中庭のある家を建てようと検討している人向けに、実績豊富なハウスメーカーと参考となる間取りを紹介します。
中庭があると家の中が明るくなったり、BBQや子供たちが遊ぶプールを置けるなどさまざまなメリットがありますが、間取りが悪くなったり建設費が高くなるなどのデメリットもあります。
この記事では中庭のある家を建てる際のポイントを分かりやすまとめているので、検討している人は参考にしてもらえばと思います。
中庭のある家の間取り例
中庭といってもコの字型やロの字型などいろいろなタイプの中庭があるので、まずは中庭がある家づくりを得意としているハウスメーカーから紹介していきます。
三井ホーム
出典:https://www.mitsuihome.co.jp/home/product/laisonte/
三井ホームの考え方は、家族みんなが共有できる空間づくりに重点をおいています。
そのため中庭まで取り込んだ一体型のプランニングを提案することが多く、画像のレゾンテのコンセプトもまさに「つなぐ、つながる、広がる家」となっています。
建物自体はコの字型なのですが、うまく外壁を設置することで、近所や道路からの目線をさえぎり、プライバシー性の高い中庭になっています。
セキスイハイム
出典:https://www.sekisuiheim.com/case/c025/index.html
ビルに囲まれた立地だったため、採光や通風に非常に悩まれていたそうです。
そんなときセキスイハイムの営業さんから、コの字型の中庭がある間取りプランを提案されほぼ即決で契約されたとのことです。
注目したいのが採光の問題です。建物をコの字型にすることで、向かい合う建物外壁タイルに光が反射することで、暗くなりがちな1階リビングにも十分な明るさを確保することができるようになっています。
トヨタホーム
出典:http://www.toyotahome.co.jp/chumon/jiturei/example50/
こちらの住宅はトヨタホームの社員さんが実際に建てた、中庭のある家です。
入社以来17年間ずっと商品開発に携わる部署で活躍し、住宅づくりに関してはプロ中のプロだと思います。
一番こだわったポイントが、玄関・LDK・和室に光と風を導くために作られた中庭で、採光や通風だけでなく中庭ならではの四季の変化を楽しめるよう、シンボルツリーも植えられています。
建築家・設計事務所
出典:https://www.klasic.jp/construction/3094/
最後に建築家やデザイナーが建てた中庭がある家を紹介しておきます。
間取りに制限がないので、三角形や六角形など、好きな形の中庭を好きな大きさで自由につくることができます。
中庭がある家のメリット・デメリット
中庭がある家には多くのメリットがありますが、実はあまり知られていないデメリットが多くあるのも特徴です。
どうしてもメリット部分にばかり注目しがちですがデメリットとなる部分もしっかりと把握したうえで注文住宅を建てるようにしましょう。
メリット
- 家の中が明るくなる
- 多彩な活用法がある
- 風の通り道ができる
- プライバシーの確保
- 開放感がある
家の中が明るくなる
一般的な間取りだと北側に配置する部屋には自然光が入りづらく、ちょっと薄暗い部屋になりがちです。そのため北側部分にキッチンやバスルームなどの水周りを配置する間取りが多くなります。
しかし、中庭をつくると隣接する部屋のすべてに自然光を取り込むことができるようになるため、家の中が明るくなります。
土地の位置や近隣との関係で日当たりに不安を感じるのであれば、中庭がある家づくりを得意としているハウスメーカーや工務店に相談してみることをおすすめします。
多彩な活用法がある
中庭でBBQを楽しんだり、子供たちが遊ぶプールを置いてあげることもできます。ちょっとしたテーブルを置いて、オープンカフェのようにティータイムを楽しむのも良いでしょう。
しっかりと囲いをつくってあげることで、ペットを自由に遊ばせることもできますし、中庭の活用法はさまざまです。
もちろん景色を楽しむというだけでもかまいません。シンボルツリーを植えて、四季折々の景色を家の中から楽しめるのも、中庭の特徴でもあります。
風の通り道ができる
家の中心に中庭をつくることで風の通り道ができます。
最近は高気密・高断熱住宅が増えたことで、昼間でもあまり窓を開けない家が増えていますが、自然の通気は大事です。
風通りに良い家をつくることで窓を開ける機会も増え、通気をよくすることで湿気予防となりカビやダニの発生を防ぐことにも繋がります。
プライバシーの確保
外部から遮断されている空間があるというだけでも大きなメリットだと思います。
道路からは見えないようにすることで、中庭に洗濯物を干すこともできますし、近所の視線を気にする必要もありません。
開放感がある
リビングから出られるように庭をつくるのは、利便性もありますが、空間を広く魅せるための工夫でもあります。
中庭であれば、リビングだけでなく、隣接する部屋すべてにおいて同じ効果が期待できます。視覚的な開放感を味わうことができ、どの部屋からも外の景色を楽しむことができます。
デメリット
- 間取り導線が悪くなりがち
- 建築費が高くなる
- 居住スペースが狭くなる
- 断熱性能が落ち光熱費があがる
- 湿気対策は不可欠
間取り導線が悪くなりがち
中庭がある家を建てるとき、どうしても中庭を中心に間取りを考えがちになり、生活導線が悪い家になってしまうことが多いです。
中庭をつくるのであれば活かした間取りにしたいという気持ちはわかりますが、結果的に生活導線や家事導線の悪い家になっては本末転倒です。
こういった失敗は経験が少ない営業や工務店にもありがちです。中庭がある家はプランニングが難しいので、できるだけ実績が豊富な営業や工務店を選ぶのがポイントです。
建築費が高くなる
中庭をつくることで、それだけ建物の外壁が増えてしまうことを理解しておきましょう。また形状が複雑な家になるので、使用する資材も多くなり、それが建築費に反映されます。
中庭をつくることで床面積を減らせたうえにおしゃれな家になると思いがちですが、建築費がその分だけ安くなるとは考えないほうがよいでしょう。
居住スペースが狭くなる
中庭をつくると部屋数が減ったり1部屋の大きさを抑えることになるため、結果として居住スペースが狭くなってしまう可能性は理解しておきましょう。
中庭は欲しいけどなるべく居住スペースを減らしたくないという理由で、小さな中庭をつくろうとする家が増えていますが、中庭をつくることで得られるメリットの多くが、それなりの広さがあってのものです。
中庭の面積を小さくしてしまうと採光や通気の効果が落ちてしまうので、あまりおすすめはできません。そういったことまでしっかりとアドバイスしてくれる、ハウスメーカーや工務店を探すようにしましょう。
断熱性能が落ち光熱費があがる
外気に触れる面積が増え窓の設置数が増えるので、家全体の断熱性や気密性が落ちてしまうことを理解しておきましょう。
落ちることで冷暖房を使用する頻度が増え、光熱費の負担増となります。
ペアガラスをトリプルガラスにしたり性能が高い断熱材を使用することでカバーできますが、その分建築費が高くなってしまいます。
湿気対策は不可欠
ロの字型の中庭では四方をコンクリートの基礎で囲われてしまうため、水はけが悪くなりがちです。そのため十分な湿気対策をしておかなければなりません。
近年はゲリラ豪雨など一気に大量の雨が降ることが多く、その場合少々の排水対策では追いつかないこともあります。
普通の庭であれば時間の経過と共に問題は解決するのですが、中庭の場合は少しでも早く排水処理をしないと、今後の生活にも影響してしまう恐れがあります。
水はけが悪い状態だと家に湿気が入ってくるのでカビや結露など建物への被害が出て、蚊などの発生源にもなってしまいます。
中庭の種類
この記事では分かりやすく中庭という名称に統一していますが、他にも「パティオ」「坪庭」「コートハウス」「ボックスガーデン」などさまざまな呼び方があります。
これら名称の違いに明確な定義や決まりはありません。
建築するハウスメーカーや工務店、同じハウスメーカーでも営業マン単位で呼び方が違っていたりもすることもあります。
名称は異なりますが中庭に形式は主に「コの字」「ロの字」「L字」に分かれます。
コの字型
中庭のある家で多く選ばれているのが「コの字型」です。
中庭をぐるっと囲ってしまう訳でないので、そこまで土地の広さも求められませんし、ロの字型に比べて建築費も抑えることができます。
片側にLDK、もう片側に和室や寝室を配置するのが一般的で、比較的部屋の配置をしやすいのもコの字型です。
開いた空間も目隠しの柵やブロック塀をつくることで、ロの字型と同じようにプライベート空間の確保も難しくありません。
ロの字型
中庭のある家といえば、この「ロの字型」タイプを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
中庭を建物で囲ってしまうことで、プライベート空間をつくることができ、より多くの部屋に採光を取りこめることができます。
ただし、一番建築費が高くなるのもロの字型で、採光や通風のことを考えるとそれなりの広さの中庭が必要となるので、土地の面積も必要です。
狭い土地に無理にロの字型タイプの中庭をつくろうとすると、逆に採光や通風が悪い間取りになってしまう恐れがあるので注意しましょう。
それと四方を壁で囲ってしまうことで雨水の逃げ道がなくなり、水はけの悪い土地になりがちなので湿気対策や排水関係にしっかり行う必要があります。
L字型
L字型は中庭というよりも、普通のお庭のように感じる人も多いと思います。ですが、路面に接している2面に柵やブロック塀を配置してあげることで中庭になります。
ただし、通常であればこの庭部分は駐車場をつくるパターンが多く、中庭にすると駐車スペースの配置が難しくなるので注意してください。
間取りの自由度や費用面では優れた中庭タイプなのですが、建物の配置や間取りをしっかり考えなければならず、間取りの知識が求められる中庭であることを理解しておきましょう。
よくある疑問
ここからは中庭のある家を建てる際によくある疑問や質問について解説していくので、家づくりの参考にしてもらえばと思います。
中庭のある家の建築費はどれくらい?
家を建てる際の見積もりで高額になりがちな資材というのが、基礎コンクリート、屋根材、外壁材、窓の4つです。
中庭のある家を建てることになれば、基礎コンクリートと外壁材と窓の数が増え、屋根材が減る計算です。4つのうち3つが増えることで、建築費は一般の家よりもアップします。
中庭のある家の中でも高額になるのが、ロの字型です。必要のない外壁を4面もつくることになるのですから、外壁材や窓のことを考えると建築費はどうしても高くなります。
一概には言えませんが、目安として坪単価で5万円程度アップすると考えておくのが良いと思います。
中庭の床面積ってどうなるの?
左出典:https://inakagurashi.tatsumi.com/staffblog/2017/03/31/4922/
右出典:https://rehome-navi.com/articles/467
上記画像のように、芝生タイプの中庭とタイルなどで施工されている中庭があるとします。
この場合、家の床面積はどうなると思いますか?
もし家の床面積に計上されるのであれば、当然建築費も大幅にアップすることになりますし、固定資産税もあがってしまいます。
しかし一般的に中庭は、家の床面積には含まれません。
建築基準では屋根がない部分は家の面積とは考えないため、芝生だろうがタイルだろうが床面積には含まれないことになっています。
ただし、中庭のうえに屋根や大きな軒先をつけると床面積に含まれてしまう恐れがあるので、建築するハウスメーカーや工務店にしっかりと確認しておくようにしましょう。
それと家の床面積には含まれませんが、工事が必要な部分には代わりないので、施工面積には含まれます。
タマホームのように施工面積で建築費を算出するハウスメーカーや工務店もあるので、そういった場合も中庭の建築費がどうなるのか、事前にしっかりと確認しておくようにしてください。
ZEH住宅との相性は?
現在人気のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅を検討している人も多いかと思いますが、実はZEH住宅と中庭の相性はあまりよくありません。
ZEH住宅はいかに消費するエネルギーを抑えるかが大事になるので、なるべく家の断熱性や気密性を高め熱の出入りを減らすために窓の数や大きさも制限する必要があります。
繰り返しになりますが中庭をつくると断熱性や気密性は低くなり、窓の設置数が増えてしまいます。そのためZEH住宅と中庭のある家との相性は良くないです。
中庭がありのZEH住宅を建てることはできますが、それ相応の費用が追加で必要になります。
まとめ
中庭はつくりかたによっては、採光、通風、プライバシーの確保などさまざまなメリットがあるため人気があります。
その反面、中途半端な中庭にすると建築費が高いわりに期待していたような効果が十分に得られず、家づくりで後悔することもあります。
中庭をつくることでと家の断熱性や気密性が落ちるので、ハウスメーカーや工務店がいかにデメリット部分をうまくカバーできるかが家づくりのポイントになります。
中庭のある家を建てようと検討している人は、建築実績が豊富で得意な業者を探すことから始めてみてください。