あらたな収納スペースとして注目されているのが屋根裏部屋です。
これまでデッドスペースになることが多かった屋根裏スペースを有効活用することで、収納スペースだけでなく、子供部屋や書斎として利用することもできます。
この記事では、新築やリフォームで屋根裏部屋のある家を検討している人向けに、ポイントやコツを紹介していきます。
屋根裏部屋のおしゃれ間取り例
屋根裏部屋は、各地域によって建築上の法律が違っていますので、建築実績がある会社を選ぶことがとても大事になってきます。
経験が少ない会社だと、建築確認申請の段階になって間取りや仕様が変更になってしまう可能性もあり、そうなると見積り額も変更になってしまいます。
ここからは屋根裏部屋の実績が豊富なハウスメーカーをいくつか紹介していきたいと思いますので、建築会社選びの参考にしてもらえばと思います。
もし予算が決まっている人は、色々なところからカタログを取り寄せて比較してみてください。
大手ハウスメーカーの他、地元の工務店などにも屋根裏部屋の経験が豊富な業者はいます。
大和ハウス
- 商品名:xevoΣ PREMIUM
- 1階:150.93㎡
- 部屋裏:23.51㎡
- 延床:174.44㎡(52.76坪)
こちらの物件の特徴は、最近人気の平屋住宅に屋根裏部屋を配置している点です。
大和ハウスは、もともと天井の高い家を売りにしている部分があるので、こうした屋根裏部屋をつくるには適しているハウスメーカーです。
特に注目しておきたいポイントして、屋根裏部屋では珍しい大きな窓を設置している点です。
屋根裏部屋には窓の大きさ(比率)にも制限があるので、建築経験が豊富なハウスメーカーを選ぶことで、このように普通のハウスメーカーや工務店では、あまり提案してもらえないアイデアをだしてもらえます。
桧家住宅
- 商品名:Z空調の家(建売分譲)
- 延床:99.78㎡(30.18坪)、4LDK+固定階段付小屋裏収納
建売分譲の住宅でも、屋根裏部屋のある物件はあります。
建売なので、すでに建物が完成していることもあり、実際に自分の目で見学できるのが最大の利点です。
もちろん、固定階段にしていても、建築確認でNGが出るなんて心配もいりません。
ただ1つマイナス点をあげるなら、屋根裏部屋をつくることで、どれくらいの費用がプラスされたか知ることができない点です。
注文住宅であれば、屋根裏部屋をつくることで、〇〇万円ほど予算が必要になります!とわかるのですが、建売住宅だとそれがわかりません。
アルネットホーム
アルネットホームは平屋専門の住宅会社です。
平屋専門というだけあり、多彩な屋根裏スペースの活用法を提案してもらうことができます。
今回紹介している間取りでは、屋根裏収納の他にもロフトや半2階部分に畳コーナーをつくるなど、独創的なプランニングになっています。
これにより平屋の弱点でもある収納不足を、うまく補うことができているのではないでしょうか。
【新築】屋根裏部屋の作り方
屋根裏部屋をつくる際のポイントを紹介していきます。
屋根裏部屋をつくるには、いくつかの制限がありますし、地域によっても条件が違ってきます。
また、建てる住宅会社によって費用に含まれている項目もバラバラだったりしますので、最低限の知識を身につけておくことをおすすめします。
新築で屋根裏部屋をつくるのにかかる費用(坪単価)
新築の注文住宅に屋根裏部屋をつくる場合の費用相場ですが、6帖ほどで30~50万円くらいを試算しておくのが良いでしょう。
床面積に含まれない部分ですので、皆さんがよくつかわれる1坪〇〇万円という坪単価には該当しません。
ただし、部屋裏部屋に普通の居室と同じようなクオリティーを求めることもできません。
床はフローリングではなく合板(コンパネ)のまま、壁にクロスなどは貼ってはなくべニア板のままです。
それらの仕上げを求めるのであれば、その分の追加費用が発生すると考えてください。
屋根裏部屋の活用法
失敗しない屋根裏部屋づくりのポイントとして、思い描く活用法をしっかりとイメージしておくことです。
活用法を明確にしておくことで、ハウスメーカーや工務店も、どのような屋根裏部屋をつくれば良いのかイメージしやすくなります。
屋根裏部屋の活用法として以下のようなタイプがあります
- 大容量の収納スペース
- 子供部屋
- 書斎(ワークスペース)
- 趣味の部屋
- バスルーム
屋根裏部屋といっても、このように多彩な活用法があります。
しかし、ただの収納スペースとして使うのと、バスルームとして使うのでは費用面では全然違ってきます。
ですので、なるべく明確な用途をハウスメーカーや工務店に早い段階で伝えることで、より正確な見積り費用を出してもらえるようになります。
屋根裏部屋のメリット
屋根裏部屋をつくるメリットとしては、以下の2点があります
- 収納スペースを確保できる
- 子供の遊び場や趣味の空間を格安でつくれる
屋根裏部屋をつくる動機として一番多いのが、収納スペースの確保のためです。
屋根裏部屋そのものを収納スペースとして活用することもできますし、当然居室などで不要なものを屋根裏部屋に仕舞えるので、その分居住スペースを広く確保することができます。
また子供たちの秘密基地だったり、シアタールームや読書スペースなど、趣味の部屋として活用することもできます。
シアタールームや書斎スペースを普通につくれば、当然面積に応じて建築費が高くなりますが、屋根裏部屋であれば、大幅にやすく作ることができてしまいます。
例えば6帖のシアタールームを居住スペースにつくろうと思えば、坪単価60万として「3坪(6帖)✕60万円=180万円」が必要になります。
しかし、屋根裏部屋としてつくるのであれば、先に紹介したように50万円もあれば作れてしまうのです。
屋根裏部屋のデメリット
屋根裏部屋をつくるデメリットとしては、以下の3点があります。
- 費用がかかる
- 危ない
- 暑くて寒い空間である
一番のデメリットとなるのが、やはり費用が掛かってしまう点です。
いくらデッドスペースといっても、屋根裏部屋をつくることで費用は発生します。
快適な空間にしようすると、なおさら高額な工事費がかかります。
また地域によっては固定階段を設置できず、ハシゴをつかって屋根裏部屋に上り下りしなければなりません。
屋根裏収納として考えているのであれば、急なハシゴを荷物をもって上り下りするのは大変ですし、最悪だと大けがをしてしまう恐れもあります。
そして屋根裏スペースですので、外気の影響を一番受けてしまう場所でもあり、夏は暑く、冬は寒い空間であることは理解しておく必要があります。
それらを防止するには、しっかりとした断熱対策が必要になり、ここでもさらに費用が掛かることになります。
一般的な断熱方法として、天井断熱と屋根断熱がありますが、最近は天井断熱の家が多くなっている気がします。
しかし、天井断熱だと屋根裏部屋がある家には不向きなので注意しましょう。
天井高と広さの目安
屋根裏部屋として認められるには、いくつかの条件があります。
地域によって多少違ったりもするのですが、一般的な基準としては以下のようなものがあります。
- 天井の高さはMAX140㎝以下であること(ほぼ全国共通)
- 階下の床面積の1/2以下であること(ほぼ全国共通)
- 取り外しできるハシゴで上り下りする(地域によっては固定階段も可)
- 屋根裏部分の窓は換気用として、屋根裏面積の1/20以下であること(地域によって異なる)
これらが一般的ですが、地域によっては他にも以下のような禁止事項があることもあります。
- 電話、テレビやインターネット等のジャックを設置しない
- 床の仕上げに畳、絨毯、タイルカーペット等を使用しない
- エアコン等の空調設備を設置しないこと
- 確認申請時、ベッドなどを置いて居室として使用しないことを明記すること
屋根勾配で部屋の広さがきまる
屋根裏部屋の広さは、屋根の形である程度決まってしまいます。
屋根の勾配が急であれば、それだけ天井の高さに高低差がでることになります。
なるべくデッドスペースをなくしたいのであれば、勾配が急な屋根ではなく、ゆるやかな勾配の屋根にするなど、建物全体のシルエットにも大きく影響がでることも覚えておきましょう。
はしご式階段と固定式階段どちらがいいのか?
わたし管理人として、屋根裏部屋で一番重要になるポイントは昇降手段だと考えています。
昇降手段として大きく「収納式or可動式のハシゴ」と「固定式階段」という2つがあります
収納式ハシゴ
可動式ハシゴ
屋根裏部屋への移動手段として一般的なのが、こちらのハシゴ式です。
設置費用も安いですし、場所も取りません。
ただ大きな荷物を抱えて、この急なハシゴを上ったり下りたりするのは危険ですし、それが女性や子供だとさらにリスクは高くなります。
また高齢になるとハシゴを使って上り下りすること自体難しくなり、最終的には屋根裏部屋を使う機会も減っていくことが予想できます。
固定式階段
どうみても固定式階段が便利そうにみえますし、リスクが低いことがわかります。
ただし、固定式階段を設置するには、それなりのスペースも必要になり、それが新築の場合は延床面積にプラスされることとなるので、建築費が大きく膨らんでしまうことになります。
当然、階段を設置する費用だけでなく、居住スペースもその分だけ狭くなるというデメリットもあります。
また、固定式階段は地域によって屋根裏部屋の条件として認められないこともあるので、早い段階でハウスメーカーや工務店に確認しておくようにしましょう。
【リフォーム】屋根裏部屋の作り方
ここではリフォームによって屋根裏部屋をつくる際のポイント、価格相場などについて紹介していきたいと思います。
DIY(自作)で作れるのか?
先にも書きましたが、屋根裏部屋には地域によって多くの制限や条件が決められています。
その条件に合致しない屋根裏部屋をつくってしまうと、当然違法建築という扱いになります。
バレなければ良いと考える人も多いようですが、違法建築であれば、もし将来的に売却することになっても住宅ローンを使えないので、買い手を探すことが難しくなります。
そうした点からも、例えDIYで屋根裏部屋をつくるだけの技術を持っていたとしても、やはりプロの職人さんたちにお願いすることをおすすめします。
屋根裏部屋を増築するのにかかる費用(坪単価)
リフォーム会社に屋根裏部屋の設置を依頼した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
工事の内容にもよりますが、単純に収納スペースとして考えるのであれば、収納式のハシゴを設置して、屋根裏部屋のスペースを整えるだけですので、費用としては新築時と同じ50万円くらいを想定しておけば大丈夫です。
簡単な内訳をだしておきます。
工事内容 | 料金 |
---|---|
床工事(6帖) | 12~15万円 |
開口とハシゴ設置工事 | 10~15万円 |
窓と換気扇の設置工事 | 7~12万円 |
照明とコンセントの設置工事 | 2~3万円 |
手すりや開口部の囲いなど | 2~3万円 |
人件費(2人✕2日) | 3~5万円 |
合計 | 36~53万円 |
しかし、シアタールームや書斎のように、しっかりとした部屋に仕上げるのであれば、別途内装費や配線設備の費用がかかるので、100万円~150万円くらいを想定しておきましょう。
さらに固定式階段、断熱対策、窓の設置なども含めると、さらに金額は高くなります。
屋根裏部屋に関する疑問、質問
屋根裏部屋に関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。
屋根裏、小屋裏、天井裏の違いは?
屋根裏、小屋裏、天井裏など、いろいろな呼び方をされるのですが、明確な基準などが決まっているわけでなく、あくまでも人それぞれの判断の違いでしかありません。
その証拠にヤフー知恵袋などに、似た質問が多く載せられていますが、回答する人によって解釈が全然違っています。
あまり細かく考えず、屋根裏、小屋裏、天井裏は、同じ意味だという解釈で良いのではないでしょうか。
3階建てとの違いは?
せっかく屋根裏部屋を設けても、決められている条件を1つでもクリアできなければ3階建ての建物としてみなされることがあります。
建築会社やリフォーム会社のなかには、建築の法律では3階建てになりますが、費用的には2階建てとかわりませんので大丈夫ですよ。と適当なことを言ってくる業者もあります。
しかし、3階建て住宅となれば、構造計算が義務になっているなど、建物を建てるための制約が大幅に違ってきますし、税金面でも不利になるケースが多々あります。
建築会社がいうように、2階建てと同じ金額で建ててくれるのかもしれませんが、後々のことを考えると屋根裏部屋をつくるためだけに3階建て住宅になってしまうのは本末転倒のような気がします。
まとめ
近年、少しずつ家の坪数が小さくなっています。コンパクトな家を建てることで、収納の問題に直面することになります。
そこで注目されているのが、大きな収納スペースを確保できる屋根裏部屋です。
屋根裏部屋は収納スペースとしてだけでなく、子供部屋や趣味の部屋など多彩な活用法があります。
最近は在宅勤務を推奨する企業も増えており、在宅ワークのスペースとしても屋根裏部屋はすごく適した空間だと思います。
しかし、高さや広さの制限だけでなく、窓の大きさ1つまで制限が決められていますし、しっかりした断熱対策も必要不可欠です。
屋根裏部屋の建築経験が豊富な業者に依頼することが大切なので、なるべく多くのカタログを取り寄せて、チェックしておきましょう。