地鎮祭の服装と費用相場、のし袋や挨拶などの準備まとめ

地鎮祭の服装と費用相場、のし袋や挨拶などの準備まとめ

家などを建てる際に行う地鎮祭。工事の安全や住む人の繁栄を祈るための行事であり、その土地の神様(氏神様)に土地利用の許しを請う儀式です。

ほとんどの人にとって地鎮祭を行うのは初めてのことであり、地鎮祭について知らない人も多いかと思います。

そこで今回は、地鎮祭の服装、費用、知識やマナーなどについて解説していきます。

地鎮祭を行う際の服装

地鎮祭を行う際の服装について解説していきます。男性、女性、子供の季節ごとの服装について参考にしてみてください。

男性

春と秋は、正装の場合はスーツ着用が定番であり、肌寒い時期はコートを羽織っても問題ありません。

カジュアルな格好であれば、ポロシャツにチノパンという服装でもOKで、肌寒いようあれば、ジャケットなどを羽織ると良いです。

夏の正装について初夏はスーツを着用し、真夏日は上着を着用する必要はありません。

カジュアルな服装であれば、夏の気温と蒸し暑さを考え、シャツにスラックス、ノーネクタイといった服装で大丈夫です。

冬の場合の正装はスーツと派手ではないコートを着用すれば問題ありません。

カジュアルな服装であれば、シャツにパンツとジャケットまたはカーディガンなどを着用するようにしてください。

女性

春は、正装であれば紺系やグレー系のスーツ、服装はジャケットとスカートかスラックスでコーディネイトすれば問題ありません。

カジュアルな服装であれば、白や黒などモノトーン色のジャケットに、シャツかブラウス、スカートかセンタープレスのパンツをコーディネイトすればOKです。

夏の場合は、落ち着いた色柄の半袖のシャツかブラウス、清楚なスカートまたはパンツの組み合わせがおすすめです。

秋は基本的には春と同様です。しかし、落ち着いた色合いの服が出回る季節であるため、グレーやブラウンのジャケットや薄手のコート、白いブラウス、同系色のスカートかパンツを組み合わせましょう。

冬は、スーツにチェスターコートやトレンチコート、落ち着いた色合いのダウンコートなどの組み合わせがおすすめです。

子供

子供の場合は季節を問わず、制服の着用がおすすめです。

学生服がない場合、男の子であれば、襟付きのポロシャツやシャツとズボンを組み合わせ、女の子であれば、ブラウスにスカート、ワンピースを組み合わせましょう。

地鎮祭の費用相場

地鎮祭には、さまざまな費用がかかりだけでなく手続きや準備も必要です。地費用相場について触れながら手続きや準備になどについても解説しましょう。

神社にお願いするケース

神社に地鎮祭を依頼する場合、工務店やハウスメーカーなどの建築会社に依頼すれば手配を行います。

その場合、希望日時や希望する神社を営業マンに伝える必要があります。

地鎮祭を行うのは工事の着工前になります。地鎮祭のために工事を遅らせると建築会社に迷惑がかかるため、注意しましょう。

自分で依頼する場合は、地元の神社をインターネットなどで検索し、電話で依頼すれば問題ありません。

地鎮祭の依頼を行った後は、以下のものを準備しましょう。

  • 中央に設置する祭壇
  • お供え物
  • 初穂料(のし袋にお金)
  • 榊(さかき)
  • 人数分の盃

自分で用意する必要があるのは、初穂料となります。初穂料は神道の祈祷や祭事の際に神社の方へ渡す謝礼金であり、相場としては3万円~5万円です。

神事に使用する資材用品として、祭壇やしめ縄などがあり、これらは工務店やハウスメーカーなどの施工業者側で用意してくれるのが一般的で、こうした資材のレンタル料・設営料の相場は3万円程度です。

また、お供え物には、清酒、洗米、塩、海の幸(魚、昆布など)、山の幸(季節の果物)、野菜(地上、地下にできるものの両方)などがあります。

こうしたお供え物は祈願者が用意しなくても、神社側で用意してくれる場合もあるため、地鎮祭を依頼する神社と話し合っておきましょう。

お供え物にかかる費用は5,000円程度となるものの、神社側でお供え物を用意してもらう時は神主さんのお車代などを含めて2万円程度用意しておくといいです。

以下が神社にお願いする一般的なケースの費用となります。

  • 初穂料:3万円~5万円
  • 地鎮祭に使用する資材のレンタル料・設営料:3万円程度
  • 供え物の代金:2万円程度

これらの費用が総額で10万円前後となり、直会などを行う場合は費用が多くなります。

相場から考えると最低でも10万円はかかるため、費用の目安として覚えておきましょう。

家族だけで行うセルフ地鎮祭のケース

地鎮祭を神社に依頼せず、家族だけで行うことセルフ地鎮祭があります。

セルフ地鎮祭を行う場合には本来の地鎮祭に必要な祭壇や資材、お供え物は必要ありません。

セルフ地鎮祭に必要なのは以下の3つです。

  • 洗米(一度洗ってから乾かしたもの)
  • 清酒
  • 粗塩

洗米は半合、清酒と粗塩は1カップほど用意しましょう。セルフ地鎮祭の手順は、初めに洗米を土地の角地4カ所と土地の中心にまきます。

まく順番は東の角地から順番に南、西、北、中心という順番にまくと良いです。洗米をまき終わったら、清酒と粗塩をまいていきます。

こうしたお供え物を巻く前に、家族の中で誰が何をまくのか担当を決めます。担当に関しては、施主が洗米、家族が清酒と粗塩を担当するのが一般的です。

まき終わったら、最後に土地の中心に余った洗米と清酒、粗塩を盛り、家族全員で手を合わせてお祈りします。

お祈りの際は、「この土地に住むので、よろしくお願いします」とお祈りしましょう。所用時間は15分程度と手軽に行えるだけでなく、費用もそれほどかかりません。

そのため、神社に依頼せず、セルフ地鎮祭を行う方も少なくありません。

地鎮祭で知っておきたい知識やマナー

地鎮祭では知っておくべき知識やマナーがあるため、知っておくことで地鎮祭を円滑にすすめることができます。

当日の流れや必要な時間、のしの書き方や封筒の選び方など地鎮祭にまつわるマナーなどを解説します。

のしの書き方と封筒の選び方

地鎮祭の時に神様に献上する奉献酒は、個人宅の建築の場合は施主が用意することが多いです。

地鎮祭の奉献酒には清酒の一升瓶2本をお供えします。奉献酒は化粧箱に入れてのし紙をつけて献上します。

のし紙については、スーパーやホームセンターなどの実店舗で購入することも、インターネットなどからも購入することもできます。

奉献酒

出典:http://www.yuinouyasan.com/houken.html

のしでお酒を包んだ後は、上の画像の様に上部に奉献、または奉献酒と記載し、株にお供えする人の会社や名前を記入します。

初穂料を入れるのし袋の水引の上側に初穂料または玉串料と記載し、下側に謝礼を行う人の氏名を記入しますが、その際は毛筆での記入が必要です。

ボールペンなどではマナー違反となるので注意しましょう。

また、初穂料は、直接のし袋にお金を入れるのではなく、封筒などの中袋を用意します。

のし袋お金の向き

出典:https://wedding.mynavi.jp/contents/press/detail/post-26/#anchorStep2

画像のように、中袋の表側に金額を漢数字で記載し、裏側に謝礼を行う人の住所、氏名を毛筆で記載します。

のし袋の内袋の表と紙幣の表を合わせ、肖像画が最初に出る向きにして入れるのがマナーであるため覚えておきましょう。

近所への挨拶回りのポイント

地鎮祭の終了後は、近所への挨拶回りを行うのが定番となっているため、きちんと身だしなみを整えてから挨拶回りを行いましょう。

また、挨拶回りのポイントとしては、施主だけでなく、担当者や現場監督も一緒に挨拶を行うことが必要です。

工事による騒音や車の出入りで近所に迷惑がかかり、何か問題が発生した場合の窓口は建築会社になるからです。

挨拶する範囲は家の向かい側と両隣だけでなく、工事で迷惑をかける住宅も忘れずに。また、挨拶回りの範囲や粗品の必要性の有無は担当者に確認しましょう。

当日の流れとかかる時間

地鎮祭の流れや順番は以下の通りとなり、全国的に大きく違うことはありません。

地鎮祭の手順 地鎮祭の内容
①手水(てみず・ちょうみず) 地鎮祭開会の挨拶
②修祓(しゅばつ)の儀 祭壇や参列者をお祓い
③降神(こうしん)の儀 祭壇に神様をお招きする
④献饌(けんせん) 神様にお供え物を奉納
⑤祝詞奏上(のりとそうじょう) 工事の安全祈願、祝詞を読む
⑥四方祓(しほうはらい) 土地をお祓いする
⑦地鎮(じちん)の儀 敷地の安定を願い、鍬入れや鎮め物を埋める
⑧玉串奉奠(たまぐしほうてん) 玉串(榊に紙垂をつけたもの)を捧げる
⑨撤饌(てっせん) お神酒などを片づける所作をする
⑩昇神(しょうじん)の儀 神様がお帰りになる
⑪閉式の辞 地鎮祭閉会の挨拶
⑫神酒拝戴(しんしゅはいたい) お供え物の神酒を全員で飲む

当日の流れは上記の様ようになっており、一般的に必要な時間は15分~30分程度です。

設営や撤収の時間を含め、地鎮祭は2時間程度ですべて完了します。

地鎮祭に関する質問

地鎮祭の際によく質問される事項を集めました。参考にして、適切な地鎮祭をしていきましょう。

地鎮祭はやる必要があるのか?

過去には地鎮祭は行うべき儀式とされていました。

しかし、現在は核家族化が進行していることを受けて、簡略化されたり、省略されたりすることも少なくありません。

また、施主や家族の予定と工期、神社の日程が噛み合わない場合、地鎮祭を行うのは困難です。

地鎮祭を行わない方がトラブルが起こらないと考え、地鎮祭を行わない人もいます。地鎮祭を行うかどうかは施主や家族の考えに左右されているのが現状です。

お酒(奉納酒)の選び方は?

地鎮祭に使用するお酒の種類は正式に決められているわけではありません。

しかし、地鎮祭などの神事に使われるお酒は、きれいに透き通ったものを使うため、清酒でも濁りのあるものは避けましょう。

銘柄については、地元のお酒や縁起の良い名称のもの(松竹梅など)を選ぶと良いとされています。

また、清酒の分類については、神様へお供えするものであるため、特選・上撰・佳撰の中で最も投球が高い特選を選ぶようにしましょう。

日取りの決め方は?

地鎮祭の日取りは、六曜や十二直を基に決める場合が一般的です。

六曜とは、カレンダーに記載されていることが多い大安や先勝などを指します。十二直は、六曜と同じく暦注と呼ばれ、一般生活の中では目にする機会は少ないでしょう。

しかし、六曜より当たりやすいといわれており、地鎮祭においても気にされる人は多いです。

それでは、地鎮祭を行うにおいて二つの暦注の吉日を紹介します。

六曜の吉日
  • 大安
  • 先勝
  • 友引
十二直の吉日

あわせて、地鎮祭は上記吉日の午前中に行うと縁起が良いとされています。

合わせて、天赦日や一粒万倍日の午前中などもおすすめです。

勘違いされやすいですが、六曜・十二直・天赦日・一粒万倍日それぞれに優越はないため、どの吉日でも問題ありません。

もし少しでも縁起のいい日を希望される場合は、吉日が重なる日を選択するべきでしょう。

しかし、六曜や十二直などは地鎮祭と関係はなく、科学的根拠もありません。そのため、現在は混雑や工期の都合などにより、吉日以外で行われることも増えています。

地域や人によっては吉日を意識するかは異なるため、神主や家族と相談して決めましょう。

当日雨が降ったら中止または延期になるのか?

地鎮祭を雨の日に行うのは「雨降って地固まる」という言葉があるように縁起が良いとされています。

しかし、一般的には雨の日に地鎮祭を行えば、体調を崩す可能性があるため、地鎮祭を中止または延期することを考えましょう。

キャンセルした場合であっても、資材を担当者や工務店に用意してもらっていなければ、当日のキャンセル・延期でも料金はかかりません。

しかし、神社は、地鎮祭の準備を進めているケースが殆どであるため、キャンセル料が発生する可能性が高いといえます。

当日雨が降ったからといって必ず中止や延期になるわけではないものの、中止の際にはキャンセル料がかかる可能性があり、延期に対応できるとは限りません。

延期できるかどうかは工期や神社のスケジュールに関係してくることは覚えておきましょう。

まとめ

地鎮祭を行う際には、服装やマナーなど気を付けるべき点がいくつもあります。

また、地鎮祭は神社に依頼すれば、最低でも10万円前後の費用が発生するため、費用をかけないセルフ地鎮祭も増加しています。

過去には新築の家を建てる際に必ず行う儀式であった地鎮祭は、現在では施主や家族の意向次第では行われない場合も少なくありません。

地鎮祭を行うかどうか考慮したうえで、地鎮祭を行う場合には、今回解説した知識やマナーを守り実施しましょう。