注文住宅で和室をつくりたいと考えている人向けに、おしゃれな間取りにするためのレイアウトポイントを解説します。
何となく和室があったらいいと思っている人もいるかも知れませんが、つくる目的を明確にしておかないと後悔するので注意してください。
最初に和室のある家が得意なハウスメーカーを、画像や間取り図を使って紹介します。レイアウトのポイントも分かりやすくまとめているので、参考にしてもらえばと思います。
和室が得意なハウスメーカー
和室といえば木造住宅を専門にしているハウスメーカーが得意と思うかもしれませんが、軽量鉄骨の業者であっても違いはありません。
現に鉄骨住宅を主体としているセキスイハイムでも、以下のような和室をつくることができます。
出典:https://www.sekisuiheim.com/case/c097/index.html
ダイワハウス
xevoΣ(ジーヴォシグマ)
- 家族構成:4人(夫婦・子ども2人)
- 1F床面積:86.28㎡(26.1坪)
- 2F床面積:42.90㎡(12.9坪)
- 延床面積:129.18㎡(39.07坪)
出典:https://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/visit/vol183/index.html
リビング続きの和室で、一番オーソドックスなタイプになります。
小さい子どもがいる家庭ではお昼寝スペースとして利用でき、来客時には客間として使うこともできます。
リビング続きの和室の場合、床の間などを作らないことが多いのですが、この家はしっかりつくられており優雅な和室になっています。
xevoΣ(ジーヴォシグマ)
- 家族構成:3人(夫婦・子ども1人)
- 1F床面積:59.45㎡(26.1坪)
- 2F床面積:67.73㎡(12.9坪)
- 延床面積:127.18㎡(38.47坪)
出典:https://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/visit/vol176/index.html
リビングから続きになっている和室タイプですが、小上がりにして独立性を持たせたつくりになっています。
フラットにする家が多いのですが小上がりにすることで、来客用としても役割を果たしてくれますし、床下収納をつくることもできます。
タマホーム
和美彩
- 1F床面積:105.00㎡ (31.76坪)
- 2F床面積:85.00㎡ (25.71坪)
- 延床面積:190.00㎡ (57.47坪)
出典:http://www.tamahome.jp/products/lineup/daianshin/wabisai/
今では珍しい二間続きの和室があるプランです。昔の家は親戚が多く集まってもいいように、二間続きの和室をつくる家が多くありました。
親戚が多く集まる本家などでは、二間続きの和室をつくるケースが多いです。
和美彩
- 1F床面積:118.00㎡(35.69坪)
- 2F床面積:66.00㎡(19.96坪)
- 延床面積:184.00㎡(55.66坪)
出典:http://www.tamahome.jp/products/lineup/daianshin/wabisai/
和室でくつろげるように中庭を設けてあるプランになっています。
ある程度の広さがある敷地じゃないと中庭までつくるのは難しいですが、自分たち家族だけの和の空間をつくることができるのも注文住宅の大きなメリットではないでしょうか。
トヨタホーム
シンセ・アスイエ
- 家族構成:3人(夫婦・子ども1人)
- 1F床面積:67.19㎡(20.3坪)
- 2F床面積:48.62㎡(14.7坪)
- 延床面積:115.81㎡(35.0坪)
出典:http://www.toyotahome.co.jp/chumon/jiturei/example106/
リビング隣に6畳の和室がある間取りですが、あえてリビング続きの和室にせず独立した和室にしてあります。
独立した和室にすることで来客を迎える部屋にもできますし、将来親と同居することになっても和室を寝室として使ってもらうことができます。
エスパシオEF
- 家族構成:2人(夫婦)
- 1F床面積:77.50㎡(23.4坪)
- 2F床面積:59.75㎡(18.0坪)
- 延床面積:137.25㎡(41.5坪)
出典:http://www.toyotahome.co.jp/chumon/jiturei/example98/
まるで温泉宿の客室をイメージするような和室にしてあり、ご主人の書斎も和のイメージでつくられています。
玄関から土間が和室まで通じており、来客時も直接和室に行くことができるようにしてあります。
本来であれば土間部分も和室にして、8畳の広い和室にしがちですが、部屋の広さよりも利便性を優先させた間取りになっています。
和室がある注文住宅を建てる際のポイント
アキュラホームが公表しているデータによると、和室を希望する人が増加傾向にあります。2009年の採用率は62%ほどでしたが、2016年では71%まで増えています。
しかし和室の採用率が増加するのに反比例して、広さは減少しています。
以前は6畳以上の和室にする家が多かったのですが、今は3~4.5畳くらいの広さにする家が多くなっています。
ここからは和室をつくるときのポイントや注意点を紹介していくので、和室をつくる際の参考にして頂ければと思います。
つくる目的を明確にする
ただ漠然と和室の部屋がほしいと希望するのではなく、なぜつくるのかを明確にしておくことが、間取りを考える上で重要です。
和室を希望する理由は、各世帯によって異なります。
ゆっくりくつろげる部屋がほしいという場合もあれば、将来両親と同居する部屋にしたいと考えている場合もあります。その他にも
- お客さんが泊まるときの部屋
- 赤ちゃんをお昼寝させておくスペース
- ダイニングテーブルを掘りごたつにしたい
- 仏壇をおく部屋がほしい
- 親戚が集まるときの部屋
このように和室を希望する理由には違いがあります。用途がちがえば和室のつくり方も違ってきます。
お客さんが泊まる部屋を希望するのであれば、独立した和室が必要ですし、家族がゆっくりくつろげる場所を希望するのであればリビング続きの和室や畳コーナーのようにちょっとしたスペースでも充分に対応できます。
建築費が高くなる
和室そのものをオプションとしているハウスメーカーもあるほど、和室をつくるのはお金がかかります。
壁はクロスでなく塗り壁になるし、化粧柱も安いものではありません。そうした点からみても洋室よりも和室の方が建築コストは高くなります。
しかし、もっと別の理由で建築コストがアップする場合があります。
例えば1階に独立した和室を希望するとLDK、風呂やトイレの水周りと和室を作らなければならず、2階に比べて1階の延床面積が広くなりがちです。
1階と2階の床面積が同じ総二階建て住宅の方が建築コストは安くなるので、1階が広く2階が狭い住宅になると建築コストがアップすることになります。
和室を小上がりにするメリット
リビング続きの和室をつくるとき和室を一段高く小上がりにすることがあります。ハウスメーカーが勝手に段差をつけている訳でなく、施主が希望して段差をつけているのです。
ではなぜ和室を小上がりにするのでしょうか?
実は和室を一段高くする特別な理由はありません。小上がりにすることで床下収納をつくれるというメリットがあるくらいです。
それでも一段高くするケースが多いのは、やはり他の部屋とは違う特別な空間にしたいからだと思います。
あとメリットとまではいえませんが、和室を一段高くすることでリビングで椅子に座っている人たちたと目線の高さをなるべく近づけるという意味もあります。
充分な広さのリビングを確保できるのであれば、小上がりの和室にしてもいいと思いますが、広くないとよりリビングが狭く感じてしまうので要注意です。
ペット対応畳に注意
基本的に和室には犬や猫のペットは入れないようにすることをおすすめします。
最近はペット対応畳なども発売されており、それらの畳を薦めてくるハウスメーカーもありますが、正直あまりおすすめできません。
ペット対応畳は、特殊な素材や加工により滑りづらくしたり、爪を研いでも傷がつきづらくなっています。しかし特殊な素材を使用していることで、畳本来の「い草」の香りがしないのです。
せっかく畳がある和室をつくっても、い草の香りがしないって少し寂しいのではないでしょうか。
ハウスメーカーの営業マンのなかには、このペット対応畳が特殊素材であり、い草の香りがしないことを知らない人もいるので注意してください。
モダンでおしゃれな和室例
最近はモダンでおしゃれな和室を好む人も少なくありません。せっかく和室をつくるのであれば、おしゃれな和室にしたい。ここからはお洒落な和室をいくつか紹介していきたいと思います。
デザイン畳を使用した和室
出典:https://www.homify.tw/photo/673089
出典:http://www.michishitatatami.com/service/service.html
出典:https://roomclip.jp/market/items/381966
最近はデザイン性の高い畳が多数あります。とくに人気なのがカラーバリエーションが豊富な半畳タイプです。「へりなし畳」といわれ、これまでの畳のイメージとはかなり違ってみえます。
ただし、価格は高価で通常の畳に比べ、新タタミで2倍ほどの金額になります。
多目的スペースにした和室
出典:https://kurashinista.jp/house_building/detail/4207
おしゃれというより、利便性が高い和室の使い方を紹介します。最近は子どもがリビングで勉強する家庭も多く、皆が共有して使える多目的部屋(ワークスペース)を設ける家が増えています。
リビング隣に和室や畳スペースをつくる家が多いのですが少し工夫するだけで、使い勝手の良いワークスペースにすることができます。
長時間座っていても疲れにくいよう、カウンターの下は掘りごたつの方式にしてあります。これだと子供もたちもゆっくり勉強できますし、お父さんの仕事部屋にもなります。
今回はリビング隣の和室として紹介していますが、最近流行のスキップフロア部分をこのような和室にしたり畳コーナーにするのも良いのではないでしょうか。
ちょっと変わった和室
最近は天井や壁を奇抜な柄にする和室を見かけます。インパクトがありますし、個性が出てて良いと思いますが、あまりデザインにこだわりすぎて、本来の安心できる空間づくりがおろそかにならないように注意しましょう。
図のようにブラックを基調にすると、空間が締まってみえるのでスタイリッシュなイメージの和室にすることができます。
出典:https://www.kinoshita-koumuten.co.jp/design-gallery/japanese-style-room.html
苦肉の策とまではいいませんが、どうしても和室や畳コーナーをつくるほどのスペースがない場合、ダイニング部分を畳にすることもあります。
実は畳に座ってゆっくり食事をしたいと思う人は多く、畳で食べたいという要望があります。ダイニングと畳を1つのスペースにまとめることができ、建築面積の節約にもなります。
出典:https://www.816chubu.jp/example/report015/index.html
まとめ
注文住宅を建てる7割以上の人が、できることなら和室が欲しいと思っています。
しかし、和室はあったら便利程度でつくってしまうと、物置部屋になってしまう可能性があります。そうならないためにも、和室をつくる目的を明確にしておくことが家づくりのポイントになります。
目的が明確であればハウスメーカーや工務店から、いろんな和室のタイプを提案してもらうことができ満足するマイホームが完成します。
この記事で紹介したハウスメーカーの間取りや、和風住宅が得意な業者のカタログを取り寄せるなどして、家族でどんな家にするのか相談してみてください。