注文住宅の場合、マイホームの検討を始めてから完成引渡しまで、平均1年ほどの期間がかかります。
その1年間の間に実施される打ち合わせの回数は、少ない人で5回~10回、多い人だと20回以上になることもあります。
最初のうちは間取り図を見せてもらったりして楽しいかもしれませんが、打ち合わせの回数が増えるにつれ、疲れてしまい憂鬱な気分になる人も少なくありません。
そこで今回は注文住宅の打ち合わせを効率よく進めるコツについて話をしていきたいと思います。
効率良く家づくりを進めるためのポイント
マイホームの検討~完成引き渡しまでの工程は大きく3つに分けることができます。
- マイホーム検討~住宅会社と請負契約
- 各種打ち合わせ~仕様の最終決定(確認申請)
- 工事着工~引き渡し
工事がはじまると打ち合わせはほぼありませんので、「マイホーム検討」と「各種打ち合わせ」の期間を中心に、効率の良いマイホームづくりのポイントを解説していきます。
予算感を決めておく
注文住宅において、打ち合わせの回数が増えてしまう原因の多くが、金額と間取りの問題です。
自分たちのイメージあうハウスメーカーが見つかったが、打ち合わせを重ねった結果、どうしても金額面で折り合いがつかないケースは多いです。
当初から自分たちの予算上限額を明確に決めておくことで、金額に見合ったハウスメーカーに絞って住宅会社選びをすることができます。
予算が決まっている人は、LIFULL HOME'Sの予算別カタログ特集ページを活用すると、効率よく自分たちにあう住宅会社が見つかると思います。
もし具体的な予算が決まっていない人は、毎月の返済額から注文住宅がイメージできるシミュレーターを上手に活用してみてください。
※予算別のカタログ特集ページ一覧
また、年収から住宅ローンの借り入れ額の目安を知りたい人は、「注文住宅の予算の決め方」の記事をチェックしてみてください。
自分の年収から借り入れ金額の目安が分かるので、予算を決める際の参考になると思います。
理想の家をイメージしておく
打ち合わせをスムーズに進めるために、自分たちの希望するマイホーム像をしっかりまとめておくようにしましょう。
最初はあまり難しいことは避け、本当に基本的な項目に絞ってすり合わせしておくだけでも、効率よくマイホームづくりを進めることができます。
例えば何階建ての家を希望するのか?という問題があります。
平屋、二階建て、三階建ての3つの選択肢がありますが、「平屋も良いし、2階建ても良いよな」では、打ち合わせの回数も増えて当然です。
その他にも、以下のような項目のイメージを事前に決めておくだけでも、打ち合わせの進行具合が大きく違ってきます。
建物の階数 | 平屋・二階建て・三階建て |
---|---|
外観 | 洋風・和風 |
屋根瓦の有無 | あり・なし |
屋根形状 | 寄棟・切妻・大屋根・片流れ |
同居世帯 | 単世帯・二世帯 |
部屋数 | 2部屋・3部屋・4部屋(※LDK別) |
和室 | あり・なし |
夫婦の主寝室 | 1階・2階 |
キッチン | 対面式・壁面式・アイランド |
住宅の種類 | 木造・鉄骨・こだわらない |
建物の外観や屋根のイメージについては、インターネットなどでお気に入りの建物画像を保存しておき、それを営業担当に見せることで、よりイメージを共有しやすくなるのでおすすめです。
平屋住宅
和風住宅
輸入住宅
3階建て
二世帯住宅
狭小住宅
その他にも以下のようなテーマの家があるので、気になる住宅があればチェックしてみてください。
スケジュールを理解しておく
当記事の冒頭でも紹介していますが、家づくりの期間は大きく3つの工程に分けて考えることができ、それぞれの工程にかかる平均期間があります。
つまり、家づくりのスケジュールを理解しておくことで、引き渡し(入居)の時期を逆算して決めていくこともできます。
以下の家づくりのスケジュールで調整可能な項目は、「⑤工事開始から完成」以外の期間ということになります。
では実際にどのタイミングで打ち合わせをすることになるのか見ていきましょう。
①家を建てる前に知っておくこと
この段階は展示場にも足を運ぶ前なので、打ち合わせ等はほぼありません。当記事の「予算感を決めておく」の項目になります。
ただし、家族でしっかり話しあっておく必要のある部分でもあります。
②住みたい家をイメージする
展示場を見学しながら、希望の住宅会社を決める段階になります。
各住宅会社からプランや見積もりを提示される期間なので、打ち合わせの回数もかなり増えてきます。
1社あたり少なくとも2回~3回の打ち合わせが必要で、比較するハウスメーカーの数が多くなれば多くなるほど数が増えます。
予めカタログなどを活用して、2~3社程度に候補を絞った上で打ち合わせに行けば、効率よく自分たちにあうハウスメーカーが見つかると思います。
③土地を購入する
住宅会社選びと並行して、土地探しをしていくことになります。
不動産会社を介して地主と価格交渉などをしていき、住宅会社の担当者にも土地をみてもらいプラン図などの作成をしてもらうことができます。
このブロックで打ち合わせ回数を減らすには、候補に残っている住宅会社すべてに土地を見てもらう必要はありません。
現時点で一番興味をもっている住宅会社1社だけで良いでしょう。基本同じような結果になるので、重複する打ち合わせの回数を減らすことができます。
④建築業者を決める
このブロックは建築業者を決めて、工事が始まるまでの期間だと思ってください。打ち合わせの回数が一番多くなるブロックです。
最終的な間取りを決め、そのあとは壁紙の色、照明の種類、コンセントの位置など細かな項目を決めていく打ち合わせが続きます。
工事開始までの平均期間は2か月弱くらいで、打ち合わせの回数は少なくても5回ほど必要になり、多い人では10回を超えることもあります。
1回の打ち合わせに費やす時間は、最低でも1時間、長くなると5時間や6時間になることもあります。
⓹工事開始から完成まで
工事がはじまると、打ち合わせの回数も大幅に減少します。住宅会社によっては、④で説明した壁紙や照明の種類などをここから決めていくケースもあります。
こだわるところ、妥協するところを明確にする
家づくりにおいて、これだけは譲れないという部分があると思いますので、そこはしっかりと打ち合わせで時間をかけて詰めていくようにしましょう。
ただし、打ち合わせを効率よく進めるには、妥協していく部分も必要です。
いくらでも時間に余裕があるのでしたら、1つずつ時間をかけて決めていくことができますが、この日までには入居したいという計画を立てているのであれば、予定よりも少し余裕をもったスケジュールで進めていくようにしましょう。
家づくりは、材木や設備類が予定通り到着しなかったり、台風などの自然災害で工期が遅れることは珍しくありません。
例えば間取りなどの構造に関係する部分は簡単に変更できませんので、時間をかけてじっくり詰めていく必要があります。
逆にカーテンの種類や色、照明器具の種類などは、工事が始まっても変更できる場合が多いですし、引き渡し後であっても気にいらなければ多少の出費で変更することもできます。
こだわりたい部分
- 間取り
- 建物の外観
- 屋根の形状
- 収納の数や位置
- 窓の位置
- エアコンの位置
妥協してもいいところ
- フローリング材の種類や色
- 壁紙の種類や色
- 照明器具の種類
- 外溝工事
- 手すりの有無
打ち合わせの内容を記録しておく
打ち合わせのトラブルで多いのが、「言った」「聞いてない」という、伝達ミスです。
言ったつもりでも、相手にうまく伝わってなければ、それらの再打ち合わせが必要になりますし、最悪のケースだと信頼関係が崩れてしまう恐れがあります。
このような伝達ミスを防止するには、打ち合わせ中はメモを取り、打ち合わせ終了後にメモを確認してサインなどをもらうことです。
そしてこの伝達トラブルは、施主と営業さんだけで起こるわけではありません。
双方でしっかり確認が取れていても、営業さんがその内容を設計担当や工事担当に伝えわすれているケースもあります。
施主、営業、設計士、工事担当みんなで情報が共有できているか、しっかりと確認しておくようにしましょう。
子供は誰かに預ける
もしできるのであれば、小さいお子さんは打ち合わせのとき、両親や兄弟などに預かってもらうのが良いでしょう。
打ち合わせは長いときだと、半日作業になることもあります。
1時間とかの短い打ち合わせで済むのであれば、好きなアニメなどをDVDで見せておけば問題なく終わることも多いのですが、2時間や3時間になってくるとDVDだけでは飽きてしまい、機嫌が悪くなってしまうことが多いです。
お子さんがグズッてしまうと、打ち合わせに集中できなくなるのは言うまでもありません。
結果、打ち合わせも進まず、1日で終わることを2日や3日かけて打ち合わせするなんてことにもなってしまいます。
また、最近ではベビーシッターがいる住宅展示場もあるので、どうしても子供を預かってもらうことができない家庭の場合、そうしたサービスがある住宅展示場のハウスメーカーや工務店を選ぶという手もあります。
「パナソニックホームズ」などは、自社の展示場(住まいとくらしの情報館)などに専属の保育士さんやベビーシッターさんを配置しており、契約後の打ち合わせ時などは、ベビーシッターさんに預けて打ち合わせできるようになっています。
オンライン打ち合わせを活用する
最近は「ダイワハウス」などオンライン打ち合わせを導入しているハウスメーカーも増えてきました。
オンラインでの打ち合わせであれば、1時間とかの短い打ち合わせも簡単にできてしまいます。
これまでは、せっかく打ち合わせに行くのであれば、時間が許す限り、決めてしまえるものは決めてしまいたいという思いが強かったと思うのですが、オンラインであれば少し時間が空いたときに気軽に実施できます。
さらにオンラインでの打ち合わせであれば、その内容を録画して残しておくことができるので、「言った」「聞いてない」という伝達ミスの防止にもなります。
注文住宅の打ち合わせに関する疑問、質問
注文住宅の打ち合わせに関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。
具体的なプランがでるまでにかかる時間は?
住宅展示場を訪れ、気に入ったハウスメーカーがあれば簡易的な間取りプラン図と概算の見積もり書を作成してもらえます。
この場合のプランは、施主の希望をヒアリングしていますが、本当に簡易的な間取りプランなので、そこまで具体的な感じではありません。
見積金額も正式なものではなく、あくまでも目安の金額だと考えておくのが良いでしょう。
このプラン図と見積書をみて、そのハウスメーカー(工務店)で検討できるのであれば、そこから具体的な打ち合わせへと入っていきます。
営業さんが作ってくれた間取り図をもとに、修正してほしい箇所などを伝えていきます。
そのあとは設計士さんが、正式なプラン図を作成してくれ、見積書も実際の金額により近いものを提示してもらうことができます。
この間取りプラン図が完成するまで、平均して2週間くらいかかります。
そこから再度修正や間取りの変更があれば、さらに新しい間取り図が完成するまでに2週間ほどかかります。
2回の間取り変更をお願いすれば、6週間(1か月半)ほどの期間を見ておく必要があります。
土地が決まってない状態でも建築請負契約できるの?
土地が決まっていなくても、建物の請負契約をすることができるハウスメーカーや工務店は多くあります。
しかし、土地が決まっていない状態で建物の請負契約をするのは、あまりおすすめではありません。
理由は土地によっては家を建てるにあたり、さまざまな制限を受けることがあるからです。
そうなるとプラン変更や追加工事が発生することになり、別途費用を請求されてしまうことでトラブルへと発展することもあります。
契約後にキャンセルするとどうなる?
契約する前であれば、間取り図や見積書を出してもらっていても、いつでも断ることができます。
しかし、正式に建築請負契約をした後のキャンセルであれば、契約書に記載されている違約金を払わなければなりません。
違約金の額は住宅会社によってまちまちですが、平均すると建築費の3%~10%ほどに設定されていることが多いです。
ただし、建築請負契約後であっても、住宅ローンの審査に通らなかった場合など、特別な事情がある場合は無償でキャンセルできるようになっています。
どのような場合に無償でキャンセルができるのか、すべて契約書内に記載されているので、必ず契約前にチェックしておきましょう。
打ち合わせの回数で建築費が高くなることはあるの?
基本的には打ち合わせの回数によって、建物の費用が高くなることはありません。仮に3回の打ち合わせで終わったとしても、その分建築費が安くなることはありません。
しかし、最近は「設計士や建築士との打ち合わせは3回まで」というように、事前に打ち合わせの回数を設定した料金プランを打ち出している住宅会社が増えています。
このような住宅で契約した場合は、既定の打ち合わせ回数をオーバーしてしまうと、別途相談料が発生することになっていますので気をつけましょう。
まとめ
今回は、注文住宅の打ち合わせについて紹介しました。
1回の打ち合わせは、平均して3時間ほどかかりますし、回数も多ければ20回を超えることがあります。
つまり、契約してから工事開始までは、ほぼ毎週末はマイホームの打ち合わせに時間を割かれてしまい、体力的にも精神的にも参ってしまう人が大勢います。
せっかくのマイホーム計画が苦に感じないよう、事前に決められることは決めておき、効率の良い打ち合わせを心掛けておきたいものです。