いつまで続く?ウッドショックの住宅価格への影響と原因

ウッドショックの影響について

今、住宅会社で話題となっているのが「ウッドショック」です。その名のとおり木材が不足することで、価格が高騰しており、住宅会社を悩ませています。

この記事では、ウッドショックが与える影響と、その中で家を建てるためにはどうすればいいのか、対応方法を解説します。

これから注文住宅を建てる人や、分譲住宅を購入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください!

ウッドショックとは?影響はいつまで続くのか?

過去には、オイルショックによりトイレットペーパーが不足したことが有名で知っている人も多いのではないでしょうか。近年でいうならコロナによりマスクが不足したのも同じような原理です。

これが今まさに住宅用の木材で起こっており、ウッドショックと呼ばれています。

住宅建設費がアップ

日本の住宅でも多く使用されているSPFという木材があります。

SPFとは北米産の針葉樹を原料としている木材のことで、スプルース(米トウヒ・エゾ松)、パイン(松)ファー、(もみの木)それぞれの頭文字からSPF材と呼ばれています。

木造の2✕4住宅などで多用され、街のホームセンターなどでも気軽に手に入ることからDIYなどでも好んで使う人が多くいます。

このSPF材を例にすると、昨年の最安値は282ドル、最高値では955ドル(過去最高値655ドル)まで上昇しており、じつに3倍も価格が上昇しています。

だからといってそのまま住宅価格が3倍になるという訳ではありませんが、少なからず住宅価格にも影響が出てくることは否めません。

国産の木材はどうなのか?

外国から輸入している木材が値上がりするのであれば、国内で生産されている木材を使えばよいのでは?と思う人もいるでしょう。

たしかに今のところウッドショックと言われているのは、海外から輸入している米松やSPF材ですので、国産の木材であれば価格は比較的安定しています。

ただし、今後はそうはいかないでしょう。

海外から木材を調達できないのであれば、これまで輸入木材に頼ってきた住宅業者も国産の木材を購入するしかありません。

つまり国産木材の争奪戦がはじまり、結果として国産木材も価格がどんどん吊り上がっていくことが予想されます。

家の着工ができない

ウッドショックの弊害は建築価格の上昇だけではありません。

すでに契約が済んでいる場合でも、工程通りに木材が届かず着工ができない現場がすでに出始めています。

すでに契約済の場合、当然契約時の価格で家を建てるのが住宅会社の義務なので、多少損をしてでも高値で木材を調達しようとするでしょう。

しかし、無事木材を買い付けることができたとしても、今度は木材を輸送する手段がないのです。

これまで日本が木材輸入に頼ってきたのは、主にアメリカやカナダ、そしてヨーロッパです。それら各国が日本への木材輸出量を大幅にカットすると通達してきているのです。

下の画像からもわかるように、2020年4月に比べ、約半数ほどに輸入木材は減っているのですが、ここからさらに輸出量をカットするという通達なので、事態はかなり深刻であることがわかります。

集成材の輸入量

出典:https://www.universalhome.co.jp/blog/yamagatashinjyou/2021/04/16/6064/

また、このあと詳しく触れますが、木材を運ぶコンテナの絶対数が不足していることで、予定通りに木材を届けることが非常に難しくなっているという問題もあるのです。

ウッドショックはいつまで続くのか?

「ウッドショックがいつまで続くのか?」は現段階では誰にもわかりませんが、多くの専門家は今回のウッドショックが日本へ及ぼす影響が長期化すると考えています。

知り合いの住宅会社などと話をした印象も同じで、どこも今回のウッドショックが一過性のものではなく、今後しばらく日本の住宅業界に影響を与えるだろうと考えているように感じました。

今後マイホームの計画がある人にとって、ウッドショックの影響をまったく受けずに家づくりをするのは正直難しいでしょう。

それでも一生に一度の大きな買い物なので、理想のマイホームを建てることができるよう、続いて家づくりのポイントについて解説していきたいと思います。

ウッドショック禍における家づくりのポイント

ウッドショックだからといって、家づくりを先送りにするのは得策ではありません。先送りすることで、さらに木材や輸送コストがアップすることも十分に考えられるからです。

そこでここからはウッドショック禍における家づくりについて、ポイントをいくつか紹介していきたいと思います。

自社で保有林をもっているハウスメーカーもある

木材を売ってもらえないのであれば、自社で森林を保有している住宅会社で検討するのも選択肢の1つだと思います。

例えば「住友林業」などがあります。

国内の森林面積は国土の70%を占めると言われており、日本国土の800分の1を住友林業が保有しています。

住友林業保有林

あと中堅ビルダーの古河林業の家も多くの社有林を持っている住宅会社として知られています。

ハウスメーカー、工務店をしっかり比較する

地元にあるような工務店の場合、着手金や中間金で支払いに充てているケースも多く、そうした資金繰りが苦しい工務店は今回のウッドショックの影響をもろに受けてしまうことが懸念されています。

資金繰りが苦しいがため、とにかく契約を取りたい思いが強くなり「ウッドショックですか?うちは大丈夫ですよ」という安易な言葉に飛びつかないようにしましょう。

大丈夫という根拠をしっかり提示してもらうようにしましょう。

またハウスメーカー、工務店選びで絶対にNGなのは、1社だけの話を聞いて契約することです。必ず複数の業者をプランを比較した上で、契約するようにしましょう!

契約合意書の内容をしっかりチェックする

ウッドショック問題が取りざたされるようになり注目を集めているのが「契約合意書」です。

契約合意書というあまり聞きなれない言葉ですが、これは木材の調達が難しくなった場合、契約した内容(木材の種類や価格、時期など)に変更が生じる場合があることについての合意書です。

つまり住宅会社寄りの合意書だという見方もできます。

このような情勢なので、この契約合意書は必要なことも理解できますが、その中身をしっかりと吟味しておくことが施主側としては大事だと思います。

自分たち施主側にとって著しく不利な合意書の内容になってないか?しっかり確認しておからサインするようにしましょう。

スケジュールに余裕をもつ

まず何より、マイホーム計画に余裕をもって取り掛かることが大事です。

一般的に注文住宅の場合、住宅会社に相談するところから家が完成して引き渡しを受けるまで、最短でも6か月くらいは見ておく必要があります。

今回のウッドショックで多少工期に遅れがでる可能性もあるので、子どもが小学校にあがるタイミングで新居に引っ越しをしたいなど、入居時期が決まっている場合は3か月~6か月くらい余裕をもった新築スケジュールで計画を進めるようにしましょう。

ウッドショックの原因

そもそも今回のウッドショックが起こった原因は何なのか?これもコロナが影響しているのか?など、疑問に感じる人も多いでしょう。

今回のウッドショックは3つの原因が取り上げられており、コロナも決して無関係ではありません。

低金利で住宅需要が増加

コロナで世界的に経済が落ち込んだことで、今はまさに空前の低金利時代となっています。

そうした低金利を受け、マイホームを購入する動きが高まっています。とくにアメリカではコロナ禍問題もあり、リモートワークでの仕事が増えたことで、少し広めのマイホームを求める人が増加。

1年間で平均120万戸ほどだった新築住宅の着工件数は、いっきに増え166万戸(約4割増)になったほどで、同じような現象が欧州や中国でも起こっています。

建築木材の不足

アメリカでは国内の木材需要が増えたことで、これまで輸出していた木材も自国内で消費できるようになりました。

大統領も言っているように自国ファーストの国なので、自国ですら足りない木材をわざわざ日本へ輸出なんてしてくれるはずもありません。

欧州に関しては、アメリカほど木材が不足しているわけではないので、輸出分の木材もあるのですが、これに目をつけたのが中国です。

中国は広い土地を有する国なので、それこそ自国の木材を使えば良いのでは?と思ってしまいますが、過去に森林伐採を大々的にやったことで大きな洪水を招いたこともあり、それ以降は森林伐採が原則禁止になっているのです。

ですので、アメリカから木材を買えなくなったことで、欧州各国の木材を中国が爆買いしているようです。

欧州にしても、品質にうるさく、値引きも要求してくる日本に木材を売るより、ほぼ言い値で買ってくれる中国に売る方が利益率も高く当然の結果だと言えるでしょう。

コンテナ不足

実はこの問題が、今の木材値上げの大きな原因になっていることなのですが、木材を運ぶコンテナが絶対的に不足しています。

アメリカでは巣ごもり需要で配送業界は目のまわるような忙しさらしく、欧州ではロックダウンなどで港湾労働者やトラックドライバーが絶対的に不足しています。

これにより運送手段が遮断されてしまい、結果として運送コストの大幅な上昇にも繋がっています。

運よく木材を買付けすることができても、その木材を運搬するコンテナも人手も足りないのですから、これはもうどうしようもありません。

まとめ

ここまで大規模なウッドショックに、住宅業界は困惑しています。

この状況があと3か月続けば、住宅価格は上昇することが予想されていますし、今のところ終息する目途もたっていません。

むしろ今回のウッドショックを起因に、世界各国の木材価格が上昇するとも言われています。

少しでも早い段階でマイホームを建てるべきなのか、それともウッドショックが一段落するまで待つべきなのか?について、今は誰にも正解はわからないというのが現状ではないでしょうか。

もし近い将来、マイホームを購入する計画があるのでしたら、早い段階で一度住宅会社に相談に行くことをおすすめします。その中で自分たち家族に見合ったタイミングを模索していくようにしましょう。