自然エネルギーを有効活用した「省エネ住宅」といえば、どんな家を想像しますか?きっと2種類に意見が分かれると思います。
「太陽光発電システムなどを使い光熱費が安くなる省エネ住宅」
「なるべく電気消費量を少なくするエコ型省エネ住宅」
どちらも省エネに配慮したエコ住宅なので、この2つのどちらが省エネ住宅だという答えはありません。しかしこの2つの住宅は、同じエコ省エネ住宅でも、家のコンセプトが大きく異なります。
まだまだ発展途上の省エネ住宅ですが、今後も益々需要は高まることが予想できます。今回はこの省エネ住宅について解説していきます。
自然エネルギーを利用した省エネ住宅とは
自然エネルギーと言えばどういった物を想像するでしょうか。多くの人が太陽光、風力、地熱などを思い浮かべると思います。
そのなかでも代表的なのが太陽光を利用し、そのエネルギーを電力に変える太陽光発電システムです。
太陽光を利用して自家発電することで、一般家庭で使用する電力の7割から8割を補うことができ、電気代の節約になるとてもありがたい住宅です。
しかし、まったく違った省エネ住宅もあります。
例えば、自然の風を利用した通気を考え、必要最低限のエアコンで快適に暮らせる家づくりを目指したり、冬は自然の太陽光を室内にうまく取り込むことで、快適な室内温度を保てる家づくりを目指したり。
つまり、「消費する電力を必要最低限に抑えることができるのがエコ住宅」というわけです。このような住宅のことを別名、「パッシブ住宅」や「パッシブハウス」と言います。
自然エネルギーを利用し、電気代をなるべく抑えることを目的とするか、家づくりを工夫することで、なるべく電力を消費しないことを目的とするか。このように目指しているものが全然違います。
当記事でも、この2つの住宅を比較することはせずに、別の目的がある住宅として、それぞれ紹介していきます。
電気代を減らすことができる住宅づくり
屋根に太陽光パネルを設置すれば、電気代を大幅に節約することができます。実際に家のまわりにも、屋根に太陽光パネルを設置している住宅が数多くあるはずです。
このような住宅のことを「ソーラー住宅」と言っていたのですが、最近はあまりソーラー住宅という言葉は聞かなくなりました。
それに変わって「省エネ住宅」、「エコ住宅」、「0円住宅」、「スマート住宅」などの名称を聞く機会が増えてきました。
これらの住宅の基本となっているのが、太陽光発電システムです。
一般的に広く認知されているエコ住宅といえば、このように太陽光発電システムで電力を自給し、家庭用電力に変換して使用するタイプの住宅です。同時に住宅を高気密・高断熱にすることで、より少ない電力で快適に過ごせる家づくりを目指しています。
太陽光発電システムで電気代0円も夢じゃない
太陽光発電システムを利用することで、家の電気代を大幅に節約することができます。
単純なことですが、一日10kwの電力を使っているとして、それだと6kwの太陽光パネルを設置することで電気代を6割節約できますよというのが、太陽光発電システムの仕組みです。
つまり、電気代がこれまでの4割程度に削減できます。
もちろん太陽光パネルの設置枚数を増やせば、それだけ発電できるkwは大きくなりますので、家全体の電量をすべて太陽光発電システムで賄うこともできます。
オール電化にすればガス代も節約できる
最近の新築住宅の8割は、オール電化住宅だという調査データがあります。オール電化、つまりガスを使わない住宅という意味です。
調理するコンロやお風呂もすべてガスを使わず、IHコンロや電気温水器などの電化製品を使用します。
ガス代金を払わずにすむいっぽう、それだけ電気代が増えます。
しかし増えた分の電気代は太陽光発電システムや深夜電力などを組み合わせることで、結果としてガスを使うよりも光熱費の削減ができる仕組みです。
地熱を利用したエコ住宅も増加傾向
エコ住宅は太陽光発電システムだけではありません。最近は地熱を利用したエコ住宅にも注目が集まっています。
地熱は太陽光発電システムのように家全体の電力を賄うのではなく、おもに地熱床システムという方式が採用されています。
電力を使わず、家の構造を工夫することで夏は涼しく、冬は暖かい家づくりができます。
床暖房システムを組み合わせることで、さらに快適で光熱費を抑えるエコ住宅にすることもできるでしょう。
出典:https://www.universalhome.co.jp/technology/geothermal_floor/02.html
その他のエコ住宅の取り組み
太陽光や地熱、風力など活用できる自然エネルギーは限られています。ですので、家そのものにエコ住宅の工夫が必要になります。
例えば、高気密・高断熱にしたり、高性能な窓ガラスを採用することで、より少ない電力で快適な室内空間を維持することができます。
政府が掲げている2020年の「省エネ新基準の家」も、基本的にこの原理だと思ってください。
今後は、より多くのエネルギーを創ることができ、より少ない消費エネルギーを目指す住宅づくりが主流となっていくと予想しています。
また、最近やっと開発が進み始めた、エネルギーを蓄えることができる蓄熱方式の家にも注目したいところです。
エコ住宅のまとめ
このような、省エネ住宅が目指す方向性は、以下のようにまとめることができます。
- 太陽光発電システムでエネルギーを創り、光熱費の削減を目的としている
- より高気密・高断熱の家をつくることで、わずかな消費電力で快適に過ごせる家づくり
- 地熱などの自然エネルギーを利用した家づくり
- IT技術などを取り入れ、より少ない消費エネルギーで暮らせるスマート住宅
エコ住宅は、より多くの電気を作りだし、より消費電力が少ない家づくりを目指す家です。これから説明するパッシブ住宅とは、似ているようですが目指す方向が異なります。