50坪以上の新築を建てようと検討している人向けに、ハウスメーカー別の間取り例と費用の目安を解説します。
50坪以上の注文住宅となれば、かなりの大型住宅になりますが二世帯住宅や3階建て住宅など、50坪を超える住宅の要望も少なくありません。
大手ハウスメーカーだと4,000万円を超えることもありますし、ローコスト住宅でも建物のみで2,200万円以上が目安となります。
50坪の間取りと費用相場
建てる家が大きくなるほど、坪単価は下がるのが一般的です。
同じハウスメーカーでも、30坪の家と50坪の家では坪単価が5~10万円違うなんてことも珍しくありません。
では、実際の費用相場をみてみましょう。
大手ハウスメーカー | |
---|---|
本体工事価格(建物のみ) | 3,500万円 |
総建築費(建物+付帯工事+諸経費) | 4,000~4,350万円 |
ローコスト住宅 | |
---|---|
本体工事価格(建物のみ) | 2,200万円 |
総建築費(建物+付帯工事+諸経費) | 2,550~2,700万円 |
最近多い30坪や35坪くらいの家に比べると、建築費もかなり大きくなってきます。
少しでも予算を絞りたいと考える人も多いと思いますが、そういった場合は間取りの工夫や家の形で予算を削減することもできるので覚えておいてください。
同じ50坪の家でも、建て方次第では安くなることもあれば、逆に高くなってしまうこともあります。
上記3つのタイプであれば、左の総二階建ての家が一番建築費を抑えることができる家の形です。
総二階 | 部分二階 | 平屋 | |
---|---|---|---|
坪単価 | ○ | ▲ | × |
土地の広さ | ○ | ▲ | × |
耐震性 | × | ▲ | ○ |
バリアフリー | ▲ | ▲ | ○ |
狭小地や不整形地 | × | ○ | ○ |
ローコスト住宅
家の広さが大きくなるにつれ、ローコスト住宅で建てる割合は減ると言われています。
これは、大手ハウスメーカーでも家の規模が大きくなることで坪単価を安く抑えることができる反面、ローコスト住宅はそこまで坪単価の変動は期待できないからです。
あくまでも例ですが、以下のような感じだと思って頂ければ解りやすいと思います。
ローコスト | ハウスメーカー | |
---|---|---|
30坪 | 45万(1,350万円) | 65万(1,950万円) |
50坪 | 42万(2,100万円) | 57万(2,850万円) |
しかし、50坪より大きい家でも二世帯住宅などを希望されるケースもあるので、ローコスト住宅で建てる人は少なくありません。
クレバリーホーム
- 商品名:CXシリーズ
- 間取り:2LDK+4LDKの2世帯住宅
- 1階床面積:104.75㎡(31.68坪)
- 2階床面積:81.98㎡(24.79坪)
- 延床面積:187.63㎡(56.48坪)
1階が祖父母、2階を息子世帯という完全分離型の二世帯住宅になっています。ちょっと気になるのが1階の主寝室は誰が使う部屋なのだろう?という点です。
間取りを見る限りは2階の息子世帯向けの部屋のように思うのですが、二階にも主寝室があるので不思議な間取りだなというイメージ。
あと1階の主寝室のまわりに水まわりが集まっているので、トイレやお風呂にすごく気を使うのでは?という不安もあります。
1階のトイレの位置も少し工夫をすれば2個はいらなかったのではないでしょうか。延床56坪という広い空間を少し持て余してしまった感じを受けました。
タマホーム
- 商品名:グリーンエコの家
- 間取り:4LDK
- 1階床面積:86.00m²(26.01坪)
- 2階床面積:78.42m²(23.72坪)
- 延床面積:170.42m²(51.55坪)
1階はリビング、ダイニング、キッチンすべてがゆったりした広さを確保されており、すごく使いやすそうだなと感じます。
和室とリビングを逆にして続きのLDKにしがちなのを独立型のリビングにしてあるのもグッドだと思います。
階段を家の中心にもってくるのは好みの問題もあるので何ともいえませんが、開放感のある広いリビングを希望するのであれば、階段の位置を奥のランドリースペースのところに持ってくるのもアリかと思います。
そうすることで1階のLDKはさらに広く感じられますし、2階のファミリースペースも居間のような広い空間にすることができたと思います。
ヤマダレオハウス
- 商品名:不明
- 間取り:4LDK+ビルトインガレージ
- 延床面積:162.30㎡(49.0坪)
車好きなご主人がリビングから愛車をいつでも眺められるように作られた間取りだと言えるでしょう。
画像をみても、これだけ敷地が余っているのに、わざわざビルトインガレージにする理由がそれしか思いつきません。
きっとガレージを中心に設計されたのでしょう。所どこに使いづらい部分が見受けられます。
例えば1階のリビングの中にお風呂への導線があるので、若い年頃の女の子がいる家庭だと来客中にお風呂に入ることを躊躇うのではないでしょうか。
二階建て
建築費を抑えるには1階と2階が同じ面積の総二階建てにするのが良いのですが、50坪の家で総二階にすると、2階が無駄に広い家になってしまいがちです。
1階を広めにし、2階は必要な分だけの部屋を確保すればいいのですから、総二階の建物より1階が大きく2階が小さい部分二階の間取りがおすすめです。
このように部分二階の家であれば、ローコスト住宅よりもハウスメーカーや工務店の方が得意としている分野になってきます。
三井ホーム
- 商品名:ラングレー
- 間取り:3LDK
- 1階床面積:95.02㎡ (28.74坪)
- 2階床面積:90.48㎡ (27.37坪)
- 施工床面積:185.50㎡ (56.11坪)
この間取りのポイントは、リビングから繋がる半戸外空間「ラナイ」にあります。
ラナイとはウッドデッキのような空間ですが、屋根かわりに軒がかかっているので、土間スペースのようにBBQをしたり、趣味の空間として幅広く活用できる三井ホーム独自の半屋外スペースです。
一応3LDKの間取りとして紹介していますが、1階の部屋はワークスペースにもファミリークローゼットにもすることができます。
56坪の大きな建物を、ほぼ2LDKのような間取りで作ってあるのですから、どの部分も広くてゆったりした空間づくりが出来ています。
トヨタホーム
- 商品名:シンセ・フィーラス
- 間取り:3LDK
- 1階床面積:98.17㎡(29.7坪)
- 2階床面積:75.72㎡(22.9坪)
- 延床面積:173.89㎡(52.6坪)
1階のLDKは34帖もあるのですが、ダイニングはキッチン横に設けられており、34帖はほぼ家族が集まれるリビングに使われています。
2階には夫婦の主寝室と子供部屋が2つ、そして仕事用の小さな書斎が1部屋あるだけなので、かなりオーソドックスなタイプの間取りだと言えるでしょう。
将来的に親御さんと同居する予定はない、来客用の部屋もいらないというのであれば、これくらい大胆にLDKを広くつくるのもありだと思います。
へーベルハウス
- 商品名:CUBIC
- 間取り:4LDK
- 延床面積:171.68㎡(51.9坪)
家事導線がしっかり考えられた間取りになっていると思います。
和室の位置をリビング寄りにして広い空間に見せたくなるのですが、ここまで和室をズラすことで来客時の客間にもできるし、祖父母世帯のプライベートルームにすることもできるようになっています。
よく考えられている間取りだと思うのですが、1つだけ気になるのが2階のトイレ位置です。
階段の目の前がトイレになっているので、もう少し他に場所がなかったのかな?という感じもします。
三階建て
50坪もあればゆったりとした3階建てを建てることが可能です。
3階建てといえば敷地が少し狭い狭小住宅をイメージする人も多いかと思いますが、1階を親世帯、2階をLDK、3階を息子世帯という2世帯住宅にも対応できます。
トヨタホーム
- 商品名:エスパシオEF3
- 間取り:4LDK+畳コーナー
- 延床面積:174.5㎡(52.78坪)
同居型の2世帯住宅プランになっています。
2階のLDKが家族みんなの集まれる茶の間になっていることで、程よい距離感で両世帯が暮らせる工夫が随所にみられます。
それと2階と3階の廊下が最小限に抑えられており、無駄なスペースをしっかり削って建築費の節約に繋がっている点も良いです。
ヤマダレオハウス
- 商品名:不明
- 間取り:5LDKK
- 延床面積:185.48㎡(56.1坪)
階のキッチンは回遊できる間取りになっており、家事導線を意識していることがわかります。
ご家族3人でこの間取りは少し広すぎるような気もしますが、基本的には1階と2階をメインで使われ、3階は趣味の空間としての利用を考えているとのことです。
平屋
50坪の平屋だと、かなりの広さの家を建てることができます。
昔の家には、親戚が一堂に集まれるような広い二間続きの和室があったものですが、最近は二間続きの和室を希望する家はあまり見受けられません。
和室1部屋分をファミリークローゼットやスキップフロアなど、収納やワークスペースとして設置する家が増えています。
ダイワハウス
- 商品名:ジーヴォシグマプレミアム
- 間取り:4LDK+小屋裏
- 延床面積:174.44m2(52.76坪)
50坪超えの平屋ですので、すべてのスペースが十分な広さを確保してあります。
高齢のご両親が住まわれるということなので、ほぼ室内はバリアフリーになっているのもポイントです。
LDK部分を上部吹き抜けにしてあることで、より開放感を感じることができます。
トヨタホーム
- 商品名:シンセ・ピアーナ
- 間取り:3LDK+小屋裏
- 延床面積:166.59㎡(50.39坪)
お子さんたちが独立し、ご夫婦2人だけの住まいなのですが、娘さん夫婦がいつ孫をつれてきても良いように、広い平屋住宅を建てられたそうです。
お孫さんたちが思い切り遊べるように、リビングから続くテラス部分もゆったりした広さを確保してあります。
自分たちの主寝室のなかにトイレも設置するなど、いつでも二世帯で暮らせる工夫が随所に見られる平屋住宅となっています。
50坪の家を建てる際のポイント
ここからは50坪の家を建てるにあたり、気をつけておくべきポイントなどを整理してお伝えしていきたいと思います。
必要な坪数目安
5LDKの50坪の家を建てるとして、各スペースの目安となる必要坪数を計算してみましょう。
玄関 | 1.0坪 | 廊下・ホール | 3坪 |
---|---|---|---|
シューズクローク | 2.0坪 | 和室 | 3.0坪 |
ファミリークローク | 2.0坪 | 主寝室 | 5.0坪 |
階段 | 2.0坪 | 子供部屋1 | 3.0坪 |
洗面所 | 1.5坪 | 子供部屋2 | 3.0坪 |
バスルーム | 1.5坪 | 洋間(書斎) | 3.0坪 |
トイレ1階2階 | 1.0坪 | 収納 | 4.0坪 |
LDK | 13.0坪 | ランドリースペース | 2.0坪 |
合計 | 50.0坪 |
※施工床に換算される玄関ポーチ、バルコニーなどは含めていません
このように家1棟に必要となるスペースと、おおよその広さを理解しておくことで、LDKや各部屋のだいたいの広さの目安を知ることができます。
自分たちの希望にあう二世帯住宅にする
二世帯住宅を希望している場合、自分たち家族が希望する形を明確にしておく必要があります。
二世帯住宅といっても、完全分離型や一部共有型など複数のパターンがあります。
ハウスメーカーや工務店は、建築費が高くなりやすい完全分離型をやんわりと薦めてくるので、営業トークに流されてしまわないためにも、自分たちが希望する二世帯住宅の形を明確にしておくことが大事になります。
流行に流されない
最近では1階にファミリークローゼットを設置する家が増えています。
たしかにファミリークローゼットは有ると便利な収納スペースですが、どちらかというと30坪前後の少し小さな家で重宝されるものです。
30坪くらいの家になると、当然収納スペースも限られてくるので、その代替え案として注目を集めているのがファミリークローゼットです。
ですので、50坪よりも大きい家を考えている場合、必ずしもファミリークローゼットが必要だとは限りません。
せっかく余裕のある広さの家なのですから、各部屋にしっかりと収納スペースを設けるほうが効率的ですし、利便性も高いのは言うまでもありません。
これは最近人気のスキップフロアなどにも同じことが言えます。
平屋は建ぺい率に注意
50坪の平屋を希望するのであれば、まずは土地の広さと建ぺい率に注意しなければなりません。
建ぺい率とは、土地の広さに対して、建物を建てて良い割合のことをいいます。
用途地域によって建ぺい率の数値は異なりますが、建ぺい率50%という地域も珍しくありません。
もし建ぺい率50%の地域で、50坪の平屋を建てようと思えば、土地の広さは最低でも100坪必要です。
一番多い建ぺい率60%でも、土地の広さは約84坪なければ建てることはできません。
土地探しから考えているのであれば、建ぺい率の数値もしっかりチャックしておくようにしましょう。
坪単価40万円の地域であれば、建ぺい率が50%と60%でも、約15坪違ってきますので、40万円×15坪で600万円も高い土地代を払わなければならなくなります。
固定資産税が高くなる
新築から3年間は固定資産税の減額措置があるので、本来の固定資産税が2分の1になります。
この減額措置は延床面積120㎡(36.3坪)までなので、それを超える床面積に関しては減額措置の対象とならず、高い固定資産税を払うことになります。
まとめ
50坪以上の大きな家を建てる場合、ハウスメーカーや工務店の対応に差が出やすくなると言われています。
当記事内で紹介しているように、建物が大きくなれば大手ハウスメーカーとローコスト住宅の価格差は小さくなります。
また、営業マンや住宅会社にも分かりやすく差が出てきます。
50坪以上の家なんて、そうそう滅多に建てる人はいませんので、営業マンも住宅会社も経験値の差がハッキリでてしまうのです。
ですので、目先の建築費用だけで考えるのではなく、トータル的に判断する必要があります。
予算に合わせて住宅会社のカタログを取り寄せることができるので、住宅会社や担当営業さんの対応も比較検討していくようにしましょう。