注文住宅のトラブルで一番多いのは、契約後にキャンセルしてしまった場合の違約金に関してです。
不動産の売買における契約後のキャンセルでは、手付け解除(※1)というのが一般的です。
注文住宅づくりとなると、不動産売買とは少し違いますが、注文住宅の請負契約のキャンセルでも、手付け解除と同じように違約金が発生することになっています。
※1 手付け解除とは
手付け解除とは、契約をキャンセルする条件として支払っている手付金を放棄することをいいます。
もしすでに家づくりが進行中の人で予算オーバーで契約解除を検討している場合は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
請負契約解除の違約金について
注文住宅づくりにおける、住宅会社との請負契約を解除した場合の違約金の額は、おおよそ工事代金の3%~10%に設定されているケースが多いです。
工事代金が3,000万円だとしたら100万円~300万円ほどの違約金が発生してしまいます。
そうならないためにも、ハウスメーカーや工務店と契約をするときは、慎重に選んで進めなければなりません。一度契約してしまうと簡単にはキャンセルできないことは覚えておいてください。
もし契約がまだの人は、家を建てようとしている地域で自分の予算にあうハウスメーカーや工務店はどこなのか把握し、各社の注文住宅プランをしっかり比較しておきましょう。
比較する際の便利なのが建設予定地、予算別に業者のカタログ請求ができるLIFULL HOME'Sです。登録している優良業者の中から自分達にあうところをピックアップしてくれるの非常に便利です。
しかも無料で使えて気に入った業者が無ければ、契約しなくてもOKなので安心して利用できます。
※予算別のカタログ特集ページ一覧
ではここからは、どのような状況で請負契約の解除をすることがあるのか、想定できるパターンの契約キャンセルについて話をしていきます。
契約直後のキャンセル
契約した翌日に、「やっぱり昨日の契約は一旦白紙撤回したい」と、業者側に連絡するかたも多いようです。乗りかかった船に不安を感じてしまうこともあると思います。
「昨日の今日だし違約金などは発生しないだろう」と思ってしまいますが、残念ながらほとんどの業者が違約金を求めてくるでしょう。
対応はハウスメーカーや工務店によって違い、なかには「わかりました!今回はキャンセル扱いにします。違約金なども必要ありません」と言ってくれる良心的な業者もあります。
実際に管理人がハウスメーカーで営業マンをしていたときにも、同じようなケースで違約金なしでキャンセルに応じたことが数回あります。
しかし、一般的な考え方としては、契約した翌日といえども、それまでに数回打ち合わせをしたりして間取りを決めたり、概算の見積書を作成してもらったりしたはずです。
それだけ業者側はあなたに時間を割いているのですから、いくら契約した翌日とはいえ、違約金を請求されることになる可能性が高いと思います。
この場合の違約金の額は、契約書に書かれている通りになるケースが多いのですが、業者によって金額は異なるので、契約時にしっかりと契約書を確認しておきましょう。
悪質な業者になると、契約解除の違約金額を「請負代金の20%」など、通常よりも高額に設定していることもあるので注意してください。
工事開始直前のキャンセル
契約後、間取りやインテリアなどの打ち合わせを重ねて着工となるので、契約後から工事の着工までには少なくても2ヶ月、長ければ半年以上の期間があります。
そのため、打ち合わせを重ねるごとに「営業マンの態度が気にいらない」、「契約前に聞いていた話しと違うことが多い」、「当初の予算を大幅にオーバーしてしまった」など、契約解除が頭をよぎる要因がいくつも発生することがあります。
どうしてもその業者や営業マンを信用することができなければ、この段階でも契約をキャンセルすることはできます。ただし、工事開始直前まで来ているのでしたら、手付金の放棄だけではなく、別途違約金を請求される可能性が高くなります。
手付け解除と違約金の違い
手付け解除=契約解除することで手付金や契約金を放棄すること
違約金=手付け金の放棄だけでは損害が追いつかない場合、別途に損害金や違約金などの追徴金を請求されること
このように、約時のペナルティは2種類あり、この時期での契約解除(キャンセル)だと違約金まで覚悟しておかなければなりません。
違約金の金額も業者によってさまざまで、設計や地盤調査に費やした分を請求されることもあります。さらに恐ろしいのが、建築資材などを既に発注済みのケースです。その場合、多額の損害金を請求されることがあります。
もし発注済み資材に対する損害金や違約金を請求された場合は、必ずどんな部品を発注しているのか、商品名や金額がわかる書類をもらうようにしてください。
キャンセルされた会社側はかなりの損害になるので、その腹いせに、わざと高額な違約金(損害金)を請求してくる業者も少なくないからです。
建築中のキャンセル
建築が始まっている段階でも、契約を解除することはできます。すでに上棟が終わり、基礎や躯体工事が終わっているような状態でも、契約を解除することは可能です。
もちろんこのような場合だと、すでに工事が終わっている分については、全額建築費用を払わなければなりませんし、契約書に書かれている違約金(損害金)も支払わなければならないので、この段階でのキャンセルは現実的ではありません。
建築中の契約解除はリスクが大きい
建築中の契約解除のリスクは、金銭問題だけではありません。注文住宅の場合、建築中の建物本体は、請負契約した会社や建築をしている業者側に所有権があります。
建築中に不慮の事故などが発生した場合のリスクを考えて、所有権が会社となっているのですが、これが大きなトラブルへと発展することもあります。
ほとんどの建築業者は、建築中の契約解除となれば金銭的な負担で折り合いがつくのですが、悪い業者のなかには、嫌がらせの意味も込めて建築中の現場を放棄することがあります。
そうなってしまうと、新たな建築会社を見つけても、前の業者の木材や工事道具が残っているため、工事を再開することができません。このような事案はそう多くありませんが、実際に起こっているのも事実です。
建築途中での契約解除をしたということは、よほどの理由があったのだと想像できます。話し合いで穏便に問題解決するのはまず無理でしょう。そうなった場合に、違約金や損害金の話し合いも進まず、業者側はこのような嫌がらせをするということです。
建築条件付き土地の契約解除
建築条件付き土地を購入して注文住宅を建てるときも、解約に関するトラブルがよく起こります。
トラブルの原因としては、「建築条件付きなので、土地と建物の契約を同時にしてもらう必要があります」と、営業マンに言われるまま、ほとんど何も決まってない状態で建物の請負契約を交わしてしまうことです。
これは営業マンのがその土地を売るための手段のひとつですので、建築条件付きの土地だからといって、必ずしも土地と建物の契約を同時にする必要はありません。
一般的には、建築条件付き土地の多くが「土地契約後、一定期間以内に建物の請負契約を締結すること」、という条件になっているはずです。
つまり、間取りや見積りなどの打ち合わせをする期間は、しっかりと設けられているのです。この一定期間内に建物の請負契約に至らない場合は、土地の売買契約そのものが白紙撤回になります。
もちろん、それまでにかかった設計料や、営業に対する代価(損害金や違約金)を求められても支払う必要はありません。建築条件付き土地というのは、一定期間内に建物の請負契約に至らないときは、すべての契約を無条件で白紙撤回する決まりになっているからです。
そう決まっているのにも関わらず、こちらが無知なのことをいいことに、「少しでも早く建物の請負契約を結んでしまおう」、と考えている営業マンも実際にいます。
これは管理人の個人的な考えなのですが、もしその土地に執着がないのであれば、建物の建築業者を指定されてまで、その会社と契約する必要はないと思います。なぜなら、その時点でこちら側が立場的に弱くなってしまうからです。
本来はこちら側が業者を選ぶ立場なのに、建築条件付きとなればその逆で、業者側が客を選んでいる状態と同じだと思います。自社の家づくりに自信があれば、わざわざ建築条件の土地販売をしなくても、口コミや商品力でお客さんは獲得できるはずです。
なお、建築条件付の土地についてはこちらで詳しく解説しているので、あわせてチェックしてください。
クーリングオフは使えるのか?使えないのか?
インターネットの掲示板などで、「クーリングオフは使えないのですか?」という質問をみかけます。
じつは、平成22年の12月より法改正が行われて、注文住宅の請負契約にもクーリングオフが適用されるようになりました。
しかし、クーリングオフの適用となる条件が決まっており、注文住宅の請負契約であれば「訪問販売で契約した場合」が前提となっています。
注文住宅を訪問販売で契約することはまずないと思いますので、実質、クーリングオフ制度はないと思った方が良いでしょう。
「明日契約するから15時に家まで来てもらえませんか」というように、こちらから営業マンを自宅に招いて契約した場合は、もちろん訪問販売とはみなされません。
まとめ
今回は注文住宅のキャンセルについて話をしてきましたが、ここで覚えておいてほしいのは、
- どの段階であっても契約をキャンセルすることはできる
- 解除・違約金の内容は請負契約書の中にも記載されている
- キャンセル時期よってキャンセルした側のペナルティが大きくなる
ということです。
契約後、業者に対して何らかの不信感を抱いたのであれば、その時点で一旦打ち合わせなどをすべてストップして、冷静にどうするかを決めるのがベストだと思います。
不信感を抱いたまま打ち合わせを重ねてしまうと、話がどんどん進んでしまい、キャンセルとなったときのペナルティが重くなるだけです。
注文住宅づくりでは、「もしも」のことも想定して進めていくことが大切です。検討した結果やむなくキャンセルすることになったとしても、違約金などのペナルティを最小限に抑えられるよう、考えて進めていきましょう。