グリーン住宅ポイント制度の交換商品について

グリーン住宅ポイント制度について

2019年10月の消費税引上げに伴い、増税前後の売上変動の平準化を目的として始められたのが「次世代住宅ポイント制度」でしたが、こちらは2020年3月末をもって終了しました。

そして新たにコロナ経済対策の一環として2020年12月よりスタートしたのが、今回紹介する「グリーン住宅ポイント制度」で、2021年10月31日までの契約案件が対象となります。

グリーン住宅ポイント制度の目的には、地球温暖化問題としてCO2排出量の削減、そしてウィズコロナ時代に向けた新たな生活様式を支援する制度が盛り込まれています。

※当制度の内容が変更になる可能性もあります。最新の情報はグリーン住宅ポイント事務局の公式サイト(https://greenpt.mlit.go.jp/)にて必ずご確認ください。

グリーン住宅ポイント制度とは?

グリーン住宅ポイント制度とは、定められた基準を満たした新築住宅の建築や既存住宅の購入、リフォーム工事に対して、所定のポイントが付与される仕組みになっています。

あくまでも追加工事や商品と交換できるポイントであり、キャッシュバックのように現金が戻ってくる訳ではありません。

今回のグリーン住宅ポイント制度に割り振られている予算額は、1,094億円(事務費込み)となっており、予算額に達した場合は期限内であっても早期終了となるので注意しましょう。

当制度の対象となるのは、以下の4つで1ポイント1円相当になります。

  • 新築住宅の建築・購入:30万~100万ポイント
  • 既存住宅の購入:15万~45万ポイント
  • リフォーム工事:5万~45万ポイント
  • 賃貸住宅の購入:10万ポイント(一戸につき)

ポイント交換できる商品

交換できる商品が2021年3月29日に公式サイトにて公開されました。

勘違いしている人も多いようですが、家電商品のテレビであっても、自分の好きなメーカーや商品と交換できるわけではありません。

公式サイトの中で紹介されている商品だけが対象となるので注意しておきましょう。大きくカテゴリ分けすると、以下の9つに分類されています。

  • 家電
  • インテリア
  • 雑貨、日用品
  • 地場産品
  • 食料品、飲料
  • スポーツ、健康増進
  • 福祉、介護用品
  • 防災、避難用品
  • ベビー、キッズ用品

全部は紹介できないので、代表的な商品をいくつかピックアップしておきます。

家電

グリーン住宅ポイント交換商品家電

インテリア

グリーン住宅ポイント交換商品インテリア

雑貨、日用品

グリーン住宅ポイント交換商品雑貨

ベビー、キッズ用品

グリーン住宅ポイント交換商品ベビー用品

公開された3月29日時点では、交換対象商品の数は7,600点を超えています。

しかし、携帯電話やスマートフォンなどは、まだ対象商品が発表されていないので、今後も対象商品の数はさらに増えていくことが期待できます。

商品の検索方法

数が多くなると気になる商品をみつけるだけでも苦労しそうですが安心してください。

公式サイト内には、カテゴリごとに区分けされていますし、他にもポイント数や都道府県ごとの商品を検索できるようになっています。

グリーン住宅ポイント交換商品都道府県

このように地域振興として特産品と交換することもできます。以下は執筆時点で青森で検索した時に出てきた交換品です。

グリーン住宅ポイント交換商品青森

ポイントは追加工事の費用に使用可能

発行されたポイントは、対象となっている工事や住宅販売事業者が行う追加(グレードアップ含)工事の代金の一部または全部に充当することができます。(※1ポイント=1円相当、1,000ポイント単位で利用可)

当然こちらも工事代金であれば何にでも充当できるわけでなく、利用できる工事の種類が2つに分類されています。

  • 新たな日常に資する追加工事
  • 防災に資する追加工事

新たな日常に資する追加工事

ワークスペースの設置 屋内ワークスペースの設置
テレワーク関連設備の設置
間取りの変更
屋外ワークスペースの設置
共同住宅における共用ワークスペースの設置
音環境向上工事 防音設備の設置
空気環境向上工事 換気設備等の設置
空気浄化作用のある製品の設置
菌・ウイルス拡散防止工事 非接触型設備の設置
玄関周り等の洗面化粧台・手洗い器・立水栓の設置
抗菌・抗ウイルス建材の設置
家事負担軽減に資する工事 キッチン周りの設備の設置
浴室周りの設備の設置
洗面所周りの設備の設置
トイレ周りの設備の設置
宅配ボックスの設置
家事負担を軽減する収納の設置
防災に資する追加工事
停電・断水対策 蓄電池の設置
太陽光発電の設置
V2H・EV充電設備の設置
家庭用燃料電池の設置
非常用発電設備の設置
貯水システムの設置
雨水タンクの設置
電気設備の移設
水害・台風対策 屋根瓦の飛散防止
窓ガラスの飛散防止
止水板の設置
地震対策(躯体に関する耐震対策を除く) 感電ブレーカーの設置
家具固定器具の設置
窓ガラス飛散防止

期間と申請手続きの流れ、方法

グリーン住宅ポイント制度には3つの期間があります。それぞれ日程が違っていますので、しっかりチェックしておきましょう。

  • 工事請負または売買契約:令和2年12月15日~令和3年10月31日
  • ポイント発行申請:令和3年4月~10月31日
  • ポイント交換申請(追加工事):令和3年4月~10月31日
  • ポイント交換申請(商品交換):令和3年6月~令和4年1月15日(予定)

申請手続きと流れ

ポイントの発行申請は、基本的に工事完了後となりますが、必要書類が揃っていれば工事完了前でも申請することは可能です。(既存住宅の購入とリフォーム工事1,000万円以下は除く)

工事完了前に申請すると、工事が完了した証明書を提出するなど二度手間になるので、なるべくなら工事完了後に申請することをおすすめしますが、期限までに工事が完了しない場合などは早めに申請するようにしましょう。

グリーン住宅ポイント流れ

必要なもの

申請に必要な書類については業者側が揃えてくれるので難しいことはないのですが、申請するカテゴリによって必要な書類が違ってくるので注意しましょう。

「★」マークは完成前申請の場合に必要となります。

新築住宅の購入

注文住宅の新築
  • 工事請負契約書の写し
  • 建築基準法に基づく「確認済証」の写し
  • 工事施工者が発行の工事計画書(指定の様式)
  • 申請者の本人確認書類(健康保険証、運転免許証の写しなど)
  • 代理申請の場合:代理申請者の確認書類(運転免許証の写し、健康保険証など)
  • 住宅証明書の写し(グリーン住宅ポイント制度の対象であると証明するため)
  • ★建築基準法に基づく「検査済証」の写し
  • ★申請者の住民票の写し
分譲(建売)住宅の新築
  • 売買契約書の写し
  • 建築基準法に基づく「確認済証」の写し
  • 業者が発行の販売計画書
  • 申請者の本人確認書類(健康保険証、運転免許証の写しなど)
  • 代理申請の場合:代理申請者の確認書類(運転免許証の写し、健康保険証など)
  • 住宅証明書の写し(グリーン住宅ポイント制度の対象であると証明するため)
  • ★建築基準法に基づく「検査済証」の写し
  • ★申請者の住民票の写し

既存住宅の購入

  • 売買契約書の写し
  • 不動産登記の全部事項証明書
  • 申請者の住民票の写し
  • 代理申請の場合:代理申請者の確認書類(健康保険証、運転免許証の写しなど)

リフォーム工事

  • 工事請負契約書の写し
  • 工事施工者が発行のリフォーム工事計画書(指定の様式)
  • 申請者の本人確認書類(個人:運転免許証の写し、健康保険証など。法人:商業法人登記の写しなど)
  • 代理申請の場合:代理申請者の確認書類(健康保険証、運転免許証の写しなど)
  • ★対象工事内容などに応じた性能を証明する書類
  • ★工事施工者が発行のリフォーム工事証明書(指定の様式)

ポイント対象となる住宅の種類と詳細

今回、当制度の対象となっている4つのカテゴリについて詳しく解説していきます。

新築住宅の建築と購入

新築の注文住宅を建てたり、建売分譲住宅を購入した場合に該当します。まずは基本となる要点をまとめておきます。

  • 契約時に建築1年以内、第三者が未入居の住宅
  • 一定の省エネ性能を満たす住宅である
  • 購入者自らが居住する
  • ポイントは30万~最大100万ポイントを発行

対象となる住宅

以下の表のような省エネ性能をもつ新築住宅であること。

認定長期優良住宅 長期にわたり良好な状態で使用するため、構造や設備に措置が施された住宅。建築および維持保全の計画書を作成し申請することで、基準に適合する場合に認定を受けることができます。
認定低炭素建築物 低炭素建築物とは、建築物における生活や活動に伴って発生する二酸化炭素の排出の抑制するための低炭素化に資する措置が講じられている、市街化区域等に建築される建築物(※国土交通省パンフレットより抜粋)
性能向上計画認定住宅 省エネ性能の優れた建物において「性能向上計画認定住宅」として所管行政庁の認定を受けた住宅
ZEH 家庭内において消費するエネルギーより多くエネルギーを創ることができる住宅

上記に該当しなくても、日本住宅性能表示基準で定める断熱等性能等級4かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅であればOKです。

ちなみに「ZEH住宅」についてはこちらで詳しく解説しているので、気になる人はあわせてチェックしてみてください!

ZEH住宅の詳細はこちら

発行ポイントの詳細

基本ポイント 追加ポイント 最大発行ポイント
高い省エネ性能等を有する住宅 400,000 600,000 1,000,000
一定の省エネ性能を有する住宅 300,000 300,000 600,000

追加のポイント発行の条件は4つあり、どれか1項目でも該当していればOKです。

  • 東京圏の対象地域からの移住のための住宅(※事前相談必須)
  • 多子世帯が取得する住宅(※18歳以下の子が3人以上の世帯)
  • 三世代同居仕様である住宅(※三世代同居ではなく、同居仕様の住宅)
  • 災害リスクが高い区域からの移住のための住宅

既存住宅の購入

既存住宅の購入とは、つまり中古住宅を購入した場合という意味です。ただし、こちらも条件がありますので、重要となる要点をまとめておきます。

  • 不動産登記が2019年12月14日より前の住宅
  • 売買代金が税込みで100万円以上
  • 購入者が自ら居住すること
  • ポイント申請は入居後とする

対象となる住宅

次の①から③まで、すべてを満たしている住宅が対象となります。

①不動産登記にて「新築」と記載された日付が、2019年12月14日以前であること
②既存住宅購入の売買契約額が100万円(税込)以上であること
③以下の1~4のいずれかに該当する住宅であること

  1. 空き家バンク登録住宅
  2. 東京圏の対象地域からの移住のための住宅(既存住宅)
  3. 災害リスクが高い区域からの移住のための住宅(既存住宅)
  4. 住宅の除却(解体)に伴い購入する住宅

ただし、既存住宅を購入し、リフォーム工事をおこなう場合、どちらか1つしかポイント発行されませんので、既存住宅購入とリフォーム工事の両方でポイント申請は不可となります。

発行ポイントの詳細

対象となる住宅 発行ポイント
  • 空き家バンク登録住宅
  • 東京圏から移住するための住宅
  • 災害リスクが高い区域
30万Pt/戸
※住宅の除却を伴う場合は45万Pt/戸
住宅の除却に伴い購入する既存住宅 15万Pt/戸

賃貸住宅の建築

新築の賃貸用住宅を建築した場合に対象となります。またポイントの利用は、追加工事にのみ使えます。

  • 高い省エネ性能を有する(賃貸住宅のトップランナー基準に適合)
  • 全ての住戸の床面積が40㎡以上
  • 住宅併用賃貸、店舗併用賃貸は不可

※賃貸住宅のトップランナー制度とは、年間1,000戸以上供給する住宅事業者に課せられた省エネ基準をクリアすることが条件となります。

対象となる住宅

新たに賃貸用の共同住宅等を建築することが条件であり、複数の工事施工者と請負契約を行い建築される賃貸住宅は対象とならないので注意しましょう。
対象となる条件は以下の3つです。

①すべての住戸が賃貸用に建築される共同住宅等であること
②最低二戸以上であり、すべての住戸の床面積が40㎡以上の共同住宅等であること
③省エネ法に基づくトップランナー制度の賃貸住宅基準に適合する共同住宅であること

発行ポイントの詳細

1戸あたり100,000ポイント × 総戸数

※8世帯ある共同住宅であれば、100,000✕8世帯=800,000ポイントが発行される。

ただし、発行されたポイントは商品と交換することはできず、追加工事へ充当にしか利用できないので注意しましょう。

リフォーム工事

リフォーム工事は、該当する工事項目が多いため全てを紹介することはできません。まずは基本となる要点をまとめておきます。

  • ポイント発行は最低50,000以上
  • 工事内容によって発行ポイントが細かく決められている
  • ポイント上限内であれば、同一住宅で複数回申請できる
  • 1,000万円(税込)以上のリフォーム工事に限り、工事完了前の申請も可

対象となるリフォーム工事

リフォームの対象工事ですが、必須工事と追加対象工事の2つに分類されており、必須工事3つのうち、1つでも該当するリフォーム工事があれば、追加対象工事のリフォームも加算することができます。

次の1~3のリフォーム工事が対象となります。

①エコ住宅設備の設置
②開口部の断熱改修工事
③外壁、屋根・天井 または 床の断熱改修

上記3つのリフォーム工事を実施する場合に限り、以下の4つのリフォーム工事もポイントを加算することができます。

①バリアフリー改修
②耐震改修
③リフォーム瑕疵保険等への加入
④既存住宅購入加算

上記のリフォーム工事には、工事内容によって細かくポイント数が割り当てられていますが、すべてのポイント対象工事を紹介することはできませんので、一部を紹介していきます。

対象工事 ポイント数
節水型トイレ 16,000ポイント×設置台数
複層ガラスへ交換※窓ではなくガラス単体です 2,000~7,000ポイント※ガラス面の大きさによる
ドア交換 24,000~28,000ポイント
外壁※断熱仕様 50,000~100,000ポイント
手すりの設置 5,000ポイント
段差解消※バリアフリー 6,000ポイント
耐震改修※旧耐震基準を現行の耐震基準へ 150,000ポイント
リフォーム瑕疵保険へ加入 7,000ポイント
太陽熱利用システム※太陽光発電システムの設置は対象外 24,000ポイント

発行ポイントの詳細

ポイントの上限については、以下の通りです。

既存住宅購入の有無 1戸あたりの上限
若者・子育て世帯(※1) あり 600,000
なし 450,000
一般世帯(その他) あり(安心R住宅に限る) 450,000
なし 300,000

(※1)2020年12月15日時点で申請者が40歳未満の世帯

ちなみに1申請の発行ポイント数(既存住宅購入加算を除く)合計が50,000ポイント未満の場合は申請できません。

グリーン住宅ポイントに関する質問・疑問

グリーン住宅ポイント制度に関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。

当制度が予定より早く終了する可能性は?

当制度の予算が決められていることで、その予算額に到達した時点で終了となります。

ポイント発行状況や申請状況などについては、グリーン住宅ポイント制度の事務局ホームページ等で公開される予定となっています。

他の補助金と併用できる?

国が実施している補助制度は原則併用不可ですが例外もあります。

また各自治体が実施している補助制度については自治体によって扱いが違ったりするので、建築業者や自治体に確認してください。

代表的な補助、給付金制度との併用については以下の通りです。

【併用可】

  • 起業支援金・移住支援金
  • すまい給付金
  • 住まいの復興給付金
  • 外構部の木質化対策支援事業
  • 住宅ローン減税等の税制優遇
  • 被災者生活再建支援制度
  • 解体工事への補助

【併用不可】

  • 地域型住宅グリーン化事業
  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業
  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化による住宅における低炭素化促進事業
  • 市街地再開発事業への補助
  • サステナブル建築物等先導事業

完全分離型の住宅は2世帯分申請できるの?

細かい条件はありますが、建物内で往来ができない完全分離型の二世帯住宅であれば二戸分のポイント申請を受けることができます。

ただし、建物内で往来ができる造りになっていると一戸とみなされますが、その場合は「三世代同居仕様」に該当する可能性があり、ポイント加算の対象となる場合もあるので総合的に判断するようにしましょう。

完了前申請の内容と異なる場合は?

リフォームでも一部の条件を満たせば完了前申請をすることができます。しかし、リフォームの場合は工事途中で内容が変更になることも珍しくありません。

もし完了前申請とリフォーム内容が異なる場合、要件を満たしてないと判断されれば、すでに発行されたポイントは返還しなければならないので注意してください。

ちなみに途中で要件を満たすリフォーム工事が追加されても、発行されるポイントは追加されないので気をつけましょう。

原契約と変更契約日について

原契約が当制度の対象期限となる2020年12月15日以前だが、変更契約日は2020年12月15日以降という人もいるでしょう。

しかし、残念ながら当制度の条件として、あくまでも原契約の日付で判断することになっていますので、この場合は当制度の対象とはなりません。

アパートや店舗、別荘をリフォームした場合も対象?

別荘や賃貸住宅、シェアハウスをリフォームした場合でも、当制度の申請要件を満たしていればポイント発行の対象となります。

ただし店舗併用住宅などは、住宅部分のリフォームのみが対象となります。

まとめ

コロナ禍で経済の停滞を防止する目的で施工される臨時補助制度です。

マイホームの購入だけでなく、リフォーム工事にも利用できる補助金制度なので、ぜひこの機会に他の補助制度などと組み合わせて上手に活用していくようにしましょう。

2021年3月29日より、完了前ポイント申請の受付が開始されましたが、今後もポイント交換できる商品などは増えていく予定となっています。

一応の期限については、2021年10月31日までに契約となっていますが、記事内でも書いているように予算額に到達した時点で終了となるので、なるべく早めの対応をおすすめします。