実際の家を建てている現場が見られる構造見学会に、参加する際のチェックポイントや注意点についてまとめます。
構造見学会は1か所1~2時間程度で、モデルハウスでは見られない基礎や、実際の現場の雰囲気など確認することができます。
複数を回るのは大変ですが、できれば契約する前に参加しておく事をおすすめします。
構造見学会とは
構造見学会では、その名の通り建築中の家を見学し、基礎や柱などの構造部分を実際に見学することができます。
柱などの構造的なことはもちろん、基礎や断熱材、または実際に家を建てている大工さんや職人さんたちの質や現場の雰囲気を知ることができます。
構造見学会の参考チラシは以下になります。
構造見学会へ参加するには、担当営業さんから声をかけられることもありますが、新聞折込みチラシやホームページなどに見学会の日程が掲載されていると思います。
構造見学会は先着○組限定や予約制になっていることも多いので、なるべく予約を取って参加することをおすすめします。
似たようなもので「完成見学会」や「オープンハウス」などがありますが、これらはすでに完成している家を見学することなので、構造見学会とは意味合いが違います。
詳しくは記事後半の「その他の見学会」で解説しているので、参考にしてみてください。
構造見学会のチェックポイント
構造見学会では、ハウスメーカーが建築している最中の家を見学して、実際にどのような工法や構造なのか、どのような木材を使用しているのか、について説明を受けます。
おおよその所要時間は、だいたい1~2時間くらいを考えておきましょう。
この構造見学会でチェックするべきポイントは以下の3つです
- 構造に関する部分
- 職人や大工さんの質や対応
- 建築現場の整理整頓
構造に関する部分
構造見学会の主とした目的は、実際に建築中の建物を見学しながら、基礎や構造に関しての説明を聞けることです。
本当に自社の構造を勉強して欲しいという気持ちがある営業マンであれば、最低でも2ヶ所の建築現場に案内してくれるはずです。
1ヶ所目は基礎を打ったばかりの現場、2ヶ所目は棟上げが終わったあとの現場などです。
棟上げ後の現場案内しかしないハウスメーカーも多くありますが、棟上げ後だと基礎の部分を十分に見ることはできません。
基礎を打ってあるだけで、骨組みはまだ組まれてない現場を見ることも大事です
基礎部分の現場のチェックポイント
- 基礎の種類(ベタ基礎?布基礎?標準仕様は?)
- 配筋の多さや間隔
- コンクリートの厚さ
- 立ちあげ部分の高さ
- 排気口に関して
- 地盤の状況と対策
これはハウスメーカーの工法による違いであったり、施主の考え方ひとつによりますが一般的には、
- ベタ基礎標準
- コンクリ厚150㎜
- 高さ410㎜
などが最低条件だと言われています。
基礎に関して詳しく解説しているサイトが多数ありますので、調べながら自分の中で譲れないポイントを作っておくと良いでしょう。
基礎だけの家を見ると、「8畳ってこんなに狭いの?」と思ってしまいますが、壁や床が入れば案外広く感じるので、基礎部分を見たあとに間取りを考えない方がいいでしょう。
棟上げ後の現場のチェックポイント
棟上げ後の建築現場ですが、ここでは使用している木材や耐震対策などについての説明を受けることになります。
この現場でチェックしておくポイントは、
- 柱や梁などに使用している木材について
- 筋交いの入れ方
- 接合部に使用している金物や仕様
- 断熱材の種類や特徴
- 高気密・高断熱について
こちらも、工法や構造によってハウスメーカーごとに仕様が異なりますし、柱や梁も無垢材が良いという人もいれば、集成材を好む人もいますので、どれが正解というものはありません。
担当者からは、「柱は無垢材を使用している」、「集成材が強度やねじれに強い」などの説明があると思いますので、その理由までしっかりと聞いておくようにしましょう。
職人や大工さんの質や対応
構造見学会で見るのは、建物だけではありません。営業マンは、構造や材木などについての話しばかりをしてくると思いますが、現場で実際に働いている職人さんや大工さんの質や仕事ぶりをみることも忘れないようにしましょう。
名の知れた大手ハウスメーカーといえども、実際に現場で家を建てているのは下請けの地元建築会社です。
そのため、職人さんの質や対応で、施主とトラブルになることも多いですし、場合によっては近隣住民とのトラブルを起こす職人さんもます。
工事開始と終了の時間を守らず、早朝や夜遅くまで工事を続ければ、騒音問題にもなりますし、道路端に違法駐車していたり、タバコの吸殻を道路や側溝に捨てる職人さんも、まだ多くいるようです。
建築現場の整理整頓
これも職人さんの質に繋がりますが、現場の整理整頓状況をみれば、職人さんたちのレベルがよくわかります。
職人さんたちのレベルが低い現場というのは、確実に整理整頓ができていません。
ゴミだけではなく、工具までもあたり一面に散乱して、片付けもできてない現場は要注意です。
職人さんの質だけが問題というわけでなく、ハウスメーカーの現場監督と、職人さんたちの関係が上手くいってない、という場合もあります。
ハウスメーカーによっては、一人の工事責任者が4棟も5棟も同時に現場監督をしていることがあります。
現場見学の時は現場監督が来ていても、他の日には丸一日顔を出さない(出せない)ケースもあるのです。
参加するメリットデメリット
構造見学会に参加するメリット、デメリットについて説明しておきます。
【メリット】
- モデルハウスでは見られない、壁中や床下をじっくり見学できる
- 実際の現場を見ながら、基礎や構造の話が聞けるのでわかりやすい
- 工事スタッフや施工会社を契約前に見ることができる
【デメリット】
- 時間を取られてしまう
- 断りづらくなる
最大のメリットとしては、モデルハウスでは見れない壁中や床下部分をじっくり見学することができる点です。
また、実際の現場を見ながら、基礎や構造の話が聞けるので、これほど解りやすいものはありません。
例えば「家の強度を高めるためには、筋交いが大事です」と言葉でいわれても、素人にはいまひとつわかりづらいのですが、実際に建築現場をみながら説明を受けると理解度が違ってきます。
参加することで工事スタッフや施工会社の雰囲気も感じ取ることができます。
一方デメリットとしては、時間が取られるという点があげられます。1つの現場で1時間~2時間かかるので、2つの現場をまわると、かなりの時間を要してしまいます。
また、個別に案内してくれることから断りづらい感じる人もいるようです。
参加する際の注意点
構造見学会は工事現場なのですから、とても危険な場所だということを忘れないでください。
スタッフの指示に従い、勝手な行動をとらないことは最低限のルールです。
ここからは、見学会に参加するうえで注意しておくべきポイントを紹介しておきます。
持参しておくもの
基本的に動きやすい身軽な服装で参加するようにしましょう。
女性は特に履物に注意してください。サンダルやヒールがあるような靴は避け、なるべく運動靴などで参加するようにしましょう。
これは現場によりますが、基本的に工事現場ですので、ヘルメットの着用をお願いされると思っておくのが良いでしょう。
その他に準備しておくべき物としては、
- 筆記用具
- メジャー
- コンパス
- カメラ
スリッパや手袋な必要な現場もありますが、これらはハウスメーカーが用意してくれますので問題ありません。
見学させてもらう現場は、すべて他人様の大事なマイホームです。
もしかすると、偶然その家の施主が現場に来ている可能性もありますので、「リビング狭い」「土地が悪い」「窓が小さい」など、その建物を批判するような言葉は慎むようにしましょう。
写真や動画を撮る人が多いのですが、これは絶対に担当者の許可をもらってからにしてください。
また、小さいお子さんが同伴する場合は、必ず手を離さないようにしましょう。
工事現場には釘が落ちていたりするので、子供が走りまわったりすると危険です。
もちろん、建物内にはジュースやお茶などの飲食物も持ち込まないようにしてください。
その他の見学会
構造見学会のほかにも多くの見学会が実施されているので、各見学会についても簡単に説明しておきます。
完成見学会
完成見学会とは、工事が終わっている引渡し前の物件を見学することで、実際のチラシは以下になります。
完成見学会のチェックポイントは、自分たちが考えている間取りと比較して、
- 部屋の大きさは問題ないか
- 担当者から聞いていたほどの高気密・高断熱の数値が確保できているか
などを計測しながら見せてもらうと良いでしょう。
お風呂やトイレの広さを実際に見て体感できる良いチャンスだと思います。他にも、
- 1階にいるとき、2階の足音や話し声は気にならないか
- キッチンシンクまでの高さは問題ないか
など、チェックするポイントは数多くあります。
すでに完成している住宅なので、「ハウスメーカーの住宅展示場を見るのと同じ」と思っているかもしれませんが、住宅展示場はフルオプションで豪華なつくりになっています。
実際に建てたばかりの家を見ることで、理想と現実を自分たちの目で直接確認できる良いチャンスです。
完成見学会に参加されるときは、画像にあるように手袋の着用をお願いされますし、小さなお子さんがいる場合は、なるべく抱っこしておくのがマナーです。
カメラでの写真撮影は禁止されていることも多いので、撮影したい場合は担当者に許可を取ってからにしましょう。
オープンハウス
オープンハウスという言葉もよく聞く機会があると思いますが、一般的には中古住宅の内覧会、分譲マンションの即売会などに用いられる言葉です。
新築でオープンハウスという言葉を使うときは、建売住宅や分譲地に建てられていたモデルハウスを売却するときに使用されることが多いです。
そのため、下記画像のように、オープンハウスのチラシには販売価格や住宅ローンの支払い例などが記載されていることが多くなります。
工場見学会
工場見学会では、実際の住宅に使われる木材を加工したり、組み立てている工程を見学することができます。
ただし、工場見学会はすべてのハウスメーカーや工務店で実施できるわけでなく、当然ですが自社工場を持っている業者に限定されます。
工場見学会は、構造見学会や完成見学会のように、好きな日時にいつでも見学できるというわけではなく、月に1回~2回、土曜日や日曜日に複数組のお客さんを、ツアーのような形式で案内することが多いです。
工場見学会の多くが集団での行動となり、プレカットしている現場であったり、自社の耐震装置を実体験してもらうようなイベント形式になっているため、好きに工場内を見て回れるというものではありません。
実際に契約まで考えているハウスメーカーや工務店から、工場見学会への誘いがあれば積極的に参加することをおすすめします。
工場見学会へ参加すると、普段は接することがない商品開発を担当している社員さんなどに会える可能性があり、営業マンや設計担当とは違った話を聞くこともできますし、何より実際に制震住宅や免震住宅の性能を体験できるのも大きいです。
既存住宅見学会
既存住宅見学会。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、これは引渡しが終わって、すでに居住中の家を見せてもらうときなどに使われる言葉です。
この既存住宅見学会に参加することで、実際にその家で暮らしている人の生の声を聞くことができますし、外壁の汚れ具合など自分の目で確かめることができます。
とくにスマートハウスやゼロエネルギー住宅を検討している場合は、実際にどれくらいの電気代で、どれくらいの売電収益があるのか知ることができるので、とても参考になるはずです。
既存住宅見学会の他にも「引渡し後(入居後)見学会」、「住まいの見学会」など、ハウスメーカーや工務店によって名称が違っています。
住宅展示場、モデルハウス
見学会とは違いますが、せっかくなのでモデルハウスや住宅展示場についても軽く説明しておきます。
住宅展示場は多くのハウスメーカーが同じ敷地内にモデルハウスを出展している形態のことをいいます。
同じ場所で複数のハウスメーカーや工務店のモデルハウスを見学することができるので、時間の節約にもなるし、比較検討しながら業者選びをするには最適な環境です。
ただし、多くのハウスメーカーや工務店では、モデルハウスは最高グレードの家を建てていることが多く、室内の設備類もオプション品で豪華に見せる傾向が強くあります。
そのため、モデルハウスでみたイメージと、実際に完成した家のイメージがぜんぜん別物だったなんてことも珍しくないので、その点を理解して見学するようにしましょう。
また多くのハウスメーカーや工務店が出展しているため、競合が多く、過度な営業活動が実施されやすい環境であることも覚えておきましょう。
VR見学会
最後に紹介するのがVR見学会です。
まだまだ一般的に浸透しているとは言えませんが、最近はこのVR(バーチャル)見学会を取り入れている住宅会社が増えてきました。
このVR見学会で何ができるのか?というと、実際の現場まで行かなくても建築中や完成したばかりの家をバーチャルで体験することができます。
また、最近人気なのが検討中のプラン(間取り)を実際にVRで再現してもらい、自分たちがこれから建てる家をいち早くVRで体験することができるのです。
今後ますます不動産分野にもVRが浸透してくることは容易に想像でき、あらゆることがVRで体験できるようになるのも遠い未来の話ではないと思います。
まとめ
ここまで構造見学会に参加する際のチェックポイントや注意点についてまとめてきました。
見学会では営業マンではなく、実際に家を建てている人の話を聞けるいいチャンスなので、できるだけ参加することをおすすめします。
実際に参加する際は、工事現場に足を踏み入れることになるので、服装やお子さんの管理などしっかり心がけて、迷惑がかからないよう配慮しましょう。
構造見学会の他にもさまざまな見学会があります。お目当てのハウスメーカーをよく知る意味でも、時間があれば参加してみてください。