注文住宅を建てるとき、建物本体(本体工事費)とは別に、外溝工事などの付帯工事費、不動産登記などの諸経費が掛かります。
これらの諸費用は家づくり全体の2割~3割を占めるので、決して無視できません。
仮に家づくり全体の予算が3,000万円だった場合、全体の3割で計算すると諸費用で900万円かかり、建物にかけられる費用は2,100万円になります。
諸費用を把握しておかないと予算オーバーになり家づくりで失敗するので、しっかり理解しておいてください。
注文住宅の総費用
注文住宅の場合、費用の内訳は以下のようになります。
出典:https://kurashi.cleverlyhome.com/f-post/217
住宅展示場などを訪れ、営業マンがいう「40坪の家だと2,400万円くらいですね」というのは多くの場合、建物だけの建築工事費のことです。
それとは別に付帯工事費や諸費用として、2割~3割程度の費用が掛かることを覚えておきましょう。
「坪単価」の金額も、多くの場合は本体工事費を家の坪数で割った金額のことを指します。
40坪で本体工事費が2,400万円の場合の坪単価は60万円となり、同じようにプラス「付帯工事費」と「諸経費」が別途費用になります。
諸費用を理解しないで家づくりを行おうとしていた人は、建築工事費をできるだけ抑えなければいけません。
建築工事費をできるだけ抑えるためには、数多くのハウスメーカーや工務店のプランを比較する必要があります。
知名度だけで大手を選ばずに、地元にある工務店や設計事務所などを幅広く比較して、できるだけ安く建築してくれる業者を探しましょう。
もしまだ候補が見つかっていない場合は、ポータルサイトの「LIFULL HOME'S」に、予算別のカタログ特集ページがあるので、それを利用すると便利です。
500万円ごとに対象となる業者が別れているので、自分が考えている予算に合わせてカタログをいくつか見比べてみましょう。
※予算別のカタログ特集ページ一覧
付帯工事費の内訳
付帯工事とはその名の通り、建物を作るのに付帯している工事のことを指します。代表的なものでいえば、駐車場や地盤改良工事などです。
平均すると総工事費の20%ほどになりますが、安くて悪い土地を購入すると付帯工事費がかさむので注意が必要です。
なお、付帯工事費用は基本的には住宅ローンに組み込むことができます。
項目 | 費用相場 | 内容 |
---|---|---|
解体工事 | 80~120万円 | 古家や納屋など既存の建物を取り壊す工事 |
地盤調査 | 7~10万円 | 地盤の強度を調査する費用 |
補強工事 | 60~200万円 | 地盤が軟弱な場合に必要な基礎を強化する工事 |
造成工事 | 50~150万円 | 土地をフラットにして建物が建てられる状態にする工事 |
引き込み工事費 | 80~150万円 | 電気、ガス、水道などを自分の敷地へ引きこむ工事 |
外溝工事 | 60~120万円 | 駐車場や門扉から玄関までのアプローチ部分の工事など |
エクステリア工事 | 50~100万円 | 外溝やフェンスなどを作るための工事 |
インテリア工事 | 60~80万円 | エアコン、カーテン、照明などのインテリア費用 |
太陽光発電システム | 120万円~ | 太陽光発電システムの設置 |
合併浄化槽 | 35~60万円 | 下水道が開通していない地域で必要 |
地盤調査はサービス(無料)、ベタ基礎と布基礎のどちらも標準仕様、造成する必要のない土地を選ぶ、駐車場はカーポート不要など、費用を削ろうと思えば削ることができるのも付帯工事です。
特に土地から購入する場合は、建築を依頼する会社にアドバイスを受け一緒に土地見学に同行してもらうなど、できるだけ良い土地を探すようにしてください。
付帯工事とオプションの違い
冒頭で「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」という3つの項目で総費用が構成されていると話しましたが、実はもう1つ「オプション」という項目があります。
オプションとは、標準仕様外の設備品に変更したり、追加で内装工事を追加したりすることをいい「標準仕様外工事」と呼ぶこともあります。
標準仕様よりもグレードが上のシステムキッチンを取り付けたり、海外メーカーのシステムキッチンにする際の費用などがこれにあたります。
他にも標準仕様より天井を高くする、床暖房システムを設置してもらうなど、カタログで標準仕様と紹介されているもの以外の工事のことを全般にオプションといいます。
一見すると付帯工事と同じように思われがちですが、オプションの多くは標準仕様では満足できず、さらに上のグレードに変更することや、建物本体に関わる追加工事のことをいいます。
諸経費の内訳
諸費用とは住宅ローンに関連する手数料や火災保険、その他に不動産登記に関わる費用などのことをいいます。
その他にも地鎮祭や引っ越し費用などもあるのですが、これらの費用は住宅ローンに組み込むことができないため、自己資金で支払う必要があります。
項目 | 費用相場 | 内容 |
---|---|---|
登記 | 25~40万円 | 登記簿登録し、所有権を得るための費用 |
住宅ローン | 90~120万円 | 保証料、団体生命保険料、火災保険、抵当権設定費用、事務手数料など |
税金関連 | ー | 印紙税、不動産所得税、消費税など |
つなぎ融資 | 30~40万円 | 住宅ローンとは別に、中間金や土地代金などを融資してもらう場合の手数料 |
地鎮祭・上棟式 | 5~10万円 | 工事開始時や棟上げ時などに行う儀式。神主さんに支払う玉ぐし料など |
測量 | 10~30万円 | 正確な土地情報を得るための測量 |
引っ越し | 15~20万円 | 新居へ引っ越しするための費用 |
仮住まい | 50~70万円 | 建替えの場合は、完成まで賃貸を借りることもある |
家具・家電購入 | 30~100万円 | 新居用に新たに買い揃える家具や家電の費用 |
各種申請 | 40~50万円 | 確認申請、期優良住宅申請費用など |
※税金の費用に関しては、本体価格により大きく違ってくるので記載していません
比較的大きな出費となるのが、住宅ローン関連費用です。住宅ローンの保証料は、融資額3,000万だと50万円~100万円を超える銀行も珍しくありません。
しかし銀行によっては、金利に上乗せしてくれる場合や、ネット銀行では保証料0円という住宅ローンもあります。
当サイトでは予算オーバーした時の対処法を分かりやすく解説しているので、予算に関して不安な人は合わせて参考にしてもらえばと思います。
実際の費用例
「総費用=本体工事費+付帯工事費+諸費用」について、一般的なケースを例に、具体的な予算を計算してみましょう。
ここでは、「土地あり(古家あり)、建物35坪、建築費の坪単価50万円」というケースで試算してみます。
本体工事費
内訳 | 目安金額 |
---|---|
本体工事費 | 1,750万円 |
設計料 | 25万円 |
消費税(8%) | 142万円 |
本体工事費計 | 1,917万円 |
消費税が10%にあがると、消費税だけで35万5千円も負担が増えます。
付帯工事費
内訳 | 目安金額 |
---|---|
解体費用 | 100万円 |
基礎・地盤補強費用 | 60万円 |
引き込み工事費用 | 30万円 |
外溝工事費用 | 150万円 |
インテリア費用 | 75万円 |
消費税(8%) | 33万2,000円 |
付帯工事費計 | 448万2,000円 |
付帯工事費が一番負担を減らすことができる項目です。今回は既存住宅の建て替えなので、水道や電気などのインフラ引き込み費が安くなっています。
土地から探す場合でも、なるべく付帯工事費の負担が少ない土地を上手に探すことを心がけましょう。
諸費用
内訳 | 目安金額 |
---|---|
登記費用 | 25万円 |
住宅ローン関連費用 | 100万円 |
火災・地震保険 | 25万円 |
仮住まい費用 | 60万円 |
引っ越し費用2回分 | 50万円 |
諸費用計 | 260万円 |
今回は建て替えシミュレーションですので、仮住まいや引っ越し回数が多くなっています。通常であれば引っ越し1回で済むので、費用の負担は減ります。
全て合計すると2,625万2,000円になります。あくまでも概算の目安金額ですが、実際の建物代金は2,000万円弱なのに、総費用は2,600万円を超えてきます。
もし土地を購入するとなれば、さらに代金がプラスされます。
諸費用部分は自己資金(現金)が必要になるので、この計算だと自己資金として250~300万円を用意しておく必要があります。
しかし、マイホームを建てることで入ってくるお金もあります。それが「すまい給付金」や「住宅ローン減税」です。
建てる人の家族構成や年収、住宅ローン借り入れ額などによってもらえる金額は異なるのですが、すまい給付金だと最大30万円(消費税10%後は最大50万円)、住宅ローン減税だと、年間最大50万円が10年間税金から控除されます。
まとめ
今回説明したように、マイホームを建てるにあたって必要な資金は、予想を大幅に上回るケースが多々あります。
そのため、予算計画はある程度余裕をもって立てておくようにしましょう。
費用をできるだけ抑えるためには、どのハウスメーカー・工務店に依頼するかが大きく影響します。
注文住宅を建てるハウスメーカーはたくさんあるので、その中から自分に合う業者を丁寧に探していきましょう。
多少手間はかかりますが、自分が考えている予算額に加えて、その前後の価格帯に関してもカタログを取り寄せて見ると勉強になります。
「予算をあと100万円削るためにはここがポイントだな」
「逆に予算を300万円増やすとこんなことができるんだ」
といったイメージもわいてくるので、時間がある人はぜひ試してみて下さい。