昔の日本家屋の多くに土間があり、近所の人たちが気軽に集える憩いのスペースとして活用されていました。
しかし、家族のあり方や住宅に対する考え方が変わり、土間のある家はあまり見かけなくなりましたが、近年、スペースの有効活用として土間のある家が再び注目されています。
土間の活用方法や間取り事例などを紹介し、土間のメリットやデメリットについても触れていきたいと思います。
土間がある家のおしゃれな画像と間取り図
一般的な土間とは、床部分がコンクリートや土になっており、靴を履いたまま自由に出入りできる屋内スペースのことをいいます。
本来土間といえば、近所の人たちが気軽に集まれる空間だったのですが、最近は自転車置き場やペットを飼うスペースにしている家庭もあります。
他にも子供の遊び場、ガーデニングスペース、薪ストーブの設置場所などにも使われています。
また、土間は必ずしも玄関部分に作らなければならないという決まりはありません。キッチンやリビングを土間にすることで、土間の活用法が広がっています。
玄関土間
一番多いのが玄関部分を土間にしている間取りです。
最近は土間とはいわず、「シューズクローク」などの名称で呼ぶことも多いのですが、シューズクロークも立派な土間です。
玄関部分に土間をつくることで、ベビーカーや自転車を室内にそのまま置くことができるので、特に若い夫婦に玄関土間は人気となっています。
玄関土間は一番汚れやすい箇所でもあるので、下の画像のように大きな掃出し窓を設置することで、お掃除が楽になります。
間取り図は1階2階の順番です。
土間リビング
最近は土間リビングというキーワードを耳にする機会が増えてきましたが、土間リビングには2種類あります。
リビングをそのまま土間にするパターンと、リビングと庭の間に土間スペースをつくるパターンです。
後者の場合、以下の画像のようにリビングから庭まで土間で繋がっているような空間をつくることができます。
土間キッチン
古来の家には土間が多くあり、そのほとんどが炊事や農作業をするスペースとして活用されていました。
ですので、キッチン部分を土間することは決して珍しいことではありません。
友人やご近所さんが多く集まる家の場合、下の画像のように玄関からキッチンまでを土間通路にすることで、土足のままでも気軽にあがってもらえる土間キッチンは重宝します。
狭小住宅の土間
狭小住宅はどうしても敷地や収納スペースが不足しがちになるので、土間を有効活用することで収納スペースを増やす効果があります。
とくに狭小地にマイホームを建てる場合、屋外に自転車などを置いておくスペースすらもったいないので、土間スペースを室内に設けることで敷地を最大限利用することができます。
土間のある家のメリットデメリット
土間は使い勝手の良いスペースなのですが、同時にデメリットになる部分も多く含んでいます。
建築費も割高になりますし、土間を設置することで居住空間が減ってしまうこともあります。
土間のメリットとデメリットを把握したうえで、効率の良い土間づくりを心掛けるようにしましょう。
メリット
- 収納スペースが増える
- 趣味の空間
- 来客を家にあげないで良い
- 悪天候でも洗濯物が干せる
収納スペースが増える
土間スペースをつくることで、多様性のある収納スペースを確保することができます。
玄関部分であれば自転車やベビーカーを置くスペースにもなりますし、かさばりがちな上着やコートを収納しておくこともできます。
土間スペースは収納する物を選びませんので、その場所に沿った作り方をすることで、効率よく収納スペースを確保することができます。
趣味の空間
土間部分に花壇をつくってガーデニングをしている家もあれば、普段なかなか個人宅では難しい陶芸などの趣味を楽しむ人もいます。
釣り具の手入れ、自動車やオートバイの整備、家庭内BBQなど、家族がそれぞれ趣味を楽しむ空間として土間を取り入れる人が増えています。
来客を家にあげないで良い
玄関部分に少し広めの土間をつくり、雑談できるようなテーブルと椅子を置いておくことで、ちょっとした来客はそこで対応することができてしまいます。
あまりリビングなどの居住スペースに他人を上げたくないという人は、土間があると便利です。
悪天候でも洗濯物が干せる
土間は洗濯物を干すスペースとしても活用できます。
雨や雪の日だけでなく、最近は黄砂やPM2.5などの影響もあり、屋外に洗濯物を干したくないという家庭も増えています。
土間は湿気がでやすい場所のため、当然家を建てるときに対策もしっかり施されており、洗濯物を干しても大きな問題はありません。
またランドリールームを土間にすることで、洗濯導線も最短になります。
デメリット
- 生活スペースが圧迫される
- 土間があると室内が冷えやすい
- 湿気が出やすい
- バリアフリーが難しい
生活スペースが圧迫される
限られた敷地や予算内で注文住宅を建てる場合、土間スペースをつくることで居住スペースが狭くなってしまう可能性があります。
少し広めの土間をつくると、子供部屋1つぶんくらいのスペースが必要になり、建物が大きくなれば建築費も高くなるので、予算面にも注意しなければなりません。
土間があると室内が冷えやすい
土間部分の素材の多くがコンクリートやタイルなどの石材です。
当然、冬場は冷気の影響を受けやすい場所となります。むかしの家の玄関タイルが冷たいのと同じです。
今の住宅は高気密高断熱化が進んでいるので、むかしの家ほどではありませんが、それでも何も対策をしないと、せっかくの高気密高断熱住宅の恩恵が削られてしまいます。
高気密高断熱の住宅であれば、床に断熱材をしっかり入れる程度で問題ありませんが、そうでなければ床暖房の導入も視野に入れて検討してみましょう。
湿気が出やすい
窓ガラスのように、屋外の冷気と室内の暖気がぶつかる部分には結露が発生します。
これは玄関部分も同じで、冷気と暖気がぶつかり合うことで結露ができ、土間に湿気が発生しやすい構造となっています。
土間の湿気対策として有効なのが、空気の通り道をしっかりと確保し、壁に調湿効果が期待できる珪藻土などの素材を積極的に使うことです。
バリアフリーが難しい
土間のすぐ下は土ですが、リビングなどの室内は基礎の上に作られるのが一般的です。
そのため土間があると建物全体をバリアフリーにするのが難しくなります。
土間のある家がどんどん減っていったのも、少しまえにバリアフリー住宅への需要が増えたからだと考えられます。
バリアフリーと土間は相反する部分があるということを理解しておきましょう。
土間のある家を建てるハウスメーカー
基本的にどこのハウスメーカーや工務店で注文住宅を建てるにしても、土間づくりには対応してくれると思います。
ただし、業者には得意不得意があるので、土間のある家を検討している場合は、得意なハウスメーカーや工務店に依頼するようにしてください。
経験が少ない業者や担当者の場合、上記であげたように土間のデメリットをしっかりと理解できておらず、建てたあとに後悔してしまうこともあります。
ヘーベルハウス
メーカー名 | 旭化成ホームズ株式会社 |
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所在地 | 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル |
電話番号 | 03-3344-7111 |
工法 | 軽量鉄骨、重量鉄骨 |
公式サイト | https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/index.html/ |
ヘーベルハウスではDOMAライフという特設ページを立ち上げるほど、土間のある家づくりに力を入れているハウスメーカーです。
もともとコンクリートのRC住宅を得意としているハウスメーカーなので、同じくコンクリート仕上げの土間づくりは専門分野です。
土間だけを特集したカタログも無料で用意されているので、土間のある家を考えているのであれば是非展示場に足を運んでみましょう。
大和ハウス
メーカー名 | 大和ハウス工業株式会社 |
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所在地 | 大阪市北区梅田3丁目3番5号 |
電話番号 | 06-6346-2111 |
工法 | 軽量鉄骨(プレハブ)、重量鉄骨 |
公式サイト | https://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/index.html |
大和ハウスが最近力をいれているのが「アクティブ土間」です。アクティブ土間というのは、遊び盛りの子供やアウトドアを趣味にしている家族に合わせた土間づくりのことです。
泥だらけで帰ってくる子供のいる家庭、釣りやキャンプが趣味の家族などにとても好評です。
ヤマダレオハウス
メーカー名 | 株式会社 ヤマダホームズレオハウス |
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所在地 | 東京都渋谷区幡ヶ谷2-39-8 ビオライフハウス1F |
電話番号 | 0120-400-400 |
工法 | 木造軸組工法 |
公式サイト | https://www.leohouse.jp/ |
ヤマダレオハウスは、ローコストな家づくりを得意としているハウスメーカーなので、建築費が高くなりがちな土間のある家でも、比較的リーズナブルな予算で抑えることができます。
公式サイトを見る限り、玄関部分の土間を得意としているようなので、リビングやキッチン部分の土間を考えているのであれば、実際に展示場に足を運び、直接営業さんに相談してみましょう。
土間のある家を設計してくれるデザイン事務所
大手ハウスメーカーだけでなく、地域密着で営業されている工務店やデザイン事務所でも土間がある家づくりをお願いすることはできます。
主要地域で土間のある家づくりをされている工務店や建築事務所を紹介しておきますので、注文住宅づくりの参考にして頂ければと思います。
東京
カキザワホームズ
メーカー名 | カキザワホームズ |
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所在地 | 神奈川県相模原市南区当麻1270-3 |
坪単価 | 63万~78万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | ダブル断熱工法(断熱材不明) |
耐震性能 | 耐震等級不明 |
公式サイト | https://www.kakizawa-sc.co.jp/ |
TAINN DESIGN 一級建築士事務所
メーカー名 | 誠賀建設株式会社 |
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所在地 | 東京都小平市鈴木町1丁目472−40 |
坪単価 | 60万~100万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | 不明 |
耐震性能 | 不明 |
公式サイト | https://www.tainndesign.com/ |
REGARD(リガード)
メーカー名 | 株式会社リガード |
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所在地 | 東京都国分寺市本多5-26-40 |
坪単価 | 53万~85万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | 不明 |
耐震性能 | 耐震等級3 |
公式サイト | https://tokyo-chumon.com/ |
名古屋
エコ建築工房
メーカー名 | 株式会社エコ建築考房 |
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所在地 | 愛知県一宮市九品町4-22 |
坪単価 | 70万~100万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | セルローズファイバー |
耐震性能 | 耐震等級3 |
公式サイト | https://ecoken.co.jp/ |
サイエンスホーム 名古屋緑展示場
メーカー名 | サイエンスホーム 名古屋緑展示場 |
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所在地 | 愛知県名古屋市緑区東神の倉 3-2502 |
坪単価 | 45万~60万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | 硬質ウレタンボード |
耐震性能 | 耐震等級3相当 |
公式サイト | https://www.sciencehome.jp/ |
ウッドフレンズ
メーカー名 | 株式会社ウッドフレンズ |
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所在地 | 愛知県名古屋市中区栄4-5-3 KDX名古屋栄ビル2F |
坪単価 | 40万~50万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | 高性能グラスウール、ビーズ法ポリスチレンフォーム |
耐震性能 | 耐震等級3 |
公式サイト | https://www.woodfriends.jp/ |
大阪
D'S STYLE
メーカー名 | 株式会社中商 住宅事業部 |
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所在地 | 大阪府岸和田市箕土路町2-8-10 |
坪単価 | 50万~53万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | 外断熱フォルテボード(EPS)、内断熱セルロースファイバー |
耐震性能 | 不明 |
公式サイト | https://www.d-s-style.com/ |
オークラホーム
メーカー名 | 株式会社大倉 |
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所在地 | 大阪府大阪市北区天神橋2丁目北2番11号 |
坪単価 | 45万~65万円 |
工法 | 2×4、2×6 |
断熱材 | ウレタンフォーム |
耐震性能 | 耐震等級3 |
公式サイト | http://www.okurahome.jp/static/ |
一級建築士事務所 ひかり工務店
メーカー名 | (株)ひかり工務店 |
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所在地 | 大阪府豊中市服部西町1-2-19 |
坪単価 | 62万~70万円 |
工法 | 2×4、2×6 |
断熱材 | ネオマフォーム、アイシネン |
耐震性能 | 耐震等級3に対応 |
公式サイト | http://www.hikarikoumuten.com/ |
福岡
健康住宅
メーカー名 | 健康住宅株式会社 |
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所在地 | 福岡県福岡市城南区別府5-25-21 |
坪単価 | 60万~80万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | ネオマゼウス |
耐震性能 | 耐震等級3相当 |
公式サイト | https://www.kenkoh-jutaku.co.jp/ |
オークデザインハウス
メーカー名 | 株式会社オークス建設 |
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所在地 | 福岡県福岡市博多区山王2-1-16 |
坪単価 | 56万~72万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | デコスファイバー |
耐震性能 | 耐震等級3 |
公式サイト | https://oak-design-house.jp/#section1 |
札幌
リヴスタイル
メーカー名 | 株式会社リヴスタイル |
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所在地 | 北海道札幌市北区北34条西10丁目6-21 田中ビル3階 |
坪単価 | 53万~70万円 |
工法 | 木造軸組、2×4、2×6 |
断熱材 | グラスウール、ロックウール |
耐震性能 | 不明 |
公式サイト | https://livstyle.co.jp/ |
リヨ・デ・ホーム
メーカー名 | 株式会社リヨ・デ・ホーム |
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所在地 | 北海道札幌市白石区北郷3条9丁目1-26 |
坪単価 | 不明 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | 不明 |
耐震性能 | 不明 |
公式サイト | https://casa-casa.co.jp/ |
アスカデザイン
メーカー名 | 太平流通販売 住宅事業部 アスカデザイン |
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所在地 | 北海道札幌市東区北34条東4丁目3番1号 |
坪単価 | 57万~62万円 |
工法 | 木造軸組 |
断熱材 | ロックウール(内)、ネオマフォーム(外) |
耐震性能 | 不明 |
公式サイト | http://taihei-ryutsu.jp/asca/ |
土間のある家に関する疑問
土間のある家に関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。
土間は床面積に含まれるの?
建物の屋内に土間をつくるのであれば、その部分も床面積として含まれます。
ただし、ガレージと共有になっている土間などは少し違ってきますので、そこは建築の相談をされている住宅会社の設計士さんに相談してみましょう。
費用を安くする方法は?
一概に土間といっても、使う素材や仕上げ方法によって複数のタイプがあります。
一般的な3つのタイプを紹介しておきます。
費用的に一番安価なのはコンクリート仕上げによる土間です。表面をモルタルで仕上げれば、その分の作業費用が加算されると考えてください。
ちなみにタイルだとコンクリート土間の2倍~3倍ほどの費用になります。
コンクリート
原料となるセメントに砂利を混ぜて強度を高めていきます。
砂利を混ぜたりして骨材をつくるため、それなりに厚みがある施工が必要となります。
モルタル
コンクリートは砂利を混ぜますが、モルタルの場合は砂利のかわりに砂で代用することができるので、コンクリートほどの厚みは必要ではありません。
また、コンクリートの表面仕上げとして使われるなど、施工の手軽さがあり、DIYとしても活用されることが多く見受けられます。
タイル
タイルは柄や種類が多く、いろんなバリエーションのデザインに仕上げることが容易にできます。
ただし、コンクリートやモルタルの土間に比べ、費用面では割高になってしまいますし、タイルの割れや目地の減りに対するメンテナンスも必要です。
三和土(タタキ)
最近はあまり見かけませんが、昔の家の土間といえばこちらの三和土(タタキ)が一般的でした。
祖父母の家にいき、農機具などが置かれている土間部分の床が少し赤みがかっていたりするのは、この三和土の土間だと思ってください。
赤みがかっているのは、原料に赤土が使われているからです。
DIYでリフォームできるのか?
土間はコンクリートを主体としているので、コンクリートづくりの知識も当然必要となってきます。
個人がDIYでやることも不可能ではありませんが、それなりにDIYの経験や土木建築の経験がないと、かなりハードルの高いDIY作業であることは間違いありません。
どうしても個人のDIYでチャレンジしてみたいという方は、最初は屋外の犬走りなどの小さなスペースで実践されてみるのも良いかもしれません。
3畳ほどの土間スペースを新設するのであれば、工事費用も含めて30万円~50万円ほどで済むケースも多くありますので、プロのリフォーム会社に依頼するのも一考だと思います。
リフォーム会社の選び方や費用相場については、こちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
まとめ
最近は平屋など、和風テイストの住宅の人気が高くなっており、土間のある家を希望する人も増えています。
土間スペースは多目的な用途に利用できるため、物置きとしてだけでなく、趣味や子供たちの遊び場としても利用することができます。
土間スペースを上手に活用することで、居住スペースを最小限に抑えることもでき、結果として建築費の節約になる場合もあります。
土間にはいろんな可能性があり、活用方法も多岐に渡りますので、土間のある家を考えているのであれば、少しでも多くの住宅会社から話をきき、土間の活用例なども参考に検討されることをおすすめします。
予算が決まっている人は業者選びの参考に、こちらの予算別カタログ特集を活用してみてください。