なるべく予算を抑えて注文住宅を建てたい人向けに、安く建てるコツを解説します。
注文住宅は定価がないため値引きすることができませんがハウスメーカーを上手に比較することで、納得できるマイホームが完成します。
業者選びの他にも安く建てるコツを分かりやすくまとめているので、これから家を建てようと検討している人はぜひ参考にしてみてください。
安く家を建てるコツ
注文住宅には値引きという概念がないため、安く建てる方法を理解しておく必要があります。
間取りはもちろん使用する木材や設備品も依頼する会社を変えることで自由に選択できるので、施主の知識や考え方次第で予算を調整することができます。
ここからは安く家を建てるコツを初めての人でもわかりやすく説明していきたいと思います。
業者を徹底的に比較する
注文住宅を安く建てるために最も重要なことはハウスメーカーを徹底的に比較することです。理由はハウスメーカーによって価格やプランが大きく異なるからです。
坪単価もそれぞれ違いますし、値引きを全く受け付けていないハウスメーカーもあれば、最終的に数百万円値引きをしてくれるところもあります。
そのためハウスメーカーを徹底的に比較することがとても大切になってくるのです。
業者を比べる時の注意点
少しでも安くするために比較して競争させることは大事なことですが、注意しなければいけないのが同じレベルの業者で比べるということです。
ハイグレードな積水ハウスや住友林業とローコストのタマホームを比較させても全く意味がありません。
どんなに頑張っても積水ハウスや住友林業が価格面だけでタマホームに勝てるはずがないからです。
比べる際はハイグレードの業者同士、ローコストの業者同士を比較対象として交渉するようにしてください。
また異業種と比較してもあまり意味がありません。
例えば、ハウスメーカーと地元工務店な比較しても問題ありませんが、ハウスメーカーと設計事務所の建築家を比較しても意味がありません。
同じようにハイグレードの業者と建売住宅の業者を比較して競争させようとしても、値引きに繋がる可能性は低いと思います。
シンプルな間取りにする
間取りをシンプルにするという表現がふさわしいか解りませんが、1階部分と2階分の床面積の広さを同じにすることで、建築費を削減することができます。
俗にいう「総二階建て」という家の形になるのですが、下図をみて頂ければ解りやすいと思います。
一番左側の家が総二階建てなのですが、1階と2階の広さがほぼ同じになっているのが特徴です。
真ん中の家は1階部分が広く2階が少し小さくなっている部分二階建て、右側が平屋建てになります。
同じ面積で3つの建物を比較すると、総二階建ての家が一番建築費を抑えることができます。
理由は、単純に屋根の面積が減ることさらに柱の数も減らすことができるからです。
平屋が一番安いと思っている人も多いのですが、平屋は屋根の面積も広く、基礎部分の面積も広いので建築費は高くなるのが一般的です。
ですので、なるべくコストを抑えたい建売住宅などは、ほとんどが総二階建てでつくられています。
具体的にどれくらいコストを削減できるかというと、同じ面積の総二階と部分二階では約200万円くらい差がでる可能性があります。
施主支給を利用する
あまり一般的には知られていませんが、施主支給というやり方があります。
施主支給とは部品は自分たちで安いものを調達し、取り付けなどは大工さんにお願いするという方法です。
具体的には近所の大型家電店でエアコンや照明器具などを安く購入し、大工さんに取り付けてもらうというやり方です。
施主のなかにはマイホームに使う床材や太陽光発電設備などを施主支給として持ち込むケースも最近は増えています。
低金利の住宅ローンを利用する
金利の低い住宅ローンを利用するというのも、予算を削る1つの方法となります。
単純に3,000万円の借り入れをするとして金利が0.3%低い住宅ローンを利用すれば、総支払い額を200万円ほど減らすことができます。
この仕組みについては、「注文住宅の予算相場とオーバーした時の削り方」で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
補助金を利用する
新築住宅を建てる際に補助金を受け取ることができるケースがあります。
補助金に関してのお知らせがくるわけではないので、自分で調べて申請するしかなく知らなければ損をしてしまいます。
ハウスメーカーの営業マンから補助金に関しての説明はあると思いますが、営業さんのうっかりミスで補助金や助成金の申請をしてなかったというケースは決して珍しいことではありません。
そこで、ここからはどのような補助金があるのか説明していきますので、自分が対象になっているのかどうかを確認してみてください。
2019年10月現在、利用できる可能性がある補助金や助成金は以下の通りです。
- 住まい給付金
- 次世代住宅ポイント制度
- エネファーム設置補助金
- ZEH補助金(ネット・ゼロ・エネルギー)※2019年度分は10/11締め切り
- 2019地域型住宅グリーン化事業補助金 ※2019年度は締め切り
住まい給付金
住まい給付金は消費税率引き上げによる負担を緩和するために創設された制度で、もらえる金額は家庭の年収などによって異なり、最大50万円になります。
住宅ローン控除という減税制度があるのですが、この制度は所得が低いとあまり恩恵を受けられないという欠点があり、それを補う目的もあります。
すまい給付金の要件は以下となっているのでチェックしてみましょう。
- 床面積が50㎡以上であること
- 施工中に一定の品質かどうかを確認する検査を受けている住宅であること
- 年収が775万円以下であること(2019年9月30日までは年収510万円以下の方が対象となります)
次世代住宅ポイント制度
補助金ではありませんが、省エネ製品や子育て関連商品などと交換できるポイント制度が始まっています。
対象となるのは消費税率10%でマイホームを取得した人で、新築と中古どちらでもポイントが付与されます。
新築の注文住宅であれば最大350,000ポイントを受け取ることができるのですが、現時点では2020年3月31日までに工事請負契約を締結するか、工事の着工が必須条件となっています。
エネファーム設置補助金
エネファーム設置補助金は家庭用燃料システム「エネファーム」を住宅に導入する場合、購入費用の一部を国が補助をしてくれる制度です。
「エネファーム」とは水素と酸素から電気と熱をつくるシステムで、環境に優しい使い方を実現できる装置です。
補助金の額は燃料電池の種類や商品代や工事費用などの額によって異なり、5~16万円の補助になります。
さらにLPガスに対応している商品など追加の補助金がでるケースもあるので、しっかりと確認しておくようにしましょう。
エネファーム設置補助金の給付要件は以下となっています。
- 指定の補助対象エネファームであること
- 6年以上使用すること
- 日本国内に住んでいること
ZEH補助金(ネット・ゼロ・エネルギー)
2019年度の受付は終了しました。2020年度の情報は分かり次第、更新します。
ZEH(ゼッチ)補助金はゼロエネルギーハウス住宅を建てる方が対象となる補助金です。
ZEHとは省エネをしながら太陽光発電などでエネルギーを作り出すことによって、住まいの年間一次エネルギー消費量をゼロにする住まいのことをいいます。
わかりやすく言うと、次世代型の省エネ住宅と理解してもらえればと思います。
補助金を受け取るにはZEH認定ビルダーに設計から建築まで依頼しなければいけませんので、建てる際には認定ビルダーに登録しているハウスメーカーや工務店なのかチェックしておく必要があります。
ZEH補助金の給付要件は以下となります。
- 住宅を新築する人
- 所有者が自ら住む戸建て専用住宅であること
- 登録されたZEHビルダー/プランナーが設計、建築、改修又は販売を行うZEHであること
地域型住宅グリーン化事業補助金
2019年度の受付は終了しました。2020年度の情報は分かり次第、更新します。
この地域型住宅グリーン化事業補助金の最大の特徴は、補助対象が木造住宅に限られていることです。
対象となるのは耐久性や省エネ性に優れた木造住宅で、最大140万円の補助金が受け取れます。
ただし、こちらの補助制度も2019年度分に関してはすでに応募が締め切られています。2020年度の当補助金については予算次第で継続されるか決定することになるでしょう。
例年だと4~5月にかけて補助金の応募を受け付けていますので、今後新築住宅の計画がある人は気にかけておくようにしましょう。
キャンペーンを利用する
値引きという話ではないのですが、ハウスメーカーでは定期的にお得なキャンペーンを実施している場合があります。
ハウスメーカーや時期にもよって異なるのですが、例えばオプション対応となるグレードの高い設備を標準仕様にするキャンペーン、そのハウスメーカーで家を建てたからの紹介キャンペーン、会社の決算時に実施されることが多い決算キャンペーンなどもあります。
キャンペーンの時期や内容は、ハウスメーカーによってそれぞれ異なりますし、まったくキャンペーン等を実施していない会社もあります。
営業さんに尋ねても早く契約を取りたいのが本音でしょうから、なかなか先の時期のキャンペーンについては正直に教えてくれないのが一般的です。
ですので、インターネットの体験談や口コミ情報などから、希望するハウスメーカーで過去にどのようなキャンペーンが実施されているのか調べるのが良いでしょう。
注文住宅の値引き交渉が厳しい理由
注文住宅の値引きがまったく出来ない訳ではありませんが、建売住宅や中古住宅を買うときに比べると値引きの交渉は簡単ではありません。
注文住宅には定価がない
注文住宅の値引き交渉が厳しい理由は、注文住宅にはそもそも定価が設定されていないからです。
建売住宅などの場合は定価が設定されているので多少の値引きはできますが、一から作り上げる注文住宅は最後までプランや値段が確定しないので値引きという概念がありません。
値段を安くする場合は設備やプランなどの変更によって調整する場合が多く、値引きではなく「希望の間取りを断念する」「設備のグレードを下げる」という言葉がふさわしいでしょう。
そのため業者選びが大切となってきます。
自分が求めている設備をいくらでつけることができるのか、納得できる値段を提示してくれるのか、これは業者によって異なってきますので、必ず最初の段階で納得がいくように業者を選ぶ必要があります。
業者の損失が大きい
ハウスメーカーにとって値引きをすることは大きな利益を逃すことになります。
注文住宅のそもそもの値段が高いため一回の値引きで数百万円ほどになり、無条件に値引きをしていては億単位で利益を逃すことになってしまいます。
工期を短くすることで費用を抑えることができる場合もあるらしいのですが、そうすると家の質を下げることになり施主から不安の声が上がりやすく、会社のイメージも損なわれます。
このようなことから安易な値引きはハウスメーカーにとって大きな痛手となってしまう恐れがあります。
まとめ
このように注文住宅の値引きは難しく、少しでも安く家を建てるならば、ハウスメーカーを事前にしっかりと比較検討したり、補助金制度やキャンペーンを上手に利用する必要があります。
これから何十年も住む家を作るのでコストに目がくらみ、家の質を下げることによる値引きは避けるようにしてください。後々後悔するリスクをあげるだけです。
自分たちの予算に見合わない家を過度な値引きで無理して家を建てるのはNGです。自分たちの予算内でしっかりとした家づくりをしてくれるハウスメーカーを見つけるようにしてください。