スキップフロアとは1.5階や2.5階などのいわゆる中2階、中3階のことを言います。
高低差をつけ、数段の階段でつなげているもので、家が広く見えるほか、2階建でも3階建てのような空間を確保することができます。
出典:http://old.lacasa.co.jp/interview/o_1/
土地に高低差がある場合や、土地が狭い場合はスキップフロアを採用すると無駄がない家をつくることができるでしょう。
今回はスキップフロアがある家づくりを得意としているハウスメーカー、メリット・デメリット、スキップフロアをつくる際の注意点など解説するので、参考にしてもらえばと思います。
スキップフロアが得意なハウスメーカー
スキップフロアは構造が複雑で一般的には施工が難しいため、作れる業者が限られています。
また単にスキップフロアを設置しても無駄なスペースが生まれやすく、いかに無駄な空間をうまないようにするか計算して設計しなければいけません。
さらに耐震等級もクリアする必要があります。このためスキップフロアを作ることができる業者は限られており、検討している人は得意な業者に依頼する必要があります。
ここからは、業者選びに悩まないために、実例などを含めおすすめのハウスメーカーを紹介していきます。
すでに家づくりの予算がある程度決まっている人は、以下のサイトを上手に活用することで、自分たちにとって最適な家づくりパートナーが見つかると思います。
セキスイハイム
隠れ家スキップフロア
- 1F床面積:66.80㎡(20.2坪)
- 2F床面積:66.80㎡(20.2坪)
- 延床面積計:133.60㎡(40.4坪)
土地が小さくても部屋数を増やし広く暮らしたいという方におすすめされているのが、セキスイハイムの隠れ家スキップフロアです。
広い土地でもオシャレで実用的な空間となるスキップフロアで、子供の勉強スペースに使うのもよし、収納スペースに使うのもよしと、多種多様な使い方をすることができます。
セキスイハイムのスキップフロアにはオープン(スケルトン)階段と透明度の高い仕切りが採用されており、家の中に明かりが入りやすく開放的な空間になっています。
出典:https://www.sekisuiheim.com/madori/skip.html
グランツーユー
- 家族構成:2人(夫婦)
- 延床面積計:150.61m2(45.5坪)
夫婦2人なので、部屋数は2LLDKと多くはありませんが、そのぶんスキップフロアを上手く利用し、旦那さんの書斎をつくっています。
このようにスキップフロア空間を書斎や子どもの勉強部屋にする家が多いです。スキップフロアに書斎スペースに採用すると、常に家族を感じながら仕事することができます。
出典:https://www.sekisuiheim.com/case/c007/index.html
三井ホーム
toko toko
- 1F床面積:90.26㎡ (27.30坪)
- 2F床面積:59.40㎡ (17.96坪)
- 延床面積計:149.66㎡ (45.27坪)
三井ホームのスキップフロアは超高断熱・高気密なうえ、冷暖房・除湿・換気・空気清浄・脱臭機能・加湿機能を完備した健康空調システムが採用されています。
このような高機能なスキップフロアがある空間を作ることができるのは、30年以上前からスキップフロアを提案している三井ホームの経験や知識が存分に生かされているからです。
スキップフロアの建築経験が豊富ということから、安心して依頼できるのではないでしょうか。
出典:https://www.mitsuihome.co.jp/home/product/tokotoko/
granfree
- 1F床面積:106.93㎡ (32.3坪)
- 2F床面積:111.34㎡ (33.6坪)
- 延床面積計:217.27㎡ (64.3坪)
マルチスペースと書いてありますが、基本はスキップフロアと同じ意味です。1階から2階へあがる階段の途中に約2帖ほどのスペースが取ってあります。
このマルチスペースは家のちょうど中心になる場所にあるので、1階のリビング、ダイニング、キッチンがすべて見下ろせるようになっています。お子さんの勉強スペースにおすすめなつくりになっています。
出典:https://www.mitsuihome.co.jp/home/product/granfree/interior/
スキップフロアのメリット・デメリット
開放的かつ、おしゃれで魅力たっぷりなスキップフロアですが、フロアに段差をつけることもあり、やはりメリットもあればデメリットもあります。
例えば立体的な空間を作ることができ、家を広く見せることができますが、バリアフリーとは真逆の構造になることから階段が多くなり老後の生活が心配になります。
このようなこともあり、実はスキップフロアは賛否が分かれます。ここからはスキップフロアのメリットとデメリットを分かりやすくまとめるので、ぜひ参考にしてください。
メリット
スキップフロアにはどのようなメリットがあるのでしょうか。まずはメリットからまとめていきます。
空間を有効活用できる
スキップフロアの間取りをうまく作ると、無駄なスペースをなくすことができます。例えばスキップフロアの間取りは廊下を作らずに部屋を分けることができるので、廊下をなくすことができます。
廊下をなくすことで本来、廊下にあてられたであろうスペースにも部屋や収納スペースをつくることができるようになります。
またちょっとしたデッドスペースでも高低差をつけることで、部屋や収納スペースにあてることができるため、狭小住宅とも相性が良いです。
家を広く見せることができる
スキップフロアはフロア自体に高低差をつけ階段でつなげることでつくる空間ですが、視線が上下階に抜けるので実際の面積以上の広さを感じることができます。
また、スキップフロアは段差を利用することで部屋を分けているので、ほとんどの場合仕切りや壁や扉を必要としません。
このようなことから家の開放感が増し広く見せることができます。また、通常の家よりも天井を高くすることができるのも広く見える理由の1つです。
風通し、日当たりが良い
上記でも言いましたが、スキップフロアにはほとんど仕切りや壁や扉を必要としません。そのため、風や光を遮るものが少なく、全体的に風通しと日当たりがよくなります。
また、普通ならば1階と2階の間の空間に窓を設置することはあまりないですが、スキップフロアを設置し中2階のスペースをつくれば窓を設置することができ、風通しや日当たりをより一層よくすることができます。
さらに、ずらしたフロアから光を取り入れる工夫もすることができるので、工夫次第では光溢れる家となるでしょう。
デメリット
上記のように様々なメリットがあるスキップフロアにもデメリットはあります。ここからはデメリットをまとめていきます。
導線が複雑になる
スキップフロアは段差を利用して空間を仕切っているのですが、間取りによってはフロアの階層が複雑になり、どこへ行くにも階段を登り降りしなければならないことがストレスになってしまうことがあります。
例えばキッチンとダイニングに高低差があると、毎日毎食時、料理を持って段差を登り降りすると考えると考えるだけでしんどくなってきます。
そのため、導線をよく整理し毎日の家事動線が複雑にならないようにしっかりと考えて設計しないと、後に後悔してしまうことになるかもしれません。
ですので、日頃からスキップフロアがある家づくりをしているハウスメーカーにお願いすることをおすすめします。
地元の小さな工務店などは、スキップフロアの存在は知っていても、実際にスキップフロアがある家を建てた経験が少ないなんてことも良くあります。
バリアフリーと逆の作りになる
高低差をつけ、数段の階段でフロアをつないでいるスキップフロアはバリアフリーとは真逆の構造です。そのため、高齢者の方と一緒に住むのは向いていないと言えます。
また、上の階に行きやすいようにエレベーターを設置するということも、壁が少ないスキップフロアの家ではとても難しいことです。
もしも高齢者の方といっしょに住むのであれば、建築業者としっかりと相談をし、バリアフリーで生活できるフロアを作ることをおすすめします。
別の記事でバリアフリー住宅を建てる際のポイントを解説しているので、気になる人はチェックしてみてください。
建築コストが高くなる
複雑な構造の家となるため、普通の家を建てる際より建築コストが高くなってしまいます。階段や各フロアを作るために工夫も必要で、同じ土地の一般的な住宅よりも材料と手間がかかってしまうのが現実です。
そのためスキップフロアを建築できる業者も限られています。また、仕切りや壁が少ないことから強度の高い家でなければならず、構造計算が必要になることも珍しくありません。
そうしたことも建築コストが高くなってしまう理由の1つです。
スキップフロアをつくる際のポイント
スキップフロアをつくる際のポイントを説明していきます。スキップフロアは一般的な住宅と異なるので、様々なことに注意しなければいけません。
注意点を知らないまま建築してしまうと、実際に住んでみたときに様々な後悔をしてしまうことが多いです。後悔をしないためにも作る際のポイントをしっかりとおさえておきましょう。
広い土地より狭い土地の方がおすすめ
スキップフロアは狭い空間づくりに向いている建築工法の1つなので、広い土地に大きな家を建てるより、狭い土地に住宅を建てるときに向いています。
先ほどもふれましたが狭小住宅との相性は高く、土地に限りがある都心部などを中心に人気になっていきました。
スキップフロアは上下階層に段差をつけて空間を広げる工法なので、段差があり日当たりが悪いような土地であっても、間取りや配置の工夫次第で多くの日光を採り入れることができます。
逆にフラットで広大な土地には向いていなく、わざわざコストが高くかかってしまうスキップフロアの家を建てるメリットはあまりありません。
断熱と空調に配慮する
スキップフロアは部屋を壁で仕切らないので、大きなワンルームの部屋とほぼ同じと言えます。そのため、冷暖房が効きにくく、断熱と空調に配慮をしないと夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。
暖かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に溜まるので、空気を循環させるために断熱材や風の通りを工夫したり、冷暖房などの空調設備をしっかりと準備しておくなどの工夫が必要となってきます。
このことからも解るように、スキップフロアをつくるのであれば、家そのものが高気密・高断熱住宅でなければなりません。
設計の際の注意点
スキップフロアのある家づくりは、設計士の経験や知識によって大きく違ってきます。難しいためスキップフロアを建築する業者は限られています。
スキップフロアを採用したいのであれば、建築の実績がある業者や設計士を選ぶことが必要です。設計に関係することでもう1つ注意点があります。
スキップフロアを採用することで、家そのものの強度が下がってしまう可能性があるという点です。どうしても壁が少なくなり家の強度に問題が出やすくなります。
また、スキップフロアは図面でイメージを掴みにくいので、模型や3D画像をしっかりと作ってくれる業者を選ぶのもポイントの1つです。
固定資産税が高くなる
スキップフロアのメリットといえば、スペースが広くなることです。スペースが広くなることで通常の1階建て、2階建てに比べると床面積が大きくなってしまいます。
床面積が大きくなるということは家の資産価値が上がるということなので、固定資産税が高くなる恐れがあります。
高くなると言っても普通の1階建て、2階建てと比べると1万円から数万円ほどの違いですが、税金が高くなることには変わりないので、それを知ったうえでスキップフロアがある家にするのか再度検討してみましょう。
まとめ
このようにスキップフロアには様々なメリットデメリット、注意点があります。
ですが、スキップフロアが魅力的なのは事実で、うまく取り入れると空間に立体感がでておもしろい間取りになるでしょう。
そして、やはり大事なことは、経験豊富な業者さんを探し出すことです。導線や風通し、日当たりも全て綿密に設計してもらわなければならず簡単ではありません。
施工も難しいため、ちゃんと信頼できる業者さんに依頼することが大切です。建ててから後悔することがない、しっかり家族で相談しながら家づくりを進めていってください。