注文住宅を建てるとき建物を雨風から守るだけでなく、外観のデザインを左右するポイントとなるのが屋根選びです。
屋根を決める際のポイントとなるのが「屋根の形」「屋根の素材」「色」の3つです。
この記事では屋根の形状や種類の特徴を分かりやすくまとめるので、自分たちに合う屋根選びの参考にしてもらえばと思います。
屋根の種類を形状別に比較
屋根の種類は、メジャーなタイプだけでも10種類以上ありますが、中でも多く採用されている屋根の種類は5~6種類です。
屋根のつくり次第では、災害に強い家や暑さに強い家などの役割も発揮します。
今回は一般的に多く採用されている屋根の形状と、おすすめの屋根についていくつか紹介していきたいと思います。
切妻屋根
切妻(きりづま)屋根は最も一般的な屋根のタイプで、2面の長方形で構成されているのが特徴です。
屋根の継ぎ目が1カ所しかなく、とてもシンプルなデザインなので洋風にも和風にも合うことから、多くの住宅に採用されています。
切妻屋根のメリット
切妻屋根のメリットは、構造がシンプルなので新築時の予算を抑えることができますし、建てたあとのメンテナンス費用も少なくて済みます。
そして何より、雨漏りなどの心配がもっとも少ない屋根の形状でもあります。
切妻屋根のデメリット
デメリットが少ない屋根形状として人気が高く多くの住宅で採用されているので、個性が出しづらいという点がデメリットになります。
また、軒がない面もあるので雨風の影響を受けやすく、外壁の劣化が早くなるという不安要素もあります。
切妻屋根に合う素材
シンプルな構造になっているので、ほとんどの屋根材が使用できる点もメリットです。
寄棟屋根
切妻屋根と同じく日本古来より多くの住宅屋根として馴染み深いのが、寄棟(よせむね)屋根です。
三角形の屋根2面と台形の屋根2面の合計4面で構成されているのが特徴です。
20年ほど前までは、切妻屋根より多くの住宅に採用されていたのですが、太陽光発電システムの登場により数を減らしています。
寄棟屋根のメリット
4面ともに軒がかかっているので、雨風や太陽光から外壁を守ってくれるので、外壁の極端な劣化を抑えることができます。
また、継ぎ目が多いことから強度にも優れており、すべての屋根形状の中でも耐久性に優れている屋根と言われています。
和風や洋風など、どのようなデザインの家にも合わせやすいこともあり、一時は大手ハウスメーカーなどでも良く採用されていました。
寄棟屋根のデメリット
屋根1面ずつの面積が少なく太陽光発電システムを搭載する家が増えたことで、徐々に寄棟屋根の家が減っていきました。
大容量の太陽光発電システムを搭載するには、かなり不向きな屋根の形状になっています。
さらに切妻屋根など、他の屋根に比べて継ぎ目が多くなることで、費用も割高になってしまいますし、継ぎ目が多い分、雨漏りの不安も増します。
寄棟屋根に合う素材
こちらも切妻屋根と同じように、ほとんどの屋根材が使用することができます。
片流れ屋根
最近よく見かけるようになったのが、片面だけに傾斜があるタイプの片流れ屋根です。屋根に継ぎ目がなく、ひとつの面だけで構成されているタイプです。
スタイリッシュなデザインに仕上げることができ、洋風の建物に多く採用されています。
片流れ屋根のメリット
片流れの屋根のメリットは、デザイン性が高く、設置コストが安く、メンテナンスが容易である点です。
さらに1つの面積が大きいため、太陽光パネルの設置にも向いている屋根の形状になります。
比較的、小さな家にもマッチしやすい形をしているので、都心部の狭小住宅などにも使われているのを良く見かけます。
片流れ屋根のデメリット
一方向にだけ傾斜があるので、どうしても雨水や積雪が同じ場所に落ちてしまいます。
雨水の流れ道が一方向なので、そちらの雨どいが詰まってしまうと機能をまったく果たさなくなってしまうので、こまめな清掃や点検が欠かせません。
太陽光パネルの設置に向いているという話をしましたが、もし屋根の傾斜が北向きになってしまう場合は、太陽光パネルを設置することはできません。
方角に左右されやすい屋根の形状であることを理解しておきましょう。
片流れ屋根に合う素材
片流れ屋根の場合、金属系のガリバリウム鋼板やスレート材が一般的に多く採用されています。
方形屋根
方形(ほうぎょう)屋根は、寄棟屋根と良く似た形状をしていますが、大きな違いは方形屋根には大棟がなく、屋根の頂点から四方へと広がっており、ピラミッドのような形をしています。
基本的な屋根の特徴としては、先に紹介した寄棟とほぼ変わりありません。
方形屋根のメリット
寄棟屋根で紹介したように、4面すべてに軒がかかるので、雨風や日差しから建物を守ることができますし、強度が高いというメリットがあります。
方形屋根のデメリット
こちらも寄棟屋根と基本同じで、太陽光パネルの設置に不向き、建築コストが割高、屋根の継ぎ目が多いので雨漏りリスクが高くなるなどが挙げられます。
方形屋根に合う素材
こちらも寄棟屋根と同じように、ほとんどの屋根材が使用することができます。
陸(りく)屋根
四角い立方体の家にしたいと思うのであれば、陸屋根という選択肢になります。
以前は陸屋根といえばセキスイハイムで見られましたが、最近はキューブ状の建物が人気なので、陸屋根を採用しているハウスメーカーも増えています。
陸屋根のメリット
デザイン性が高くスタイリッシュな外観を希望する人に向いています。
また建築コストが割安なことも人気の理由となっており、最近は建築棟数1位の一条工務店のアイスマートやアイキューブなどにも多く採用されています。
屋根がフラットなため、落雪防止にもなるので、降雪地域などにも向いています。
陸屋根のデメリット
屋根に傾斜がないので雨水などが溜まりやすいのが難点です。
防水処理が難しいタイプなので、木造よりも鉄骨や鉄筋住宅のほうが採用しやすい面があります。
水はけが悪く、防水処理に問題があるので、技術がしっかりしている施工業者に依頼するのがポイントです。
陸屋根に合う素材
屋根がなく屋上をバルコニー風にするのであれば、ビルなどの屋上と同じようにコンクリートで仕上げることができます。
屋根を設置する場合は、金属系のガリバリウム鋼板などを使用することが多くあります。勾配の角度が緩くなると、瓦やスレートなどは施工できないで注意しましょう。
【目的別】おすすめの屋根
ここからは先ほど紹介した屋根の形状をもとに、目的別におすすめの屋根についてまとめていきます。
災害に強い
大型台風や大地震が懸念されている昨今、災害に強いを建てたいという要望は当然のように増えています。
災害に強い家を建てたい人におすすめなのが、招き屋根+ガリバリウム鋼板の組み合わせです。
招き屋根は切妻屋根の掛け違いのようになっているのが特徴です。屋根が2つに分散されており、この形状が風の影響を最小限に抑えてくれます。
また、軽量のガリバリウム鋼板の屋根材にすることで、地震の影響を大幅に軽減してくれます。
少し複雑な屋根形状なので、施工費も高く雨漏りなどの心配も増えてしまうリスクはありますが、しっかりした技術の施工会社に依頼すれば雨漏りの心配は解決することができます。
暑さに強い
真夏日の屋根の温度は60度を超えることもあり、建物内に入ってくる熱の15%が屋根からだと言われています。
暑さに強い家にするためには、屋根と室内の距離を保つことが重要です。
そうなると屋根と室内の距離が近い陸屋根より、高さを出すことができる片流れ屋根、角度を急にできる切妻屋根などが向いていることがわかります。
片流れ屋根
切妻屋根
素材としては熱を吸収しやすい金属系のガリバリウム鋼板やスレートではなく、瓦屋根などのほうが暑さには強いといえます。
もちろんガリバリウムなどの屋根にしても、最近は暑さ対策として遮熱シートや屋根裏断熱という方法もありますが、対策をするにも費用が掛かることは忘れてはいけません。
豪雪地域
これまで豪雪地域に多く見られたのが、屋根の勾配を急にして、雪が落ちやすく工夫してある屋根でした。
しかし、最近は少し事情が変わってきており、雪が落ちやすい屋根より、雪を落とさない屋根の家が増えてきています。
建物や屋根の強度をあげ、屋根に積もった雪が自然と溶けるのを待つという考え方です。これにより雪下ろしの労力をなくすことができ、落雪や転落などのリスクを減らすことができます。
そうした屋根に多く用いられているのが、屋根がフラットになっている陸屋根や、屋根の両端が高く、中心に向けて低くなっているバタフライ屋根です。
このように雪をわざと落とさないようになっている形状の屋根のことを「無落雪屋根」といいます。
太陽光発電
太陽光発電システムに向いている屋根としては、接地面を多く確保できる切妻屋根や片流れ屋根が人気です。
切妻屋根
片流れ屋根
逆にあまり人気ではないのは設置面が少なくなりがちの寄棟屋根や方形屋根です。
陸屋根も設置面では多く取ることができそうですが、太陽光パネルが一番効率を発揮するのは南向きの30度前後だと言われています。
そのため、フラットな屋根になりがちの陸屋根だと太陽光パネルに角度をつける設置台などが必要になってしまいます。
屋根材の種類
一般的な屋根材は大きく4つの種類に分類することができます。
- 瓦
- コロニアル
- 金属
- アスファルト
それぞれに異なる特徴があるので、屋根材の特徴を理解しておくことで失敗のないマイホームづくりができます。個々の屋根材を紹介する前に、屋根形状との相性を表にまとめておきます。
瓦 | コロニアル | 金属 | アスファルト | |
---|---|---|---|---|
切妻 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
寄棟 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
片流れ | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
方形 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
陸 | ✕ | △ | △ | △ |
招き | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
バタフライ | ✕ | ✕ | 〇 | ✕ |
瓦
瓦屋根と言っても種類は多岐に渡ります。日本古来より多く使われているのが日本瓦(粘土瓦)で、次いでセメント瓦などがあげられます。
今回はこの日本瓦とセメント瓦の特徴について紹介しておきます。
日本瓦(粘土瓦)
瓦屋根の多くが粘土を焼いてつくられている日本瓦(粘土瓦、陶器瓦ともいう)です。
塗装がいらないので年数が経っても再塗装をする必要がなく、メンテナンス費を抑えることができます。
耐用年数も50年と長持ちするのですが、他の屋根材と比べて重量があるので建物の強度が必要になります。
また、地震のときのリスクも大きくなってしまうことは理解しておきましょう。
セメント瓦
築年数が経過している中古住宅に多くみられる屋根瓦です。その名のとおり、セメントやコンクリートで作られているのが特徴です。
ただし、日本瓦に比べ耐用年数が短いことや、メンテナンス費用などの問題もあり、近年ではほとんど使用されることがなくなりました。
もし中古住宅を購入したとき、このセメント瓦が使用されているのであれば、屋根の葺き替えなども検討することをおすすめします。
コロニアル
ここ20年ほど日本で一番多く採用されているのが、スレート屋根とも言います。
コストも安価ですし、色やデザインの種類が豊富にあることで、多くの住宅メーカーがスレート屋根を標準仕様として採用しています。
瓦に比べて軽いので、大きな地震に見舞われても建物への負担を最小限に抑えることができ、災害に強い屋根としても人気です。
しかし、軽い素材でつくられているので強度の面で不安があり、大きな地震で割れてしまったりする恐れがあります。
また、耐用年数も15年ほどなのでメンテナンス費用の負担が大きいのが欠点です。
金属
金属系の屋根材には、大きく3つの種類があります。それぞれに特徴が違いますので、わかりやすく解説していきます。
また、先ほどの一覧表にもあるように、金属系の屋根材はどんな屋根形状にも使えることで、今では多くの住宅で採用される屋根材となっています。
ガリバリウム鋼板
金属系の屋根材で最も多く採用されているのがガリバリウム鋼板です。
アルミ亜鉛合金をメッキした鋼板なので、とても軽量であり錆びにくいという特徴をがあります。
ガリバリウム鋼板は耐用年数も長く、利便性が高い屋根材ですが、防音性や断熱性に優れているとは言えない点がデメリットです。
ジンカリウム鋼板
デメリットを補う商品として、ジンカリウム鋼板(石粒付きガルバリウム鋼板)という商品があります。
こちらであれば従来のガリバリウム鋼板の弱点を大幅にカバーすることができる屋根材になっていますので、気になる方はぜひ検討してみてください。
トタン
低コストに抑えることができる屋根材なので、昔の住宅に多く採用されていましたが、最近の新築住宅に採用されることはほとんどありません。
耐久性にも問題があり、錆が発生しやすく、遮音性や断熱性にも優れているとは言えません。
ただし、軽量であり低コストの予算で設置することができるため、トタン屋根の進化バージョンとして登場したのがガリバリウム鋼板やジンガリウム鋼板となっています。
アスファルトシングル
欧米の家の80%以上に採用されているのが、こちらのアスファルトシングルという屋根材です。
日本ではあまり聞きなれない屋根材だと思いますが、低コストとデザイン性の高さから、最近は日本の住宅にも採用する人が増えています。
アスファルトシングルは、シート状になっており簡単に加工することができます。
軽量な素材なので、建物への負担を抑えることができ、地震や台風で瓦が落ちてくるなどの心配もいりません。
ただし、接着剤による施工なので強風でシートがめくれてしまうなどの被害が多く報告されています。
とくに日本ではアスファルトシングルの施工になれている業者が少ないので、経験と知識がしっかりした施工業者に依頼するようにしましょう。
屋根の色はどうやって決めるのか?
注文住宅は自由に外観を決めることができるので、自分たちの理想のマイホームをつくることができます。その建物の外観において重要となるのが屋根の形や色です。
屋根の形や色で、建物全体の雰囲気が大きく変わってきますので、ここでは屋根の色を決めるうえでのポイントについて紹介していきたいと思います。
下の画像のように、屋根の色だけで大きく家の印象が変わってきます。
人気カラーランキング
屋根色を人気カラー順に紹介するので、色選びの参考にしてみてください。
グレー系
どんな外壁の色にも合わせやすいグレー系の屋根色は根強い人気があります。
ブラックよりも少しソフトな印象があるので、あまり重たくなりすぎず、ほどよく締まりのある外観にすることができます。
ブラック系
ブラック系の屋根色は建物全体を引き締まった感じに見せることができ人気です。
同じブラックの屋根でも、外壁の色のトーンを落とすことで、より締まった感じの外観にすることができます。
ブラウン系
さまざまな色と一番相性が良いのがブラウン系の屋根色です。
外壁にレンガやタイルを使うときにも、こちらのブラウン系の屋根がよく合います。
グリーン系
新興住宅地などより、まわりに自然があるような景観の場所に好まれるのがグリーン系の屋根色です。
黄緑、緑、紫などの中性色、青や緑などの寒色系の外壁にもマッチしやすい色になっています。
自然色の緑ということもあり、まわりに林や森などがある風景にも良く似合います。
レッドブラウン系
人気のブラウン色よりも少し赤みがかったレッドブラウン系も根強い人気がある屋根色です。
暖かみのある色なので、暖色系の外壁によくマッチします。
失敗しないために必要なこと
屋根や外壁の塗装では、イメージと実際の仕上がりのギャップにがっかりするケースが多くあります。
せっかくのマイホームですから、そんな気持ちにならないように屋根や外壁の色選びは慎重にしましょう。
ここでは屋根のカラーリングで失敗しないポイントをいくつか紹介していきますので、ぜひ参考にされてください。
カラーリングテスト
一番手っ取り早いのは、ネットのカラーリングテストを利用することです。
当記事でも使用させてもらっていますが、日本ペイントさんなどの公式サイトにカラーリングテストができるツールが用意されていますので、そちらで外壁と屋根色の相性を実際に見ることができます。
住宅会社の中には、このようなカラーリングツールを独自開発しているケースもあり、屋根と外壁の色だけでなく、屋根の形状なども選べることがあります。
日本ペイント
エスケー化研
外壁、玄関や窓サッシとの相性
屋根の色をセレクトするとき、どうしても外壁との相性ばかりを気にしがちですが、玄関や窓サッシとの相性もしっかりと考えるようにしましょう。
外壁と屋根の色がマッチしていても、玄関や窓サッシの色が浮いてしまい、建物全体がボヤっとした印象になってしまうことが多くあります。
とくに玄関ドアに関しては、こだわりを強くもって選ぶ人が多いので、玄関ドアとの相性は大事です。
玄関ドアの色だけでなく、デザインとも相性がありますので気をつけてください。
まわりとの調和を考える
外壁や屋根のカラーリングで大切なのはまわりとの調和です。
いくら好みのカラーリングにすることができても、まわりの家や環境との調和が取れてなければ、その家だけ悪目立ちしてしまうことになります。
個性を出すことは大事ですが、あまりにも目立ちすぎるようなカラーリングは避けるのが無難でしょう。
屋根に関する質問
注文住宅の屋根に関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。
屋根の役割は?
屋根の役割を大きく分類すると以下の3点になります。
- 断熱効果
- 防水
- 雨風に強い
建物のなかで一番厳しい環境にさらされる部分が屋根です。快適な暮らしを実現するためには、住宅の屋根は重要なポイントになります。
「断熱効果」「防水の役割」「雨風に強い」という3つの役割を理解したうえで、より細かなポイントにも注目してみましょう。
日本瓦 | コロニアル | ガリバリウム鋼板 | アスファルトシングル | |
---|---|---|---|---|
耐久性 | ★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ |
防水性 | ★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ |
遮熱性 | ★★★ | ★ | ★★ | ★★★ |
遮音性 | ★★★ | ★ | ★ | ★★★ |
耐震性 | ★ | ★★ | ★★★ | ★★★ |
耐火性 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★ |
コスト | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★ |
デザイン | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
メンテナンス | ★★ | ★★ | ★★★ | ★★ |
施工 | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
勾配はどれくらいにすればいいのか?
注文住宅で盲点となりやすいのが屋根の勾配(角度)です。
実際に注文住宅を建てるとき、屋根の色やデザインにこだわる人は多いのですが、屋根の勾配にまで目を向ける人はそう多くありません。
しかし、屋根の勾配次第で、将来的なメンテナンス費用を抑えたり、収納スペースを多く設けることができるなど、多くのメリットがあります。
屋根の勾配は角度ではなく、寸で表現されるのが一般的で、「3寸」「4寸」「5寸」「6寸」の4パターンを覚えておくと問題ありません。
- 緩勾配:3寸
- 並勾配:4寸、5寸
- 急勾配:6寸
この屋根勾配により、使用できる屋根材の種類も異なってきます。
スレート屋根の場合は3寸勾配以上が必要ですし、瓦屋根の場合は4寸勾配以上が望ましいとされています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
緩勾配 |
|
|
並勾配 |
|
|
急勾配 |
|
|
屋根の保証期間はどれくらい?
新築であれば注文住宅も建売分譲でも、屋根の保証期間は法律によって最低10年と定められています。
ハウスメーカーや工務店によっては、15年や30年という長期保証を付けていることもあるので、契約前にしっかりと確認しておきましょう。
リフォームによって屋根の葺き替えや再塗装をした場合、法律によって保証期間の定めはありませんが、各業者によって独自の保証期間をつけるのが一般的です。
瑕疵担保期間で最低1年の保証は受けることができると思いますが、リフォームでも10年や15年という保証をつけているケースは少なくありません。
価格だけで決めてしまわずに、こうした保証内容やアフターサービスも比較検討して決めるようにしましょう。
新築の屋根工事はいつ行うのか?
建設工事がはじまると、早く屋根が完成しないと雨ざらしになって心配と感じる人も多いでしょう。
ここでは一戸建て住宅の屋根工事について簡単に説明しておきます。建物の工事は大きく4つの工程に分けることができます。
- 基礎工事
- 建て方
- 屋根工事
- 建物内工事
基礎工事から建て方まで2か月前後くらいを考えておくと良いでしょう。
建て方(上棟)が終わると屋根工事まではすぐです。
屋根がかかる前に雨や台風がきても大丈夫なようになっているのですが、やはり心情的にはなるべく早い段階で屋根を取り付けてほしいと感じるものです。
もし心配なのであれば、工期を逆算して台風の時期などを避け、建築スケジュールを組むというのも1つの方法だと思います。
台風シーズンとなる9月や10月くらいを引き渡しの時期に設定して、スケジュールを組めば良いのですが、それだと梅雨の時期にちょうど被ってしまいます。
そう考えると1月~2月に着工して、梅雨前に引き渡しを迎えるのがベストだと思います。
新築屋根瓦の固定が義務化されたって本当?
2020年9月9日に国土交通省から発表された内容によると、新築住宅について屋根瓦を1枚ずつすべて固定することが義務化されることになりました。
現在の建築基準法によると、軒部分の瓦など一部の固定が義務化されているが、地震や台風での被害拡大を受けて対策を強化するのが狙いです。
この瓦固定の義務化により、屋根施工の費用は従来よりも1割ほどの負担増になると計算されています。
今回の改正では新築時のみとなっていますが、リフォーム工事によって瓦固定の工事をする場合は、国や自治地からの補助金も検討されているとのことです。
ちなみに瓦固定の義務化の時期については、まだ決まっておらず、今後詳しい内容などが公開されていくことになると思います。
まとめ
今回は戸建て住宅の屋根について話をしてきました。建築を依頼するハウスメーカーや工務店では、標準仕様の屋根材などが決まっているはずです。
標準仕様以外のものを発注すれば、それは当然オプション扱いになり別途費用が発生します。
なるべく自分たちが希望する屋根の形状や素材を絞っておき、それを標準仕様として施工してくれる建築業者を探すようにしましょう。
また変わった形状や素材の屋根を希望するのであれば、過去に施工実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。
技術が低い業者で施工してしまうと、雨漏りなどのリスクが高くなります。