店舗併用住宅を検討している人向けに、人気ハウスメーカーの間取りと実際の価格相場、建てる際の注意点などを解説します。
店舗併用住宅は間取りが複雑になりやすく、一般的な居住用住宅とは異なる注意点があります。
「店舗併用住宅が得意な業者」に依頼しないと、家づくりも店舗も失敗してしまう可能性があるので慎重に選ぶようにしてください。
店舗併用住宅とは?
店舗併用住宅とは、1つの建物内に居住用のスペースと事業を行う店舗スペースが共存している住宅のことをいいます。
代表的な例としては、「住宅+喫茶店」「住宅+理髪店」などが挙げられます。
同じく併用住宅の種類としては、ほかにも事務所併用住宅や医院併用住宅なども多く見かけますし、工場併用住宅や賃貸併用住宅などがあります。
店舗併用住宅の場合、一般の居住用住宅と違い、建てることができる地域や住宅ローンの適用範囲など、注意しておくべきポイントが多くあります。
店舗兼住宅の間取り事例と価格相場
店舗併用住宅を建てる際、一番大切なのがハウスメーカー選びです。
普通の住宅を建てるのとは勝手が違うので、店舗併用住宅を建てた経験が少しでも多い業者や営業マンを選ぶようにしましょう。
ここでは、店舗併用住宅を得意としている大手のハウスメーカー5社をピックアップして紹介するので、参考にしてみてください。
ダイワハウス
店舗併用住宅を得意としている大手ハウスメーカーで、トップ3に入るのがダイワハウスで、公式サイトでも店舗併用住宅を特集しています。
ダイワハウスの強みは、店舗併用住宅づくりの専門チームを組んでもらえることです。
住宅ローンや設備メーカーも、ダイワハウスからまとめて紹介してもらうことができるシステムになっています。
今回は2階建ての洋菓子店と、3階建ての美容室(エステ)の間取りプランを紹介するので、検討している人はぜひ参考にしてみてください。
洋菓子店
- 1階:64.85㎡(19.61坪)
- 2階:62.32㎡(18.85坪)
- 延床:127.17㎡(38.46坪)
- 間取り:3LDK+店舗
美容室
- 1階:83.24㎡(25.18坪)
- 2階:84.92㎡(25.68坪)※賃貸ルーム
- 3階:85.78㎡(25.94坪)
- 延床:253.94㎡(76.81坪)
- 間取り:3LDK+店舗+賃貸2部屋
ダイワハウスの詳細については、「ダイワハウスの坪単価と口コミ評判」で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
クレバリーホーム
- 商品名:LXシリーズ
- 1階:69.12㎡(20.90坪)
- 2階:61.53㎡(18.61坪)
- 3階:62.35㎡(18.86坪)
- 延床:193.00㎡(58.37坪)
- 間取り:4LDK+店舗
クレバリーホームの3階建て住宅で、1階がカフェ店舗で、2階部分をLDKと水まわりだけにし、各部屋はすべて3階に配置されています。
1階に店舗、3階に部屋を設置することで、気配や話し声を気にすることなく、子供たちも勉強に集中できることでしょう。
最近はこちらの住宅のように家族用の玄関をしっかり分離しているタイプの店舗併用住宅を建てるケースが多くなっています。
クレバリーホームの詳細については、「クレバリーホームの坪単価と口コミ評判」で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
トヨタホーム
- 商品名:シンセ・スマートステージ
- 1階:78.36㎡(23.70坪)
- 2階:67.32㎡(20.36坪)
- 延床:145.68㎡(44.06坪)
- 間取り:3LDK+店舗
シックなデザインの店舗併用住宅に仕上がっています。
店舗部分と居住空間を統一したイメージにとの希望だったようで、居住スペースのリビングの床も黒のタイルが目を引きます。
1階のほうが若干広めの坪数になっていますが、これは2階のバルコニー部分なので、基本的には総二階建ての店舗併用住宅となります。
生活スペースも各部屋ゆったりの広さを確保できているのですが、建物全体は45坪を切っており、店舗併用住宅のお手本のような間取りだと思います。
トヨタホームの詳細については、「トヨタホームの坪単価と口コミ評判」の記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
へーベルハウス
- 商品名:CUBIC
- 1階:64.85㎡(19.61坪)
- 2階:62.32㎡(18.85坪)
- 延床:202.14㎡(61.1坪)
- 間取り:5LDK+店舗
1階に美容室を配置した3階建ての店舗併用住宅で、旭化成のヘーベルハウスなので、重量鉄骨の建物になります。
重量鉄骨を使用しているので、柱や構造壁がない大空間をつくることができ、広々とした開放的な空間になっています。
美容室の店舗もそうなのですが、注目してほしいのが2階のリビングで、こちらは24帖もの広さがあるのに、空間をさえぎる柱が1本もありません。
2階のキッチン裏に洗面スペースを配置するあたり、家事動線もしっかり考えられています。
ヘーベルハウスの詳細については、「ヘーベルハウスの坪単価と口コミ評判」で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
タマホーム
ローコスト住宅として有名なタマホームでも、店舗併用住宅を建てることができます。
もちろん注文住宅なので、店舗のデザインや居住用スペースの間取りも自由に設計することができます。
今回の画像にある店舗兼住宅は、限定販売されている「シフクノいえ」なのかなと思いますが、タマホームで人気の「大安心の家」でも対応できます。
シフクノいえは規格型住宅なので、間取りの自由度は低いのですが、すべてコミコミの格安プラン(900万円~)が100種類以上あるので、建築費を節約したい人にはおすすめです。
タマホームについては、「タマホームの坪単価と口コミ評判」で詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
店舗付き住宅を建てる際のポイント
ハウスメーカーや工務店に「店舗併用住宅は建てれますか?」と質問すれば、100%の確率で「はい、大丈夫ですよ」という返事が返ってくるでしょう。
住宅を建てることを専門にしている会社なのですから、「当社は自信がありません」とは、まず言いません。
しかし、店舗併設住宅は、一般的な住宅を建てるのとは違い、経験や専門的な知識が不可欠です。
ですので、建築を依頼するハウスメーカー選びは慎重にしなければなりません。
ハウスメーカー選び
ハウスメーカーや工務店を選ぶとき、まず優先して頂きたいのが店舗併用住宅を建てた経験が豊富な会社です。
もちろん担当の営業マンも店舗併用住宅を建てた経験がある人が絶対にいいです。
これは公式サイトをみてもわからない部分なので、「店舗併用住宅を建てた経験はありますか?できれば過去の建築物件の写真や図面を見せてもらえませんか?」と打診してみましょう。
自信がある会社なら、すぐに写真や図面を見せてくれるはずです。
もちろん美容室なら美容室、パン屋だったらケーキ屋やパン屋のように、同じ業種で建築実例をみせてもらうのが一番良いです。
また一般の住宅を建てるのと比べ、どんな点に違いがあるのか?について質問してみるのも効果的です。
店舗となれば当然、使用する照明や壁紙、床材や防音対策まで違ってきます。
建築経験が豊富な会社や営業マンであれば、そうした相違点をスラスラと答えてくれるはずです。
立地
店舗の成功を握る一番大事なポイントになるのが立地でしょう。
どんなに良い建物を建てても、集客が望めない地域では事業を成功させることも難しくなります。
土地選びにおいて知っておくべきことは、建築基準法という法律により、地域ごとに「用途地域」というエリアが定められていることです。
全部で12の用途地域があるのですが、この中には店舗併用住宅を建てることができない地域もあります。
また、住宅街に多い「第一種低層住居地域」でも、店舗併用住宅を建てることは難しいですし、商業地域に比べると、なにかと面倒な規制を受けることが考えられます。
この立地の問題を解決するのにベストな方法があります。
それは、先に信頼できるハウスメーカーを決めてしまうことです。
店舗住宅の経験が豊富なハウスメーカーや工務店であれば、土地探しについてもサポートしてくれるはずです。
ローンを組む際の注意点
店舗併用住宅の住宅ローンについては、紹介しているサイトによって書いてある内容が違っていたりして、どれを信用してよいのかわからないと思う人も少なくないはずです。
まず店舗併用住宅の住宅ローンについて話をする前に、1つ覚えておいてほしいことがあります。
店舗併用住宅という言い方をしてきましたが、大きく2つのタイプがあることです。
その2つが「店舗併用住宅」と「店舗兼用住宅」になります。
一般的にいう店舗併用住宅というのは、店舗と住宅が併用されている建物であり、出入り口が別々に設けられているものをいいます。
一方の店舗兼用住宅というのは、建物内で店舗と住居を行き来できる建物のことをいいます。
イメージとしては下の図のような感じになります。
この「店舗併用住宅」と「店舗兼用住宅」では、金融機関によって住宅ローンの取り扱いが全然違ってくることもあるので、しっかり理解しておくようにしましょう。
住宅ローンは組めるの?
先に結論から言うと、全額住宅ローンとして借りれるかどうかは、打診する金融機関の判断による部分が大きいといえます。
また先ほど紹介した「店舗併用住宅」と「店舗兼用住宅」であれば、明らかに建物内で往来できる店舗兼用住宅のほうが、住宅ローンで全額融資してもらえる可能性が高くなります。
ただし、「店舗部分が建物全体の50%未満の広さであること」という決まりがあります。
営業マンに騙されないよう注意
まれにハウスメーカーや工務店の営業マンから、「最初は一般住宅(二世帯住宅など)として建てて、その後営業申請すればいいですよ」と言われることがあります。
確かにこれなら間違いなく、全額住宅ローンとして借り入れできます。
しかし、これは金融機関を欺いたことになり、場合によっては住宅ローンの一括返済を求められてしまう可能性があります。
絶対にやめましょう。
住宅ローン控除を受けるためには?
ここでは住宅ローン控除についての話をしておきます。
仮に建築費の全額を住宅ローンで借りることができたとしても、住宅ローン控除を受けられるのは居住面積の割合分だけとなります。
店舗40%、居住スペース60%の建物であれば、住宅ローン控除も居住スペースに該当する割合のみが対象となります。
店舗併用住宅に関する疑問、質問
ここからは店舗併用住宅について今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。
中古で購入する際の注意点は?
中古の店舗併用住宅を購入するのと、普通の中古住宅を購入後に店舗部分をリフォームするのでは、どちらがよいのでしょうか。
この場合、なるべくなら中古の店舗併用住宅を購入するほうが良いかと思います。
理由は利用できるローンの種類にあります。
中古の店舗併用住宅であれば、住宅ローンで購入できる可能性が高くなりますし、最悪でも住居部分だけは確実に住宅ローンが利用できます。
一方で、購入後に店舗部分をリフォームする場合ですが、これにかかる費用は、住宅ローンでもリフォームローンでもなく、金利が高い事業ローンを借りることになります。
種類 | 金利目安 |
---|---|
住宅ローン | 1.00% |
リフォームローン | 2.0~3.0% |
事業ローン | 4.0~5.0% |
仮に800万円を10年で返済すると仮定しても、1%と5%では総支払額は200万円くらい違ってきます。
固定資産税
一般的な戸建て住宅であれば、固定資産税の軽減措置を受けることができ、本来の税率に比べ6分の1に減税されます。
この減税措置が店舗併用住宅でも適用になるのか?という部分は、これから店舗併用住宅の建設を考えている人にとって、かなり重要になってくるのではないでしょうか。
結論から話すと、4階建て以下の店舗併用住宅の場合、以下の内容で軽減措置を受けることができます。
居住部分以外の併用スペース | 軽減措置 |
---|---|
2分の1以下 | 専用住宅の土地と同じ特例が受けられる |
2分の1超、4分の3以下 | 2分の1が軽減対象となる |
火災保険の選び方と価格相場は?
店舗併用住宅であっても、火災保険は一般的な住宅火災保険に入ることができます。
ただし、店舗併用住宅のほうが保険料は高くなる傾向にあるのですが、店舗の職種によって違ってきます。
例えば店舗部分で行政書士事務所を経営するより、飲食店を経営するほうが火災のリスクが高くなるのは明らかなので、当然飲食店のほうが保険料は高額になるということです。
また、飲食店の厨房器具などにも別途保険をかけておいたり、お客さんが食中毒になってしまったケースなどに使える損害系の保険もオプション加入しておくなど、保険会社と保険内容はしっかり吟味して加入するようにしましょう。
まとめ
今回は店舗併用住宅を建てる際のポイントを解説しました。
やはり一番重要なのは、店舗併用住宅を得意としているハウスメーカーや工務店に依頼することです。そのためには少しでも多くのハウスメーカーや工務店を、比較しながら見比べることです。
今回、紹介したハウスメーカーなどを参考に、各社のプランを比較して、自分たちにあう業者を探してみてみてください。