コロナ禍の現在、自宅でBBQやプール遊びなど、お家時間が増えたことでウッドデッキの設置を検討する人が増えています。
リフォーム業者にお願いするのが一般的なのですが、DIYでウッドデッキを作ってしまう人も珍しくありません。
3坪ほどの広さのウッドデッキであれば、業者に頼むと50万円くらいの費用が掛かりますが、DIYなら20~30万円ほどの出費に抑えることができます。
新築の注文住宅でウッドデッキの設置を検討している人にも、役立つ情報となっているので、ぜひ参考にしてもらえばと思います。
ウッドデッキの材料と値段の目安
ウッドデッキの設置を検討するとき、まず決めなければいけないのが「材料」「広さ」「予算」の3つです。
ウッドデッキに使用される材料は大きく「天然木」と「人工木(樹脂)」の2種類です。
それぞれの材料に特徴があるので、しっかり理解したうえで選ぶようにしましょう。
天然木
天然木は自然なままの木材なので風合いが魅力です。
ただし、反りや色褪せなどのトラブルが多く、シロアリも発生しやすいという欠点があります。
1年から2年に一度は塗料の塗り直しが必要になるので、こまめなメンテナンスが不可欠です。
下記の画像は10年ほど経過し、色褪せが起こっている天然木のウッドデッキです。
天然木は大きく「ソフトウッド」と「ハードウッド」に分類されており、どちらの素材を使用するかで金額やメンテナンスの手間も大きく違ってきます。
ソフトウッド
文字通り柔らかな天然木のことをソフトウッドと言います。
代表的な木材としては「ホワイトウッド」「マツ」「ヒノキ」などがあります。
木材が柔らかい分、加工しやすく材料費も施工費も安いというメリットがありますが、腐食や色褪せなどが起こりやすく耐久性という面では不安があります。
また素材が柔らかいのでシロアリが好んで食べることから、シロアリ被害にも遭いやすい材木です。
ソフトウッドの材料費は、1㎡あたり1~2万円で、業者に依頼した場合の費用は、3坪のウッドデッキで30~40万円となります。
ハードウッド
ソフトウッドに比べると硬く、高い耐久性が期待できる天然の木材です。
代表的な木材としては「ウリン」「イペ」などが一般的にウッドデッキに使用されています。
当然、硬い木材なのでシロアリも好んで食べようとしません。
ハードウッドの材料費は、1㎡あたり2.5~3.5万円で、業者に依頼した場合の費用は、3坪のウッドデッキで50~70万円となります。
人工木(樹脂)
人工木はプラスチックに樹脂等を混ぜて作られた木材です。
プラスチックが混ぜられているのでシロアリ被害も少なく、腐食もほとんど起こりません。
メンテナンスの手間もあまりかからず、ウッドデッキの大半は人工木が使われています。
実際にウッドデッキに使用される人工木は、下記画像のような感じです。
人工木の材料費は、1㎡あたり2万円~3万円で、業者に依頼した場合の費用は、3坪のウッドデッキで40万円~50万円となります。
週刊エクステリアの統計データによると、ウッドデッキを設置する家庭の9割近くが人工木を採用していることがわかります。
- 人工木:88.6%(212.8億円)
- 天然木:11.4%(27.4億円)
天然木 ソフト |
天然木 ハード |
人工木 | |
---|---|---|---|
価格 | 安い | 高い | やや高い |
耐久性 | ▲ | 〇 | ◎ |
加工性 | 〇 | ▲ | ◎ |
シロアリ対策 | ▲ | 〇 | ◎ |
メンテナンス | ▲ | ▲ | ◎ |
ウッドデッキを扱う大手3社
人工木を使ったウッドデッキを販売しているメーカーは数多くあるのですが、全体の85%ほどを大手3社が独占しています。
- LIXIL 40%
- YKKAP 30%
- 三協アルミ 15%
LIXIL (リクシル)
リクシルで人気のウッドデッキ商品は「DSデッキ」です。
画像でもわかるように、人工木でありながら天然木のような手触りと色合いが高く支持されています。
リクシルには他にも数商品、人工木のウッドデッキがありますが、どれも人工木という感じがして、ここまで天然木に近い商品は「DSデッキ」のみです。
約2坪タイプで30~35万円(施工費別)ほどです。
YKKAP
YKKAPで人気の人工木のウッドデッキは「リウッド200」です。
リサイクルした再生木を使用しているので、より天然木に近い感じを体感することができるウッドデッキになります。
約2坪タイプで25~28万円(施工費別)ほどです。
三協アルミ
三協アルミで人気の人工木ウッドデッキは「ラステア」です。
ウッドデッキでもタイルでもない、モダンでシックな屋外フローリングというキャッチフレーズで販売されていますが、使用している木材は「木紛+ポリエチレン樹脂」なので、紛れもない人工木です。
約2坪タイプで31~33万円(施工費別)ほどです。
より本物の木に近い木材を希望するならリクシル、デザイン性やカラーバリエーションで選ぶなら三協アルミ、低価格を希望するならYKKAPという選択肢になるのかなと思います。
ウッドデッキの作り方
DIYでウッドデッキを作ることもできます。
費用や日数は掛かってしまいますが、あまり難易度は高くないのでDIYが好きな人であれば問題なく作れると思います。
ここではDIYでウッドデッキをつくる手順やポイントについては、簡単に説明していきたいと思います。
ウッドデッキづくりの手順は、大きく5工程です。
- ウッドデッキの図面を書く
- 予算や材料を決める
- 材料を購入する
- 塗装をする
- 組みたてる
まず第一工程としては、ウッドデッキを設置する場所のサイズを測り、ウッドデッキの大きさを決めて図面にします。
ウッドデッキの大きさが決まったら、予算から天然木や人工木などの木材を決めていきましょう。
サイズの目安
完全にオリジナルの木材を購入してウッドデッキを作るのであればサイズはいくらでも自由に決めることができます。
しかし、市販されているキットを利用してウッドデッキを作るのであれば、ある程度サイズは固定されてしまうので注意しましょう。
人工木でウッドデッキを作るのであれば、横幅(間口)は90㎝間隔、出幅(奥行き)は30㎝間隔で図面を作るのが理想です。
ウッドデッキのキットは少し難しいサイズ表記になっているので、まずはこれを理解しておきましょう。
一番人気があるウッドデッキのサイズは「2.0間 6尺(にけんろくしゃく)」で、これは一間が約1.8m、一尺が約30㎝で計算するので、横幅が2.0間=約3.6m、出幅が6尺=約1.8mなので、畳にすると4畳分となり、坪数だと約2坪と解釈します。
- 1間(いっけん):約182cm
- 1尺(いっしゃく):約30cm
ここからはあくまでも筆者の独断ですが、目的別のウッドデッキサイズを一覧表にしておきます。
目的 | サイズ |
---|---|
洗濯物を干す | 2.0間4尺 |
コーヒーを飲む | 1.5間6尺 |
子供のプールを置く | 2.0間10尺 |
家族でBBQしたい | 3.0間10尺 |
基礎作りのポイント
ウッドデッキのDIYで一番重要な工程が「基礎作り」です。
基礎にも色んな種類がありますが、ウッドデッキであれば「基礎石」「束柱」「根太」のシンプルな形で大丈夫です。
基礎作りのポイントは、
- 基礎石を設置するポイントの地面をしっかり固める
- 基礎石を水平に設置する
- 束柱・根太をしっかりと組んでいく
束柱の間隔は900mm、根太の間隔は450mmくらいが一般的です。
BBQのように大人数での用途であれば、ウッドデッキへの負担を考え束柱の間隔を600mmくらいにしておくと良いでしょう。
階段の設置方法
ウッドデッキの高さによっては階段の設置も必要になります。
リビングの掃き出し窓からウッドデッキへ出られるようにするのが一般的なので、これだとウッドデッキの高さは平均45~65cmくらいになります。
これだとウッドデッキから庭へ降りるための階段が2~3段ほど必要にあります。
踏板に使う木材は階段の幅によって異なりますので、ここは木材を購入するお店で店員さんに尋ねられるのが良いかと思います。
踏板の奥行は240~260mm、階段一段の高さは18~20cmくらいが理想です。
シンプルな階段の設計図を載せておきます。
上手に塗装する方法
樹脂製の人工木でウッドデッキを作るのであれば塗装の心配はありません。
天然木(ソフトウッド)の材料を使う場合は、木が傷んだり腐ったりしないよう保護塗装しておく必要があり、塗装のメンテナンスも1年~2年ごとに必要になります。
同じ天然木でもハードウッドの材料であれば、無塗装のままでも問題ありませんが定期的なメンテナンスは必要です。
塗料は「屋外木部用」を使用してください。
油性と水性の塗料がありますが、小さなお子さんがいるご家庭であれば臭いがあまり強くない水性がお薦めです。
浸透タイプと塗膜タイプがあるので、多少お値段は高くなってしまいますが浸透タイプがお薦めです。
油性は耐久性に優れている反面、強い匂いを発するので注意しましょう。
塗装に必要なハケやローラーなどの道具類は、購入するホームセンターなどで店員さんに相談されてください。
ウッドデッキに屋根や目隠しは必要?
せっかくのウッドデッキだから開放感を味わうため、屋根や目隠しを希望する人はそう多くありません。
しかし、実際にウッドデッキを設置した後になり、やっぱり近所の目が気になるので屋根や目隠し用のフェンスをつけたいという要望は非常に多くあります。
当然、ウッドデッキを設置する段階で屋根やフェンスを同時に設置しておくのが、費用面では一番コスパが良いです。
後付けになると、どうしても費用的には割高になってしまいます。
とくに都心部になればなるほど、目隠しフェンスの設置需要は高くなりますので、お隣さんとの距離が近い、小さいお子さんがいるというご家庭は設置段階で屋根やフェンスの有無を検討するようにしましょう。
ちなみに人工木のウッドデッキであれば、当初から屋根やフェンスがついているキットも販売されているので、屋根やフェンスを設置する可能性があるのでしたら人工木のウッドデッキを選んでおくという方法もあります。
- 屋根をつける場合の目安費用は15万円~
- フェンスをつける場合の目安費用は平米1万円~
ウッドデッキに関する質問・疑問
ウッドデッキに関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。
注文住宅にウッドデッキは必要?
ウッドデッキを設置するには、軽自動車1台分くらいのスペースが必要になるので、それなりの土地の広さが必要になります。
あまり広くない土地でウッドデッキを無理に設置してしまうと、それだけ庭の広さが小さくなってしまったり、使いづらい駐車スペースになってしまう可能性があります。
ウッドデッキを設置するためには30~50万円ほど掛かり、これは注文住宅にするとかなり高めのオプション品になります。
30~50万円あれば建物を1坪大きくすることもできますし、海外製の高級な食器洗い機を設置することだって出来てしまいます。
ウッドデッキの必要性をしっかり考えたうえで、設置の有無を決めるようにしましょう。
ウッドデッキいる?いらない?
以下のような家庭では、ウッドデッキを希望することが多いです。
- ペットを飼っている
- ガーデニングが趣味
- 目の届くところで子供を遊ばせたい
- 友人が集まりホームパーティを良くする
逆にウッドデッキの必要性が低い家の特徴はこちらです。
- 隣家との距離が近く密集している地域
- 洗濯物は室内かバルコニーで干す
- 虫が嫌い
- 手入れが楽な家がいい
設置を検討する際の参考にしてもらえばと思います。
タイルデッキの特徴は?
ウッドデッキと比較検討されるものにタイルデッキというものがあります。
ですがウッドデッキとタイルデッキは全くの別物で、金額や施工方法なども異なります。
タイルデッキの基礎はコンクリートで1から作る必要があり、ウッドデッキのようにDIYで手軽に作れるという物ではありません。
また、一見手入れいらずのように思えますが、目地の掃除やひび割れの補強など、ウッドデッキとは違った手間が掛かることも理解しておきましょう。
ウッドデッキをつけると固定資産税はあがる?
一般的なオープンタイプのウッドデッキであれば固定資産税が上がることはありません。
ただし、屋根や壁があるサンルーフタイプのようなウッドデッキの場合は、居室空間とみなされ固定資産税が上がる可能性があります。
実際のところ自治体の判断によるところも大きいので、このタイプだと固定資産税が上がりますとか、このタイプだったら大丈夫です!という明確な判断材料はありません。
まとめ
ウッドデッキをDIYで作ることは、そう難しいことではありません。
しかし野外の建築物なので木材が雨風で傷んだりします。
ウッドデッキをDIYで作る場合は、耐久性や後々のメンテナンスのことまで考えて、木材や塗料を選ぶようにしましょう。
人工木のウッドデッキは組み立てキットを購入することができ、メンテンナンス面にも優れているのでおすすめです。
オプションになりますが目隠し用のフェンスや階段もセットで購入できるので、より手軽にウッドデッキをDIYで作ることができます。