ホームインスペクションにかかる費用とおすすめ業者など住宅診断について分かりやすくまとめます。
これまで、中古住宅の売買時に住宅診断を利用する人が多かったのですが、最近では新築住宅の購入時にも当サービスを利用する人が増えています。
今回は新築住宅時の住宅診断サービスについて分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
人気ホームインスペクション業者まとめ
ホームインスペクションは、まだまだ新しい分野のサービスであり、新規参入してくる業者も増加傾向にあります。
そのため、どの業者に依頼していいのかわからない。金額が業者によって大きく違うなど、不明瞭な点も多く、業者選びで困惑する人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は信頼できるホームインスペクション業者を、まとめてみましたので、業者選びの参考にして頂ければと思います。
さくら事務所
年間実施棟数 | 2,000件 |
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料金(標準プラン) | 60,000円 |
調査時間 | 3時間程度 |
対応エリア | 首都圏、北海道、東海、関西、九州 |
ホームページ | https://www.sakurajimusyo.com/ |
ホームインスペクションにおいては、知名度と実績が高いのが「さくら事務所」です。
1999年にホームインスペクション事業を開始し、これまでトータル40,000件以上の調査実績があります。テレビをはじめ、新聞や雑誌などでも数多く取り上げられ、ホームインスペクション業界のパイオニア的存在です。
調査依頼には、必ず建築士が同行してくれますし、なにより調査終了後のアフターフォローが良いという口コミを多く見かけます。
業者のなかには、インスペクター資格所有者だけが調査することも珍しくないので、さくら事務所のように、必ず建築士が同行してくれるとは限らないのです。
また仲介事業部もあり、物件を購入する場合は無料で「住宅診断」を受けることができます。
アネスト
年間実施棟数 | 2,000件 |
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料金(標準プラン) | 55,000円 |
調査時間 | 2時間程度 |
対応エリア | 日本全国 ※一部地域を除く |
ホームページ | https://www.anest.net/ |
ホームインスペクションにおいて、さくら事務所の次に人気なのが住宅コンサルティングの「アネスト」です。
その歴史は古く、2003年から住宅の診断調査を実施しており、毎年2,000件以上の調査実績があります。
診断報告書も他社の2倍以上のページ数になることでもわかるように、より詳細まで調査してくれていると評判です。
老舗の大手だけあり、対応エリアもほぼ日本全土をカバーしています。
OLENS(オーレンス)
年間実施棟数 | 2,000件 ※欠陥住宅の調査件数 |
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料金(標準プラン) | 55,000円 |
調査時間 | 不明 |
対応エリア | 東京、埼玉、神奈川、千葉 |
ホームページ | http://olens.jp/ |
オーレンスの特徴は、ホームインスペクション専門の会社ではなく、どちらかというと、「保険損害調査」や「復旧工事」を得意としている会社だという点です。
つまり欠陥住宅や住宅火災などの保険対象物件を調査したり、それにともなう復旧工事の請負をメインに成長してきた会社になります。
そうした業務内容が住宅診断に合致していることもあり、近年はホームインスペクション業務にもチカラを入れてきています。
つまり損害保険調査委員や一級建築士など、住宅診断においては、まさにプロの集団というわけです。
住まいのホームドクター
年間実施棟数 | 1,000件 |
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料金(標準プラン) | 60,000円 |
調査時間 | 3時間程度 |
対応エリア | 東京、神奈川、埼玉、千葉 ※その他の地域は別途交通費+出張料 |
ホームページ | https://homedoctor.co.jp/ |
住まいのホームドクターに住宅診断をお願いすると、一級建築士などの専門家が調査員としてやってきます。
ホームインスペクションの会社のなかには、ただ住宅診断の資格を取得しているだけの場合もあるのですが、こうやって一級建築士や一級管理技士が実際の調査をしてくれることに信頼がおけます。
住まいのホームドクターは、不動産会社・住宅会社・建設会社など、どの企業の資本にも属さない独立した会社組織です。
ですので、業者との利害関係が一切ない、第三者的な立場から厳しい目で調査してくれます。
ただ調査員などの規模からして、さくら事務所やアネストなどの大手と違い、関東近県でのサービスが主体となります。
南勝
年間実施棟数 | 2,000件 ※リフォーム産業新聞掲載 |
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料金(標準プラン) | 50,000円 |
調査時間 | 2時間程度 |
対応エリア | 関東、関西、東海、九州の一部地域 |
ホームページ | https://www.nansho.jp/ |
2011年創業と歴史は浅い会社ですが、関東から九州まで活動エリアを広げ、急成長している住宅診断会社です。
とくに代表の印南和行社長は、これまで個人で1,000件以上の住宅診断に携わった実績があり、日本で一番住宅診断のことを知り尽くしていると人物であると、公式サイトでも紹介されています。
特徴としては、必ず一級建築士が調査に同行することになっている点でしょう。基本調査は1人が来訪されるみたいなので、調査員すべてが一級建築士の資格を持っていることになります。
注文住宅の場合は、検査が一度で終わることは少なく、多くの場合は複数回にわたり中途検査を依頼することになるのですが、南勝では最長16回に及ぶ検査コースが用意されており、費用的にも他の会社に比べて割安に設定されています。
新築住宅の住宅診断のタイミング
住宅診断を利用するシーンは以下のように多数あります。
- 新築注文住宅の購入時
- 新築建売住宅の購入時
- 新築マンションの購入時
- 中古住宅の売買時
- 中古マンションの売買時
- リフォーム工事
様々なシーンで利用される住宅診断ですが、1つだけ実施するタイミングが異なる項目があります。それが新築注文住宅の住宅診断です。
他の項目では、契約する前に住宅診断をお願いするのがベストのタイミングなのですが、新築注文住宅だけは違います。
どう違うのかというと、新築注文住宅で一番大事なのは、契約した通りの住宅を建ててくれているのかを調べることが大事だからです。
つまり注文住宅に関しては、契約後に住宅診断を利用することがポイントになります。
項目 | 時期 | 内容 |
---|---|---|
新築注文住宅 | 建築請負契約の後 | 契約通りの工事が実施されているかをチェック |
新築建売住宅 | 売買契約の前 | 購入しても問題ない物件なのかをチェック |
新築分譲マンション | 売買契約の前 | 購入しても問題ない物件なのかをチェック |
中古住宅 | 売買契約の前 | 売却時の評価を高めたり、購入しても問題ない物件なのかをチェック |
中古マンション | 売買契約の前 | 売却時の評価を高めたり、購入しても問題ない物件なのかをチェック |
リフォーム | 工事請負契約の前 | 本当に必要な工事なのか?適正価格なのかをチェック |
ただし新築注文住宅の場合、本当に契約に値する信頼がおける建築業者なのか?という不安もありますよね。
そこでおすすめしたいのが、新築注文住宅に限り、複数回の住宅診断を利用するパターンです。
注文住宅を建てる場合の住宅診断
新築の注文住宅を建てる場合、住宅診断を複数回利用することをおすすめします。実際、多くの住宅診断会社では、複数タイミングでの住宅診断メニューが用意されています。
例えばさくら事務所を例にあげるなら、以下のように複数のサービスがあります。
- はじめての買い方指南
- たてもの相談
- 契約書類チェック・契約立会い
- 新築一戸建てホームインスペクション(住宅診断)・内覧会(竣工検査)立会い
- 工事中インスペクション
もちろん、各項目それぞれに利用料金がかかりますので、トータルすると高額な出費になってしまいます。そこでおすすめしたいのが、4回や7
回など、複数の調査がセットになっているパックサービスです。
さくら事務所では「新築工事チェック(建築途中検査・施主検査立会い)」というパック商品があり、「4回コース」「5回コース」「7回コース」をお願いすることで割安になっています。
検査内容 | 4回コース (構造) |
5回コース (構造+仕上げ) |
7回コース (おすすめプラン) |
---|---|---|---|
無料相談 | ○ | ○ | ○ |
基礎配筋 | ○ | ○ | ○ |
コンクリート打設 | ○ | ○ | ○ |
土台敷き | ○ | ○ | ○ |
構造金物耐力壁 | ○ | ○ | ○ |
外壁防水 | ― | ― | ○ |
断熱 | ― | ― | ○ |
完成検査(内覧会) | ― | ○ | ○ |
料金 | 220,000円 +税 | 285,000円 +税 | 395,000円 +税 |
※木造住宅の場合。鉄骨、RCは料金が異なります。
住宅診断を実施する際の注意点
ホームインスペクションを利用することは、決して悪いことではありません。しかしなかには、そういう行為をあまり良く思ってくれない業者があるのも事実です。
とくに注文住宅の場合は、家を建てたあともアフターフォローやメンテナンスなど、長期にわたり付き合いが続いていきます。
ですので、ホームインスペクションを利用するときは、ハウスメーカーや工務店にも考慮しながら、計画を進めていくことをおすすめします。
事前に話しをしておく
建築中や完成検査時に、住宅診断業者に検査に入ってもらうときは、ハウスメーカー側にもあらかじめその事実を告げておくようにしましょう。
ハウスメーカー側に伏せておいて、抜き打ちで検査に入ってもらうことも可能なのですが、良好だった信頼関係が険悪になってしまう可能性があります。
第三者機関による途中検査を入れることを伝えておけば、手抜き工事などの予防にもなります。
ハウスメーカーや不動産業者の言葉に騙されない
業者側に住宅診断をお願いすることを伝えたら、「わざわざお金を払ってまで住宅診断なんてしなくても、今は第三者機関の住宅診断は無料で受けられるので心配いりませんよ」と言われることがあります。
しかし、業者側が言っている無料の第三者機関による住宅診断とは、「フラット35Sを利用するにあたり適合証明書を発行するための調査」であったり、「減税を受けるための長期優良住宅に適合しているか」などの調査のことを言っている可能性が高いです。
これらの調査は本当に簡易的なものでしかなく、今回紹介している住宅診断(ホームインスペクション)とは全く異なる調査です。
提携している住宅診断会社にも注意
業者側から「ウチが提携している住宅診断会社を紹介しましょうか?割引も利きますよ」と言われることがあります。
住宅診断の会社名をネットで検索してみたら、たしかにちゃんとした住宅診断の会社でしたし、費用も1回75,000円の検査を、紹介であれば50,000円で受けることができます。
お得に感じる人も多いかと思いますが、管理人だったら即断ります。
費用が安くなるのは魅力的ですが、提携しているということは、どう考えても工務店や不動産会社寄りの住宅診断会社だと思ってしまうからです。
悪い言い方をすれば、その住宅診断会社は、それらの不動産会社や工務店からお客さんを紹介してもらって、成り立っている可能性があります。
だとしたら、悪い診断をするはずがないですよね。
ですので、料金などに惑わされず、業者側とは何も接点がない、第三者的立場の住宅診断会社に依頼をするようにしましょう。
まとめ
今回は大手のホームインスペクション会社を紹介しましたが、近年では中小規模の会社も多く存在しています。
料金だけで比較するのではなく、調査内容、調査を実施する人、調査料金、調査実績など、総合的に比較検討することをおすすめします。
また注文住宅の場合は、調査回数が複数回におよぶことも多く、そうした場合、どこまでの調査が必要なのかを事前にしっかりと計画しておくことも依頼する会社を選択する際に重要になると思います。