2019年10月1日の消費税増税前までに注文住宅を建てるためのポイントを解説します。
予定通りに実施される場合、増税の影響を受けずに注文住宅を建てるには、2019年3月31日までに請負契約を締結しておく必要があります。契約を締結しておけば、マイホームの引き渡しが10月以降でも8%が適用されます。
その他にも、増税の影響がどれくらいになるのか金額の目安も解説しますので、これからマイホームを建てようとしている人はぜひ参考にしてください。
- 【目次】消費税増税前までに注文住宅を建てるには?
増税の影響を受けるものと受けないもの
それでは実際に消費税が8%から10%に引き上げられた場合、住宅購入費の負担がどれくらい増えるのか見ていきましょう。
増税の影響を受けるもの
注文住宅で増税の影響を受ける項目には以下のようなものがあります。
- 本体工事費
- 外溝工事費
- 住宅ローン手数料
- インテリア、家電、引っ越し費用
とくにこの中で一番影響を受けるのは、言うまでもありませんが本体工事費です。一般的なハウスメーカーで、40坪のマイホームを建てると、建物本体価格だけでも2,500万円ほどかかります。
2,500万円の増税前と後を比較すると以下になります。
- 8%の時の消費税額:200万円
- 10%の時の消費税額:250万円
2,500万円の場合、消費税が8%が10%に増税されると約50万円の出費が増えます。
地盤改良や外壁などの外溝工事も意外とかかります。外溝工事の平均支出は、建物本体価格の20%ほどといわれているので、2,500万円の家であれば、外溝工事費は500万円ほどかかります。
500万円を増税前と後を比較すると以下になります。
- 8%の時の消費税額:40万円
- 10%の時の消費税額:50万円
消費税を10万円多く払わなければならないのですから、これもかなり痛い出費だといえます。
その他、カーテン、照明、家電や家具も新調する場合、当然消費税が発生しますので影響をうけます。これらすべての項目をプラスしていくと、40坪2,500万円の注文住宅であれば、消費税増税の影響は60~80万円ほどになると考えてられます。
住宅ローン金利への影響は?
最近、インターネットなどで消費税が10%に増税されると、金利があがり住宅ローン金利に大きく影響するという内容を目にする機会が増えました。
ここでは、消費税増税と住宅ローン金利についても少し話をしておきたいと思います。
個人的な見解になりますが、消費税が10%に増税されたからといって、住宅ローンの金利がすぐに上がるとは思えません。今現在じわじわと金利は上昇傾向なので、今後も上がる方向が続くと思いますが、消費税の増税により、すぐに住宅ローン金利が1.0%や2.0%上がるとは思えません。
影響があったとしても0.2%~0.5%の範囲だと思います。
その理由として、前回消費税が5%から8%に引き上げられたときも、住宅ローン金利が上がると言われていましたが、結局のところほとんど増税の影響はありませんでしたし、どちらかというと増税で景気が冷え込み、住宅ローン金利は一時的に少し下がってしまったほどです。
増税の影響を受けないもの
増税の影響を受けないものについても紹介しておきます。
- 団体信用生命保険
- 火災保険・地震保険
- 住宅ローン保証料
- 土地代金
これらの項目は消費税の対象ではありませんので、増税の影響を受けません。高額な出費となる土地ですが消費物ではありませんので、消費税の対象外になります。
悪質な業者の中には消費税増税の不安を煽り、売買契約をせかす業者もいたりしますので注意してください。
ケース別の増税対策
増税の時期が近づくにつれテレビや雑誌などで、マイホーム関連の話を見たり聴いたりする機会が増えると思います。メディアに煽られて買い急ぎをした結果、大きく損をする人も出てくるでしょう。
そうならないために、まずはマイホームと増税の関連性をしっかり抑えておく必要があります。
マイホームといっても、今回紹介している注文住宅だけでなく、新築分譲マンションもあれば、建売住宅、中古住宅などがあります。それぞれ、消費税増税の影響ポイントが違ってくるので確認しておきましょう。
注文住宅の場合
まずは注文住宅ですが、この記事の冒頭でも紹介している通り、例え増税となる2019年10月1日以降の引き渡しであっても、請負契約日が2019年3月31日以前であれば、消費税は現行の8%のままとなる「経過措置」が適用されます。
ただし経過措置の特例が受けられるからといって安心はできません。注文住宅の場合は、間取りや仕様などをすべて決めてしまってから請負契約を締結するのが一般的です。
そのため間取りや仕様で迷ってしまうと、なかなか請負契約まで進むことができません。注文住宅のスケジュールは短い人で8ヶ月、平均しても10ヶ月~12ヶ月くらいかかります。
建てる前にしっかり注文住宅の建築スケージュールを確認しておき、請負契約が間に合うように注意しましょう。
建売住宅や新築マンションの場合
注文住宅と違い、建売住宅や分譲住宅、新築マンションでは「経過措置」の適用を受けることはできません。これは契約の種類が大きく関係しています。注文住宅は「請負工事契約」なのに対し、建売住宅や分譲住宅のほとんどが「売買契約」になるからです。
その名称の通り、請負工事契約とは工事をすることが前提の契約であり、売買契約とは異なります。
そのため完成した家を購入する建売住宅では、工事期間などの措置が考慮されず、増税前の2019年9月30日までに物件の引き渡しを終わらせておかなければ、増税後の10%が適用されてしまいます。
ただし、間取り変更や特殊工事などを含む契約の場合、内容によっては経過措置の適用を受けることができる場合もありますので、しっかりと販売業者に確認しておくようにしましょう。
中古住宅の場合
中古住宅や中古マンションの購入を検討しているのであれば、増税問題についてきちと理解しておくようにしましょう。中古住宅の場合、売主が誰なのか?が重要になります。
というのも、売主が個人であれば消費税がかからないからです。しかし売主が不動産会社や買取再販業者のように法人の場合、これには消費税が発生する仕組みになっています。
- 売主が個人=消費税はかからない
- 売主が法人=消費税がかかる
さらに中古住宅では、購入と同時にリフォーム契約を実施することも珍しくありません。
リフォーム工事は、工事請負契約となるので、注文住宅と同じように「経過措置」の特例を受けることができますので、2019年3月31日までに請負契約を締結しておけば、リフォーム完了が増税後であっても、8%の消費税が適用されます。
負担を軽減する制度を上手に利用する
消費税の増税は決まったことなので仕方がありません。
しかし増税の負担を軽減する制度がいくつかありますので、それらを理解しておくことで、最小限の出費負担に抑えることができます。今回はその中でも代表的な「住宅ローン控除」と「すまい給付金」について話をしておきます。
この2つの制度は、前回消費税が5.0%から8.0%へと引き上げられる際に新設された軽減措置制度です。今回8.0%から10.0%へと引き上げられる際にも、この2つの制度はそのまま継続することが決定しています。
住宅ローン控除
住宅ローン控除(住宅ローン減税)に関しては、現行の制度からの変更点はなく、2021年12月末までの住宅の取得・入居をすることを条件に適用されます。
住宅ローン控除に関しては姉妹サイトの「住宅ローンの達人」で詳しく解説しています。
増税の負担を少しでも軽くするために、しっかり確認しておきましょう。
すまい給付金
すまい給付金に関しては、消費税が10%に引き上げられることによって変更点がいくつかあります。その中で主な2つを紹介しておきます。
- 給付対象となる上限年収額がアップする
- 給付額がアップする
簡単に説明すると、増税が実施されることで対象年収の上限が510万円から775万円に引き上げられます。これにより給付金を受け取れる人が増加します。
また現行の消費税8%では、給付額が10万円だった人でも、増税することにより給付額が40万円に増える可能性があります。
そうなると2,500万円の注文住宅を建てる場合、消費税は実質200万円から250万円へとアップしますが、そのうちの30万円はすまい給付金で賄える可能性があります。
ただしすまい給付金に関しては、経過措置の特例を受けている場合、マイホームの引き渡しが増税後であっても、税率8%時の制度が適用されるので注意しておきましょう。
まとめ
注文住宅の場合、特例的な措置として請負契約を増税6ヵ月前に締結した場合に限り、増税前の税率が適用されることになっています。
そう考えるとタイムリミットは2019年の3月31日です。
この日までに請負契約を締結させておけば、例えマイホームの引き渡しが増税後であっても、消費税8%が適用されます。
2,500万円の請負契約を締結した場合、増税に伴う負担増は単純に50万円となります。すまい給付金などの特例制度を上手く利用したとして、それでも10万円~20万円くらいの負担増になると考えられます。
20万円あればリビング用の高性能エアコンが買えてしまう金額です。少しでも節約したい時期ですので、消費税の引き上げタイミングを考慮しながらマイホームの計画を進めて行くことをおすすめします。