるので、実際に支払う納税額は180,000円ほどになります。
仮に建築する住宅が決定しているのであれば、45,000円よりもさらに大きな控除を適用できる可能性があります。
※土地分については、下記のうち多い金額を軽減後の税額から控除できます
- 45,000円
- 土地1㎡あたりの価格×1/2×住宅床面積の2倍×3%(税率)
印紙税
印紙税とは、土地の売買契約書や銀行融資の書類などに貼付する印紙代のことで、一般的には、売主と買主がそれぞれの契約書分を負担することになっています。
土地購入価格によって多少違ってきますが、よほど高額な土地を購入しない限りは、10,000円~20,000円程度の出費で済みます。
実はこの印紙税も軽減措置が適用されており、不動産売買契約書に貼付する印紙税については本来の半額程度となっています。
2022年3月31日までの軽減措置
本来の税率 | 軽減後の税率 | |
---|---|---|
500万円を超え1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
こちらの軽減措置は2022年3月31日までの期間で終了する予定となっていますが、期間が延長されることが多い軽減措置ですので、終了期間近くで土地購入する際には再度期間の確認をしておくようにしましょう。
登録免許税
登録免許税とは、購入した土地の登記をする際に掛かる税金です。土地の所有権を移転したり、住宅ローンを利用するのであれば抵当権の設定をしなければなりません。
まず覚えておいて欲しいのが、土地だけの売買と建物が残っている中古住宅としての売買では、適用される税率が大きく異なるという点です。
- 土地だけの売買:税率1.5%(2021年3月までの軽減措置)
- 中古住宅の売買:税率0.3%(2021年3月までの軽減措置)
※軽減措置は延長される可能性が高いので、購入時にしっかり確認しましょう。
今回は土地の売買について話をしていますので、土地だけの売買として説明していきます。
本来の税率は2.0%なのですが、2021年3月末までの軽減措置があり、税率は1.5%に軽減されています。
1.5%と言っても土地の価格が大きいため、それなりにまとまった金額が必要となります。
例えば2,000万円の土地を購入したとするなら、「2,000万円×1.5%」なので、納める登録免許税は30万円となります。
さらに登記に関しては、司法書士にお願いするケースが一般的なので、司法書士への報酬として登録免許税とは別に30,000円~70,000円が掛かります。
固定資産税
不動産の売買では所有権が移転した日を境にして、固定資産税を売主と買主で負担するのが一般的です。
ただし、固定資産税は1月1日時点の所有者に納付書が届きますので、日割り計算して残りの日数分を買主側が売主側に支払うという方式です。
この時に注意して欲しいのが契約日ではなく、所有権が移転した日を境にするということです。
消費税
土地は消費するものではないため、土地代金に消費税は掛かりません。
ただし、不動産会社を通して個人の土地を購入するのであれば、仲介手数料を払わなければならず、この仲介手数料に対して消費税が掛かります。
こちらも2,000万円の土地の売買だとするなら、一般的な仲介手数料の額は726,000円。そのうち消費税が66,000円含まれていることになります。
仲介手数料0円の土地
2,000万円の土地だと70万円以上の仲介手数料を払うことになるので、かなり大きな出費です。そこで仲介手数料0円という土地の探し方を紹介しておきます。
土地の売主が個人だと、売主と買主を仲介しているので当然仲介手数料が発生します。
しかし、売主がその不動産業者だったらどうでしょう。この場合は当然仲介とは言いませんので、仲介手数料を払う必要はありません。
つまり不動産会社が造成開発した分譲地、もしくはハウスメーカーなどが開発して販売している宅地分譲団地などを狙うことで、仲介手数料0円の土地を見つけることができます。
その他の費用
今回は土地購入に関連する税金の話しをしましたが、税金以外にも土地購入時にはいろいろな費用が発生するので注意してください。
例えば土地の測量をするための「測量調査費」、住宅ローンを組む際の「保証料」や「手数料」などが高額になりがちです。
さらに土地購入時に売主に対して手付金や頭金を払わなければならないケースもあり、これらも基本的に現金出費となる項目です。
土地購入費が高額になればなるほど、これらの出費も高額になるため、それらを含めて自己資金がどれくらい必要となるかを、しっかりと計画しておく必要があります。
よくある質問
ここでは今回紹介しきれなかった、土地購入時の税金についての質問をいくつかまとめておきましたので、参考にして頂ければと思います。
土地のみの固定資産税はいくらかかる?
今は家を建てる計画はないが、将来的にマイホームを建てたいので先に土地だけ購入するのはどうか?という質問を受けることがあります。
マイホームの計画が2年以内であれば土地を購入しても構いませんが、それ以上先の話であれば高い固定資産税を毎年払い続けることになるので、あまりおすすめではありません。
購入時マイホームを建てる計画がある場合、期間限定で土地の固定資産税は最大1/6に軽減されます。
評価額が1,500万円の土地であれば、本来の固定資産税額は「課税標準額×1.4%」なので21万円になります。
しかし建物がある、もしくはマイホームの計画があれば1/6に軽減され35,000円ほどになります。
個人で不動産登記できる?
司法書士への報酬を節約するため、個人で不動産登記をする人もいます。自分でも不動産登記をすることはできますし、登記の手順もさほど難しくありません。
ただし、自分で不動産登記をしても費用をカットできる部分は、司法書士への報酬のみであり、登録免許税が安くなるわけではありません。
土地の所有権移転登記は、さほど難しくありませんが、住宅ローンを利用する際の抵当権設定登記は少々難易度が高いです。
個人でやれないこともありませんが、ここは司法書士にお願いすることをおすすめしておきます。
不動産取得税の納税猶予がある?
土地は購入したが、家を建てるのは半年後や1年後というケースもあります。この場合、土地の不動産取得税はどうなるのでしょうか?
一般的な考え方だと、1月1日の現況が優先されるので、軽減適用されない納税額を納めることになります。
ただ、地域によっては土地購入から3年以内に住宅の建築予定があるのでしたら、その旨を申告することで特例適用が認められることがあります。
他にも地域によっては一旦請求通りに納付し、住宅を建築したあとに差額分を還付するというケースもあります。
古家を解体した場合の建物の不動産取得税は?
古家付きの土地を取得したが、建物は取り壊して新築住宅を建て替える予定の場合、建物分の不動産取得税は課税されるのでしょうか?
地域によって多少対応は異なるようですが、一般的には住居として一切使用せず、すぐに建物を解体して更地にしてしまうのであれば、建物分の不動産取得税は課税されないケースもあります。
まずは地域の担当窓口に相談してから、購入手続きをするようにしてください。
固定資産税の支払いはいつきますか?
6月に土地だけを購入し、翌年2月に新居が完成した場合であれば、本年4月くらいに土地の固定資産税の納付書が自宅宛に届きます。
建物に関しては完成が2月なので、本年の固定資産税は払う必要がありません。
翌年4月頃に土地と建物の納付書が届きますので、建物に関しては10ヶ月分ほど得をしたことになります。
まとめ
固定資産税については、土地を購入する時期をしっかり見極めるように注意しましょう。
例えば12月25日に土地を購入してしまうと、翌年は土地の固定資産税を払わなければならず、軽減措置を受けることも難しいでしょう。
しかし、翌年の1月にその土地を購入すると、固定資産税は売主と買主で日割り負担なのであまり関係ありませんが、その年の12月までに新居を完成させることで軽減措置が利用でき、大幅に支払額を減らすことができます。
このようなちょっとテクニックを不動産会社は基本的に教えてくれません。彼らは土地を早く売ることが仕事なのですから仕方ないことです。
ですので、必要最低限の知識だけでも自分で身につけておくことをおすすめします。